オバマ王政権が議会の承認なくして勝手にやっているリビア空爆に関して、オバマ支持派の民主党のなかからも懸念を示す意見が聞かれるようになった。
民主党のシャーロッド・ブラウン上院議員は、「このままリビアの国軍に対する攻撃が三週間以上続くとなると、議会では単なる心配どころか、不安と、もしくは怒りが生まれる可能性がある。」とMSNBCのインタビューで語った。
さらにブラウン議員はオバマ大統領は国民と議会にどういう結果を目指しているのかをはっきり説明すべきだとも語っている。
前回にも書いた通り、ブッシュ前大統領はイラク戦争の時に、民主も含めた議会からきちんと承認を得た後に攻撃を始めた。また、ブッシュ大統領は何度も国民の前にたち、なぜイラク戦争が必要なのか、イラク戦争によって何を獲得しようとしているのか、あらゆる場所で演説を行った。
リビアに関しては、レーガン大統領がリビアのカダーフィ官邸を空爆した時、レーガン大統領はその日のうちにホワイトハウスからテレビ中継の演説を行い、今、アメリカがリビアでなにをしているのか、そしてそれは何のためなのか、きちんと国民に説明した。
だが、オバマ王からは、空爆が始まって一週間になるというのに、まだ何の説明もない。それどころか、オバマ王はリビア空爆が進んでいるなか南米で謝罪訪問ツアーを行っていた。(国内からの批判に応えてツアーは途中で打ち切って帰国したが。)
無論ブラウン議員はオバマ支持者なので、リビア攻撃そのものを批判しているわけではない。米軍の空爆によって、リビアでは独裁者カダーフィによるリビア市民への大量殺人が妨げられたとしている。また、オバマが注意深く作戦を練り陸軍を出動させないとした方針は讃えられるべきだとも語っている。
カダーフィの国軍が打撃を受けたのは本当だが、カダーフィによる国民虐殺の威力は全然衰えていない。また、陸上軍のいない空爆だけの攻撃は戦略的にはあまり効果がないだけでなく、無関係な市民を巻き添えにする被害も多く出る。イラク戦争当時も、米軍の空爆について、そのことを民主党議会はかなり批判していた。
それに、陸上戦闘が行われない戦争では、90年代の湾岸戦争でフセイン政権が生き残ったように、カダーフィ一味が生き残る可能性は非常に高い。カダーフィはアメリカ及びNATOの弾がつき、西側世論が戦争から離れるまでの数週間を乗り切ればまだまだ自分の権力は維持できると思っているに違いない。
イラクの例でも解るように、攻めるなら政権交替があるまでやるべきであって、生半可な攻撃はかえって後々の始末が困難である。
はっきり言って、ブラウン議員の口調からはすでに懸念というより怒りが感じられる。議員はアメリカ軍はすでにイラクとアフガニスタンの戦争などで手一杯であり、アメリカ本土に直接の危険をもたらさない国への軍事行使は議会に承認を得るのが筋だと強調した。
これについては共和党のジョン・ベイナー下院議会議長が、オバマ王に対して質問状をつきつけているが、ブラウン議員はベイナー議長に賛成だとも語っている。
オバマ王がきちんと自分の立場を説明できないのであれば、民主党の間からもこうした批判が出てくるのは当然だろう。原油産出国での紛争はアメリカにも直接影響があることでもあり、不況が続くアメリカで国民の血税を使って戦争をするのであれば、それなりの説明が必要だ。


1 response to オバマ支持派も心配、はっきりしないオバマ王のリビア政策

momo13 years ago

いつも拝見しています。
今回はオバマが何を考えているのか、よくわかりませんね。落としどころも見えないし。南米には何の謝罪のために行ったのですか?

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