この間ウイキリークスというサイトでアメリカや日本を含む諸外国の秘密情報が漏洩された事件で、ウイキリークスの発足者のジュリアン・アサンジはイギリスで未成年暴行の罪に問われていったん拘束された。いまは保釈の身となっている。
アサンジが逮捕された当初、アサンジに同情するネットお宅らによってウィキリークスの敵と思われるビサやマスターカードそしてペイパルなどがサイバー攻撃の犠牲となった。その攻撃の成功には誰もが非常に驚いたのだが、これによってネット社会にある不思議な掲示板の存在が明るみに出て来た。
この掲示板は『4ちゃん』と呼ばれる。カカシはその名前が日本の匿名掲示板『2ちゃんねる』と似ていることから、もしかして関係があるのだろうかと調べてみたら、やっぱりそうで、日本語の2ちゃんねるに紀元を発し、枝分かれした英語圏の匿名掲示板なんだそうだ。
私は日本の2ちゃんねるの性質がどのようなものなのかよくは知らない。ただ、あまり品がよくなく、個人への中傷誹謗や人種差別的な発言やいやがらせなどが横行する掲示板であるらしいことは聞いている。
英語圏の4ちゃんも似たような性質のものらしいのだが、そのなかでも特にこの掲示板を通じて結託しているアノニマス(匿名)と呼ばれるネット攻撃専門のグループの存在は、数年前からレコード業界を対象にハッキングなどをしていることから、すでにその悪質な行動は一部業界では悪名高い。
このグループは特にこれといったリーダーが居る訳でもなく、きちんとした組織が組まれているというわけでもなく、単にネットを通じて同じような考えを持つティーンエージャー達がゆるくつながっているだけだ。これまでにもキッスのリードボーカルのジーン・シモンズやユートゥーブや、サイエントロジストという言われる宗教団体などがアノニマスのサイバー攻撃の被害者になっている。彼らの故意に幼稚な文法やブラックユーモアはすでに4ちゃんの掲示板の域を越えて、ネット社会に広く浸透していっている、とフランチャイズタイムスのオンラインニュースは報道している
アサンジが逮捕された一週間ちょっと前、アノニマスは4ちゃんでアサンジ逮捕の抗議と復讐のため、ウィキリークスのサイトを取り下げたホスティング会社やアサンジの敵と思われる金融会社などに対して一斉にサイバー攻撃を開始した。アノニマスの勝手ないい分からいうと、「ペイバック作戦」とよばれるこの攻撃は言論弾圧への抗議ということらしい。
「ウィキリークスは言論の自由と情報のリトマステストだ。」とペイバック作戦の参加者はフランチャイズタイムスのインタビューに答えた。
アノニマスからさらに枝分かれしたアノンズと呼ばれるグループは、言ってみればネット場のサイバーテロリストだ。イスラムテロリストと同じように、ひとつの目的に同調する個人が特に誰かの命令に従うでなく、個人的にテロ行動を行う。だから取り締まるのは難しい。
例えば、ネットで誰かが「ビサカードの会社を攻撃しよう!」と始めると、それを言い出したのが何処の誰かも解らないのに、「やろうやろう」とメッセージが続き本気でやる人間が集まってくる。メンバーの連中は多分ニキビ面のティーンエージャーでおもしろ半分に参加しているのだろうが、攻撃の対象になる企業としてはたまったものではない。
アノンズが若者に人気があるのは、情報の自由な流通を妨げると思われる組織や企業を、匿名参加の不特定多数で攻撃できる点だろう。ネット上での群集心理とでもいうのだろうか。
私は内部告発が悪いとは思わないし、政府が隠していることを市民が知ることも時には大切だと思う。自由国にあって政府が国民に隠し事ばかりするのは決して好ましいこととはいえない。だが、言論の自由とはいっても、その情報を公表することで国家が外敵から危機にさらされるとしたらこれは単なる言論の自由云々というわけにはいかない。
もちろん政府は国土安全のためとか治安維持のためとか言って政府の権力を拡大する傾向があるので、国民がどこまで政府にその権限を与えるのか、そのへんの均衡を取るのは常に難しい。
問題なのはアノンズのメンバーたちは世界中のネットからアクセスしており、どの国のレジスタンスとかいう特定の組織ではない。だから一人一人に個人的なつながりがあるわけではなく、首謀者と思われる人間を一人逮捕してみても、芋づる式に他のメンバーを逮捕できるといった単純な取り締まりは不可能な点だろう。
アノンズへの参加は自由だが、特にこれといった組織があるわけではないから、身元が割れて逮捕されても誰が守ってくれるというわけではない。それに、私も掲示板は何年か参加していて知っているが、常に内輪での争いが絶えず、匿名参加者の身元を割り出して公表したがる輩がいくらでもいるから、参加者は自分らが思っているほど安全な立場にはない。
FTのインタビューに応じた自称アノンズの20代のアメリカ人メンバーは、「誰でも手をだせば危険があるのは覚悟の上だよ」と語り、自分の銀行口座が公表されても特にかまわないと語っている。
はっきり言ってそんなことが言えるのは特に財産もなく妻子もない孤独な若者だからだろう。これがある程度の年齢になり責任ある職に付き妻をめとい、子供の一人二人が出来てみろ、サイバーテロリストによって銀行口座が空っぽにされり、アノンズへの参加が知られて仕事を首にされたりしたら、そんな暢気なことは言ってられなくなる。
だが、アノンズのメンバーはこのメンバーの無責任な発言で象徴されるように、多くがこうした無責任な若者だ。テロの歩兵が常に分虜のない若者なのと全く同じ理屈だ。
彼らは自分らの行動が巻き起こす悪影響について深く考えていない。たとえば、今回のペイバック作戦にしても、攻撃対象となったのはビサなどのクレジットカードの他にアマゾンやユートゥーブやペイパルなども含まれている。こうした企業が機能停止して困るのは企業だけでなくこれらの企業を利用している消費者である。
アノンズのメンバーたちのようにネットに生きるような人間たちは、ネット組織の機能停止で一番困るのは自分らを含む消費者なのだということを理解していない。親になんでも買ってもらってる世間知らずのティーンエージャーならではの理屈だろう。
しかし世間知らずとはいえ、ネット技術は高い一部の人間が作成したハッキングプログラムは参加者が単純にダウンロードするだけで、対象の組織への攻撃が可能になる。
今後もこうしたサイバー攻撃によるネットテロリズムは続くだろう。サイバー時代となった今では、こうした危険も避けられないということか。やっかいなものだ。


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