遅ればせながら、従姉妹のMちゃんから送られて来たメールの件で、日本の国籍法改正案についてちょっと考えてみたい。
実を言うと移民問題はカカシにとっては他人ごとではない。何故ならば、カカシ自身が1980年代にアメリカに移住し、その10年後にアメリカ国籍を取得した移民だからである。カカシのアメリカにおける移民法に関する意見は以前移民問題を装う人種差別移民法改正案阻止が共和党の崩壊へとつながる可能性でも述べているが、カカシは移民に対して非常に同情的な立場にあるということを読者の皆様にご理解願いたい。
私はアメリカで違法滞在をしたことは一度もない。だがそれは私が単に幸運だったというだけのことであって、決し私が尊い道徳心を持ち地元の法律を重んじたからという理由からではないし、正直な話、アメリカの移民法は決して理想的ではない。私がきちんとした永住権を得、そして正式な市民権を得るまでには、かなりの苦労を要したのだと読者の皆様に強調しておく。
しかし、それでも日本の移民法に比べたら、アメリカのほうがよっぽども移民に同情的だと言えるだろう。カカシは右翼的思想をもっていはいるが、在日する韓国系中国系の市民に対して脊髄反射的な拒否反応は持っていない。また、カカシは日本の米軍基地付近に滞在することが多いため、風俗店に勤めるフィリピン系の女性達との付き合いも多く、彼女達への同情心もかなり強く持っている。フィリピンにいる4〜5人の家族を養うために日本で働いていたのに、滞在ビザが切れてやむなく帰国せざるおえない女性達にも会ったし、日本人の愛人に捨てられて未婚の母になって苦労している女性にも会った。こういう女性達のことを考えると、結婚していなくても父親が日本人である以上、その子息たちの日本国籍は認められて当然だろうと思う。だから私は今回の国籍法改正案についても、従姉妹のMちゃんが期待するほど強い反対意識や危機感は持っていない。
Mちゃんをはじめ、日本の保守派は今回の国籍法改正案について場違いな批判をしているような気がしてならない。確かに、単に日本人の片親が実子であると認知した場合には,DNA鑑定の必要なしに20歳未満の青年の日本国籍が認められてしまうとなると、それでなくても移住権目的の偽装結婚が後を断たないというのに今度は偽装認知による違法移住者が増える恐れがあるという危惧は理解できる。
だがそれは国籍法の問題というよりも認知法の問題なのではないだろうか。これは左翼変態フェミニストの小山エミが指摘している。

また、仮に男性の「やり逃げ」を阻止するために、強制的にDNA検査を受けさせることができる制度を作るとした場合、その対象は外国人女性とのあいだに子どもをもうけたとされる男性だけでなく、すべての男性に及ばないとおかしい。外国人女性はDNA検査によって父親に認知を強制させられるのに、日本人女性にはそれができないというのはおかしな話だもんね。いずれにしても認知をめぐる法律において決めるべきことで、国籍法の問題ではない。さらに言うと、状況証拠や証言から親子関係が明らかなのに、父親が失踪していたり死亡していたりでDNA採取ができなければ、それだけで子どもの国籍を否定できるのか。

