今回の旅行記はリアルタイムでミスター苺が書いて我々夫婦の英語版ブログBig Lizardsに掲載したものから転載する。
***********
クレタ島の音は犬のほえ声と雄鶏のコケコッコーと野良猫の鳴き声とさかな売りの声と大声で日々の冒険を友人たちと煙草のけむりをもくもくさせてがなりたてるギリシャ男たちの大声との大合唱。この時期(五月半ば)の気温は明け方は涼しく日中は蒸し暑く夜は騒がしく涼しい。
クレタ島に朝はない。少なくとも朝の生活を観察することはできない。一日の始まりは昼からで、レストランや商店が看板を「準備中」から「営業中」にひっくりかえすのは昼過ぎだ。 クレタ島の色は原色ばかり。ブラインドすら鮮やかな色に染められた壁の反射でまぶしく見える。ギリシャは典型的なヨーロッパ南部の国で、錆びの入った男たちがまだ子供もつくらず、短期な男たちや女たちがまだ争いもしていない国。何をするにも熱すぎるのか、でなければ蒸しすぎなのか、でなきゃ寒すぎるかもしれない。
ハニヤのインターネットカフェを出た後、俺と妻のカカシはインナーハーバーに向かった。イスラム経のジャニサーリース聖廟を通り過ぎ(その醜いコンクリートのドームは祈りの場所というより旅行会社のキヨスクみたいだ)東向きに復元した武器のある方向へ向かう。俺は復元されたミノア時代(紀元前1500年)のガレー船を見るのを楽しみにしていた。しかし行ってみると博物館はしまっていた。博物館が開いてるのは午前10時からだが、何故か午後3時に一旦閉めて再び午後6時から9時まであいているのだという。今の時間は午後5時。博物館があくまで時間があるので先に夕飯をすませることにした。
ガイドブックのアドバイスに従って、俺たちはアポストリス2というレストランで食事をした。これは元のアポストリス1からほんの三軒目くらいのところにあった。ここで俺とカカシは二人で魚のフライコンビネーションとグリークサラダ(トマトとキューリの上にフェタチーズが乗っていた。このチーズは俺が食べ慣れてるのよりぽろぽろしていた。)を分け合った。すべてすばらしくおいしかった。昼食を取ったレストランでもそうだったが、このレストランでもサービスでデザートが出て来た。今回はとろりとした蜜に付けてあるイチジクとヨーグルト。これはイチジクをヨーグルトに絡ませるのが必須。ヨーグルトにはバラの花びらの入ったシロップがかけられていた。ここでもラキというぶどうの皮と茎を発酵させたワインのような酒が無料で出て来た。(クレタ島ではレストランやカフェなどどこへ行ってもこの安酒がふんだんに出てくる。)
俺たちがクレタ島で食べたどの食事にも必ずついてきたのが、アメリカではステーキフライと呼ばれるこのフライドポテト。カカシにフラインドポテトは欲しいかと聞くアポストリスのウエイターに、カカシは他にどんな選択があるのかときくと、「フライかフライ抜き」とウエイターは当然という顔で簡潔に答えた。
食べきれなかった魚は翌朝の朝食にまわすことにした。さてここでこの魚フライのコンビネーションの内容をもっと細かく説明しよう。(俺が食べる話にずいぶん拘ってるようにみえたとしたら、その通り。何故って俺にとって旅行の楽しみは食べることにあるんだから。)籠のなかには海老、イカ、鯛、サディーン、そしてちょっと大きめのオレンジがかった名前不明の魚。それからタコも入っていた。これは他のと違って揚げずに焼かれていた。鯛は骨がやたらとあって取り除くのにはテコヅッタ。しかし他の魚は骨も一緒に口に放り込んで、えらも吸盤もすべて奥歯で噛み砕く事が出来た。
クレタ島での運転は冒険だった。特に市街地はひどい。先ず、ギリシャでは時速制限が地元市民と観光客を分けてしまう。センターラインは単なるガイドライン。普通は車線の右よりを運転し、後ろから車が迫って来たらエマージェンシーレーンに車輪がはみ出すくらい右に寄らないと、後ろから抜かす車に追突されかねない。なにしろ相手は前の車がよけてくれると思い込んでるからスピードを緩めたりしないのだ。また、対抗車が自分の車線に入って前の車を抜かそうとすることもよくあるので、そういう時もさっさと右によけないと危ない。
ま、一般的にクレタ島民は運転はうまい(少なくとも技術はある)のでこんな運転でも大丈夫なのだが、俺たちは隣の小さな町に行く途中でパトカーがすごい勢いで走って行くを見かけた。しばらくすると道路脇の溝に嵌ってひっくりかえってる車を見た。警官達は車のなかから運転手を救出しようとしているところだった。それを見てからは妻は一日中びくびくしながら運転していた。
クレタの道路地図を手に入れるのは不可能に近かった。道の名前は数ブロックごとに変わるし、それですらほとんど表示がない。主流な都市名や道名はギリシャ文字とローマ字の両方で表記されているが、大事な表記はほとんどがギリシャ文字。時間をかけてゆっくり読めば、発音することも出来なくはないが、せせこましい混み合った道を他の車にぶつからないように走ってる間に一瞬にして読めるようなものではない。
「ここ」から「あそこ」へ行く唯一の方法は、大きな地図をみてだいたいどの方角に行けばいいかとで決めるしかない。例えばハニヤはナショナルロードのスーダベイ/ハニア出口から北西に行ったところ、というように。そして道路標識など無視してコンパスをたよりにひたすらに走り続ければ、いつかは見慣れた町にたどりつくというわけ。
*********
カカシ追記:ミスター苺とハニヤに行った時は、ミスター苺のコンパスをたよりにして完全に迷ったが、後で同僚のジェシーと二人で行っ時は、ちゃんと道路標識に頼ってまるで迷わずにすんなり町の中にはいることが出来た。ミスター苺は考え過ぎなんだよなあ、、、


Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *