ジョージ・オーウェル著の「1984年」という小説にビッグブラザーという政府の監視機関が出て来る。この小説は共産主義を批判する未来空想小説だが、この社会では家のあちこちにテレビモニターが置かれており、このテレビは単に人々がテレビ番組を観るだけでなく、政府が人々の生活を監視するためのモニターとして使われている。それで、アメリカでは、政府が何かと人々の生活を監視する行為を「ビッグブラザー」と呼んでいる。
さて、アメリカの教育委員会が極左翼なのはもう公然に事実だが、またまた教育界のビッグブラザーぶりが幅を効かせている例を発見。
ニューヨーク州ロングアイランドのある学校では、肥満児に電子モニターを着用させ、生徒らの活動を一日中監視することになった。腕時計のようなこのモニターは、子供達の心拍数や睡眠状態などを観察することが出来る。ベイショアスクールの体育部長は10機のポーラーアクティブモニターを注文。この春から使用を始めるという。
着用者の情報はウェッブサイトにアップロードされ、教師や生徒がパスワードを使ってアクセスすることが出来るという。
この機会はすでにニュージャージー州のセントルイスやサウスオレンジの学校で使われており、両親らの間からプライバシーの侵害になるのではないかという心配がされている。
しかしベイショアー小学校の体育部長テッド・ナジェンガスト(Ted Nagengast)氏は「肥満の蔓延と闘うためのすばらしい道具です。子供達にリアルタイムで『自分が活動的か、活動的でないか?』を教えてくれます。子供達がもっと活動的になれる機会を与えたいのです。」
そんなことしなくても昔みたいに、休み時間は校庭に出て遊べ!と教師が子供達に指導すればいいだけの話ではないのか?
カカシが子供だった頃は、みんな昼休みに校庭で遊びたくてうずうずしていた。だから給食を食べるのもそこそこにみんな外にでてドッジボールしたりバレーボールをしたりしていた。そういうゲームでなくても、ジャングルジムに登ったり、単に鬼ごっこしたり、とにかく子供達が有り余るエネルギーを発散させるには、身体を動かすのが一番だった。
さて、このモニターだが、両親には無許可で学校が勝手に子供達に着用させているということで、プライバシーの侵害だと両親からかなり苦情が出ている。
セントルイスのロス小学校に子供が通っているベス・ヒューブナー(Beth Huebner)さんは、四年生の自分の息子がそんなモニターを付けていたとは全然しらなかったという。「ウェッブサイトの安全性やデータがどこへ送られているのかといった情報は一切もらっていません。」
親が医師と相談して子供の活動具合を観察するというのであれば話は別だが、学校が親に無断で子供の生命徴候を観察し、そのデータを保存するとなると、いったいそのデータがどのように使われるのか非常に心配だ。
最近、ミッシェル・オバマ王妃が率先して「子供の肥満蔓延と闘う」というのが流行っているが、私は肥満を「蔓延」という感染病みたいな言葉で表すこと自体に多いに反感を持っている。日本でもメタボリックシンドロームとかいって大騒ぎしているが、あたかも肥満を身体障害みたいに扱うのもどうかと思う。
確かに肥満は病気につながるが、肥満自体は病気ではない。だれかからビールスで移されるというものでもないし、薬を飲めば治るといったものでもないのだ。肥満と闘うのは食生活の改善と運動を増やすことしかない。自分がどれだけ運動していないかなんてことは、モニターなんぞ付けなくてもちょっと気をつければ解るはずだ。
最近アメリカの小学校では、予算が足りないとかいって体育の授業を削るところが多い。こんなくだらない機械に金をかける予算があるなら、有能な体育や保険の教師を雇って、子供達に運動や健康な食生活の指導をすればいいではないか。くだらない左翼リベラルの教育をする暇があったら、体育の時間を増やせばいいのだ。
また、食生活は親の協力がなければいくら学校だけ頑張っても意味がない。この間大人になって100kgを超す肥満になってしまったというブロガーのサイトを読んでいて面白いことを知った。彼は自分が子供の頃から痩せていた記憶がないというのだ。おばあちゃん子だったから、甘やかされて欲しい時に好きなだけお菓子でも何でも食べることが出来たそうだ。
学校の身体検査で肥満と診断された子供達は、親を学校に招いて健康な食生活について家族ぐるみの食生活改善について理解を仰ぐのが正当だろう。
もちろん、教育委員会は本当は子供の肥満なんぞ別にどうでもいいのだ。単に肥満を理由にこどもたちをいかにコントロールできるかが問題なのだ。ミッシェル王妃がマクドナルドのハッピーミールを禁止させようとしているのも、目的は子供の肥満と闘うことではなく、マクドナルドを恐喝して政治献金を出させることが本来の目的。
教育委員会のこうした横暴を妨げるには、親達が子供が学校でどういう教育を受けているのか、充分に注意を払う必要がある。そして親に無断で子供達にモニターを付けたり、薬物を飲まされたりするようなことは、親は断じて許してはならない。


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