私も小山エミ同様、これは認知を巡る法律を改正すれば国籍法をとやかく言わなくても解決できることだと思う。
しかし私は、国籍法などという末端のことを議論する前に、日本社会は今後移民の受け入れをどのように行って行くつもりなのか、その方針をはっきりさせことの方が大切だと考える。
本人達が意識していなくても移民の受け入れを拒絶する保守派の間には、アメリカでも日本でも他人種迫害の差別意識が少なからず働いている。彼らが明らかな人種差別者であると言っているのではない。だがよそ者には近所に住んでほしくないという気持ちがあることは否定出来ない。
かといって、外国人が無制限に入ってくる事実は治安上も文化上も決して好ましい状態ではない。現に外国人による犯罪は日本でもアメリカでも地元民の犯す犯罪よりも凶悪で頻度は高い。また地元の文化を尊重せず外国の野蛮な文化を身勝手に持ち込む外国人移民による文化の粗悪化も決して無視できない事実である。
しかし、少子化の進む日本において、外国人労働者は必要不可欠。日本人だけでは日本社会はもう成り立たない状態である以上、外国人をやたらに閉め出すやり方では違法移民を増やすだけで何の解決にもならない。
大切なのは、日本の文化を保ちつつ外国人を受け入れる均衡の取れた移民法を作り出すことだ。それには、移住してくる外国人がなるべく早く日本社会に融合してもらえるような体制を日本は整える必要がある。
外人は嫌いだという阻害的な姿勢で、移民を一定地域に隔離して、一般市民とは異なった扱いをしたりすると、今、ヨーロッパ諸国で起きているモスレム移民問題のようなことが起きてしまう。ホストカントリーが自分たちの面倒を見てくれないから、自分たちで仲間を守るという気持ちから、かえって過激な思想が生まれてしまう。
アメリカではモスレムによる暴動などといったものは全く起きていない。アメリカにもかなりの数のモスレム移民がいるはずだが、大抵の人たちは自分のビジネスを持っていたり、お医者さんだったり、技師だったりして、アメリカ社会で経済的にも社会的にも成功しているから、地下鉄で自爆テロをするような動機が生まれないのだろう。一部の過激派がアメリカのモスレムたちを煽って運動をおこそうとしてはいるが、ヨーロッパのような状態からはほど遠い。
何度も繰り返すが、アメリカは移民の国だ。移民の一世代目はそれぞれの国の言葉や文化を深く引きずっているのでなかなか社会に溶け込みにくいし差別にも会う。だが二世代目になると、もう自分は外国人だという意識を持つ人はいない。何故アメリカではこうも簡単に移民が融合してしまうのか。それはアメリカではアメリカで生まれた人間は皆アメリカ人だという意識があるからで、親の国籍や人種に関わらず公平な扱いを受けることが保証されているからだ。誰でも努力すればアメリカンドリームを達成できるという前提があるからだ。
さて、以前にもこの問題について書いたことがあったので、ここでカカシの2006年のエントリーの一部を添付して締めくくりたい。興味のあるかたには是非全文を読んでいただきたい。
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外国人労働者をどう扱うか(2006年11月21日記載)
何故外国からの不法滞在者が増えるのかといえば、彼らが合法に滞在する手段が容易ではないからである。これはアメリカにしろ日本にしろ同じことだ。貧困に悩む近隣の諸外国から比較的経済の豊かな日本やアメリカに移民が集中することはごく自然な現象であり、彼らを締め出そうとすればするほど不法入国者が増えてしまうのである。 
また欧米にしろ日本にしろ外国人労働者なくしては経済が成り立たない以上、雇用者を罰するなどという方針をとっても無駄である。大企業が政府に働きかけ法律を腑抜けにしてしまうか、法の網をくぐって違反は絶えずおきるだろう。 
ブッシュ大統領は外国人労働者を季節労働者として扱い一定の時期だけ就労と滞在が可能な特別な旅券を与える法案を提案しているが、私はこれにも反対だ。なぜならば一時的に外国に滞在している外国人労働者たちはその国の社会に所属しているという意識がない。 日本のことわざで「旅の恥はかき捨て」というのがあるように、自分が所属しない社会の治安維持に外国人が無頓着になるのは必定で、これが外国人労働者による犯罪を促進する原因となる。
また、一時滞在を違反して長期滞在をするようになった外国人労働者たちは限られた一定の低所得職業に隔離されてしまい、社会に異民族を主体とした下層階級を作ることにつながる。それが欧州におけるイスラム教徒移民問題のそもそもの発端なのである。 
では不法滞在を減らすためには外国人労働者の問題をどうすればいいのか。
一番大切なのは合法に外国人を受け入れる方法を考えることである。何故外国人の不法滞在問題が、合法な外国人受け入れ対策で解決できるのか不思議に思われる方もいらっしゃるだろうが、違法が起きるのは既存の法率に問題があるからなのである。
外国には貧乏に困って日本で働きたい人々がたくさんいる。日本は人手不足で外国人労働者を必要としている。 こうした需要と供給がある以上、日本は合法に外国人を受け入れるべきなのである。 その際、外国人が日本で働くための規則を具体的に明確にし、犯罪やスパイ行為などとつながらないと判断された外国人はそれほど面倒な手順を踏まずとも入国できる法律をつくるべきだ。 そしてこれらの就労者がつける仕事の内容にも外国人だからという理由で規制はせず、長年合法に日本で働き暮らしてきた外国人は資格試験などを通して、明確な基準を通過すれば永住権、ひいては日本国籍も取得することができるという機構を設けるべきである。
そうすれば、努力次第で日本に永住できるようになると考えた外国人は、日本の社会の一員としての自覚をもつことになる。
(中略)
私は違法移民問題にしろ、特別永住権の見直しにしろ、現在の状況を緩和したいのであれば、代わりになる方策を立てる必要があると考える。違法移民を締め出すなら合法移民をどうするのか、特別永住権を剥奪するなら現在特権を持っている人々をどうするのか、そうした解決策が明確に提示されない限り、違法移民を追い出せ、永住権を見直せといってみても問題解決にはならないと思う。


