オバマケアを盲信するのは危険

先日も引用したいじりめぐみさんが、またまたオバマケアに関する続編を書いている。しかもいじりさんはナイーブにもオバマの口車に乗せられて「がんばれよー。オバマー!!」などと応援までしているので、ここはカカシとしても反論しておかなければならないと義務感に燃えてしまった。
いじりさんは、「信じがたい医療保険の実態」という小題で現在のアメリカの保険制度のホラーストーリーをいくつか述べている、太り過ぎで保険を拒否された赤ちゃんの話とか、一度帝王切開をやった女性は避妊手術を受けなければ新しい保険に加入できなかったとか、いったように。
カカシも健康診断に行った場所のヤブ医者が「小児百日咳の後遺症の可能性あり」と一文書いたのが原因で保険加入を拒否されたことがある。びっくりして日本の母に電話したら「お前は百日咳など患ったことはない。」ときっぱり言われた。でも一度診断書に書かれてしまったものは、いくら誤診だと説明しても聞き入れられなかった。だから私は保険会社には少なからず恨みがある。
確かにアメリカの保険会社の審査のあり方には問題がある。アメリカの医療費が馬鹿高いのも問題だ。持病のあるひとたちの保険加入が困難であることも問題である。これらの問題は改正されるべきである。そのことに異存はない。
だが、それ以上に問題なのはいじりさんのようにオバマケアを支持するひとたちは、オバマケアになったらこのような問題は解決されるとナイーブに信じきってしまっている事だ。
いじりさんは肥満児が保険加入を拒否されたといって怒っている。いじりさん家族は大型家族らしい。

全員大型のいじり家が、もし今医療保険の審査を受けたら……
「あんたたち夫婦、おもいっきりメタボじゃないの! ブー」
「子供たちは? 12歳で170センチ! デカすぎ!
  7歳で35キロ!? デブすぎ! ブー」
……と、きっといとも簡単に却下されるんだろうなあ。
我が家はすぐにホームレスならぬ「保険レス」になること間違いなしだ。

もし大型家族がオバマケアによって差別されなくなるといじりさんが本気で信じているなら、カカシが以前に書いたこのエントリーをよくよく読んでいただきたい。

今回上院は肥満や喫煙といった不健康な行き方をしている人の保険料はそうでない健康な生活をしている人たちのそれより割高になるという提案をした。(略)
現法では、保険料を考慮するうえで、加入者の健康状態によって保険料を二割増し以上にしてはいけないことになっている。それが今回の提案ではそれが三割まで良いことになり、今後も政府の役人にはそれを五割以上引き上げる権限があたえられるというのである。

今回の下院の提案では肥満者や喫煙者の保険料は割高にはなっていないが、上院に行ったら先のような項目が付け加えられる可能性もある。オバマ王やペロシ議長の口車にのって全てを信じきるのは危険だ。
ではさらにいじりさんが説明するオバマケアの実態を読んでみよう。

「オバマ・プラン」の全貌

じゃーん。これが、オバマの医療保険改革の全貌! 名づけてオバマ・プランだ!
就任以来、公約の医療保険改革を熱く訴えてきたオバマ。 いまいち中身が見えていなかったのだが、 完成しました。オバマ・プラン! いじり訳でお届けします。
これでーす。
オバマ・プラン
安定と安心をすべてのアメリカ人に
保険を持っている人には、安心と安定を。
保険を持っていない人には保険を。
そして家族、ビジネス、政府のヘルスケアの費用を安くします。
――もし今あなたが医療保険を持っているなら
もっと安定と安心を。
持病を持つ人への差別をやめる。
病気や一番保険が必要なときに、保険会社が契約を破棄できないようにする。
病気になって破産しなくてすむように自己負担に上限をもうける。
マンモグラフィー(乳房撮影専用X線診断)や、インフルエンザ予防接種、糖尿病検査など、健康を促進しお金の節約になる予防医療のために費用を余計に払わずにすむようにする。
メディケア(高齢者と障害者のための公的医療保険)のお年寄りの処方箋支払い問題を解決する。
――あなたが保険を持っていないのなら
すべてのアメリカ人にクオリティーが高く、手ごろな保険の選択肢を。
「エクスチェンジ」という新しい保険マーケットをつくり、保険のない人や中小企業の人たちがプランを比較し、低価格で保険を購入できるようにする。
中小企業が社員に保険を提供できるように、また個人が保険を購入できるように税金を控除する。
手ごろな保険を見つけられない人には、公的保険オプションを与える。
新しいエクスチェンジがスタートするまで経済的に困窮していてシビアな持病を持つ人たちのために新しい低価格の保険を与える。
――すべてのアメリカ人に
わたしたちの家族のため、ビジネスのため、政府のためにヘルスケアの費用を制御する。
財政赤字を増やすことなく、費用は事前に支払われる。
独立した医師や医療専門家の委員会を設け、ヘルスケア・システムに無駄や不正がないか突き止める。
早急に医療過誤改革プロジェクトを発足させ、医師が医療過誤訴訟を恐れた防御的な治療をせずに患者を一番に考えた治療をできるようにする。
大きな会社の雇用者は、社員に保険を与え、保険購入可能な個人には保険加入を義務付け、改革の責任をみなで分かち合う。
これがオバマプランの全貌だ。

