アップデートあり(1月4日):
この間、ひょんなことから私が先の戦争中(イラク・アフガン戦争)に追っていたマイケル・ヨンというフリーの海外記者が、何故か日本と韓国の慰安婦問題について書いているという話をしたばかりだが、ヨン氏は最近自分の英語のサイトとは別に日本語でもサイトを立て、英語と日本語の両国後でエントリーを書いている。
私は彼の書いている内容は過激で反韓感情を丸出しすぎているように思え、ちょっと抵抗あるのだが、それはまあいいとして、日本語の翻訳がひどい。ヨン氏の英語はアメリカ英語だが、かなり皮肉たっぷりのアメリカ的言い回しが多いので、日本語に訳すとへんてこな文章になり意味が伝わりにくい。私もミスター苺の書いた英語のエントリーを何回か拙ブログで日本語に訳したことがあるが、私の訳が下手すぎて意味が伝わらないことが多かったように思う。それで私は英語を日本語に訳すときは、そのまま訳さず先ず原文をきちんと理解してから自分なりに日本語の文章を創作するようにしている。そうでないと日本語の意味が通じなくなることがほとんどだからである。
さて、本題に移ろう。実は、小山エミなどが中心となってFeNDという在米邦人/日系人のフェミニスト団体が創設された。この団体は言わずと知れた極左翼団体。そしてこの団体が創設された目的というのも、日本の極右翼国粋主義と戦うためというものだ。で、真っ先に彼らの宿敵として名指しされているのが、なでしこアクション(在特会関連)、論破プロジェクト幸福の科学関連)エドワーズ博美さん(フェイスブックはこちら)といった人たち。この中には言わずと知れたテキサス親父ことトニーマラーノ氏も含まれている。 これらの面々が集まった記念写真がこちら。
小山のエミちゃんがご丁寧に「慰安婦否定論者たち」という見出しつきでサイトに掲載しているのから転載させてもらった。
私は日本の保守派団体の事情は知らないので、これらの団体がエミちゃんが言うような極右翼なのか、バリバリの国粋主義者なのかなんともいえない。
実を言うと、私がアメリカにおける慰安婦像建設には断固反対であり、日本が韓国に補償金を払ったり謝罪をする義務はないと思いながらも、アメリカにおける慰安婦像反対運動に積極的に参加しない理由は、そうした運動を率先しているひとたちの本質がいまひとつつかめないからである。
それに比べてアメリカの左翼リベラルの実情は理解できるし、左翼リベラルの偽善的なキーワードもすぐに見つけられるので、FeNDが極左翼フェミニスト団体であることは一目瞭然。カカシとは絶対に相容れない思想の持ち主であることは明白。しかし彼女たちと立ち向かっているから反対側は私と同意見なのかといえばそれはそうともいえない。敵の敵は必ずしも味方ならず。いくら慰安婦問題や竹島などの件で意見があっても、旧日本政府のナチスドイツとの同盟は正しかったとかイスラエルは撲滅すべきとかいうアンタイセメティズムの団体だったりしたら目も当てられない。(これらの団体がそうだといっているのではないのであしからず)
ところで、エミちゃんが紹介した「慰安婦否定論者たちの顔」という写真の見出しが気に入らないとして、テキサス親父ことマラーノ氏がFeNDでコメントを書いている。その内容はエミちゃんの日本語ブログに書かれているから引用。

マラーノ氏の当初の言い分は、自分は「慰安婦」の存在を否定しているわけではないのだから、慰安婦否定論と呼ぶのは間違いだ、というものだった。しかし歴史否定論というのは、ある歴史的事象について重大な事実を否認することをさすので、この反論は当たらない。ナチスドイツによるホロコーストはあったけれども本来の目的は虐殺ではなく国外追放だったとか、ヒトラーらナチス幹部は虐殺を知らなかった、あるいは犠牲者の人数は数千人に過ぎなかったという論者たちも、ホロコーストの存在自体を丸ごと否認する論者たちと同じく「ホロコースト否定論者」と呼ばれるのと同じだ。

つまり、慰安婦という女性たちが居たことは事実でも、日本軍に強制連行されたとか、20万人もいたとか、というのはおかしいのではないか、という疑問を持つことが慰安婦否定論者ということになるという理屈だが、実はこの理屈でいうと小山エミも慰安婦否定論者ということになってしまうのだ。
彼女自身が慰安婦問題についての考えを詳しく書いているエントリーでは、実はカカシとほとんど意見が同じなので笑ってしまった。

