自衛論云々の話が出た時に、『防犯の専門家でもないひとが、誰でもやってるようなくだらない自衛を説くな』と批判する人がいた。こちらの方が典型なのでちょっと引用。

特別、なにか目新しい、効果的な方法をあげることもできていないのに。
「何十年もやってきたので、もうそれは知ってます。それだけでは無理です。防げません。」
と、意味がないよ、と言っているのに。
それをやったこともない人が、「無意味じゃない」って。
何の根拠があって、意味がある、と断言できるのだろう。
だって、自分がしてきたことでもないのに。
防犯や武道のプロでもないのに。

こういうことを書いた人はこの人だけではないが、普通の人が思いつくような自衛など「誰でもしている」という発言には私は非常な疑問を感じていた。何故かと言うと、私自身も、気をつけなければいけないと思いつつ、ついうっかり忘れることがあるし、全く無防備だなと感じる知り合いが私の回りにも結構居るからである。
それで色々検索していたら防犯のプロが書いている、こんなサイトを見つけた。書いてるひとは佐伯幸子という防犯専門家。

さえきゆうこ、安全生活アドバイザー。92年より「頭を使って身を守る方法?知的護身術」を提唱。子どもや女性の安全対策を中心に、暮らしの中のあらゆる場面での危険を指摘、排除する方法を分かりやすく解説。危機管理のスペシャリストとして、講演やTV出演をこなす一方、著書9冊の執筆など精力的に活動。

この人のサイトでは実際に起きた犯罪を元に、どのように防犯するかという話が書かれている。引用する部分は2002年に書かれたもので、今回の一連の討論とは直接関係ないが、やはり私が思った通り、出来ることをしないで被害にあっている人が結構いる。
鍵のかかっていない部屋を狙った連続強姦魔

東京都小平市を中心に平成13年10月頃から、ひとり暮らしの女性をねらった婦女暴行事件が未遂を含めて20件連続発生しています。被害者の多くは学生など二十代の女性で、自宅のカギをかけ忘れたか、かけていなかった、いわゆる「無施錠」のところを侵入されています。
犯行は夜の10時から深夜2時くらいの間に集中しています。ほとんどの被害者が就寝中でした。犯人の男は目出し帽で覆面をして、「騒ぐと殺すぞ」などと脅迫した上で乱暴しています。カッターナイフのような刃物を突きつけられた被害者もいるようです。

佐伯さんによると、親から離れて始めて一人暮らしをするようになった若い女性は、自分が部屋に居る時に部屋の鍵をかける習慣のない人が多いと言う。また、オートロックの建物だからとその効果を過信してしまう人が案外いるという。オートロックでも建物に住む人全員が注意していなければ意味がない。やはり最後の砦は自分の部屋の鍵。
実を言うと、かく言う私も建物内の洗濯部屋に行くだけだからという気軽な気持ちで鍵をかけずに部屋を留守にして、その数分の間に泥棒に入られた事がある。もし、私が戻って来た時、泥棒と鉢合わせになっていたらどういうことになったのか、考えただけでも恐ろしい。
昼間のピンポーンにドアを開けた主婦が被害に

平成15年4月1日この事件の犯人23歳の男が逮捕されました。犯人は外国人を装った日本人の二十代の男3人でした。(内二人は今年初めに逮捕済。最後の一人が捕まったことで報道された)。「引越のあいさつに来ました」と言われれば、ドアを開けてしまう、という人情を逆手に取った卑劣な犯行でした。(2003年4月3日加筆)

真っ昼間からそんなことがあるのかと思うかもしれないが、佐伯さんに言わせると、昼間は男性が居ない家が多いことから、家には女子供だけ、子供は人質にも使えるということで、意外と狙われることが多いのだと言う。
マンションなどで、同じ建物の住人のふりをして、「下の階のものですが、水が漏ってます」とかいってドアを明けさせた例もあるというから、隣近所にどういう人が住んでいるのかということも知っておく必要があると佐伯さんは言う。
また、引っ越しの挨拶に来たというなら、管理人さんに連絡して本当にそんな人が引っ越して来たのかどうかを確認するという手もある。とにかくドアを明けないで、明けたとしてもチェーンをしたままにするとかして、知らない人を中に入れないことが大事だという。
この他にもこのサイトには色々役に立つ防犯方法が書かれているので、女性に限らず男性にも是非読んでほしいと思う。
このサイトを読んでいて思ったのだが、私自身当たり前だろそんなこと、と思っていたことを意外としていない人が多かったり、言われてみればそうだが、自分では気がつかなかったなんてことが沢山あった。
例えば、窓ひとつとってみても、留守なのに窓が開きっぱなしになっている家、レースのカーテンやぬいぐるみが飾ってあって女性の一人暮らしがすぐにバレる部屋、遅くなっても電気が着かない家、といったように、その部屋や家の住人の家族構成や生活パターンが窓を見てるだけでわかるのである。
だから、タイマー付きの電灯を付けるとか、女性の一人暮らしならカーテンは中性的なものを選ぶとか、洗濯物も男物も混ぜて干すとか、工夫が必要かもしれない。
自衛論否定者たちも、「そんな自衛は誰でもしている、そんなんじゃ役に立たない」といって自衛論を踏みつけてしまうのではなく、だったら役に立つ自衛を一緒に考えようよと言えば、もっと説得力があるような気がする。


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