この間、トルコ籍の支援船を名乗るテロ船団がイスラエルに拿捕され無謀な抵抗をしたテロリスト活動家たちがイスラエル軍に退治されるという事件がおきたばかりだが、今度はアイルランドから出発したパレスチナテロリスト支援団のレイチェル・コリー号がイスラエル海軍の停止命令を拒否し、イスラエルに拿捕された。
これに関する日本語記事はこちら。

新たにガザ支援船拿捕=イスラエル軍が阻止、流血は回避

 【エルサレム時事】イスラエル軍は5日、アイルランドからパレスチナ自治区ガザに向かっていた親パレスチナ団体の支援船「レイチェル・コリー号」を拿捕(だほ)し、イスラエル南部アシュドッド港に連行した。拿捕に際し、コリー号の乗組員はイスラエル軍兵士の乗船を受け入れ、暴力を伴う衝突は起きなかった。
 イスラエル軍が5月31日に6隻のパレスチナ支援船を拿捕した際にはトルコ人ら9人が死亡。国際的な非難が巻き起こっている。イスラエル側は今回、アシュドッド港に向かえば支援船の安全な寄港を保証し、積み荷は検査後にガザへ届けるとしていた。
 同軍は5日朝、ガザ沖約64キロの海上でコリー号側に船舶識別情報の提示を要求。複数の艦艇が包囲するように並走し、アシュドッド港へ向かうよう繰り返し求めていた。当初、コリー号は要求を拒否していたが、結局、イスラエル側の求めに従った。アイルランドの親パレスチナ団体は声明で「イスラエル軍は支援船を乗っ取り、乗組員を拉致した」と激しく非難した。(2010/06/06-00:11)

前回のトルコ船も、レイチェル・コリー号のようにおとなしくイスラエル軍の指示に従っていれば隊員たちの乗船を防ぐことは可能だった。いや、それをいうなら、前回の船団にしろ今回のアイルランド船にしても、最初からイスラエルの要求どおりアシュドッド港に寄港して、イスラエル軍の検閲をきちんと受けていれば、支援物資はとどこおりなくガザへ輸送されることが可能だった。イスラエルはガザへの武器以外の支援物資輸送は阻止していないのだから。(イスラエルはハマスのテロリストどもと違って人道的だからね。)
それを度重なるイ軍の警告を無視して「アウシュビッツへ帰れ!」とか「911を忘れるな!」とか悪態を垂れてイ軍の搭乗を煽り、武器を構えて待ち伏せし、搭乗したイ軍に暴力三昧をしておいて、応戦されたら国連に泣きつく。汚いテロリストの常套手段だ。
さて、このガザへの航路閉鎖について保守派政治評論家のクラウトハンマー氏がワシントンポストでいつもながら痛烈な指摘をしてくれてるので紹介しよう。

世界はイスラエルのガザ封鎖に激怒している。トルコはその違法で非人道的で野蛮であるなどとして批判。国連はいつもの通り。そこに第三諸国とヨーロッパも参加。オバマはうろたえるだけ。

もちろんイスラエルによる航路封鎖は違法でもなんでもない。ガザはイスラエルの敵と自他ともに認めるハマスの統治下にある。そしてハマスはすでに4000以上のロケット弾をイスラエルの住宅街に撃ち込んでいるという事実がある。にもかかわらずハマスは、

イスラエル攻撃への絶え間ない攻撃を宣言しておきながら、さらなるロケット武装を拒まれると被害者面をする。

敵軍の輸送航路を封鎖するのは戦争時では当たり前のことだ。クラウトハンマー氏も第二次世界大戦中にアメリカがドイツと日本との航路を封鎖した事実を指摘。また、1962年10月のキューバミサイル危機の際にも、ロシアからキューバに向かう武器輸送船がロシアに引き返した例をあげている。ソ連船が引き返したのは米海軍の警告を無視して強行すれば米軍兵に搭乗されるか、船が沈められるかされると充分に承知していたからだ。
つまり、イスラエルは当時の米大統領ジョン・F・ケネディがしていたことと全く同じことをしているに過ぎない。敵側に自分らを攻撃するために使う武器が渡らないように輸送を阻止すること。 戦時中なら当たり前の作戦だ。
ガザへの船団は人道的支援物資輸送が目的だという建前だが、氏はこの事実を否定する。それが本当なら、当初からイスラエルの提案を受け入れ、イスラエルの港に寄港し検閲をうけ、支援物資はイスラエルが毎週ガザに送り込んでいる一万トンの食料や生活必需品と一緒にトラックでガザに送り込んでもらえばよかっただけの話だからだ。

なぜこの提案は拒絶されのか?それは船団の発足者グレタ・ベルリンも認めるように、船団の目的は人道的なものではなく、通路封鎖を打破することにある。つまり、イスラエルによる検閲を止めさせ、ガザに向けてハマス武装の必需品を無制限に送り込むことにある。

イスラエルはすでにイラン製の武器がヒズボラやガザに向かって運ばれる船団を二度にわたって拿捕している。いったいどの国がそんなことを許可するというのだ?