何もかも体の良い約束をしてはいるが、それをどうやって実行するのかというと話は全く別問題。自由市場を無視し消費者の支払う値段を下げ人為的に固定しても、医療にかかる費用は下げられない。コストが減っているわけではないのだから、その差額を誰かが支払わなければならない。それを民間の保険会社が持ったら即座に倒産してしまう。公営保険が持つとしたら保険料(税金)を引き上げるしかない。
だいたいお役所仕事のやることで予算内で収まったことなど一度でもあるのか? 絶対に赤字経営になって保険料は引き上げられる。国民は給料から少しづつ差し引かれるからすぐにはその値上げには気がつかない。かえるを除々に湯で上げるのと一緒だ。
それでも安い保険を国民に提供すると謳った以上、大幅な保険料つりあげが出来ないとなれば、医療サービスを縮減するしかない。医療提供の質はおち、患者は保険が降りるまで何週間も何ヶ月も病状が悪化するなか待つはめになるだろう。また、常に赤字体勢だから、治療しても見込みがないと思われる患者の治療は頭から拒否されるだろうし、個人的に不健康な生活をしていると政府に判断されたら罰金として保険料があがるかもしれない。公営保険をすでに取り入れているオレゴン州で癌の治療を申請したら、治療は拒否され代わりに安楽死なら保健がおりると推薦された恐ろしい話は以前にもした通り。

オバマプランは、今のアメリカ医療保険の問題をきちんと受け止めていてよろしい。
けど、本当に今まで以上に財政赤字ならずに実行可能なのだろうか?
本当に医療保険が安く手に入るようになるのだろうか?
共和党を納得させられるのだろうか?
デブでも保険に加入できる明日がくるのだろうか!!

Don’t hold your breath.  (息を止めて待たない方がいいよ。)


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何故アメリカ人は公営保健を嫌がるのか? アメリカの保険制度は壊れていない

オバマ王の「改正案」を受け入れる前に、我々が考えるべきなのは、1)現在の保険制度は大幅な改正を必要とするほど壊れているのかどうか、そしてそれが 2)オバマケアによって解決できるのかどうか、3)しかもそれを八兆ドルという国費をかけてまでやるほどの価値があるのかどうか、そしてこれが一番大切なことなのだが、4) オバマがこれほどまでに公営保健を強攻したい本当の理由は何なのか、ということだろう。それらを考慮に入れて、いじりさんが掲げた問題点を吟味してみよう。

「保険っていろいろありすぎちゃってわけわからないわ」

アメリカ人は選択が好きだ。ヨーグルトひとつとってみても、カカシが日本に住んでいた頃はヨーグルトは白いプレーンのものだけだったのに、アメリカに来たら、スーパーでは何種類ものフレーバーのヨーグルトが並んでいてびっくりしたことがある。
健康保険も同じで、自分たちに合った保険を、自分たちの経済状態に合わせた保険料と釣り合わせて選びたいという気持ちがある。健康で若いひとなら緊急時のみだけの保険料の安い最低限の保険でいいと思うかもしれないし、若い夫婦なら出産関係の保険が必要だし、子供のいる家族なら良い小児科を選べる保険が必要だし、老人のいる家族なら老人病も含み介護保険なども選びたいだろう。
それがオバマケアになると、どんな状況の人でもすべての人が全て同じ条件の保険に入る事になり、すべてのひとの保険料が同率になるという。ということは若くて健康なので最低限の保険に入っていた人や、今までなら保健も要らないと思っていたような人が、自分では使い切れない高い保険料を無理矢理払わされることになる。これって公平?

