カカシは今、サンフランシスコのフィッシャーマンウォーフ付近のとあるホテルに滞在中。長期滞在の多い私としては、ホテルでどのくらいチップをあげればいいのか迷うことがよくある。あんまりあげすぎても長期になると結構な値段になるし、といってケチるとサービスが落ちるので、このへんの調節が大切。

ジェイコブ・トムスキーの本「Heads in Beds: A Reckless Memoir of Hotels, Hustles and So-Called Hospitality」のなかで、トムスキーは、必要なチップをケチったためにひどい目にあった滞在客の話を紹介し、ホテル滞在で不快な思いをしないように読者に色々なアドバイスをしているので、今回はそのいくつかを紹介しよう。

「(ホテル従業員には)あなたがしたと意識していないことにさえ、1000以上の仕返しをする手段があるのです。」と著者。

著者はホテル従業員によるひどい仕打ちの中でも特にひどい上位五位を紹介している。

  1. バレエパーキングの恐怖
    従業員との接触はホテルのフロントでチェックインする前の、車で正面のバレエパーキングに乗り込んだときからすでに始まっている。
    滞在客が最初に対する敵はバレエパーカー(車を駐車してくれる人)。バレエパーカーは最低時給で雇われているのでチップがないとお話にならない。とはいえカカシが滞在中のバレエパーキングはすでに一日36ドルとか馬鹿高い金を取っている。これに加えてパーカーにチップなんて冗談じゃないという気がする。しかも一日に何回も出たり入ったりしたら、その度に1ドルでも2ドルでも払っていたら結構出費がかさむ。断っておくが、カカシの会社はチップは自腹である。
    しかしバレエへのチップをケチると、パーカーはどんな運転をするかわからない。特に数多くこなせばそれだけチップももらえるから、駐車場をものすごいスピードで飛ばす恐れあり。車を傷つけられたくなかったらチップはケチらないほうが懸命。
  2. フロントデスクの陰謀
    バレエの難関をくぐったら、その次に直面するのがフロントデスク。オンラインで特安予約をとった客はここで特安サービスを受ける可能性があるという。
    ホテルはどの部屋もほぼ同じというのは大嘘だと著者は言う。フロントで$20ドル札をちらつかせるだけでアップグレードされること必定。しかし何も持参していかなければ、ひどい部屋を押し付けられて本人は全く気がつかないなんてことは普通に起きる。
    これはカカシは経験済み。うちの会社は特定のホテルと提携していて、宿泊費もほかの滞在客よりずっと割安になっている。ホテルとしては特定の滞在数を確保できるという面で我々を受け入れてはいるが、一人頭で得る収益は少ないので我々への対応もそれなりに割安になる。
    私がこれまでにあてがわれたひどい部屋の例として、エレベーターのすぐ隣、製氷機の隣、ハウスキーピング倉庫の隣などがある。特にハウスキーピングの部屋は、メイドさんたちが朝早くからドアをばたばた開け閉めするため、その度に部屋に振動するし開け閉め音だけでなくメイドさんたちの声やウォーキートーキーの音などで非常にうるさい。
  3. ニューヨーク市に泊まったら、1212号室は要注意
    これは気がつかなかったのだが、ニューヨークの市局番は212番。普通に電話をかけるときは、1-212-としてから番号を続けるが、ホテル外線の場合は9-1-212とかけるのが普通。だが、ホテルからの電話に慣れてない田舎もんの宿泊客がそのまま1212とかけると、ホテル内戦の1212号室につながってしまうというわけ。それで1212号室の人間は四六時中、間抜けなほかの滞在客の間違い電話をうけることになる。
  4. ドアマンやベルマンの不自然な長居は周到な作戦
    チップが惜しいからといって自分で荷物を運ぼう思っていても、なぜかポーターさんに運んでもらう羽目になるのはよくあること。ドアマンやポーターさんがな~んか必要以上に長いこと自分の前に立ってるなあとおもったら、これは彼らがよく使う手口だと覚えておくべき。これを無視して自分で運んだりすると、後で色々やってもらえなくなる。それでもよければ別にいいが、私は荷物が多い時は運んでもらうし、タクシーなどを呼んでもらったらチップを払っている。ちょっとのことだが、長期滞在するときはこうした小さな心遣いが後で良いサービスにつながる。
  5. 部屋ではプラスチックのカップを使うべし
    メイドさんは忙しいので、部屋のグラスもトイレも同じ洗浄剤やタオルを使って洗ってる可能性ありなんだそうだ。だから一見きれいに見えるグラスでも口に付けるのは考え物。いや、これには気がつかなかった。私はプラスチックカップは大嫌いなので、グラスがあるときは必ずグラスを使っている。今後は先ず自分で洗ってから使うことにしよう。

サービス料をごまかす二つの方法: ホテル従業員が客に出来るひどい仕打ちを色々のべてきたが、客にはそれなりにホテルのサービス料をごまかすやり方がある。

  1. 有料映画やドリンクを無料にするには
    たとえば、有料映画とかミニバーのドリンクなんかでも、自分がサービスを使ったのに、間違いだといって請求書から取り消してもらうことは可能。ホテル側は多少のことなら融通してくれる。
    でも実際に自分が使ったなら、こういうやり方はお薦めできない。ただ、ホテル側が実際に間違えた場合には、きちんと説明すれば取り消してくれる。私は朝食を含めた滞在費で予約したのに、朝食が毎日チャージされていたことがあって、フロントの女の子では話にならなかったが、マネージャーに話したらすべて取り消してくれただけでなく、お詫びにといって一晩分の滞在費が無料になったなんてこともがあった。
    部屋の位置にしろ、間違いにしろ、本当に問題があるのならその場で解決したほうがいい。変にごまかして映画代やミニバー代を帳消しにしてもらうなんてのは感心しないね。
  2. キャンセル料金を払わずに済む方法
    普通のホテルは24時間以上前にキャンセルしないとキャンセル料を取るが、土壇場でキャンセルせざる終えないときは、ホテルに二回電話する方法がある。
    最初の電話では、「キャンセルじゃなくて、日にちを変更したいんですけど」と言って今日の予約を来週に延ばしてもらう。それからまた電話して別の受付と話をし来週の予約をキャンセルすれば、ドタキャンにならずに済むというわけ。
    なるほどねえ~。

私の体験からいって、頻繁に泊まっていてステータスのあるホテルなら、こういう場合でも多少の融通は利く。ホテルでひどい目にあったら泣き寝入りせず、部屋が気に入らないとかサービスが気に入らない場合には素直に苦情を述べたほうがいい。だが、その際にもきちんとしたチップを忘れずに。
何にしても、いざというときに融通を利かせてくれるのも、普段どれだけホテル従業員にチップをばらまいているかにかかっているのかもしれない。


1 response to ケチるとひどい目にあう、ホテルのチップ

In the Strawberry Field8 years ago

アメリカ人でも困惑するホテルのチップ色々

拙ブログを検索でたどってくる人の多くが、私が昔書いた「ケチるとひどい目にあう、ホテルのチップ」を読んでいることをに気づいた。ホテルのチップで検索してたどり着いた人が多いらしい。で、そういう検索でアドバイスをしている人の意見を色々読んでみたが、長年アメリカ国内で長期出張を繰り返しているカカシからみても、「そうかなあ?」という意見もかなりあるので、ここでちょっとその話をしてみたいと思う。 ホテルのチップで検索して第一にぶち当たるサイトがこちら、チップの誤った常識という記事。アメリカの一流ホテルで10年間…

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