性的人身取引(ヒューマントラフィッキング)の問題について取り組んでいて一番問題だと思うのは、メディアや政治家などが、センセーショナルな例外的ケースに飛びついて、より一般的な例を見ないことです。たとえば、サディスティックな極悪犯が、幼い少女を誘拐して、毎晩何十人もの客を相手に売春させている、みたいな話ですね。
そういう例がないとは言わないですが、決して多くはない。もっとよくあるのは、恵まれない環境にいる十代後半の人たちが、家出したり、家から追い出されたり、あるいは施設から逃げ出して、生活のために売春をするケースです。そのなかで、住む家を与えるかわりに、搾取しようとする人に出会ったりする。
性的人身取引の問題を解決するには、かれらが家出したり逃げ出したりする根本的な原因、それはたとえば貧困であったり、家族のホモフォビアであったり、ほかにもいろいろ理由があるわけですが、それらに対処する必要があります。
(略)
その経験から考えるに、慰安婦問題においても、センセーショナルな例だけに注目し、それが全体であるかのように言うことで、議論を間違った方向に導いている人たちがいます。吉田証言がその最たるものですね。まああれは特殊例ですらなかったですが。
そういうセンセーショナルな取り上げ方は、「日本に対して不当である」以前に、実際に被害を受けた元慰安婦の方たちに失礼でもあります。
元慰安婦の方たちの証言をきちんと聞けば、とくに朝鮮半島においては、騙されたり売られたりして慰安所に連れてこられ、借金を負わされて売春を強要された、という証言がほとんどです。決して吉田証言のような暴力的な誘拐ではない。(とはいえ、性道徳の厳しい韓国社会において、少なくとも初期においては、暴力的に誘拐された、以外には告白できなかった、という事情はあったかもしれません。)
いっぽう、より前線のほうになると、軍によって直接連れ去られた、という証言が増えます。前線では、食料の補給もままならないことが多く、現地の軍が住民から直接接収したことも多かったようなので、慰安婦の補給が追いつかない前線で慰安所を設置しようと、そのような行為に出た部隊があったというのは、ありえる話だと思います。実際に、オランダ人女性に対する拉致暴行で戦犯裁判が確定している件も、そういう状況で起きたものだと思います。

ここまで常識がわかっているのに、なぜ韓国の理不尽な要求を擁護して日本政府を攻め立てる団体に加入したりするのか、私にはそこのところがわからない。
旧日本軍が韓国の女衒らに騙されて集められた慰安婦たちをそうと知っていながら雇っていたなら、旧日本軍にも責任がある。その点は私も同意する。が、しかし、それは今は存在しない帝国日本の支配下にあった今は存在しない旧日本軍の責任であり、現日本政府の責任ではない。
にもかかわらず、現日本政府は何度も韓国に補償金を払い、しなくてもいい謝罪を続けてきた。いったい韓国はこれ以上日本になにをやれというのか?
とここまで考えるとヨン氏が自分のサイトで書いていることに戻る。結局韓国は日本から金をゆすり取るのが目的。慰安婦問題も単なる口実。普段なら売春婦などを抱擁している図なんざ絶対みられたくないと思ってるような政治家たちが、ジャパンバッシングとなると年老いた「慰安婦」をテレビに出演させて偽の同情心丸出しで政治の道具に使っている。
フェミニストといわれる人たちが、そんな政府の女性利用に手を貸すというのはいったいどういうことなのだろう?
無論その答えは簡単。左翼フェミニストの目的は女性救済にあらず。女性を利用して自分らの政治的権力を高めるのがそもそもの目的。
この問題左翼団体も右翼団体も私にはちょっと近寄りがたい。
アップデート
ヨン氏の日本語サイトに翻訳が下手だなあ、という失礼なコメントを残したカカシに対して、非常に丁寧な返答をしていただいたので、こちらとしても失礼をお詫びした。翻訳はプロでなければそう簡単に出来ることではないし、私自身も結構日本語訳が下手すぎると批判された体験もある。見ず知らずの人に失礼すぎたことを言ったことに深く反省している。下記はヨン氏翻訳者さんからの返答。

苺畑カカシ 様
コメントありがとうございます.
Yonさんの文体はシンプルですが洗練されています.そのためかえって訳出が難しくなっています.
翻訳はボランティアでやっています.こなれた日本語に再変換する時間がありません.
そのため原文にできる限り忠実に訳出することにしております.
これが多少というか,かなり読みにくい,かたい訳になっている理由です.
誤訳のご指摘,文章の改善等の提案など,お知らせください.
改訂版に反映させます.
ご協力ありがとうございます.


