2001年にアメリカで起きた911同時多発テロの直後、ブッシュ大統領はヨーロッパ及び他諸国(日本も含め)に呼びかけ、アフガニスタン・イラクにおける対テロ戦争に同盟国の参加を求めた。その時、フランスだけが戦争参加を拒否。ロシアもイラク戦争には不参加だった。賛戦派のアメリカ人は戦争当時、フランスの商品を自発的にボイコット。フレンチフライと呼ばれているフライドポテトは一部の人々の間でフリーダムポテトと改名され、一時期は私もミスター苺もそう呼んでいた。ワイン好きのミスター苺はあれ以来フランスワインを飲んだことがない。
さてさて、早送りして2014年。パリでの連続テロ事件。アメリカで3000余名の犠牲者を出した911ですら、欧州人の目を覚ますことが出来なかったのに、たった17人のフランス人の命が失われたとなるとヨーロッパ中で大規模な対テロデモ行進。ここ2~3日、フランス及びベルギー、ドイツなどで一斉にISISメンバーと思われる容疑者が次々に逮捕された。やっとヨーロッパも真剣にイスラムテロリストと戦う気になったようだ。
それでも「自分の身に災いが降りかからないと危険に気がつかないのか、なんて勝手な奴らなんだ」と批判するのは酷だろう。実を言うならば、アメリカよりもヨーロッパのほうがずっと長い間イスラム過激派の攻撃を受けてきていた。それはアメリカの911のような大々的な攻撃ではなかったが、蛙がじょじょに熱くなっていく湯にゆでられるように、ヨーロッパは少しづつ、少しづつ、実生活の中でイスラム教から攻撃を受けていたのである。
ヨーロッパ諸国では、イスラム教徒の多く居る貧民窟にはバスも行かなければ郵便配達人も入っていかない。警察すらも出て行かないからまるで無法状態なんてところがいくらもある。イギリスではイスラム教マフィアが完全に牛耳っている町で、白人の家出少女たちが売春を強要されている地区まである。
それなのに、地元のヨーロッパ庶民がイスラム教徒の悪行に少しでも苦情を述べれば、この間も紹介した女優のブリジッド・バルドーさんのように少数民族を侮辱したとかいって罰金を課せられたり、人種差別者扱いされたり、ときには作家のサルマン・ラシディー氏のように命を脅迫されたり、テオ・ファン・ゴッホ監督のように暗殺されたりしてきた。
そしてさらに、政府やメディアはそんなことが全く起きていないかのように振舞っていた。一般のヨーロッパ市民の心のなかでは悶々とこの理不尽さへの不満が募っていったのである。それが今回のパリでのテロ攻撃で堪忍袋の緒が切れたのだ。各国の政府もやっと目覚めたのかもしれない。
イスラムテロは黙っていても居なくならない。無視していてもなくならない。迎合しても放っておいてくれない。イスラムテロを撲滅するにはこちらからの積極的な攻撃が必要なのである。
ヨーロッパ諸国に在住するイスラム教徒は多いといっても、一番多いフランスでさえせいぜい国民人口の10%に及ばない。もしこれらの国々が本気でイスラム教徒の理不尽さと戦う意志があったなら、圧倒的多数のヨーロッパ人にイスラム過激派が勝てるはずはないのである。これまでヨーロッパ諸国がイスラム教徒の横暴を野放しにしてきたのは、ヨーロッパ人がイスラム教徒を馬鹿にしてその脅威を真剣に取り扱ってこなかったからだ。イスラム教徒の危険性を警鐘する人々を罰してきたのも、その危険を認識したら、なんらかの対応をせねばならないわけで、それにはお金もかかるし労力もかかる。ヨーロッパ諸国の政府はそれがわずらわしかったのだ。
この問題はヨーロッパだけに限らない。イスラム教過激派による我々への攻撃は暴力だけに限らない。いや、かえって暴力に裏づけされた脅迫のほうがずっと恐ろしい。今回テロにあったシャルリエブドに関する報道でも、言論の自由だの表現の自由だのといった文章とは裏腹に、アメリカの主流新聞はこぞって問題になった漫画の掲載を拒否。やたらに険悪な感情を煽りたくないという屁理屈。感情を煽るから意味があるんじゃないか!それで、漫画を載せたのは零細地方新聞や保守派雑誌やブロガーたちだけ。自分らで問題となっている漫画を掲載する勇気もないようなメディアが言論の自由だなんだとほざく資格はない。
アメリカ国内では、イスラム教の批判はやたらに出来ない。それはイスラム教徒からの報復があるからというより、多様文化だの寛容だのを強制するアメリカの教育界やメディアなどに叩かれ、学生なら退学処分、社会人なら人種差別の批判を恐れる企業から解雇されるなどという危険も十分にあるからだ。
だいたい大統領からしてイスラム教テロリストという言葉すら使えないくらいだから、一般人がどういう立場にあるかは想像がつくはずだ。これが10年もかけて何千人というアメリカ兵を犠牲にして戦った戦争の結末なのか?オバマのような非国民が大統領になったおかげで、せっかくの勝利が台無しにされてしまったのだ。もう少しだったのに、もう少しでアラブのテロリストの力を最低限に抑えておくことが出来るところだったのに。イラクも自由な民主主義になれるところだったのに、シリアだってリビアだってイランだって、オバマに自由社会の党首としてのリーダーシップがあったなら、本当の意味でのアラブの春が来ていたかもしれないのに。
オバマの馬鹿王のおかげで、世界はもっと危険な場所になってしまったのだ。


