先日、健康保険の国営化はファシズムの兆候であるという話をしたが、オバマ王の国民健康保険案の内容について、さらに詳しく説明しているサイトを幾つか読んでいて、オバマ王による民間保険企業破壊陰謀はカカシがおもっていたよりもずっと深刻でひどいものであることがわかった。
最初に読者のマイク・ロスさん紹介のタウンホールドットコムに掲載されていた共和党のトム・プライス下院議員のコメンタリーから読んでみよう。
日本の読者諸君は覚えていないかもしれないが、クリントン大統領の時代に夫人のヒラリーが提案した国営健康保険、いわゆるヒラリーケアは、国民の間でものすごい不人気だった。プライス議員によると、民主党はこの以前の失敗を教訓として、今度は国民に選択の余地を与えるとか、(public option)とか民間保険企業と競争する(compete)とかいう、いかにも自由市場を思わせる言葉を掲げ上げて、事実を覆い隠し、選択の余地も競争もなにもあったもんじゃない国営健康保険によって健康保険乗っ取りを計っているという。
国営保険プランは利益の有る無しに関わらず、巨額な国税の援助によって経営されるので、実質的利益に頼る民間企業では連邦政府財務庁に支えられた底なし政府プランには立ち向かえない。それで一見国営保険の方が安くて色々な医療を提供してくれるように見えるため、何百万という国民が国営システムの方に導かれることとなる。ここに深い落とし穴があるということも知らずに。
お役所仕事が民間企業より能率が悪い事は誰でも知っていることなので、多少の高額を払っても民間保険を選ぶ人はいるはずだ。しかし、オバマはそういう「間違った選択」をする国民や企業を罰する方法も用意している。
先ず第一に、国民に最低限の健康保険の加入を強制する。そして企業にもすべての従業員に健康保険を提供することを要求する。すべての国民に健康保険を与える法案とかいって、いかにもオバマ王は国民の健康を心配しているかのように見えるが、政府が要求する保険加入を拒否した個人や保険提供に見合わない企業は厳しく罰せられる。
この案が実践されれば、これまで個人が判断して自分に必要な保険にはいっていたのに、今後は政府が個人に必要な「最低限の保険」を指定するとなったら、いったいどういうことになるだろうか?
現状では、民間保険は保険に入る人の年齢やそれまでの病気の歴史やタバコを吸うとか肥満だとかいう個人の状況を考慮にいれて、それぞれ見合った保険料を課す。保険を選ぶ側も、これまで風邪もひいたこともない健康な若者なら、不測の事故で大怪我をした時だけ保険が降りる安い保険を選んだり、または、その時はその時だとして全く保険に入らない決断をすることも出来る。
だが、オバマ法案では、55歳で三人の子持ちで家族に乳がんの人がいる女性でも、23歳の若い男性でも、政府が決める「ワンサイズ」式でまったく同じ保険に入らなければならなくなる。20代の若者に50代に見合った医療保険を押し付ければ、個人にあった適切な医療提供など不可能になる。個々には個々にみあった医療というものがあるはずなのに、そうした個人の必要性を無視するのがリベラルの典型的な姿勢だとプライス議員は指摘する。
さて、では保健料が高すぎて、政府が要求する最低限の民間保健に入れない人や、税金控除もできなくなり、保険料のかさむ保健をすべての従業員に提供するなど不可能な企業らはどうすればいいのか?
個人なら保険料の安い国営保健に加入するだろうし、企業なら罰金を払っても従業員への保健制度を全面的に廃止したほうがかえって経済的だという結論をだすようになるだろう。もともとオバマの狙いはそこにあるのだから、企業は政府に罰金(税金)を払うことで、企業提供の保険制度は崩壊する。
CNNの経済欄社説に載せられているこの記事によると、オバマ保険案には民間保険会社を破壊すべく、上記の最初の規制に加え、さらに三つの厳しい規制が含まれているという。まずオバマ保険案のよっつの提案を見直してみよう。
第二に、連邦レベルで全国一律の保険料が課される。健康だろうと病気持ちだろうと若かろうと年寄りだろうと、個人の保険料が一律になるとしたら、結果的に若くて健康な人が年を取って病気勝ちな人間の保険料を賄うということになる。
第三に、オバマ王は個人が州を越境して安い保険に加入することを禁止する。安い保険料をもとめて消費者が買い物する自由を奪おうというのである。
第四に、「公衆選択」(public option)と呼ばれる一部の人だけが加入している既存のメディケアーのような国営保険を全国民に提供する。前記の三項目が民間保険企業を完全に破壊してしまうわけだから、国民は国営の健康保険を選ばざる負えなくなるというわけ。なにが「選択」なんだよ、いい加減にしろよと言いたいね、全く。
国民が政府に医療判断を任せたらどういうことになるか、考えただけでも恐ろしい。景気がいい時はいいが、国が経済難になってきたら、先ず最初に削られるのが医療だろう。80歳過ぎの年寄りは癌の治療などしてもすぐ死ぬのだから無駄だとか、エイズの治療は高くつくし、放っておけば2〜3年で死ぬから経費節約になるとか国が判断したらどうなるのだ? 
また国民全員が国民保険に入るとなると、政府に批判的な意見を言う人間の医療申告は何故か拒否されるとか、拒否されないまでも、何故かちんたら時間がかかって許可がなかなか降りないなんてことになりかねない。オバマをファシストなどと言ってたどっかの零細ブロガーが更年期障害でホルモン治療を受けたいと言っても拒否されて、ブログが余計ヒステリックなるなんてこと、あり得るなあ。
ファシストオバマならやりかねないことだ。
命を政府に預けてしまったら、自由の国アメリカはおしまいだ。アメリカ国民よ、オバマの二枚舌に騙されてはならない。国営健康保険制度は絶対に許してはならない!


