インド系の移民でロナルド・レーガンの伝記などでも有名な作家のデニーシ・デスーザ( Dinesh D’Souz)が、フォーブスマガジンに掲載したオバマ大統領に関するコラムが今話題を呼んでいる。これは近々発売されるデスーザ著の本がもとになっているのだが、そのテーマはオバマはアフリカの反植民地主義思想を父親から受け継いだというものだ。
これに関してホワイトハウスは報道官を使って、即座に事実に即さないと一笑に伏している。 また、ワシントンポストのキャサリーン・パーカーなどは、まるでトワイライトゾーンの世界だ と批判している。その他左翼やリベラルのサイトではデスーザは事実を取り違えているとか、デスーザはオバマはケニア生まれでアメリカ人ではないとかいい張るトゥルーサーと呼ばれる過激派と同じだとか、まあ批判は色々だ。
では、いったいデスーザは何を書いたのか。デスーザ曰く、オバマの反自由市場主義や反アメリカ外交政策は、オバマのマルクス主義やヨーロッパ風社会主義から来るものではない。「真実はもっとひどいもの」とし、オバマの反米主義は父親から受け継いだ反植民地主義思想から来る物だというのである。
オバマの父親はケニア生まれでケニア育ち。アメリカに留学してハーバードで経済を学び、アメリカ人女性と結婚して子供まで設けておきながら、新妻と赤ん坊のべリー(オバマの幼少時の名前)を捨ててさっさとアフリカに帰ってしまった。イスラム教徒だったので、同時に何人もの妻を娶り、アル中で最後には酔っぱらい運転で木に衝突して死んでしまった男だ。
およそ父親として尊敬するような人物とも思えないのだが。
それにしても、反植民地主義っていったいなんだ?
デスーザによると、

反植民地主義とは西側諸国の裕福な国はアジア、アフリカ、南アメリカなどの貧しい第三諸国を侵略し、貧しい国々から略奪することによって豊かになったという思想。

….
反植民地主義者は植民地が政治的に独立した後でも経済的には元の占領国に頼りきっていると考える。
…….
この新植民地主義は第三諸国の市民のみならず自国の市民も弾圧する。明らかに独裁政権には抵抗して覆す必要がある。

これが父バラク・オバマの思想であり、デスーザの育ったインドでも、彼の親戚も含め、この世代の人間の多くが持つ思想だという。
これが本当にオバマ王の信念なのだろうか?いったいデスーザは何を根拠にこんなことを言うのだろうか?
デスーザはオバマ王の不可思議な行動を羅列し、これらの行動は半植民地主義がわかってこそ理解できるのだと語る。

  • オバマはブラジル国内で売買される湾岸原油発掘に資金援助をしている。
  • メキシコ湾での原油漏洩のときも演説の際に、どうやって掃除するかということよりも、アメリカの原油依存を批判した。

オバマがアメリカが植民地主義で他国から原油をぶんどって自国だけで無駄使いしていると考えれば納得がいく。

  • オバマ政権は政府からの救済金をもらった銀行からその返済を拒絶することによって政府が銀行の経営に細かく干渉できるようにした。
  • オバマはあきらかに失敗した経済救済政策を執拗に推し進めようとしている。その結果年収25万ドル以上の「金持ち」にそのツケが回ってくる。

これもオバマが経済学者だった父親が以前に書いたように、一部の人間が富を蓄積するような権力構成は取り除く必要がある、と考えていれば成り立つ。

  • オバマはグラウンドゼロの聖廟建設を宗教の自由という、事の焦点からずれた立場から支持している。
  • 航空機を爆破したロカビリーテロで、270人からのアメリカ人殺した犯人をスコットランドが解放したことに抗議しなかった。

オバマが何かとテロリストに同情的なのも、オバマがテロリズムを植民地主義に抵抗する運動だと考えていれば、納得がいく。
しかしだ、アメリカはイギリス、スペイン、フランス、ロシアといったヨーロッパ諸国がそうであったような植民地主義帝国だったことはない。アメリカは状況によって余議なくされたことはあっても、好んでよその国を植民地にしたりしたことはない。またよしんば一時的に占領したとしても、地元民が行かないでくれと頼んでもさっさと出て行きたがる癖がある。
オバマが本当に反植民地主義だったとしても、植民地主義帝国でないアメリカを嫌うのはおかしい。
これについてもデスーザには答えがある。

反植民地主義者の見解からすると、アメリカの帝国主義は横暴極まりない。ソビエト連邦があるころは、その力は抑制されていたが、冷戦後アメリカは単独のスーパーパワーとなった。それだけではない。911のせいでアメリカはアフガニスタンとイラクという二つの国を占領し、政治的にも経済的にもフランスやイギリス帝国がかつてしたようにこれらの国々を支配しようとしている。であるから反帝国主義からしてみれば、アメリカはいまや、世界の人々を踏みつけ支配しようとするならず者の像となったのだ。

こうしてみると、オバマの不思議な行動は説明がつく。確かにオバマほど反米な大統領はいまだかつて見たことが無い。それが反植民地主義のせいなのかどうかは私には判らないが、オバマがアメリカの伝統的な価値観を心底嫌い、完全に変革しようとしていることだけは確かだ。オバマは伊達に「チェンジ」を語ったのではない。
何にしても、オバマのたくらみは阻止しなければならない。オバマがアメリカを完全に破壊してしまう前に。それがオバマ自身の夢だろうと、父親から受け継いだものであろうと、我々アメリカがアメリカとして生き残るためには、オバマの夢を実現させてはならない。


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