ウィスコンシン州を初め、カリフォルニア州でも州公務員の多額な給与や年金や保険料が州の財政を破産に追い込んでいるところが少なくない。ウィスコンシン州では共和党の新知事スコットー・ウォーカー氏が、州公務員の保険料と年金負担の増額、そして労働組合の団体交渉権の規制を求めたことで、反対派の労働組合員たちから激しいデモを起こされて二週間になる。少数派の民主党州上院議員たちは法案の投票をすれば負けることがわかりきっているので、投票を逃れるために近隣の州に逃げ込み身を潜めている。
私はもともと労働組合なる組織が好きではない。ただ、民間の場合は、産業革命が起きた頃の醜悪な労働条件を向上させるために自然と出来たもので、当初の目的は充分に理解できる。民間企業の労働組合は労働者を人とも思わないむごい扱いをする雇用主との敵対によって成立したともいえる。
昔は労働者を一部屋に閉じ込めて外から鍵をかける工場とか、休憩時間一時間も取らせず一日12時間以上働かせるとか、危険な場所での労働であるにも関わらず安全設備が全く整っていない炭鉱とか、産業の発達に人間性が全くついていけない時代があった。労働者が少しでも抗議をすれば、経営者側が暴力団を雇って従業員に暴力を振るうなど日常茶飯事という時代があった。
そんな時代なら、悪質な経営者と戦うために一般労働者が連帯して組合を結成し、雇用主に団体で就労条件の向上を目指して交渉にあたったのも充分に理解できる。
今は従業員をそんなふうに扱う企業などアメリカでは先ず存在しないが、今でも組合と雇用者側は多少なりとも敵対関係にあることは確かだ。それでも民間企業の労働組合が企業の経営難を無視して理不尽な要求をすれば、企業自体が倒産してしまったりリストラを余儀なくされたりして、かえって労働者に損害を与えることになる。だから民間企業の組合はある程度のところで給料を上げたくない経営者と妥協しなければならない。
しかし、これが公務員になってくると状況は全く違う。公務員の雇用主は政府であるが、政府の収入源は自由市場での競争によって得た利益ではなく国民の税金を集めたものだ。政府にとって公務員の給料を組合の要求どおり受け入れるためには国民の税金を上げればそれで解決するのである。
特に組合員の合意なしで会費を好きな政治家に献金することが可能な労働組合の要求となれば、組合が潤えば自分への献金も増える民主党の政治家たちが組合の要求を拒む理由などどこにもない。つまり、州公務員組合の要求は組合と親交な民主党政治家らとの癒着によってまるで抵抗なくどんどん受け入れられてしまうのである。
ウィスコンシン州のウォーカー知事は、この際限のない労働組合と政府の癒着を取り除くために、労働組合による団体交渉権を規制しようとしているのだ。労働組合が年金と保険金の一部負担は妥協すると言っているにも関わらず、ウォーカー知事が断固拒絶している理由はそこにある。現在共和党知事や共和党州議会が与党であるときは一時的に妥協しても、これが民主党の議会になれば、また交渉次第で以前の約束などどんどん撤回することが出来る。ウォーカー知事はその回転ドアを永久的に閉めようとしているのだ。
また公務員労働組合側が、たとえ従業員のリストラという犠牲を払っても、団体交渉権をあきらめないのは、自分らの持つ政治家への影響力をあきらめたくないからなのだ。最近の労働組合は労働者のことなど本当はどうでもいいのである。奴らの真の目的は自分らの権力拡大に過ぎない。
どっかのリベラルメディアの記者がウォーカー知事が組合の妥協を受け入れずに交渉権に拘るのは、金儲けが目当てだと話していたが、金の話をするなら、組合とその支持者である民主党こそ金儲けがs先決で肝心の労働者や民間の納税者のことなどなんとも思っていないではないか?


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