同性結婚が合法化されれば、いずれはこういう訴訟が起きるだろうと思っていたが、ユタ州の旧モルモン教の信者で一夫多妻主義を実行している家族が、ユタ州の厳しい反一夫多妻法律を撤回すべく、テレビのリアリティーショーで人気者になったのをきっかけに、ユタ州を相手取って一夫多妻結婚の合法性について訴訟を起こした。
訴訟を起こしているのは、コディー・ブラウンとその家族。ブラウンには4人の妻がおり、実子と継子を合わせて16人の子供が居る。ブラウンはモルモン教の異端宗派 Apostolic United Brethren Churchのメンバー。ユタ州では1890年にユタが合衆国に参加した時以来一夫多妻は違法になっているため、ブラウンは第一夫人とのみ合法に結婚して後の三人とは「スピリチュアルワイフ」と呼んで同居している。
しかしブラウン一家が「シスターワイブス」という名前のリアリティーショーに出演して人気が出てくると、ユタ州警察の捜査対象となった。ユタ州では例え同棲でも一夫多妻生活は認められていないからだ。ブラウン一家はプライバシーを理由にテキサスで撤回された「ローレンス対テキサス」の判例を元に一夫多妻制度の合法性を訴える一方、同棲に関する法律が緩いネバダ州に引っ越している。
ニューヨークの法廷が過半数の州民の意志をないがしろにして、強制的に同性婚を合法化したことは、もうみなさんもご存知のことだろう。
私は以前に同性結婚は文明社会を破壊すると書いたことがあるが、今でもその考えは全く変わっていない。いや、それどころか最近の傾向を観ているとますますその考えに確信が持てるようになってきた。
同性愛結婚が合法ということになると、従来の結婚は成人した一人の男と一人の女のみの間にて行われるという定義が崩れた事になる。一旦ひとつの形で定義が変革されれば、別の形での変革も認めざるおえない。愛し合っているものどうしなら一夫一婦でなくても、一夫一夫や一婦一婦でもいいというなら、一夫多妻や一妻多夫、いやそれをいうなら多夫多妻があって何がいけない、となるのは自然の成り行きだ。
何度もいうが、何でもありは何もないのと同じなのだ。
というわけで、一夫多妻の合法をめぐる訴訟が起きるのは時間の問題だと思っていたが、思ったよりも早くその第一弾目が始まった。思うに、このタイミングはちょっと時期尚早だろう。焦る気持ちは解るが、あまりにも早い時期に一遍に色々変えようとすると、かえって一般市民の反感を買い、物事は反対の状況を招くことになる。もっともそれは、結婚は一夫一婦制のみと考える我々にとっては歓迎すべきことではあるが。
ご存知のようにアメリカは連邦制なので、結婚に関する法律もそれぞれの州において異なる。だからニューヨークで同性結婚を認めたとしても、カリフォルニアでも認められるかと言えばそうとは限らないのだ。特にカリフォルニアでは州憲法を改正して「結婚は一夫一婦の間のみに認められる」とされたばかり。(それが憲法違反だといって自分も同性愛者の裁判官が判決を下して問題になっているのはご存知の通り)
しかしながら、ニューヨーク州のような大きな州で同性結婚が認められれば、他州でもその合法性を認めよという圧力がかかるのは当然。それで、結婚は州ごとの取り決めという伝統を破って連邦政府の憲法を改正して、結婚の定義を改めて「一夫一婦制のみ」としようという動きがある。
保守派の間でも連邦政府の権限が拡大されるのを懸念して、連邦憲法改正には気が進まない人も多い。しかし憲法改正派は同性結婚を許容すれば一夫多妻性などの他の形の結婚も同じ理屈で認めざる負えなくなる、今のうちに憲法改正をしてアメリカ国内における結婚の定義を確定しておかなければ結婚制度そのものが破壊されると唱えて来た。
今回の訴訟は我々憲法改正派の心配が正当だということを完全に証明したことになる。
一夫多妻婚を認めることは同性婚を認めることよりずっと危険だ。何故なら一夫多妻制度はイスラム教徒には普通であり、これを機に他国で結婚したという四人の妻やその子供達を一挙にアメリカに合法移民として移住させようとするイスラム教徒が増えることは目に見えているからだ。
もうすでにミシガン州のディアボーン市やミネソタのミネアポリス市などでは、イスラム教移民の数が膨張し、地元市民はイスラム教徒らの横暴に怯えている。これで一夫多妻制度を通じてイスラム移民の数が急増したならば、アメリカの西洋文化や自由主義を保って行くことが難しくなる。
アメリカのユダヤ・キリスト教の基盤が崩れ、アメリカの安全そのものが脅かされることとなるのだ。
多くのアメリカ市民はこの危険を理解していると思う。同性婚には同情的な人々でも、それがいずれ一夫多妻制に結びつき、それによって国内のイスラム移民の数を急増させ、それがいずれシャリアというイスラム法の合法化へ進むことを理解できれば、連邦憲法改正についても考え直す人が多くなるはずだ。
そういう意味でブラウン一家の訴訟は我々には歓迎すべき出来事なのかもしれない。


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