市民が個人的に地道に始める政治活動のことを草の根運動というが、いかにも個々の一般市民が始めた草の根運動を装って、実は組織的に活動する政治運動のことを英語でアストロターフ(人工芝)運動と呼んでいる。
この間のマサチューセッツでの民主党指定席のような故テッド・ケネディ上院議員の席を共和党に持っていかれた民主党は、いま非常な危機を迎えている。経済は低迷状態、失業率も30年ぶりの最低記録。オバマ王の人気も急降下。ということで、あせったオバマ支持者たちは全国の新聞や雑誌に膨大な数のオバマ支持の投書を送り始めたらしい。
ここ数日、全国あちこちの新聞で同文の同じ著者によるオバマ支持投書が目に付くようになった。この著者の名前はエリー・ライト。この事実に最初に気が付いたのはオハイオ州クリーブランド市のニュースサイトでザ・プレインディーラーだ。

ここ数週間、ライトのバラク・オバマ大統領を支持するほぼ同じ内容の手紙が数十の新聞の投書欄で掲載されている。どの手紙もライトが新聞の販売地域の住民であることになっている。「今こそアメリカ人は政治は大変な仕事だと気が付くべきです。大統領だからといって、魔法の棒を振って何もかも治すことなど出来ないのです。」と1月19日のフィラデルフィアデイリーニュースに掲載された自称フィラデルフィア住民のエリー・ライトは書いている。

これは、1月20日付けのサンフランシスコイグザナーに載ったライトの手紙の終わりの文章と全く同じだった。ところが、ライトの住所はアメリカ大陸を横断したカリフォルニアのデイリーシティー市となっていた。

プレインディーラーによると、このエリー・ライトなる投書魔は1月13日から20日の間にオハイオ州のマンスフィールドニュースジャーナル、ニューメキシコ州のザ・サンニュースなどをはじめ、バージニア、ミシガン、アイオワ、ペンシルベニアそして上記のカリフォルニアと数十箇所にわたって同文の投書をそれぞれの地元民を装って投書していたらしい。
このエリー・ライトなる人物はザプレインディーラーにも特定の住所を含まずメールを送っていたらしい。それについて記者がメールで質問したところ、ライトは特にどの組織に所属しているというわけでもなく、雪崩勝利で大統領の座についたオバマ王に対して、あまりにもメディアが冷たいことに抗議して手紙を書いたのだという。
苺畑夫婦のブログ仲間のパテリコによると、エリー・ライトの投書は、なんと65に及ぶ新聞諸誌に掲載されたという。これは全国で31州と二つの外国新聞を含むそうだ。
パテリコによると、使われた名前はエリー・ライトだけでなく、別名だが同文の投書があちこちの新聞で掲載されているとこのこと。
昔私が某掲示板に書いていた頃、同じ人間が別のハンドル名を使って自分の書いた当初を応援したり、他人の名前と似たハンドルを使って他人の名誉を毀損するような行為をする奴が居たが、たかが掲示板ならともかく、実際の政治のうえでもこのようなことがおきるのだから、全く油断も隙もあったものではない。
それにしても、オバマの人気が今でも高ければ、こんな小細工は必要ないのに。まったくオバマ王も落ちたもんだな。


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