3 responses to 民間保険を破壊するオバマ国民保険案の陰謀

Marilyn15 years ago

はじめまして。
いつもカカシさんの記事を楽しみに読んでおります。
今日は質問がありまして、コメントを書かせて頂きます。
オバマが進めようとしている「国民保険」と
日本が実施している「国民保険」とでは
どのような違いがあるのでしょうか?
アメリカでは、保険が高いために、加入することができず、
病気になっても病院に行くことができない方々がいらっしゃると聞きます。
歯科医療などが、最も顕著なように見受けられます。
(健康保険に加入しているが、歯科治療はあまりカバーされていないなど。)
日本では、会社員でしたら「社会保険」など、その他の方々には「国民健康保険」がありますね。
保険料は、決して安いものではないですが、歯科治療でも、内科、外科ともに、3割負担(保険内診療)にて
どこへでも行けますよね。
この日本の保険制度との違いが、いまひとつ理解できないのです。
オバマが進めようとしている制度には、どこに欠陥があるのでしょうか?

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Sachi15 years ago

Marilynさん、コメントありがとうございます。
日本の国民保険がどういう仕組みになっているのか知らないので、オバマの提案するものとどう違うのかという説明は出来ないのですが、日本のものより融通の利かないものであることだけは確かですね。
アメリカには国民保険というものはありません。低所得者とお年寄りを対象にしたメディケアとかメディケイドとかいうのがありますが、一般の人は勤め先の会社が提供する社会保険に入るか、個人で民間の保険に入るかします。
保険料は高いので、個人経営の人や派遣社員とかアルバイト学生など保険に入って居ない人も多くいます。
医療費が馬鹿高いというのは事実ですが、オバマケアが実現したら、医療のレベルが落ちるだけで、一般市民の医療費が低くなるというものでもありません。
難しいところです。
カカシ

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In the Strawberry Field7 years ago

崩壊するオバマケア国民皆保険、最初から計画的だった!

オバマ就任早々の2008年からオバマが国民皆保険を目指して始めたオバマケアは、今に至って完全なる崩壊状態にある。当初オバマはオバマケアによってそれまで保険に加入していない低所得者や持病もちの人々でも格安の保険に加入が可能になり、すでになんらかの保険に加入している人々の保険料も大幅に減ると詠っていたが、蓋を開けてみれば人々は自分が気に入っていた保険を解除され主治医にも通えなくなり、保険料は何倍にも値上がりするという散々たる結果を生んだ。しかし、これがオバマ大統領の失態と見るのは軽率だ。民間保険の崩壊、…

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