DVの犠牲者や、怪我をする可能性の高い仕事につく人たち、病気もちのみなさんは、保険に入りたくても保険会社に却下されるケースが多いとニュースで言っていた

保険会社も商売だ。医療費を支払う可能性が高い人ほど保険料が高くなるのは当然だし、命に関わるような危険な生活をしている人が時として保険を完全拒否されるということがあるのは仕方ないことだ。そういう人でも無差別に保険に加入させたら保険会社は倒産してしまう。
しかし自分の選択で危険な仕事をしていたり、タバコやお酒や麻薬などといった危険な生活を好んでしている人が保険に入れないのは仕方ないとしても、生まれつき持病があったり、自分が悪くないのに交通事故などで後遺症が残ったり、家庭内暴力の被害者などが保険に全く入れないとしたらこれは困りものだ。このへんは確かに改正が必要だろう。
問題なのは、オバマケアがこのいわゆる既存症状を持つ人々の問題をどう取り扱うのかということだ。オバマケアによると公営保険がこれらの人々を差別せずに加入させるのは当然だが、それと同時に民間の保険会社にも強制的にこれらの人々を加入させるべしという項目が含まれている。
オバマ王はよく、現在自分の入っている民間保険が気に入っている人は、それを変えずにそのまま保持することが出来ると言っている。だが、民間保険会社がこれまで個々に行って来た加入審査やケースバーケースの治療費支払いの審査を自分たちで出来なくなれば、これまでのような利益を得ることができなくなる。民間企業は公営保険のように経費が足りなくなれば税金を上げて補うなどということは出来ないのだから。

治療可能な病気にもかかわらず、医療保険がなかったり、あっても保険で払ってもらえなくて治療が受けられず死んでいく人口が先進国とは思えぬほど多いんだって

いじりさんはご存知ないようだが、公営保険をすでに起用しているイギリスやカナダでは、公営保健が必要な治療を許可するのを待っている間に「死んで行く人口が先進国とは思えないほど多くいる。」イギリスもカナダも民営保険は存在せず、保険が治療を許可しなければ自費を払っても治療を受けることは禁じられている。公営保険は常に財政難で治療を必要とする患者たちは何週間も何ヶ月も時には何年も治療を待って死んで行くのだ。ミスター苺のイギリス住まいの友達は、奥さんが呼吸器官の障害で手術を二年も待っているうちに亡くなった。
カナダからは、公営保険から治療許可が降りなかったか、順番を待ちきれなくなった患者達が国境を超えて毎年何万という数でアメリカの病院へ来て治療を受けている。アメリカの保険が公営化されることで、今一番怯えているのはお隣のカナダ人かもしれないのだ。イギリスでも、お金を貯めてインドや他のヨーロッパの国へ行って手術を受けるのが普通になっているという。
アメリカの制度は完璧ではないかもしれないが、アメリカで保険がなくて治療を受けられずに死んで行く人の数がこれらのヨーロッパ諸国よりも多いなどというのは事実無根だ。
また、私は日本の制度がアメリカに比べて優れているというのにもかなり猜疑心を持っている。日本では老人の介護に家族が疲労困憊するという状況がよく起きる。看病に疲れて親と心中したなどというニュースも何回か聞いたことがあるし、現在親の面倒をみているという女性の苦労話なども聞いている。
自宅療養でなく、運良く入院できても同じ病院に何ヶ月もいられないとか、家族が病院に付き添わなければならないとか、かなり病人の家族の負担が大きい。アメリカの病院なら病院の下働きの人がするような仕事を日本では家族が強いられている。日本の保健がそんなに立派なら、なぜそうした費用も保健が払ってくれないのだ? アメリカでは入院患者に家族が付き添うなど考えられない。
日本に住む私の知り合いに、重度の障害者を抱えた家族がいるが、金銭的な面で施設に入れることもできず家族が面倒をみている。しかし彼の両親もすでに70代で病気勝ち。これで両親が寝たきりになったり死んだりしたら、障害者の面倒は誰がみればいいのだろうか? 彼の施設への入院費は明らかに国民保険には含まれていない。
それに日本の保険料は個人の収入によって決められており、これは保険料というより税金だ。個人経営者は国民保険への加入は強制的にされるし、その料金もかなりの高額。それに日本の皆様は肌で感じているはずだが、以前より医療サービスは低下しているのではないか?
例えば昔なら65歳以上の老人は治療費が無料だったのに、今はいくらか払わなければならないとか。公営保険は強制加入だから保険料が上がってサービスが低下しても、それはやめて別の保険に入るというわけにはいかない。足りない分は民営保健に入っておくという方法もあるが、それでは二重に健康保健を払っていることになる。今後老人が増えていく日本で、このような保険だけだったら日本の人々は不安ではないのだろうか?
確かにアメリカの健康保険や医療制度には問題点は多くある。だが、オバマ王が口やかましく言うほど切羽詰まって大幅な改正をしなければならない状態ではない。しかもオバマケアは現在の状況を改善するどころか、かえって悪い状況を生み、それにかかる国費を考えると今やる価値は全くない。いや、それどころかやってはいけないことなのだ。
無論オバマ王が健康保険改正を強攻したい本当の理由は以前にも述べた通り、国民の医療をコントロールすることによって国民をコントロールすることにある。オバマにとって保険制度改正はファシズムを進めて行くための一つの手段に過ぎない。
アメリカ人が公営保険を嫌がるのは、オバマのそうした本心を国民が薄々感じ始めているからではないだろうか。


