昨日、アメリカ東海岸時間の1月27日午後9時にオバマ王は就任一年ということで、議会の前で恒例の教書演説を行った。もっともオバマ王がこの演説で何を言うかは皆ほぼ想像がついていた。それというのも、オバマ王ほど演説だの独占インタビューだのを数多く行った大統領も珍しいからだ。
しかし、世界最強の国であるアメリカの大統領の毎年恒例な演説は諸外国でも注目を浴びたらしく、日本でも色々なメディアが報道している。そのなかでも産經新聞のこの記事はおもしろい。それというのもオバマ王の演説のなかには、対テロ政策はおろか、日本並びに諸外国に対する外交に関する発言が全くなかったからである。

国内総生産(GDP)で米国に次ぐ世界第2位の日本の名が、登場することはなかった。

日本が名指しされなかったからといってうろたえる必要はない。オバマ王は日本のみならず国内でテロの大量殺害を途中で阻止した英雄すら無視したのだから。
オバマ王は演説中に夫人のミッシェルに二回、副大統領のジョー・バイデンに一回、呼びかけを行った。ところが、フォートフッド基地で勇敢にテロリストに立ち向かいそれ以上の被害を阻止した二人の警察官に対しては、演説に招待しておきながら全く呼びかけがなかった。
普通、大統領が一般人をわざわざ教書演説に招待する時は、その人の功績を壇上で讃えるのが常とされている。ところがオバマはこの勇敢な警察官を完全無視しただけでなく、フォートフッド基地大量殺人事件について何も述べなかった。
だいたいオバマ王の演説は自分のことばっかりで、保健改正案が通らないのは共和党が邪魔するからだ、ロビーイストなどの汚職が減らないのは最高裁判所の最近の決断がわるいとか、政策がうまくいかないのはすべて他人のせいという、これまで一年に渡ってしてきた姿勢を最初から最後まで崩さなかった。
こちらのサイトでは、オバマが演説中に自分について何回述べたかを丁寧に勘定している。一人称のI, My, Meの内訳は、I が136回、Myが9回、 Meが7回。それに対して、アメリカ市民17回、納税者が2回、「あなたがた」が9回だったとして、いかに演説が自分中心ものだったかを物語っている。
先ずおざなりの歴代大統領がどういう逆境にうちかってきたかという話をしたあと、しょっぱならから一年前に自分が引き継いだ政権はブッシュ政権のおかげで最悪な状況にあったと始めた。そうして自分が施行した経済活性策のおかげで一年後の今日経済は回復に向かっている、などと大嘘をぶちかました。
1980年代初期以来、はじめて二桁の失業率を記録し、ここ一年で四百万の人が仕事を失ったアメリカで、自分の政策のおかげで二百万人の人々の仕事が救われたなどと口からで任せを言ってる。
どの専門家もオバマの経済活性案のおかげで、すでに回復しているべき経済が低迷を続けていると語っていることなど、オバマ王はおかまい無しで無視する。オバマ王ならびに民主党によって次々と施行されている悪政が国の経済をどんどん、谷底突き落とされていることなど知らん顔である。
オバマ王も一応経済回復の速度がゆっくりであること、一般市民が苦労していることは理解できるとしたうえで、自分が大統領になったのはこうした逆境から人々を救うためだったのだと、まるで白馬に乗った王子様気取り。
しかし現在の逆境を乗り越えるためには民主と共和の協力が必要であり、自分はそれを実現させると約束している。
オバマ王は党同士の争いを乗り越えた大統領として、選挙運動中には自分の政権はこれまでに見られないほど透明度の高いものにしたいと言っていた。ホワイトハウスの訪問客リストを公開し、ロビーイストを追い出し、議会での討論もCSPANで生中継するとまで約束した。
だが実際には共和党と協力するどころか、健康保険改正案の討論では文字通り共和党議員達を議事堂から追い出し討論に参加させずに民主党議員らだけで秘密裏に行った。ロビーイストもこれまでの政権の何倍もの人々がホワイトハウスに出入りし、労働組合や保険会社などに特別手当などを折り込み、議会の生中継も完全拒否した。
オバマ政権では、あらゆるところで怪しげな行動が秘密裏にされている。何が前代未聞の透明度をめざすだ、その窓の曇り方といったら暗幕が張り巡らされているというのに。
ニューヨークポストのジョナ・ゴールドバーグは、オバマがこの一年に渡って全く効果を上げていない政策を性懲りもなく続けようとするこの態度は、オバマの根本にある政府こそが全ての問題を解決できるという信念から来るものだという。
だから、この間のマサチューセッツ州での大敗も自分の政策に市民が怒りを示しているとは解釈せず、市民が自分の政策を充分に理解できていないだけだお勘違いする。だから不人気な政策を破棄するのではなく、これからもさらなる努力をして押し進めたいと宣言するのだ。
そしてアメリカ市民が経済回復を本気で考えるなら、市民がオバマに賛同する勇気を持つべきなのだと主張する。
オバマ王はブッシュ大統領を責め、共和党を責め、最高裁判所も責め、悪いのはすべて他人、自分は悪くないの一点張り。
さて、経済に関する話が大半を占めた演説のなかで、オバマ王は対テロ政策についてはほとんど何も述べなかった。グォンタナモ閉鎖についても、911テロ事件主犯者を民間の裁判で裁くことについても全く触れなかった。
軍隊に関して言うなら、同性愛者が公に軍隊に勤務できない「聞かない、言わない」法の撤回を約束したくらいだろう。もっともこれは一年前にもオバマは約束しており、自分の一存で今すぐにでも撤回できるのに未だにしていないということは、今後も口約束ばっかりでやる気など何もないのは解りきってる。
これだけ国民にやる気を起こさせない演説も珍しい。サラ・ペイリン元アラスカ知事、前回の共和党副大統領候補は、オバマの演説はお説教じみていたと批判。まったくその通りだと思う。
オバマ様の偉大さが解らんのか、この無礼者!
てなもんである。
オバマは若い頃から、自分のやったことへの責任をとった経験がない。恵まれた家庭に育ち、何の苦労もせずにエリート学校を卒業し、コミュニティーオーガナイザーを経て下院議員、上院議員を2〜3年経験しただけである。
中小企業を営んだこともなければ、会社勤めをしたこともない。政治家としても責任ある立場に一度でも立ったことがない。これまでは、モデルみたいに高級なスーツを着て格好よく演説していればそれでファンが付いて来てくれた。
ところが、大統領になったらそうはいかない。人々は大統領に結果を求める。責任を追及する。
オバマ王にはそれがどういうことなのか、一年経った今でも全く理解できていないのである。


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