オバマ政権の労働省(the National Labor Relations Board)は、民間企業であるボーイング社の新工場が労働組合に牛耳られているワシントン州ではなく、ビジネスに友好的なサウスカロライナ州に建設される事に関して、これは過去数度に渡ってストを行って来た労働組合に対する報復であり違法行為だとしてボーイング社の新工場建設を禁じた。
労働省のラファ・ソロモン代理議長はボーイングが労働組合のない工場をサウスカロライナに設置するのは、ワシントン州の国際機械工及び航空工学技師労働組合に所属する従業員を差別するものであると語った。

「労働者のストは基本的な権利として全国労働関係法によって保証されている。「経営側は営業決断を経済的な理由でする権利があることは認めるものの、それは法の範囲以内でされなければならない。」

これに対してボーイング社は労働省の命令は理不尽であるとして法廷に訴えでている。
この間のウイスコンシン州の州公務員労働組合の例でも解るように、アメリカでは労働組合に関する法律は州によって違う。ボーイングの本社があるワシントン州は非常に組合の力が強く、ボーイング社でつとめる機械工やエンジニアはほぼ強制的に組合の加入を求められる。組合は過去に何度となくストを行っており、特に2008年の機械工のストは三ヶ月も続き、ただでさえ15ヶ月も遅れていた787型航空機の生産がさらに遅れ、ボーイング社の2008年三期の利益は38%も減るという大打撃を受けた。
いつまでもそんなふうに、いつ労働組合がへそを曲げてストを行うかわからないような州で新型飛行機の組み立てを行うのは不経済なので、ボーイング社は労働組合の入会の強制がないサウスカロライナに新しい組み立て工場を開設しようと決めた訳である。
労働省の裁断は共和党議員達の間で、特にサウスカロライナ州の知事や州議員たちの間から、まるで暴力団の恐喝紛いの行為だと大きな批判を呼んでいる。
そこで労働省のソロモン代理議長はあちこちのニュースメディアでボーイング社の決断がどのように違法なのかと説明に奔走しているが、そのソロモン代理に対し、ボーイング社から強烈な抗議文が送られた。
ボ−イング社の専務J.マイケル.ラティング氏はソロモン氏があちこちで掲げた問題点について箇条書きで反論している。
1)ボーイングが組合の仕事を他所へ移したという点
新しい工場は第二生産ラインであり、そこでの仕事は新しいもので、既存の仕事をそちらに移すなどということはない。これによってワシントン州の従業員の仕事が失われるなどということは全くない。
2)ボーイングは組合員を罰しようとしているという点
新工場の開設によって既存の職が失われるという前提自体が間違っているため、サウスカロライナの新工場建設がワシントンの組合員を罰することになるという理屈はおかしい。
ボーイング社が新工場をサウスカロライナに開設しようと考えたのは、現在ワシントン州の従業員に払っている賃金が高過ぎるということではなく、これまでのように三年ごとにストライキをされて生産が遅れたり、この不景気にこれまでのような賃金上昇を要求されても対応不可能であるということが主な理由であり、こうした理由は法律にかなったものである。
3)ボーイングの行為はあまりにもひどい違法行為であるため抗議せざる負えないという点
過去六ヶ月に渡ってボーイング社と労働省との話し合いのなかで、労働省は数回に渡り、ボーイング社がワシントン州のピュージットサウンド工場の787人の従業員を一人でもリストラしない限り、この問題は労働省が関わり合いになる問題ではないと言い続けて来た。にもかかわらず今になって、新工場開設が抗議せざるおえないほど違法な行為になるという理屈は困惑の限りである。
4)労働省の取り決めはサウスカロライナ州チャールストン市の工場閉鎖が目的ではないという点
現在ボーイング社は787の7機をピュージットサウンド工場で、残りの3機をチャールストン工場で生産する予定だが、10機全部をピュージットサウンド工場で生産せよとの労働省の命令が、どのようにすればチャールストン工場の閉鎖につながらないというのか、ボーイング社及び庶民は非常に興味深く労働省の説明を見守るところである。
はっきり言ってだ、もしも仮にボーイング社がワシントン州の労働組合のせいで生産が予定通りに追いつかないと判断し、ワシントン州の工場を閉鎖してサウスカロライナ州に全生産ラインを移転したとしてだ、それが何故労働法違反ということになるのだ? これは別にワシントン州の労働組合を罰するとか言う事ではなく、ボーイング社にとってワシントン州での操業は不経済だという自由市場上の判断で合法なはずだ。これは単なる民間企業の経営方針に過ぎず、政府がいちいち口出しすべきことではない!
なのにどうしてオバマ王の労働省はボーイング社に対してこのような理不尽な要求をしているおかといえば、オバマ王は労働組合の暴力団と癒着しているからである。オバマの選挙資金のおおくが労働組合からの献金で成り立っているからだ。
政権が自分の権力を保つために自分に献金する組織を守り、そうでない組織を国の権力を使って圧迫する.これがファシズムでなくてなんだろう?オバマ王政権こそまさにファシズム政権そのものなのである。


3 responses to これぞファシズム!ボーイング社新工場建設に口を出す労働組合べったりのオバマ王政権労働省

Yuko Graham13 years ago

このニュース、知りませんでした。
政府が民間企業の動向にこんな風にケチをつけるなんて信じられません。アメリカって「自由の国」じゃなかったでしたっけ?
なんだかますます社会主義化してる感じですね。

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Sachi13 years ago

ユーコさん、どうもです。二週間ネットアクセスなかったのでお返事遅れました。
政府が民間企業の経営にいちいちいちゃもん付けるようになったら自由主義はおしまいですよ。
カカシ

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Sachi13 years ago

YS Journalさんがリンクしてくれたのだが、何故かトラックバックが届かなかった。リンク先の記事はこちら

WSJ 5-13-11 の記事 “Boeing and the Union Berlin Wall” を紹介しようと思っていたら、「苺畑より」のカカシさんに先を越されてしまった。
彼女のブログエントリー『これぞファシズム!ボーイング社新工場建設に口を出す労働組合べったりのオバマ王政権労働省』はこちら。私の言いたい事が、やや過激に書かれてある。

カカシ

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