久しぶりに大人向けの映画を観た。邦題はゼロ・グラビティ(無重力)(日本12月公開)。この映画はいまアメリカで売り上げナンバー1の映画である。しかも35歳以上の大人に人気があるという。登場人物はたったの五人、しかも顔が出てくるのは二人だけであとの三人は声だけ。悪者が出て来る暴力シーンもなければ主役二人の男女のセックスシーンもない。完全に現代の科学に基づいており、宇宙人も出て来ないしト大型ロボットも出て来ない。にもかかわらず二週間続けて売り上げナンバー1というのはどういうことなのだろうか?
あらすじといっても特にない。それというのも、スペースシャトルの乗組員の三人がシャトルの外で修理に当たっていた時、突発的な事故によってジョージ・クルーニー演ずる宇宙飛行士マット・コワルスキーとサンドラ・ブロック演じるペイロードスペシャリスト(スペースシャトルの搭乗科学技術者。積み込まれた実験装置や観測装置の操作および実験を担当する専門職の宇宙飛行士)ライアン・ストーン博士だけが生き残り、そのあとなんとかして二人が生きて地球に戻ろうとする冒険が描かれているだけだからなのだ。映画の説明をこちらから引用させてもらうと、、

予告編の冒頭で映し出されるのは宇宙空間から見た美しい地球の姿。そこではスペースシャトルが地球を周回しており、メディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士(ブロック)とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(クルーニー)は船外でミッションを遂行している。しかし、突発的な事故が発生し、ふたりは無重力(ゼロ・グラビティ)空間に放り出される。映像は、突発的な状況に直面しパニックにおちいる主人公ふたりの動揺を生々しくとらえ、衝突によって大破した機器が宇宙空間に拡散してく映像が緊張感を高める。やがて訪れるのは助けの声さえも届かない漆黒の闇。映画は、地球との交信手段も絶たれ、酸素残量が2時間になってしまった状態から生還を試みるふたりの姿を描くという。

この映画の魅力はコワルスキーとストーンがいかにして生延びるかと苦心して様々な現実的な作戦を試みるところにある。無論実際に彼らのしたことが可能かどうかは疑問だが、それでもあり得ると観客に思わせるところが味噌だ。
コワルスキーはベテラン飛行士だが、ストーンは科学者で飛行士ではない。最初にシャトルから引き離されて宇宙に放り出された時の彼女のパニックぶりは非常に理解出来る。全くスケールは違うが、私が何年か前にカーンリバーの濁流下りをした時、ボートが転覆して濁流で何回転もした時のことを思い出した。無重力状態では摩擦がないから回転しだしたら止まらない。自分がそんな目にあったらあのくらいのパニックでは収まらないだろうと思う。
それでも彼女はコワルスキーにおんぶにだっこで頼り切るわけにはいかない。生存者はたったの二人きり。ベテラン飛行士とはいえ、コワルスキーは二人分の責任をすべて背負い込むことはできないのだ。それに気づいて自分でも気づかなかった予想外の勇気を奮い起こす彼女の姿は凛々しい。
宇宙の冷酷ながらも美しい映像描写はすばらしい。映画は普通版と3D版とがあるが、3D版をおすすめする。他の映画では意味もなく3Dのものが結構あるが、この映画は自然に3Dを駆使しており、充分に観る価値がある。
この映画がこれほどまでに人気を呼ぶということは、ハリウッドがどう思おうと、ティーンエージャー向きのアホな映画ばかりで大人の観客は内容のある大人の映画に飢えているということだ。ハリウッドにはこれに学んで内容の濃い大人の映画をもっと作って欲しいものだ。


Leave a Reply

Your email address will not be published.