去年、ウィスコンシン州ではスコット・ウォーカー知事がごり押しして通した公務員の手当や組合に関する法律の中に、今後一切州政府が公務員の組合費を給料から差し引く行為はしないというものがあった。去年組合が中心になって大騒ぎになったデモは、州公務員の年金や保険負担が話題になったが、実はもっと重大だったのは、組合の団体交渉権と州による組合費強制取り立てだった。
当時、ウィスコンシン州の教員助手という日系人の女性が、組合が州公務員による年金つみたてや保険料の負担を増やすことは受け入れたのに、ウォーカー知事がその妥協を拒否し団体交渉権の剥奪に固執するのは、ウォーカー知事による組合撲滅の陰謀だと言っていた。私はその点については彼女の判断は正しいと評価していた。ウォーカー知事が公にそんなことを認めるわけはないが、相手をつぶしたければ資金源をつぶすのが一番。これ常識。
で、一年ちょっと経った今、州公務員の組合加入率がどのように影響を受けたかというと、
ウィスコンシンの公務員労働組合は組合委員の半数以上が脱退するという劇的な減少が起きた。これによって、組合が労働者の代表という立場が極端に衰弱することとなる。
教育委員会に続いて全国でも第二位の大きさを誇っていた全国州公務員労働組合のウィスコンシン州の会員数は、なんと去年の3月の6万2千818人から今年(2012)三月までの間に2万8千745人にまで落ち、なんとほぼ1/3に激減してしまった!
ウォーカー知事提案の新法律が通るまで、公務員の会員費は給料から自動的に差し引かれていたので、公務員は好むと好まざるとに関わらず労働組合の会員になっていた。それが去年から、会員になるならないは個人の自由ということになったところ、なんと2/3の州公務員が脱会を希望したである。
なるほどね〜、道理で組み合いがパニック状態に陥った訳だ。これでは何としてもウォーカー知事を止めさせねばならない。知事弾劾選挙は組合の生存をかけた一か八かの勝負なのである。
しかしである、組合はそうでも州民主党の立場はどうなのだろうか?民主党が四年ごとの選挙を待たずに急いで弾劾選挙などする必要がどこにあるのだろうか。
確かに労働組合がウォーカー知事の組合つぶしに怒るのは理解できるが、民主党議会が一緒になって弾劾選挙を騒ぐのは、勝てればいいが、もし負けたら、二年後の正式選挙では何もしなかった場合より政治的に不利な立場に置かれる。それだけでなく、四年ごとに使うはずだった選挙資金を二年目で使ってしまったとなると、本選挙での資金集めはかなり苦しくなるだろう。にも関わらず民主党が弾劾選挙を組合と一緒になって押した理由はなにか。
それは、ウォーカー知事の州経済救済政策の成功にある。州経済を復興させるという公約で当選したウォーカー知事は公約どおり、税金の無駄使いをする多々のプログラムを切りまくった。組合制度の改正もその一つ。そしてそれが功を成して、実際にウィスコンシン州の失業率は減り、経済は復興の兆しを見せ始めている。このままでいくと、本選挙のある二年後には、ウィスコンシン州は不況から完全な立ち直りを見せる可能性が充分になる。そうなってからでは遅い、それまで待っていたら民主党は知事おろか州議会の議員席にも共和党に惨敗してしまう恐れがある。今のうちなら、邪魔な共和党議席を一斉に弾劾選挙で奪い返せる可能性があると踏んだのだろう。
しかし、組合と州民主党のこの思惑は完全に裏目に出そうである。弾劾選挙を数日後にひかえ、ウォーカー知事の支持率は民主党知事候補のベレット市長より7%も高い。ウォーカー知事が知事の座を守ることは先ず間違いないだろうと言われている。
そうなって困るのは、ウィスコンシン州の民主党だけではない。ウィスコンシン州はこれまで完全に民主党寄りだった。ところが最近、同州はトスアップといって、どっちに転んでもおかしくない州になってしまった。だからオバマ大統領は普段ならあまり気を使わなくてもウィスコンシンでお金と時間を使って選挙運動をする必要が出て来た。その際に大事なのが労働組合からの政治献金と組合員によるボランティア選挙運動である。その労働組合が州政策のおかげで弱体化している上に、ウォーカー知事政権の劾選挙のためその限られた貴重な資金を無駄使いしているということで、オバマ政権はウィスコンシン州の民主党にかなり腹を立てている。
オバマ王は、去年、ウィスコンシンの労働組合が反ウォーカー知事のデモ騒ぎをやっていた時は、いち早く自分の支持を表明し、弾劾選挙が決まった時も熱心に声援を送っていたオバマ王。主流メディアもウ州の弾劾選挙は大統領選の序幕とも言えるなどと言っていた。だが、弾劾選挙で共和党が圧勝するかもしれないとなると、この選挙が大統領選挙の前触れになるなんてことを言っていたオバマ政権としては非常に都合が悪い。
スコット・ウォーカー知事、並びにレベッカ・クリーフィッシ副知事、そして弾劾選挙の対象となっているウィスコンシン共和党議員の皆さん、頑張れ!


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