今年の始めに明るみに出たクライメートゲートに始まって、最近地球温暖化説はかなりその信憑性が疑われている。今年の夏は日本は近年でも稀に見る猛暑だったため、多くの日本人は「やはり地球温暖化は起きている」と思ったかもしれないが、日本だけが暑くても地球温暖化とはいえない。現に、カカシの住む南カリフォルニアは非常な冷夏で、果物が育たないという問題がおきたほどだ。
地球温暖化が起きているという科学的根拠がどんどん崩れている中、温暖化説を唱える英国の環境保全団体は、二~三日前、10:10という個人で出来る二酸化炭素排出規制キャンペーンを始めた。この10:10という団体はブラックアダーやノッティングヒルなどでも有名なコメディ作家を雇っていくつかの広告ビデオを制作、それらをユートゥーブで公開した。
ところが、その広告ビデオの内容があまりにも残虐だったため、公開するや否や非難轟々。これらの批判のあまりの激しさに10:10はビデオを取り下げ、そのホームページに謝罪文を掲載せざる負えなくなった。
元々のビデオは取り下げられてしまったが、すでにブロガーやテレビニュースが取り上げて何度も公開されている。興味のある人はこちらのサイトからリンクがつながる。
ビデオの内容は、教室で女教師が中学一年生くらいの生徒達に10:10という二酸化炭素排出を規制する運動について説明している。「最後に参考として何人ぐらい実行するか手をあげて、、ああほぼ全員ね」とほぼ満足な教師だが、ふと手を挙げない男の子と女の子に気づく。「いいのよ、自主的にやれば、プレッシャーはかけないわ。」そういいながら教師は赤いボタンのついた箱を机からとりだし、そのボタンを押す。すると手を挙げなかった男の子と女の子の身体が爆破され、その肉片と血液がそこいらじゅうに吹き飛び回りにいた子供達に降り掛かる。クラスメートの血と肉に覆われて恐怖におののく子供達。にっこりと満足げな女教師。
実を言うと、私は最初にこのビデオを観た時に、これは温暖化説論に猜疑心を持つ誰かが、過激な環境保全運動を批判して作ったパロディなのだと思った。環境保全運動家の間では反対意見を持つ人間をぶっ殺すという過激な思想は普通だというのが、批評家たちの主な意見だからである。
ところが、このビデオを作ったのが当の運動家たちだと知ってカカシはあきれかえった。
速やか且つ激しい批判に驚いてビデオを取り下げた10:10は、ホームページに次のような言い訳を掲載している。

ごめんなさい、

本日、私たちは10:10と環境変化に関する「ノープレッシャー」という短編映画を掲載しました。環境変化がどんどん脅威的になるなか、メディアからの注目が薄れて行っています。私たちはなんとかこの大事な問題を人々を笑わせることによって、第一面に持って行こうと考えました。(略)
ほとんどの人はこの映画をものすごく面白いと感じたのですが、そうは思わない人が何人かいました。そこで私たちは気を悪くした人がいたことについて心からお詫びします。
考えた結果、私たちは映画をウェッブサイトから取り下げました。(略)
やれやれ、生きて学べ。
前進、上進

こういうふうに「気に障った人がいたなら、ごめんなさい」というのは謝罪でもなんでもない。あんたが気を悪くしたのが悪いんだ、俺たちが悪いんじゃない、という本心がみえみえだからである。
もうすでに多くの人々が指摘しているが、ほんとうにおかしいのは、『反対意見を述べる人間はぶっ殺すべき』という考えが笑いを誘うおかしいことだ、と考えている運動家たちの本心のほうだ。そういう事が異常ではない、ごくごく普通の観念だと普段から考えているから、こういうビデオを平気で作る。そして現実社会からあまりにもかけ離れているため、普通の人は冗談でも子供を爆破して肉片や血液が飛び散るような映像など観たくないのだということが理解できない。
以前にもアメリカで、環境保全に協力しない人たちがグリーンポリースという環境警察に逮捕されるというコマーシャルが公開されたことがある。(ユートゥーブビデオはこちら
スーパーで紙袋を選ばずビニール袋を選んだり、電池をゴミ箱に捨てたり、スタイロフォームカップでコーヒーを飲んだりしているごく普通の人がスワットチームさながらの環境警察にタックルされるという内容。
これもはっきり言って、環境保全に神経質な運動家をおちょくるパロディかと思いきや、電気自動車のアウディの宣伝だったのだからしょうがない。環境保全を訴えるなら、ささいな汚染に過剰反応するグリーンポリースなど出して来ては逆効果ではないか。こんなちょっとしたことでも逮捕されるような社会は、はっきりいってユーモアでは済まされない。
ノープレッシャーにしてもグリーンポリースにしても、環境保全運動家たちは自分たちの思想がどれほど過激なものか全く理解できていない。だから普通の人がそういう思想に脅威を抱くということが予測できない。
欧米ではエコテロリストなるものが存在している。彼らは実際に爆弾などを使って自分らの気に入らない企業施設を破壊したり、個人の家に爆弾を仕掛けるなどのテロ行為に及んでいる。日本でも捕鯨船やイルカ漁師などがこうしたエコテロリストによって暴力的な攻撃を受けているからご存知の読者も多い事だろう。
普段、こういうテログループは、普通の環境保全団体とは別個のもので、自分らはそんな過激派ではないという振りをしている団体も、一皮むけば反対派を政治力や暴力を使って弾圧したいと考える過激派そのものなのだ。
今回の「ノープレッシャー」ビデオは、環境保全運動家たちが計らずも自らの残虐な本質を暴く結果となった。完全な自爆である。


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