オバマ大統領の健康保険改正案について日本でも多少は報道されていることと思う。国民保険や社会保険がずっと生活の一部として受け入れられている日本にお住まいの皆さんには、何故アメリカ人が公営保険にこれほどの拒絶反応を見せるのか不思議に思われることだろう。
カカシは日本を18歳の時に出てアメリカに移住してしまったので、日本で責任ある社会人として生活したことがない。だから日本の保険システムがどうなっているのか実感が湧かないし、日本の人たちから「日本はいいわよねえ〜」と言われてもどうもピンと来ない。それと同じで、私がいくらここでオバマ王が提案する、おっとオバマ王が民主党議会に依託して提案させた、公営保険案の悪い面を説明しても、日本の読者の方々にはピンと来ないのではないかという気がした。
そこで先ず、日本で大人として暮らして、旦那さんの仕事の都合などでアメリカ住まいをしている日本人家族の人たちがどう感じているか、こんなエッセーを見つけたので一部掲載する。著者はいじりめぐみさんといい、アメリカ人男性と結婚して二人のお子さんがいるアメリカ住まいの作家。文中の強調はカカシ。

救急車とERと保険のおかげで安心してハチ毒から生還することができたわたしは、「医療保険には入っておかなきゃだめだぞー!」と声を大にして保険加入を自主的に推進している。最近のターゲットは、日本人のNさんだ。
Nさんは、35歳、元会計士。
夫は大きな金融機関に勤めていたけれど去年まさかの倒産。
彼女は夫と子供を扶養家族にして彼女の会社の保険に入れてあげていたけれど最近退職。
今、家族は保険に入っていないのだ。
「やっぱり子供のことが心配だから何かに入っておこうと思って……」
わたしの大きな声の思いが通じ、Nさんは前向きに医療保険加入を考えていた。
「どう?」
おせっかいばばあ(私のことです)は、今日もちょっかいを出しにいってきた。
彼女は、子供がかかりつけの小児科の先生を変えずに済むプランを探しているという。
「保険っていろいろありすぎちゃってわけわからないわ」 (略)
「同じ先生が使えて、年間7000ドルまでは自腹で診察受けることになるんだけれど、
そのあとは25%払えばよくて、ERは一回100ドルで……うん? 7000ドル超えるまでは自腹か、これも……処方箋は80%負担? 自己負担を超えたうちの25%がチャージ? あーしてこうして・・・・・・ああああああ、わからないー!」
と彼女は爆発してしまった。
医療保険ショッピングは複雑怪奇なようだ。
「日本では健康保険証もってればどこの病院でも行けたよねえ」
「明朗会計だったよねえ」
異国の地アメリカでわたしたちは、日本の健康保険制度に郷愁の念を抱くのでした。(略)
医療保険改革問題は、毎日のようにメディアでとりあげられているが、DVの犠牲者や、怪我をする可能性の高い仕事につく人たち、病気もちのみなさんは、保険に入りたくても保険会社に却下されるケースが多いとニュースで言っていた。
そしてこの国では、治療可能な病気にもかかわらず、医療保険がなかったり、あっても保険で払ってもらえなくて治療が受けられず死んでいく人口が先進国とは思えぬほど多いんだって
そんなの差別だ! 平等に医療を受ける権利はこの国の人間にはないっていうのか!
びっくりだな、アメリカ。
いろいろアメリカ医療現場の問題が公になっているというのにアメリカは、どうしていまだに医療保険改革を拒むのだろう……。
安心してピーポーピーポー救急車に乗れる生活、民間保険会社がうだうだ言わないすっきり医療保険、あったらみんなうれしいだろうに。
金融業界、自動車産業、そして今度は健康保険までに手を出すか!と、
今のアメリカは、政府がなんでもかんでもに関与してくるのに拒絶反応を示している。
その気持ちはわかるけど、健康が一番! 誰もがちゃんと健康保険に加入して前向きに生きていけるアメリカを目指そうよ! それがアメリカ再建の活力になるんじゃないのか!

このエッセーを読んでいると、アメリカの保険制度はいかにも崩壊寸前という気がするが、実はそんなことはない。著者のいじりさん自体、冒頭で医療費の心配をせずに緊急治療を受けることが出来たことを書いてるし、お友達のNさんも、旦那さんが失業したにも関わらず、自分たちの状況に合った保健を選ぶことが出来ているということに注目して頂きたい。
それから、ここは強調しておきたいのだが、アメリカでは救急病院に運ばれた患者は、治療費が払える払えないに関わらず、放ったらかしにされて見殺しにされるなんてことは絶対にない。縄張り争いで射たれたチンピラの命でも、アル中乞食の心臓マヒでも、救急病院のお医者さんたちは必死に救ってくれる。瀕死の重病人を見殺しにするほどアメリカ社会は非情ではない。誤解のないように!
アメリカの健康保険システム
アメリカの保険制度は、自動車の保険を想像してもらえば一番手っ取り早い。車の保険が、車の値段や、ドライバーの年齢や事故歴や違反数、また個人的にどこまで負担出来るかどうかといったことを考慮にいれて選ばれるのと一緒で、健康保険も自分らの状況によって選ぶ事ができ、無論それによって保険料も変わってくる。ただひとつ違うのは、車の保険は最低限の義務があるのと違って、健康保険は加入の義務は課されていない。
先ず一般的なのは、カカシも加入している勤め先の企業を通じて入れる団体保険。私の場合は幸運で、うちの会社は数社の民間保険会社と契約があるので、自分に合った好きな保険会社を選べる。この保険には扶養家族として私の配偶者も未成年の子供も加入できる。
大抵の企業は一社の保険会社とだけ契約をしているので、苺畑家ほどの選択権はないが、同じ保険会社でも、その家族に見合った保険を選ぶ事が出来る。例えば、うちは中年の男女二人だけだなので、小児科や出産関係の保険は必要ないが、癌とか婦人病関係の治療は必要といったように。
個人経営者や学生などで団体保険に入れない場合は、個人的に民間保険に入る事が出来る。
但し、この際の審査は団体保険よりも厳しいし、保険料も割高である。私は学生の頃、そういう保険に入っていたが、比較的健康だったので、大事故にあったり急病をしたりした時だけ必要な、自己負担金は高いが保険料の安いものを選んでいた。
若くて病気一つしない人のなかには、全く保険に入らない人もいる。上記にも書いたように、アメリカは非情無慈悲な国ではないので、そういう無責任な人でも緊急の場合は治療を施してくれる。後になってどうやって医療費を返済するのか、患者が踏み倒した場合はどうなるのか、これが社会的問題ではあることは確かだ。
ある程度の年代になるとメディケアという公営シニア保険に入れる。この保険の加入はアメリカ市民なら誰も拒否されない。また過度の低所得者にはメディケイドという公営保険も存在する。
記述だが、アメリカでは健康保険は義務づけられていないので、現在健康保険に入っていないひとの多くは保険に入らないことを自ら選んだ人たちだけである。もちろん保険料が高すぎて入れないという人も多くいるが、万が一の時は救急病院に行けばいいと思ってるちゃっかりした人がいることも確かである。
では次に、いじりさんが上げている現在の保険の問題点を上げ、それがオバマケアによって解決されるのかどうか考えてみたい。長くなるので次に続く。


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