最近アメリカの共和党候補にドナルド・トランプという不思議な男が立候補し人気を集めている。トランプといえばホテル業の実業家で億万長者。人事にも厳しくすぐに「お前は首だ!」といって怒鳴るという評判があり、それをつかったテレビのリアリティーショーなどでも活躍していた。トランプは以前にも大統領候補に立候補したことがあるが、その時は誰も彼をまともにとりあわなかったので、すぐに辞めてしまったのだが、今回は何故か共和党候補のダントツトップとして大人気を呼んでいる。
トランプは政治家ではない。政治的に正しいことを気をつけて言おうという遠慮もない。それでアメリカの移民制度は崩壊状態だとか経済ははちゃめちゃだとか言いたいことを言っている。それが共和党支持者からも民主党支持者からも共感を呼んでいるようだ。
トランプは共和党の候補として立候補しているが、トランプの背景はまったく共和党ではない。クリントン夫婦とトランプは昔からの友人で、トランプは民主党候補にかなりの献金をしてきた。トランプは常に政治家に媚びて私服を肥やしてきた男で資本主義とはおよそ正反対の男だ。
そんな男が何故共和党としてヒラリーに真っ向から立ち向かおうとしているのか、トランプにとってはヒラリーが大統領になってこれまでどおり甘い汁を吸っていたほうが自分が大統領になるよりずっと金儲けにつながるはず。実はこれはカカシの陰謀説だが、トランプはヒラリーの手先ではないかと思う。
トランプが共和党候補たちの選挙運動を妨害し、自分のみに人気を集中させることで、共和党からヒラリーに立ち向かう有力候補を潰してしまう。トランプ自体が共和党の候補になることは最初から期対していない。トランプは候補から落選した時点で第三党の候補として立候補し、共和党の票を割るという計画。
だが、そうだとすればヒラリーはとんだ計算違いをしてしまったかもしれない。トランプが立候補を宣言したとき、誰もトランプの候補性などまともに受け入れていなかった。ああ、金持ちの気まぐれだ、くらいにしか思っていなかった。ところが蓋を開けてみたらトランプの人気は急上昇。共和党の有力候補を追い抜いてダントツの支持率を受けている。いったい何故なのか?
はっきり言って、私も含め共和党支持者たちは現在の共和党にはすっかり失望している。オバマの非常な悪政に耐え切れず、なんとかオバマの暴走を阻止してもらいたい、アメリカを元の方角にもどしてもらいたいと願って共和党議員を議会に送ったのに、過半数を超えて与党となった共和党ときたら、オバマを阻止するどころかオバマと一緒になってファシズムを進めている。
上院のベイナーも下院のマカーノもオバマべったりで、オバマケアを撤回するどころかそのまま支持。イランとの悪交渉にも反対の声も上げない。国境もすかすかで違法移民が素通り。低迷する経済も向上する兆しはまったく見えない。
いったい何のために共和党に票を入れたんだよ、と我々共和党支持者は非常な憤りを感じているのだ。
トランプはそういう一般人の不満の声を遠慮せずに発しているところに人々の共感を呼んでいるのだ。
「違法移民は強制送還しよう!」「アンカーベイビーは違法だ!」(アンカーベイビーとは、違法移民がアメリカで子供を生むことで、生まれた子供のアメリカ国籍を利用して自分たちがアメリカに居座る方法。)「アメリカを勝利の国にしよう!」
アメリカの保守は何故か常にリベラルに迎合するきらいがある。リベラルがメディアを牛耳っているからそうなるのかもしれないが、とくにベルトウェイと呼ばれるワシントンDCで仕事をしていると、一般市民の気持ちを理解できなくなる。それでリベラルが「そういう言い方は不謹慎だ、失礼だ、ハラスメントだ」と言い張ると、実際に一般市民がどう思っているかを調べないまま、それを鵜呑みにしてしまう傾向があるのだ。
具体的に言うならば、共和党はラテン系の支持なくして大統領になれない。だからラテン系市民の気持ちを逆撫でするような違法移民批判を話題にすべきではないといった考え。だが、ラテン系市民が必ずしも違法移民の乱入を支持しているとは限らない。いやむしろ、自分たちが合法に移住して市民権を得たラテン系やその子孫は違法移民に対する恩赦を苦々しく思っているかもしれないのだ。だが共和党の体制はそうした国民の生の声に耳を傾けずにリベラルメディアのレトリックを鵜呑みにしている。
イランとの交渉にしてもそうである。共和党体制派は共和党は常に戦争を好んでいると言われることを極端に恐れている。アメリカ国民はイラク・アフガン戦争で疲れているので、共和党がイラン交渉を拒むことでまたまた戦争を始めようとしていると思われると心配している。だが、アメリカ国民は負け戦が嫌いなだけで、全面的にイラク戦争に反対したわけではない。市民が嫌気をさしたのは、オバマ政権になってイラク・アフガンからの全面撤退によって戦況が一挙に悪化したからである。ブッシュ政権の末期にイラク状況が良くなって居た頃は国民は戦争を支持していたのだ。イランとの交渉においては国民の8割がたが反対しているというのに、共和党はその空気が全く読めていないのだ。
トランプが自分の言っていることをどれだけ信じているのかは解らない。だが、少なくともトランプは今現在のアメリカ国民の感情を十分に把握して国民が聞きたいことを語っている。共和党の候補者たちはトランプの人気から学ぶべきである。今国民が何を欲しているのか真剣に考えるべきだ。リベラルメディアががなりたてるプロパガンダに騙されずに一般国民の声に耳を傾けるべきである。
そうしないと冗談候補のトランプが本当に候補になってしまうなんてことになりかねない。
オバマみたいな素人が大統領になる時代だから、そうなっても全く不思議はないと思うね。