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何故アメリカ人は公営保健を嫌がるのか? 日本の保健は良かったよね〜

オバマ大統領の健康保険改正案について日本でも多少は報道されていることと思う。国民保険や社会保険がずっと生活の一部として受け入れられている日本にお住まいの皆さんには、何故アメリカ人が公営保険にこれほどの拒絶反応を見せるのか不思議に思われることだろう。
カカシは日本を18歳の時に出てアメリカに移住してしまったので、日本で責任ある社会人として生活したことがない。だから日本の保険システムがどうなっているのか実感が湧かないし、日本の人たちから「日本はいいわよねえ〜」と言われてもどうもピンと来ない。それと同じで、私がいくらここでオバマ王が提案する、おっとオバマ王が民主党議会に依託して提案させた、公営保険案の悪い面を説明しても、日本の読者の方々にはピンと来ないのではないかという気がした。
そこで先ず、日本で大人として暮らして、旦那さんの仕事の都合などでアメリカ住まいをしている日本人家族の人たちがどう感じているか、こんなエッセーを見つけたので一部掲載する。著者はいじりめぐみさんといい、アメリカ人男性と結婚して二人のお子さんがいるアメリカ住まいの作家。文中の強調はカカシ。

救急車とERと保険のおかげで安心してハチ毒から生還することができたわたしは、「医療保険には入っておかなきゃだめだぞー!」と声を大にして保険加入を自主的に推進している。最近のターゲットは、日本人のNさんだ。
Nさんは、35歳、元会計士。
夫は大きな金融機関に勤めていたけれど去年まさかの倒産。
彼女は夫と子供を扶養家族にして彼女の会社の保険に入れてあげていたけれど最近退職。
今、家族は保険に入っていないのだ。
「やっぱり子供のことが心配だから何かに入っておこうと思って……」
わたしの大きな声の思いが通じ、Nさんは前向きに医療保険加入を考えていた。
「どう?」
おせっかいばばあ(私のことです)は、今日もちょっかいを出しにいってきた。
彼女は、子供がかかりつけの小児科の先生を変えずに済むプランを探しているという。
「保険っていろいろありすぎちゃってわけわからないわ」 (略)
「同じ先生が使えて、年間7000ドルまでは自腹で診察受けることになるんだけれど、
そのあとは25%払えばよくて、ERは一回100ドルで……うん? 7000ドル超えるまでは自腹か、これも……処方箋は80%負担? 自己負担を超えたうちの25%がチャージ? あーしてこうして・・・・・・ああああああ、わからないー!」
と彼女は爆発してしまった。
医療保険ショッピングは複雑怪奇なようだ。
「日本では健康保険証もってればどこの病院でも行けたよねえ」
「明朗会計だったよねえ」
異国の地アメリカでわたしたちは、日本の健康保険制度に郷愁の念を抱くのでした。(略)
医療保険改革問題は、毎日のようにメディアでとりあげられているが、DVの犠牲者や、怪我をする可能性の高い仕事につく人たち、病気もちのみなさんは、保険に入りたくても保険会社に却下されるケースが多いとニュースで言っていた。
そしてこの国では、治療可能な病気にもかかわらず、医療保険がなかったり、あっても保険で払ってもらえなくて治療が受けられず死んでいく人口が先進国とは思えぬほど多いんだって
そんなの差別だ! 平等に医療を受ける権利はこの国の人間にはないっていうのか!
びっくりだな、アメリカ。
いろいろアメリカ医療現場の問題が公になっているというのにアメリカは、どうしていまだに医療保険改革を拒むのだろう……。
安心してピーポーピーポー救急車に乗れる生活、民間保険会社がうだうだ言わないすっきり医療保険、あったらみんなうれしいだろうに。
金融業界、自動車産業、そして今度は健康保険までに手を出すか!と、
今のアメリカは、政府がなんでもかんでもに関与してくるのに拒絶反応を示している。
その気持ちはわかるけど、健康が一番! 誰もがちゃんと健康保険に加入して前向きに生きていけるアメリカを目指そうよ! それがアメリカ再建の活力になるんじゃないのか!

