この間、サラ・ペイリンが自分のフェイスブックに、オバマ王と民主党が強く押している健康保険完全国営化の法案について批判する記事を書いたことが、左右双方に存在する反ペイリン派の連中から完全な歪曲を受け攻撃されている話をしたが、今回オバマ王自らがこの歪曲にさらに追い討ちをかけてペイリンの批判を不当に攻撃した。誰かに反論するなら、せめて相手の言っていることをきちんと理解してからにして欲しい。勝手に相手の意見を歪曲し、「なにを馬鹿なことをいってるんだ」とか「うそつき!」とか言って言いがかりをつけるのはいい加減に止めて欲しいものだ。
反ペイリン派の言い分は、ペイリンが表現した「死の審議会」とは、オバマケア法案に含まれている末期医療”end of life care counseling”と呼ばれる末期を迎えた重病患者へのカウンセリングについての批判だと誤解だか曲解だかして、ペイリンの批判は気違いじみていると言うものである。
このカウンセリングがどういうものかは別として、ペイリンが話しているのはこの項目についてではなく、健康保険の配給制度にある。では先ず、問題になっているペイリンのコメントを再掲しよう。先日はrationingを「節約」と訳してしまったのだが、本当は「配給」が正しいので、直しておいた。

民主党は政府の医療システムが医療にかかる経費を下げると約束しています。でも経済学者のトーマス・ソウル氏が指摘しているように、政府による医療は経費を下げません。単にかかった費用の支払いを拒絶するに過ぎないのです。この配給制度によって一番苦しむのは誰でしょうか?それは言うまでもなく病人や老人や身体障害者です。私が知り愛するアメリカは、私の両親やダウンシンドロームを持つ私の赤ちゃんが、オバマの「死の審議会(death panel)」が決める「生産性の度合い」を役人たちの主観によって判断され、医療を受ける価値があるかどうかと審議されるような国になるのを黙ってみているわけにはいきません。このようなシステムは完全なる悪です。

ペイリンはオバマケアに「死の審議会」と呼ばれるものがあって、法案には、その審議会の役人によって、誰が生き延び誰が見殺しにされるのかが決められるという項目がある、などとは言っていない。ペイリンは、オバマケアの誰が治療を受け誰が受けられないかという配給制度は、結果的に死の審議会を招くことにあるのだと言っているのだ。「死の審議会」とは彼女なりの比喩なのであり、実際にそういう審議会が存在していると言う意味ではない。
にもかかわらず、こともあろうに、保守派新聞のワシントンタイムスですらも、ペイリンの批判はオバマ政権の医療アドバイザーであるエマヌエル医師が安楽死を促進しているという批判まで引き起こした、などと、とんちんかんなことを書いている。
ペイリンが下院のオバマケア法案に「安楽死」の項目が含まれていると書いている、などという馬鹿げた言いがかりは、ミスター苺に言わせると、ペイリンが「自分のアラスカの家からロシアが見える」と言うペイリンの物真似コメディアンのジョークをペイリンが実際に言ったものと勘違いしているのと同じくらい馬鹿げている。
他の新聞でもこの曲解は何度も繰り返されている。共和党のジョン・イサクソン上院議員の軽はずみな誤解発言のおかげででペイリンや反オバマケアの市民に多いに迷惑をこうむっている。
サラ・ペイリンが批判している「医療配給制度」は、ホワイトハウスの保険アドバイザーであるエマニュエル医師(Ezekiel Emanuel、オバマ王のエマニュエル参謀長の兄弟)が強く押していた制度である。エマニュエル医師は、20年前ごろから配給制の必要性を感じていたが、最近になって、医療制度には無駄が多すぎるため、その無駄を排除すれば配給制の必要はないと考えを変えたと語っている。しかし、ペイリンは、エマニュエル医師が何と言おうと、下院のオバマケア法案は必然的にいずれは配給制にならざる終えないと主張しているわけだ。
さて、ここまで自分の書いたことを歪曲して報道されたのでは、ペイリンとしても黙っているわけには行かない。そこでペイリンはまたまた自分のフェイスブックに説明のエントリーを書いた。例によって日本語で通じるように適当に意訳してのでご了承いただきたい。

さくじつ、オバマ大統領は民主党の健康保険提案は医療の配給制につながり、病人やお年寄りや障害者がこのような配給制度の下でもっとも苦しむことになり、また、そのような制度の下には「生産性のない」社会のメンバーは政府の役人によって医療を受ける価値があるかどうかを判断されることになる、という私の供述について 反論しました….

もちろん問題なのはこれだけではありません。私の最初の発言はオバマ大統領の保険アドバイザーであり、参謀長官の兄弟でもあるエマニュエル医師の発言に対するものです。 エマニュエル医師は医療サービスは「社会に参加することが不可能な市民に対しては保証されない」と書いています。医師はその典型的な例として、「痴呆症の患者に医療サービスを提供しないことなどがある」としています。エマニュエル医師はさらに、医療提供の決断は「15歳から40歳までの人を最優先にすべきであり幼少や老年の人々はその後にすべきであることも推薦していました。

ペイリンはオバマケアが医療サービスの配給制につながるということを明確に説明したのに加え、さらにオバマ王が間違って結びつけた末期医療項目についても説明している。

オバマ大統領が引き合いに出している項目はHR 3200の1233項にある “Advance Care Planning Consultation” と題される部分です。恐縮ながら申し上げますが、大統領による、この項目が完全に自主的なもので、単にメディケアの利用者により正しい情報を与えるためのものだという説明は誤解を招くものであります。 問題なのはこの情報が与えられる状況です。この状況下で与えられる情報には強制性があるのです。

1233項はメディケアに加入している老人に5年ごとに末期医療に関するサービスについてカウンセリングするとあり、また、 「個人の病状に極端な変化があった場合、もしくは介護施設に入院した際、または長期施設やホスピスに入った場合」にもカウンセリングが施されるとあります。このカウンセリングの際に、カウンセラーは「緩和介護やホスピスを含む末期医療の継続サービスについて」説明しなければいけないとあります。
これを正しい文脈にあてはめて見直してみましょう。このようなカウンセリングはメディケア加入者の健康が極端に変化した時やホスピスに入院した時に与えられるとありますが、この項目は法案の「増加する医療費を削減するための目的」という部分に記されているのです。このような状況でされるカウンセリングは、医療費の節約のために最低限の末期医療を受けるように協力を迫られているものだと、お年寄りたちが判断したとしても不思議ではありません。チャールズ・レーン氏がワシントンポストで指摘しているように、1233項は温情的な目的を示すはずなのに、何故か経費関係の部分に書かれていて当惑します。もし病気による身体や心の苦しみを緩和するためのものであるなら、いったいどうして医療経費削減の部分に書かれたりしてるんでしょうか?

このような解釈を「嘘」と言ってのけるのがリベラルの常套手段なのだが、その典型的なのが左翼変態フェミニストのエミちゃんだ。彼女がこのことについてマイクさんとやり取りをしていて面白かったのでここでもちょっと引用させてもらう。

マイク・ロス:オバマ政権が押す法案内では全く同じような形で役人が決めた法則に基づいて「尊厳死」の適用を医者ではなく、役人が勧告すると書かれている。法案を読んでませんよね?

エミちゃん:ウソつき! よくもこうウソだらけのデタラメを書けますね。恥知らずが。(略)
ウソその2。議会民主党が推進している法案では「尊厳死を役人が勧告する」とあなたは書いていますが、これはラッシュ・リンボーをはじめとするトンデモ右翼によるまったくの言いがかりです。この主張についてのきちんとした報道は、こちらにあります: PolitiFact.com
実際に法案に何が書かれているかというと、高齢者は五年に一度、末期医療についてカウンセリングを受け、意識不明に陥った時にどのように扱って欲しいかの意思表明をするための補助を受けることができる(そのための費用を公的保険が負担する)、ということです。

末期医療のカウンセラーは医者とは限らない、いやむしろお役人がすると考えたほうが無難だ。また、もし上記のペイリンの言う経費節約の文脈で尊厳死などのオプションが説明された場合、病気の末期を迎えている重病人や老人ホームに入ろうというご老人が、「経費節約のために私に早く死ねといいたいのか?」と怒ったとしても不思議でもなんでもない。つまり、マイクさんの言い方は極端かもしれないが、「役人が尊厳死を勧告する」という解釈もまんざら嘘とはいえないのだ。
またエミちゃんはオバマ王が特定の法案を推進してなどいないと断言しているが、じゃあいったいオバマ王は何のために全国を巡業して市民にオバマケアを説明してまわってるわけ?
ちなみにエミちゃんは自分と解釈の違うマイクさんをうそつき呼ばわりして、自分が嘘をついていると認めなければコメントは削除しますと脅迫。マイクさんがそれに応じなかったのでコメントは削除された。さすがリベラル。やり方が汚い。


1 response to オバマケアの「死の審議会」とは何か? サラ・ペイリンが説明

えんき10 years ago

これもあるのでしょうが、中絶の費用に自分が払った保険料を充てられるかもしれないということに、
拒否感が有る人も多いのではないでしょうか。

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