4 responses to アメリカで繰り広げられる日本を巡る左右運動

ちび・むぎ・みみ・はな9 years ago

> 旧日本政府のナチスドイツとの同盟は正しかったとか
> イスラエルは撲滅すべきとかいうアンタイセメディズムの
> 団体だったりしたら
昭和天皇は日本とナチスドイツの同盟に反対であったし,
日本政府と満洲の関東軍はナチスドイツの人種差別に
反対でドイツ政府からのユダヤ人拘束の要求を跳ねつけた.
(その命令を下した当時の関東軍の東条指揮官は
人道的何やらの罪で殺されたが.)
この事を知らないもの達はまともな愛国者ではない.
イスラエル建国の父(名前は忘れたが)は日露戦争で
日本軍の捕虜になり日本に抑留されていたが, その間に
日本人遺族(軍人だったか?)の「国のために死ぬのは名誉なことだ」
との言葉に触発されたという歴史的事実がある.
かれは日露戦争後, 片腕でありながらにイスラエル建国の
ために戦って死に, 上記の言葉をイスラエルに残した.
この事を知らないもの達はまともな愛国者ではない.
そもそも, 日本政府が同盟したのはナチス党ではない
「日本政府とドイツ政府の同盟」であったのだ.
現独国は戦争責任を全てナチス党に負わせているが,
実際にはドイツ国防軍が命令の下で積極的に戦争を
始めたのが発端である. しかし, それを認めると
独国は精神的に立ち直れない.

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苺畑カカシ9 years ago

本当の日本の愛国者がナチス支持でも反ユダヤでもないというなら、それは非常に歓迎すべきことです。特に親イスラエルというのは良いことです。
しかし、第二次世界大戦中のドイツとナチスを切り離すことは出来ません。当時のドイツ政府にはナチスを蔓延らせた責任があります。ナチスが政党を取った後も同盟を続けた旧日本政府にも責任があります。これは逃れられない現実です。
しかしそれは過ぎたこと。現在のドイツ人も日本の愛国者もナチスドイツの支持者ではない。ヨーロッパはいまだに反イスラエルですが、日本の愛国者が親イスラエルだとしたら、それは非常にうれしいことです。
しかし口で「愛国者」という人のなかには、日本の軍事独裁政権やファシズムを望んでいる人も居るので、そのへんを見極めないといけないと思います。

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goldbug9 years ago

慰安婦問題に反発する人たちにも色々いるとは思いますが、一部の人は、
世界中で同じことが起きていたのに、日本だけが特に責められるのはおかしい。
こうした産業には犯罪はつきもので、そうした犯罪を全て取り締まることなど不可能なのだが、
日本はそれが出来なかったことを批判されている。
こうした主張をしますね。
また別の人たちは、戦時中のアメリカの尋問調書などを差して、慰安婦というのは自分の意思で
応募した売春婦に過ぎない。またその生活についても、兵士から贈り物を貰い、更に高給だったので
自由に衣服や嗜好品を買い、ピクニックやスポーツ大会等の娯楽もあり、接客を拒否する自由もあった。
こうした主張をしてそもそも被害者自体存在しないという立場を取っていますね。
言ってみれば今の日本はもちろん、当時の旧日本軍にも責任はなかったという考え方でしょうね。
政府の立場としては、河野談話を継承していますから、日本に責任があったという立場ですが、
一方で謝罪と賠償は既に済ませ、これ以上のことは出来ない、解決済みという立場ですね
韓国政府は具体的に何をして欲しいとは言わずに、ただ元慰安婦に対して誠意を示して欲しいと言うばかりです。
民間団体が言っているのは、前回日本が出した賠償金は民間の資金であり、国のお金、税金ではなかったから、
国としての謝罪になっていないというものですね。
日本は併合時代の問題は既に法的に解決しているので、これ以上国として公式に賠償金を出せないというだけで、
別に国家や軍は悪いことはしていないとか、責任を逃れようとしているわけではないんでしょうが、
なかなかその部分の折り合いが付かないですね。

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苺畑カカシ9 years ago

goldbugさん、

世界中で同じことが起きていたのに、日本だけが特に責められるのはおかしい。(略) 一方で謝罪と賠償は既に済ませ、これ以上のことは出来ない、解決済みという立場ですね

というのが私の見解に一番近いかもしれません。韓国の言うようなことは起きていないといちいち説明するのは不毛だと思います。そういうことより、この問題はすでに解決済みであり、これ以上議論の余地はないという徹底した姿勢を現日本政府はとるべきだと思います。

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