ここで氏は、だいたい何故イスラエルが航路封鎖などという作戦をするにあたったかについて、イスラエルが歴史上効果があることが証明されている前方防衛と能動防衛が出来なくなっていることが原因だとする。
前方防衛(Forward defense)というのは、自国内で闘うのではなく、自国の回りを囲む敵地に戦いを持って行き、自国の回りを制覇することで自国への攻撃の防御地とし、自国への直接的な攻撃を避ける作戦のことをいう。たとえばイスラエルがサイナイやゴーラン高原で闘ったように。そして可能な時は、イスラエルは和平の条件として、獲得した領地を明け渡したりしてきた。
これはアメリカがテロリストからの防衛のためにアフガニスタンまで遠征していって闘うのと同じ原理だ。内地で闘うより外地へ戦いを持って行くというわけ。
ところがイスラエルの場合、国際的な圧力に押されて前方防衛を諦めざる負えなかった。国際社会はイスラエルが違法に外国領を占領しているとして、それが反イスラエル感情を煽っているのだと批判し、平和のために撤退しろと迫った。

平和のための土地返還。おぼえているか?ここ十年に渡り、イスラエルは土地を明け渡してきた。2000年に南レバノンから撤退、2005年にはガザから撤退した。それでイスラエルは何を得た?激化する攻撃、敵側重武装、無数の拉致、ガザからの越境攻撃、そして何年にもわたる執拗なロケット攻撃だ。

前方防衛が不可能となったイスラエルは能動防衛(Active defense)にと作戦を変更した。これはイスラエルが撤退した後にできた、小さなテロ領地を次々と破壊していく作戦だった。

その結果はと言えば?2006年のレバノン戦争と2008年から9年にわたるガザ対策だ。

そして、イスラエルの防御地帯となっていた土地を明け渡せと言った国際社会は、明け渡した土地からイスラエルが攻撃され、やむなくイスラエルが防衛行為に出ていることすら違法だと言い張る。そして、イスラエルにもっと土地を明け渡せと迫っているのである。
自らイスラエルの敵と宣言しイスラエルの完全崩壊あるまで戦いを諦めないと世界的に宣言している敵からの攻撃を、イスラエルが自己防衛のため応戦することすら、国際社会は許せない不正な行為だと言いはるのである。
前方防衛も能動防衛も出来ないとなれば、航路封鎖という受動的な防衛に頼るしかない。

だが、こうして話している間にも、これでさえ国際社会は不当だと言う方向に向かっている。アメリカ合衆国でさえも、封鎖を止めさせる方向に向かっているのだ。

だが、何もかも許可されないというなら、何が残る?

もちろん、ここが肝心な点なのだと氏は言う。船団に乗り込んだ馬鹿活動家らもトルコの看板組織も、第三諸国もヨーロッパも、ユダヤ問題にはいい加減に嫌気がさしている。

何がのこるって? 何も残らないさ。国際社会の執拗な運動の最終目的は、イスラエルによる正当な防衛方法を完全に取り除くことにあるのだ。オバマ政権はほんの先週、四十年に渡るアメリカの方針を覆し、イスラエル一つを取り上げて、イスラエルが核兵器を持つことに抗議する書類に署名した。よってイスラエル最後の防衛である(核に寄る)牽制すらも不当としたのである。

ああ、なんてやっかいなユダヤ人たち。国際社会は何度も自殺しなさいと示唆しているのに、イスラエルは自滅への道を断固拒絶し、なんとか生き残ろうと必死だ。なんて煩い奴らなんだ。正当防衛なんて生意気なこと言ってないで早く崩壊しろ。ってなもんだ。
だから国際社会は、イスラエルによる防衛をことごとく阻止しようとするのだ。交際社会の反ユダヤ主義者達がそうしてイスラエルバッシングをする間にも、イランは着々とおおっぴらにユダヤ人問題最終解決への道を進めている。
中東でただひとつ民主主義のイスラエルが崩壊することのほうが、独裁政権のイランが核武装することより危険だと考える国際社会の人種差別には呆れる。自国をイスラム教過激派に乗っ取られそうなヨーロッパや東南アジアが、イスラムの人種差別者と一緒になってユダヤバッシングをする愚かさ。
イスラエルが滅んでも、世界に平和は来ない。それどころか世界は混乱への道を歩むだけだ。アメリカまでもが国際社会の狂気に参加するのだとしたら、イスラエルだけが正気の灯となる。


1 response to あのやっかいなユダヤ人たち、イスラエルの完全武装解除を求める国際社会、クラウトハンマー氏の鋭い指摘

In the Strawberry Field13 years ago

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