最近もっとも取り沙汰されている移民法の改正だが、議会が夏休みに入る前の土壇場で共和党の下院が改正案を通した。共和党上層部の柔な移民改正法案を覆しての勝利である。
ことの起こりは2008年に改悪された保護者のない未成年違法移民を即座に国外撤去しないという法律で、これに加えてオバマ王がほのめかしている未成年違法移民への恩赦の噂に釣られて何万とやって来た南米からの未成年違法移民たち。
この問題に対し、これまでだんまりを続けていた主流メディアに代わって保守派メディアや保守政治家たちが焦点をあてたことがきっかけとなって、違法移民たちが持って来る恐ろしい伝染病や麻薬犯罪などの恐怖が全米を山火事のように吹き捲くった。
しかも、オバマ王が調子に乗って、地方政治家を完全無視して何万人という違法移民を全国中にばらまき始めたことも重なって、これまで違法移民の問題など他人事と思っていた人々にまで、この恐怖は届き始めたのである。
特にテキサス州のリック・ペリー知事は自分の州に多くの違法移民が流れ込んで来ていることもあって、オバマ王に国境を視察に来いと挑戦。オバマ王はこれを断って選挙会の献金運動に出かけた。献金者と一緒にビールを飲んでビリヤードをしている写真が次の日の新聞にでかでかと載り、国民はいかにオバマ王が自分が作り出した移民問題に関心がないかを学んだ。
この2008年の悪法を改正しようという提案がジョン・コーニン上院議員(テキサス代表共和)とヘンリー・クーラー下院議員(テキサス代表民主)で制作されはじめたが、これと同時にジョン・ベイナー下院議長はケイ・グレンジャー下院議員(テキサス代表共和)をリーダーにして移民法改正案制作班を結成した、これもまた2008年の法律に焦点を当てた物だった。
グレンジャー議員の発案が発表されると、ジェル・セッションズ上院議員(アラバマ代表共和)やテッド・クルーズ上院議員(テキサス代表共和)らを中心に、共和党保守派の間から、オバマによる憲法違反の独断な恩赦を阻止する項目が全くないことを指摘され、これは法律上の降参だと大批判が起きた。こんな法案は通しては成らないと共和党内部から抗議の声が上がった。
グレンジャー発案に反対した共和保守派下院議員はスティーブ・キング(アイオワ)、ミッシェル・バクマン(ミネソタ)、モ=・ブルックス(アラバマ)ルイー・ゴーマート(テキサス)、ポール・ゴサー(アリゾナ)、ジョン・フレミング(ルイジアナ)などの面々。
クルーズ上院議員の意志を受けてマーシャ・ブラックボーン下院議員(テネシー代表共和)が別の案を紹介。
結局ベイナー議長は元の法案を引き下げ、保守派と話合って別の法案を提案した。この新しい法案には保守派も賛成できたので、下院としては一応これで行こうということになった。ベイナー率いる体制はの完全敗北、若手保守派の圧倒的勝利となったわけだ。
もっともこれは下院で通っただけなので、夏休みが終わったら上院で審議されなければならないが、次期の上院は共和が多数議席を取る可能性がある。なにしろオバマの独断でどんどん明らかになる不祥事のせいでアメリカ国民は民主党への怒りを高めており、今年の選挙では民主党がかなり議席を失うのではないかという予想がされている。


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