3 responses to 冗談候補のはずのドナルド・トランプの不思議な人気

mhgt9 years ago

お久ぶりです
私はトランプ氏にかなり期待してますよ。
前回、彼が立候補した時も、面白いキャラ的な存在だけど、まともじゃないか?とも感じてましたもん。確かに失敗もありますが、今の路線では一番の実業家でしょ?自分の金を選挙運動に使うって言うあたりだって、一番まともな意見が言える立場にあるんじゃないでしょうか?
ポール2世が影が薄い中(父親のロン・ポールは私は大好きです)
トランプに期待、いや、キャラ的な存在じゃなくて、ちゃんと話を聞けば、普通に当たり前の事言ってると、私は感じます。
政治生活の中で、何処かにゴマすらなきゃ生きていけない政治家と違い、トランプは経営に戻ればいい。プエルトリコの問題にしたって、州として加担しないけど、市民と同じ頂戴のままで居るのが、おかしいでしょ?それって、違法民がやってる事と、変らない訳で・・・トランプの人気って、私はかなり政治の歴史的な改革の一こまになるんじゃないか?って思います。
会社も経営出来ない人、会社経験も無い人(オバマ)が、国を経営しようなんて大統領存在がおかしかったんじゃないでしょうか?

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苺畑カカシ9 years ago

マックさん、お久しぶり。
長期出張でネットアクセスがなかったのでお返事が遅れてしまいました。
私はトランプにはあんまり期待していません。言ってることとやってることにかなり食い違いがあると思うからです。
今はまだいいですが、そのうちにぼろが出るのではないかと思いますね。ロン・ポールはその主張はどうあれ、本心で言ってると思いますが、トランプの言ってることはちょっと信用できない、というのが私の意見です。
カカシ

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In the Strawberry Field7 years ago

トランプ大勝利!庶民の空気が読めなかったエリート政治家とエリートメディアの誤算

いやあ~、ドナルド・トランプ勝っちゃったよ~! 火曜日の夜は西海岸時間の午後11時くらいまでミスター苺がフォックスニュースを付けっぱなしで私を眠らせてくれなかったのだが、カカシは途中で睡魔に負けて寝てしまった。深夜二時ごろだっただろうか、ミスター苺が「俺達勝ったぞ~!」と私をたたき起こした。「俺達って誰だよ~、まったく~」と思ったのだが、世論調査の予測をよそにトランプは大勝利を得ていたのだ。 カカシがネバートランプ組だったのことは読者諸氏はよくご存知のことだが、告白すると私は最後の最後にトランプに投…

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