このエッセーを読んでいると、アメリカの保険制度はいかにも崩壊寸前という気がするが、実はそんなことはない。著者のいじりさん自体、冒頭で医療費の心配をせずに緊急治療を受けることが出来たことを書いてるし、お友達のNさんも、旦那さんが失業したにも関わらず、自分たちの状況に合った保健を選ぶことが出来ているということに注目して頂きたい。
それから、ここは強調しておきたいのだが、アメリカでは救急病院に運ばれた患者は、治療費が払える払えないに関わらず、放ったらかしにされて見殺しにされるなんてことは絶対にない。縄張り争いで射たれたチンピラの命でも、アル中乞食の心臓マヒでも、救急病院のお医者さんたちは必死に救ってくれる。瀕死の重病人を見殺しにするほどアメリカ社会は非情ではない。誤解のないように!
アメリカの健康保険システム
アメリカの保険制度は、自動車の保険を想像してもらえば一番手っ取り早い。車の保険が、車の値段や、ドライバーの年齢や事故歴や違反数、また個人的にどこまで負担出来るかどうかといったことを考慮にいれて選ばれるのと一緒で、健康保険も自分らの状況によって選ぶ事ができ、無論それによって保険料も変わってくる。ただひとつ違うのは、車の保険は最低限の義務があるのと違って、健康保険は加入の義務は課されていない。
先ず一般的なのは、カカシも加入している勤め先の企業を通じて入れる団体保険。私の場合は幸運で、うちの会社は数社の民間保険会社と契約があるので、自分に合った好きな保険会社を選べる。この保険には扶養家族として私の配偶者も未成年の子供も加入できる。
大抵の企業は一社の保険会社とだけ契約をしているので、苺畑家ほどの選択権はないが、同じ保険会社でも、その家族に見合った保険を選ぶ事が出来る。例えば、うちは中年の男女二人だけだなので、小児科や出産関係の保険は必要ないが、癌とか婦人病関係の治療は必要といったように。
個人経営者や学生などで団体保険に入れない場合は、個人的に民間保険に入る事が出来る。
但し、この際の審査は団体保険よりも厳しいし、保険料も割高である。私は学生の頃、そういう保険に入っていたが、比較的健康だったので、大事故にあったり急病をしたりした時だけ必要な、自己負担金は高いが保険料の安いものを選んでいた。
若くて病気一つしない人のなかには、全く保険に入らない人もいる。上記にも書いたように、アメリカは非情無慈悲な国ではないので、そういう無責任な人でも緊急の場合は治療を施してくれる。後になってどうやって医療費を返済するのか、患者が踏み倒した場合はどうなるのか、これが社会的問題ではあることは確かだ。
ある程度の年代になるとメディケアという公営シニア保険に入れる。この保険の加入はアメリカ市民なら誰も拒否されない。また過度の低所得者にはメディケイドという公営保険も存在する。
記述だが、アメリカでは健康保険は義務づけられていないので、現在健康保険に入っていないひとの多くは保険に入らないことを自ら選んだ人たちだけである。もちろん保険料が高すぎて入れないという人も多くいるが、万が一の時は救急病院に行けばいいと思ってるちゃっかりした人がいることも確かである。
では次に、いじりさんが上げている現在の保険の問題点を上げ、それがオバマケアによって解決されるのかどうか考えてみたい。長くなるので次に続く。


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