この話はカカシが別名で書いてるダイエットブログで紹介したのだが、ダイエット以上に政治的な意味合いがあるので、こちらでも掲載しておこう。
先ずはロイターの記事から、F as Fat(「ふ」は太いの「ふ」)という団体が最近発表した調査によると、最近アメリカの16の州で肥満人の割合が増えたという。ミシシッピの34%が最高でコロラドの20%が最低だが、今年の最低であるコロラドの数値も1995年なら最高といわれる数値だったというから、ほんの16年の間にアメリカでは14%も肥満の人の割合が増えたというわけ。ここでいう肥満とはBMI数値が30以上という意味。
確かにアメリカには太った人が多い。それで痩身や健康管理に神経質になっているアメリカ人の需要に対応してダイエットや健康管理や美容に関する市場が拡大しているが、これは自由市場では健康な成り行きなので多いに歓迎すべき事だと思う。
ただ、こうした記事を読んでいて非常に気になるのは、子供の肥満に必要以上の焦点があてられていることにある。左翼リベラルが「子供のため」と言い出したら要注意。これはかならず人々の自由な生活を政府が干渉することへと話が進むからだ。
ザ・トラストフォーアメリカズヘルス(the Trust for America’s Health)というグループのジェフ・レビ局長は過去20年間に渡ってアメリカ人はより栄養素の少ない食品を多く食べるようになったが、その反対に運動量は極端に減ったと語る。

「肥満の傾向を逆行させようというのであれば、意志だけでは出来ません。アメリカ人が選択しやすくなるように変えなければだめです。」

記事はアメリカ合衆国では2/3の大人が1/3の子供が肥満かやや肥満であり、肥満の蔓延は医療費の高騰につながり労働者の能率性を脅かせ軍隊のリクルートにも悪影響を及ぼすと続ける。
肥満が社会問題だということになれば、必ず出てくるのが政府の介入をもとめる左翼リベラル消費者団体の連中だ。人々が自主的に健康な生活を始めようとするのを待っているわけにはいかない、政府が介入することによって子供をジャンクフードから守らなければという理屈である。
アメリカには、何かと市民の食生活にいちゃもんをつけるセンターフォーサイエンスインザパブリックインタレスト(the Center for Science in the Public Interest)というおせっかい団体がある。痩せぎすで不健康に青白い彼らは、これまでにもメキシコ料理や中華料理はカロリーが高過ぎると大騒ぎして人々の食生活に干渉してきた。去年このグループはマクドナルドを相手取ってハッピーミールにおもちゃの付録を付けるのはけしからんと訴訟を起こした。また、アメリカの小児科医の団体は子供相手のジャンクフードの宣伝を廃止せよと呼びかけている。
民間企業がどのように自分らの製品を宣伝しようと企業の勝手だ。だが、これらの左翼リベラル消費者団体が要求するような法律が通ったとして、こうした法律は民間企業にやたらな経費を使わせる割には、(よって製品の値段を高め消費者を苦しめる割には)人々の食習慣には何の影響も及ばさないという調査結果も出ている。
数年前からアメリカ各地でファーストフードなどのレストランでメニューのカロリー表示をすることが義務づけられるようになった。これはカロリー表示によって自分がいかに食べ過ぎているかを学んだアメリカ人が食生活を改めるようになるのでは、という理屈から始められたのだが、最近デュークナショナル大学が発表したワシントン州のキング郡で行った調査によると、こうしたカロリー表示はアメリカ人の食習慣を変えることには全く役に立っていないという結果がでた。
レストランなどのカロリー表示は、肥満問題の解決策として、栄養専門家やレストラン経営者らの協力で始められたわけだが、ほとんどの人はカロリー表示を読んで低カロリーのものを選ぶといったようなことはなく、かえってカロリーなど気にしなくてもいいような人、つまりもともと痩せている人のほうがカロリー表示に興味を示すという。(日頃からカロリーに気をつけてる人なら最初から太らないってことだ。)特に低所得者やティーンエージャーや子供の間では、カロリー表示は全く影響がないという。
最近ニューヨーク市などでは、レストランでトランスファットの使用を禁止したり、サンフランシスコなどではマクドナルドでハッピーミールの販売を止めさせようといった動きや、公共施設や公立の小中学校の自動販売機では糖分の多いジャンクフードやソーダ類の販売が禁止されるところも出て来た。ミッシェル・オバマ大統領夫人が先導して、市販のシリアルやレストランのメニューに至るまで、糖分や脂肪分の成分を規制しようとする動きまである。
いくら子供を肥満の害から守るためだという名目でも、食生活という市民の基礎の基礎になる私生活にまで政府が干渉してくるようになったら、アメリカはもう自由な国などとは言えなくなる。
私は食品のカロリー表示は多いに歓迎する。カロリー計算でダイエットをしている人にとって、レストランのメニューにカロリー表示があるのは非常に助かる。しかし、個々のレストランのレシピにまで国が口出しすることの恐ろしさを考えたら、メタボ市民が多いことの弊害などとは比べ物にならない。
この問題が肥満対策だと思ったらとんでもない。これは子供の肥満や大人のメタボ症候群なんてものとは関係がない。これは左翼リベラル政府が国民をさらにコントロールしようという新しいやり方に過ぎないのだ。
ミッシェル・オバマ大統領夫人は、他人のダイエッとにいちいち口出しする割には自分は恥かしげもなく、ソウルフードのレストランでフライドポテトを頬張ったりバーベーキューリブにかぶりついたりする姿をテレビで放映されている。自分は下々(しもじも)の者たちの規則など守る必要はない、と相変わらずマリーアントワネット気取りである。
いや、庶民はケーキさえ食べるべきではないというミッシェル夫人は「パンがなければケーキを食べればいいのに」と言ったマリーアントワネットより質(たち)が悪いかもしれない。