7 responses to ヨーロッパ、やっと対テロ戦争に本気になった?

popopo9 years ago

貴重な在米保守の日本語ブログ、更新ありがとうございます。
オバマ大統領もパリの行進に行かなかったそうですが、安倍首相も行きませんでした。
共産党の一党独裁や民族弾圧を続ける中国と、アドルフ・プーチン大統領のロシア…
これらの国に侵略されている日本こそパリで行進すべきなのですが、最近の首相には弱腰すぎて怒りすら込み上げてきます。
それと驚愕する事に、日本では襲撃された新聞社への非難と、テロを起こしたイスラムテロリストへの同情ばかり。
『テロは駄目だが、風刺はやりすぎだった』『言論の自由だからと言って何をしても良いのか』
日本では危険な程にイスラムの脅威が知られてません。 イスラムに比べたら在日問題なんて猫みたいな可愛い物。
さらに驚くのは、こんなご時世に保守派の社会への警告を、ヘイトスピーチとして法規制しようなんて動きまで活発に!
欧州が体を張って見せた失敗を、同じ様に繰り替えす日本の姿には涙が出ます…
経済では左翼社会主義、政治でも左翼社会主義、どこでも左翼社会主義。
2020年の東京オリンピック。このまま日本が変わらなければ、イスラムテロが起こるでしょう。

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ちび・むぎ・みみ・はな9 years ago

> 政府やメディアはそんなことが全くおきていないかのように
これはフランクフルト学派がもたらした結果の一つなのだろう.
私自身はこの学派について調べたわけではない.
しかし, 先の大戦以降の「伝統を疑う思想」が民族の持っていた
「議論するまでもない価値観」を崩し, 何でもありの世界を
導いたのがフランクフルト学派の思想であると聞いている.
これまで幅を効かせていたグローバル主義も結局は同学派が
目指した漸化的社会主義革命の一つの形態に過ぎない.
兎に角, 今まで当然だと考えていたものが間違いだと言われたなら,
国民の団結も間違いだと言うことになり, 移民に対して制約を
加えるのも間違いだということになる.
このフランクルフルト学派は, 勿論, 独国のフランクフルトを
活動拠点としていたものだが, ヒトラーによる占め付けを受けて
米国のコロンビア大学に活動拠点を移して全世界的な活動を
始めたと聞く. 米国の占領政策の大きな柱は同学派の大きな影響力
の下で実行されたといわれる. ソ連を援助したのにも彼らの
影響力がある.
コロンビア大学や(関連する)ハーバード大学, そしてHBSで勉強した
連中は真正のグローバリストになって帰ってくる.
> これが10年もかけて何千人というアメリカ兵を犠牲にして
これは日本がアジアで民族の自決を目指して必死で戦っていた時に
ソ連を援助して日本に原爆を落した米軍に対し,
日本の将兵や政治家が思ったことだ.
全て, 歴史を正しく見て反省するところから始めるよりないだろう.

