メキシコ湾の原油流出で大被害を受けているルイジアナ州のボビー・ジンダル知事は、連邦政府の無策に苛立ちを隠せない。オバマ王はホワイトハウスからの演説で出来る限りのことをやっていると口先ばかりで、実際には地元が満足するような対策は全く取られていない。
連邦政府が重い腰を上げるのを黙って待っているわけにはいかないと、ジンダル知事は州自らの手で色々な対策を取ろうとしているが、解決策は何も示さないオバマ王政権はジンダル知事の対策を阻止したり拒絶したりするのは素早い。
「ノーは解決方法ではない!」と怒って叫ぶジンダル知事の姿が毎晩のようにニュースで流れる。ジンダルが怒るのも無理はない。
これまでにもジンダル知事がやろうとして連邦政府に阻止された対策は色々ある。

ルイジアナ州知事のボビー・ジンダル氏は事故当初の5月11日に、オバマ政権に緊急に浚渫作業をはじめること、油の拡大を阻止するための防御壁建設を要請した。

しかし二週間たってもホワイトハウスからは何の応答もなく、ジェイク・タッパー記者がオバマへの記者会見でそのことについて質問してから、やっと重い腰を上げることとなったのだが、ホワイトハウスから出た防御壁建設許可は要請のたった2%というもの。こんなのは何かやってるうちにはいらない。
いや、むしろ、やわに「浚渫作業なんて許可しないよ〜」と言ってるのと同じだ。
「大統領は全く解ってないようです。」とルイジアナ代表デイビッド・ビター上院議員。「大統領の緊急浚渫防御壁に関する決断は駄目だという答えの隠れ蓑でしかありません。要請のたった2パーセントの許可をして、後は何ヶ月後かに先送りするなど、豪語同断です、まったくひどいです!」

また、6月中旬には無対策の連邦政府を無視して、ジンダル知事は平底荷船を使った原油吸引作業に取り組んだが、これは即座に連邦政府管轄の湾岸警備隊によって中断された。その理由というのが荷船に安全規定に従った充分な消火器と作業員の救命着が積まれているかどうかの確認が出来ていないからというものだった。
大災害が起きているときに、そういう細かいどうでもいいことに拘っている場合か? はっきり言ってこれは、連邦政府の能無しぶりを表す結果となってしまったジンダルの行動力への嫌がらせとしか思えない。
そして、一番最近では、ジンダルは原油がルイジアナに届かないよう防御壁なるコンクリートの人口島の建設を提案しているが、これに関しても、連邦政府はそのような島の建設はかえって状況を悪化させるものとして、またしてもジンダルの提案は拒否された。
表面的には外交的な態度を保っているオバマ政権だが、政権内部ではジンダル知事の激化する連邦政府批判に激怒している。だが、怒っている暇があるなら、なんかやれよ、といいたい。
ジンダル知事の提案はベストな解決策ではないかもしれない。だが、少なくとも知事は色々と思案をめぐらせ迅速な行動に移している。下手な考え休むに似たりで、どんなにいい考えがあろうとも、行動に移さなければ何にもならない。 ここでジョージ・パットン将軍による格言を引用。

“A good plan violently executed right now is far better than a perfect plan executed next week”
「今良い計画を徹底的に施行するほうが、完璧な計画を来週施行するよりもよっぽど良い」

なんか変な訳で申し訳ないが。要するにだ、非常事態では完璧でなくても迅速に対策をとらねばならない。遅れた対策はどれだけ良い計画でも意味がないということだ。
オバマ王が何もしたくないなら、何の策もないというなら、せめてジンダル知事の対策をじゃませず、知事に任せればいいではないか。それを何故ことごとく阻止しようとするのだ?
これはオバマ王がルイジアナのことなど全く気にしていない証拠だ。オバマは共和党支持のルイジアナがどうなろうと知ったことではないのだ。しかも知事の行動力で問題が解決などされては、自分の威厳に傷が付くと思ってる。オバマ王にとって大事なのは自分のプライドだけだ。
だから知事の要請はことごとく拒絶されるのだ。
だが、私はオバマ王は大変な間違いを犯していると思う。ハリケーンカトリーナの時もそうだったが、大災害を受けている地元は自然に人々の同情を買う。カトリーナの時の地元知事の連邦政府批判は不当だったが、それでも人々は地元政府よりも連邦政府に批判的な目を向けた。連邦政府が地方政府を無視しているという印象はブッシュ大統領も痛感したように、政権に多大なる痛手を与える。
特に記者会見でおろおろしていただけのブロンコ前知事と違って、ジンダル知事は自分の対策をはっきりと主張し、その指導力を全面的に表明している。のらりくらりとその無行動の言い訳ばかりをしているオバマ王とは対照的である。
しかもオバマ王は、この非常時に記録的な数でゴルフに出かけている。ブッシュ大統領がたま~のゴルフをしていたときには、さんざんブッシュが庶民の問題を無視して贅沢をしていると批判していたメディアは、オバマ王の前代見聞のゴルフ回数はあまり報道してこなかった。
しかし、最近になって、オバマ王の人気が落ちてくると、主流メディアもオバマ王に批判的な報道もするようになった。特にABCテレビ局のニュースはオバマよりジンダルに同情的なものになっている。
原油流出はルイジアナだけでなく全国的に市民の生活の影響を及ぼすものとして関心をもたれている。その問題に対して積極的に取り組んでいるジンダル知事と、それを無視する無関心なオバマ政権と、アメリカ市民はどちらを支持するだろうか?
支持率の下がっているオバマ王は、もうすこし考えるべきではないかな?


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