7 responses to 国籍法より移民法の改正を

sadatajp15 years ago

>しかし私は、国籍法などという末端のことを議論する前に、日本社会は今後移民の受け入れをどのように行って行くつもりなのか、その方針をはっきりさせことの方が大切だと考える。
現状『方針をはっきりさせる』ことなど無理です。日本には既に不適格な外国人が大量に入り込んでいるのです。日本の文化を否定し、融合する気など皆無の外国籍を持つ人が大量にいるのです。そして、その外国人達の姿勢を後押しするサヨクが相当な政治的社会的影響力を持って存在してるのです。そんな状況で移民受け入れの方針をはっきりさせることなど出来ません。
今の日本は『日本の“文化を保ちつつ”外国人を受け入れる均衡の取れた移民法』など作れるような状況ではありません。『移住してくる外国人がなるべく早く“日本社会に融合”してもらえるような体制』を作れるような状況でもありません。サヨクと、この日本文化に敵対的な外国籍の人達を排除するという一見『外国人をやたらに閉め出すやり方』に見えることをやらないと、そんな体制もそんな移民法も作れません。それが今の日本の現状です。無理なことやれと言っても無理です。出来ません。出来ない対策は対策になりません。出来ない対策を提言されても聞けません。

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oldman15 years ago

欧米と日本の決定的な違いは、近隣国の属性にあります。
日本の隣国は中国と朝鮮ですが、これらの国民はいわゆる反日教育を受けていて、強い反日感情を有しています。最近のことですが、韓国の地下鉄駅構内に小学生が描いた日本人虐殺を主張するポスターが多数展示されました。そんな教育を受けた人々を喜んで迎え入れることはできません。
第二に、13億とも17億とも言われる巨大な人口を有する中国に、わずか1億強の日本は飲み込まれるかもしれないという恐怖感を持たざるを得ないのです。中国人の残虐さは天安門事件やチベットを思い起こせば明らかでしょう。毒餃子事件における中国当局の横暴な態度、中国の著しい軍備増強、日本に照準を合わせる多数の核ミサイル、頻繁な中国軍艦の領海侵犯なども私たちの不安をかき立てます。
絶えず核攻撃の脅しをかけてくる北朝鮮だけでなく、中国と韓国も準敵国と見るのが妥当な状況なのです。
このように欧米とは著しく異なる状況下にある日本に、欧米の価値観を適用するのは適切ではありません。
>しかし、少子化の進む日本において、外国人労働者は必要不可欠。日本人だけでは日本社会はもう成り立たない状態である以上、外国人をやたらに閉め出すやり方では違法移民を増やすだけで何の解決にもならない。・・・
外国人労働者なしでも日本は十分にやっていけます。看護師などの労働環境が悪い職業ではなり手が少ないのは事実ですが、一般的な労働力が不足しているということではありません。今回の不況では多数の派遣労働者や外国人が解雇されました。人手は有り余っています。狭い国土に多すぎると言っても良いでしょう。
将来、景気が回復した場合でも、機械化・ロボット化の推進、女性や高齢者の活用などにより、日本人だけで十分にやっていけますし、また、何が何でもそうしなければなりません。
>日本社会は今後移民の受け入れをどのように行って行くつもりなのか、その方針をはっきりさせことの方が大切だと考える。・・・
方針ははっきりしています。
移民も難民も原則として一切受け入れない、ということです。世論調査でも国民の80%は移民受け入れに反対です。

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Sachi15 years ago

sadatajpさん、oldmanさん、
コメントありがとうございます。お二人とも日本の状況はアメリカとは全く違うとお考えのようですが、移民に関してはさほど違いはありません。おとなりのメキシコでもカナダでも信じられないほどの反米教育がされていますし、アメリカの左翼メディアのおかげでアメリカは反米意識を持った諸外国に囲まれています。
でも、諸外国がそれだけひどい反米プロパガンダを国民に植え付けているにも関わらず、アメリカに移住したい外国人は後を断ちません。ということはこれだけのネガチブ教育を受けながらアメリカの良さを理解してあえてアメリカに住みたいという人たちほど親米な人たちはいないということです。そういう人たちを彼らの出身国の方針が気に入らないからといって閉め出すのはおかしくありませんか?
日本にしても同じです。近隣国の反米教育は目に余るものがあります。でもそんな教育を受けながらも自国の半日プロパガンダを信用せずにあえて日本で働きたい、日本に移住したい、と考える外国人なら、日本は歓迎すべきではありませんか?
もちろん外国の文化をそのまま持ち来んで日本の文化を無視して犯罪を起こし放題の外国人が存在するという事実は私は充分過ぎるほど知っています。犯罪者は日本人であれ外国人であれ徹底的に処罰すべきであり、犯罪を犯す外国人は即刻追放すべきです。
でも一部の人間が犯罪を犯すからといって、国籍が同じだというだけで、外国人を完全に閉め出すというやり方は日本にとって良いことだとは思えません。移民法を厳しくすればするほど密入国者を増やし犯罪を増幅させることになると私は思います。
カカシ