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苺畑カカシ9 years ago

popopoさん、
左翼は多文化主義とか多様性とか寛容とかきれいごとをいいますが、左翼思想ほど不寛容で一様な思想もないのです。だから不寛容で一様なイスラム教思想に同調するのかもしれませんね。
ヘイトスピーチというのは言論弾圧のコードネームです。ヘイトスピーチは保守派の左翼批判、もしくは左翼が保守派を弾圧するのに都合の悪いことはすべてヘイトスピーチといってあいてを沈黙させるのです。
アメリカの大学などではスピーチコード(言論規制)がひどく、保守派の学生たちは何を言われても唇を噛んで黙っているしかない状態なのです。
日本でもそんなことになっているというのは非常に嘆かわしい。人手不足の日本にもイスラム教労働者が結構入ってきてると思います。あなたが言うように日本もyヨーロッパの二の舞を踏まないように、ヨーロッパで何が起きているのか注目してもらいたいものです。
カカシ

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苺畑カカシ9 years ago

ちび・むぎ・みみ・はな さん、
アメリカは日本の敵ではありません。そのことをあなたには理解していただきたい。アメリカの左翼メディアはアメリカの思想を代表していません。いや、それどころかアメリカ人の過半数がアメリカメディアとは正反対の意見を持っています。
いまやアメリカで自分のことを左翼とかリベラルとか誇らしげに言う人は居ません。
日本のメディアはアメリカメディアの報道を翻訳してそのまま焼きなおして報道しているだけなので、日本の人が、特に日本への愛国心の強いひとにほど、アメリカ文化が日本の敵であるかのような誤解を招くのでしょう。左翼主義はアメリカの敵でもあるのです。
日本の保守派とアメリカは同調することのほうが多いはずなのです。特にアメリカの共和党は。
アメリカの左翼思想だけを見てそれがアメリカだと思い込むのは危険です。第二次世界大戦を積極的に始めたルーズベルト大統領はバリバリの左翼でした。日系アメリカ人を大日本帝国のスパイだといって財産を没収して収容所に送ったのもルーズベルトです。
今更、第二次世界大戦のことを持ち出して日本とアメリカが仲たがいをするのは決して日本にとってもアメリカにとっても世界にとっても良いことではありません。
あなたには、今後も拙ブログをよくよく読んでいただいて、本当のアメリカの姿を理解していただきたいと思います。
カカシ

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goldbug9 years ago

一人のユダヤ人の男が、ナチス系の新聞を、なぜか満足げに読んでいた。
 「どうして、そんな新聞を読むのかね」ほかのユダヤ人が尋ねると、その男は言った。
 「ユダヤの新聞は、ユダヤ人への迫害の話ばかりだが、この新聞には、俺たちが一番金持ちで、世界を支配していると書いてあるんだもの」
これは有名なユダヤジョークらしいですが、日本でヘイトスピーチと呼ばれるものは、在特会が韓国人街でデモをして、「朝鮮人は出て行け、朝鮮人は死ね」と連呼するものです。在特会というのは『在日特権を許さない市民の会』の略称です。
彼等の主張する在日特権などは実際のところ存在しないのですが、それを信じる人たちは多いようです。
朝鮮人がが社会的弱者であるうちは、彼等を弾圧することはまともな人間にとってははばかられることなのでしょうが、一旦彼等が優秀で、日本社会に大きな影響力を行使しているという主張が幅を利かせ始めたら相当危険なことになるんでしょうね。実際ネットの保守派に言わせると、日本の政治や経済、メディアは優秀な朝鮮人が支配しているってことになってます。
アメリカでユダヤ人がこのような扱いを受けることはもう無いのでしょうが、日本では在日朝鮮人がこうした境遇にあります。在日朝鮮人は1930年代のドイツに暮らしていたユダヤ人のような気分だろうなと思っています。

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すぷー9 years ago

goldbugさん
私は在日特権というものがどういうものなのか、他人に詳しく説明できるほど知っているわけではないし、在特会の言う「在日特権」と、ヘイトスピーチと言われるものに反対している人たちなどが言う「在日特権」が同じものなのかも良く知りませんが、在日朝鮮人の人たちとユダヤ人を単純に同一視する意見には賛同できません。
何故なら、彼らの国籍は日本ではなく、韓国、或いは北朝鮮なのです。
それにもかかわらず、本来日本ではなく自分の国籍の国に言うべきことと思われる事まで日本人や日本政府にぶつけてくるからです。
私の知っている例をあげれば、彼らの運営する学校の補助金や彼らの年金の問題です。
これ、本来日本政府が援助しなければならないものではないでしょう?
それなのに彼らは自分の国籍の国には言わずに日本にばかり要求してくる。
過去に日本は悪いことをしたのだからと当然だとばかりに。
しかしそれらの問題は過去とは関係ない。
特に韓国は日韓基本条約で過去のことは清算されているというのにです。
これらのことが在日朝鮮人への嫌悪のそもそもの発端だと思いますよ。
そして第二に、上記にも書いたように、彼らは外国人であり祖国があるのです。
しかも日本のすぐそばに。
韓国へなんて、福岡からフェリーで3時間で帰れます。
近年は地方空港から韓国への航空便も出ています。
北朝鮮へだって帰れないということはない。
実際帰った人はいますからね。
当時のユダヤ人のように、追放されれば流浪の民になるような状況ではありません。
このような違いを無視して単純なイメージだけでユダヤ人と同一視するようなことは、朝日新聞などがよくやってきた、レッテル張りによる排除活動と映りかねないと思います。
あと、あなた、
>日本の政治や経済、メディアは優秀な朝鮮人が支配しているってことになってます。
と書いていますが、メディア以外は支配しているなどとは言われてないと思いますよ。
メディアだって支配しているように言われているのは一部ではないですかね。
産経新聞はそのようなことは書かれませんし、読売に至っては、ネット上では「CIAの走狗だ」みたいなことを書かれますからね。
それにそれらのことを否定している保守派の識者だって存在していますよ。