2 responses to カロリー表示を強制しても変わらないアメリカ人の食習慣を必死に規制したがる政府

mhgt13 years ago

カカシさん、お久しぶりです。マックです。
政府がダイエット関連を規制しようとも、現代の生活習慣を個人個人が見直さなければ、単なる無駄な努力です。
楽して食べる、と言う生活習慣が、ホント身についてますよね。
家庭で料理をしないで、テイクアウトなんてのも、労働力無しの楽食いだと思うんですよ。カロリー消費の機会が減って、同じ量(又はそれ以上)摂取してれば太るの当たり前ですけど、最近はこれに、社会的なストレス太り、処方などの副作用なども酷いものです。
それに…炭水化物的な太りやすいもの(これは糖尿にも関連しますが)が安い。栄養素が高い野菜、果物が高い。失業率が高く物価が値上がりしてる中、政府の仕事は、こんな健康規制じゃなくて、職を増やす事なのでは?物価の値上がりを調節する事なのでは?と思います。
食品店に行って心の中で溜息出るのは…
巨漢の人がスクーター紛いの買い物籠を運転して食品を買ってるところ。一概に言えないのは分かりますけど、店内カートを押すのだって運動だと思えば…’って思っちゃいます。

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Sachi13 years ago

マックさんどうもです。アリゾナは今一番暑いんじゃないですか、お元気ですか?

それに…炭水化物的な太りやすいもの(これは糖尿にも関連しますが)が安い。栄養素が高い野菜、果物が高い。

まさしくそうですよ。健康食品は非常に値段が高い。私は新鮮な野菜を購入するためホールフーズで買い物してますけど、買い物袋二つ三つで100ドルなんて平気ですからね。うちは主人と二人だけだけど、これが育ち盛りの男の子が2〜3人居る家庭はどうしたらいんだろうって思います。
国民の健康を考えるなら物価が下がることが一番というのは、本当におっしゃる通りだと思います。
カカシ

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