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苺畑カカシ9 years ago

goldbugさん、すぶーさん、
ユダヤ人は移住したどこの国でも国籍を取って完全に融和していても、何かあるとすぐスケープゴートにされますね。再び欧米ではイスラム教の影響もあり、反ユダヤ感情が非常に高まっています。アメリカではユダヤ人差別がないかといえばとんでもないです。オバマ大統領やヒラリー・クリントンがユダヤ人を嫌いなのは有名ですし、左翼リベラルの間ではあからさまなユダヤ人差別が横行しています。
複雑なのは、アメリカの世俗主義ユダヤ系の多くが左翼リベラルなので、このへんが難しい。すぶーさんも指摘されているように、欧米のユダヤ人は住んでいる国の国民であり外国人ではありません。何世代もその国の国民であることが普通です。だから「出て行け」とか「帰れ」とか言われても行くところがありません。
イスラエルは確かにユダヤ人の国ですが、かといってイスラエルに全世界のすべてのユダヤ人が移住できるかといったらそれは無理な話です。
それと、ユダヤ人は欧米諸国で特別扱いを要求していません。ここがイスラム教徒と違うところです。以前に陳さんが、ユダヤ人は少数民族を特別扱いするように社会に働きかけたことが、イスラム系移民の特別扱いにつながってしまった、と言ってましたが、それはどうかなと私は疑問に思っています。
欧州のことはわかりませんが、アメリカにおいてユダヤ系は特別な少数民族としての特別扱いを受けていません。黒人とかラテン系とかの少数民族がアファーマティブアクションなる法律で特別優遇されていても、ユダヤ系はそういう法律の対象になりません。
一般的にユダヤ系は学歴も高く、よって裕福な人が多い。以前、アメリカでユダヤ差別がもっとひどかった頃は、ユダヤ系は白人のクラブに参加できなかった。ところがユダヤ系は自分らもそういうクラブに入会させろと要求するのではなく、自分らでユダヤ人以外の人も参加できるクラブをつくってしまった。ユダヤ人には商売上手な人が多かったので、白人のビジネスマンがユダヤ人のクラブに多く参加するようになってしまったので、白人だけというクラブは廃れてしまったのです。
本当の意味で人種差別をなくしたかったら、法律による特別扱いを求めるのではなく、平等扱いを求めるべきなのです。どんな人種でも法律で差別してはならない。税金で経営されている学校などでは人種差別は絶対に禁止する。
そうしておけば後は自由競争が解決するのです。それを法律がヘイトスピーチとか人権擁護とか言って、人々の心の中にある差別意識をコントロールしようとすると、かえって人々の間から少数民族への嫌悪が深まり、逆効果です。
在特会の人々の活動は詳しく知らないのでなんともいえませんが、もしも彼らの要求が在日外国人を優遇するなといっているだけならば、それは正当だと思います。在日が日本国民と平等に扱われるべきだと考えるなら、彼らは日本国籍を取るべきです。
日本に住みながら、韓国や中国のプロパガンダを日本で押し付けるようなことをするならば、日本人の反感を買うのは当然でしょう。日本のやり方に従わずに、韓国や中国のやり方を日本人に強制すれば、「そんなにいやなら国へ帰れ!」といわれて当然だと思います。
アメリカにも外国から移住して来た外国人がやたらとアメリカのやり方に文句を言う人がいます。在日の人たちはまだきちんと日本語が話せ読み書きもできますが、アメリカの移民の間では、何世代も住んでいながら英語がからきし駄目という人が結構います。それでいて「権利、権利」と騒ぎ立てる。
自分らが出てきた国々でそんなことやったら即座に監獄行きでしょう。
カカシ

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