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oldman15 years ago

私、娘が出産したので手伝いのため、9月頃にサンフランシスコ近郊に1ヶ月ほど滞在しました。落ち着いた住みやすい町で、こんな所なら自分も移住したいと思いました。ですから、カカシさんのお気持ちもよく理解できます。
大量の移民を受け入れる米国の寛容さは、世界一の経済力と軍事力があってのことではないでしょうか。その米国でさえ、戦時中は日系人を強制収容所に送り込みましたが、敵性国家からの移民であったわけですから、やむを得ない処置だったのでしょう。
今日の産経に伊藤正北京特派員のコラムが掲載されています。遅浩田前国防相の回想記が最近再び注目されているという内容ですが、この人物は米国打倒と日本殲滅を主張し、核使用を肯定する過激な軍強硬派です。
中国は深刻な不況に見舞われ、暴動が激増するなど社会が不安定さを増しています。今後の展開としては、大量の難民があふれ出すとか、周辺国への侵略戦争を始めるなどの恐ろしい事態が予想されます。
このような状況下で、日本在住の中国人が大幅に増加しているわけですが、中国人移住者が増大することによりチベットがどうなったか、あるいは、パレスチナへのユダヤ人の入植がどういう結果をもたらしたか、などを想起すれば、将来、日本民族の消滅に結びつく可能性を否定できないのではないでしょうか。ちなみに、日本が移民を受け入れるとすれば、70%は中国人で占められると予想されています。
移民の増加により、経済が活性化されるという意見がありますが、むしろ、menial jobs に従事する日本人の社会的弱者と外国人の間で賃金切り下げ競争が起きるでしょう。その結果、むしろ、経済は停滞し、社会が荒廃します。米国でも黒人などが多く住む地域は怖くて近寄れません。
このように、移民の受け入れは、受け入れ国側にとってメリットはほとんどなく、デメリットは数限りなく指摘することができるのです。
米国とは異なり、日本は海に囲まれていますので、密入国者は比較的少なく、今のところ、あまり大きな問題にはなっていません。ただし、将来、中国からボートピープルが大量に押し寄せる可能性は否定できませんので、沿岸警備力を増強することが課題だと考えます。

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oldman15 years ago

補足します。
私の上記意見は単純労働者に限定したものです。
科学者などの高度人材を世界中から均等に(中国に偏らずに)受け入れることには賛成です。
それと、2005年に大紀元に掲載された上記遅浩田前国防相の論文ですが、
http://jp.epochtimes.com/jp/2005/08/html/d82122.html
偽造説があったそうですが、伊藤正北京特派員によれば「本物」ということです。

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Sachi15 years ago

oldmanさん、
戦時中の日系人収容はアメリカの近代歴史のなかでも汚点です。収容されたのは日本人ではなくアメリカ人だったのですから。母国がどこであろうと、アメリカに移住した以上アメリカ人として扱われるべきですし、ましてやその二世や三世まで敵国人扱いして収容するなどもってのほかです。これは人種差別以外のなにものでもありません。
国が移民を受け入れるなら、移民を外国人扱いしてはいけないのです。
カカシ

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sadatajp15 years ago

日本の社会に溶け込みたいという親日的な入国者など極々わずかです。
ほとんどは日本の中に自分達の居場所を確保したいという人達です。
彼らが確保した分だけ、元々あった日本的なものや日本人は排除されていきます。
日本が排除されたその中は、もう日本のやり方や考え方が通用しない異国です。
彼らがやってるのは民間レベルでの侵略です。歓迎出来るわけがありません。
で、国籍法の改正や移民受け入れはこの民間レベルの侵略を跳ね除けることを難しくします。「移民を外国人扱いしてはいけないのです」ということで、この侵略者を日本人と同等に扱わねばならないとなりますから。しかし侵略者はやはり同胞と同等になど扱えません。法律緩めて侵略者まで“移民”ってことにされたら、“移民”そのものを受け入れることが出来なくなります。侵略者が移民の顔して入ってくるなら移民は侵略者を指す言葉になります。移民は外国人扱いすべき存在ということになります。「移民を外国人扱いしてはいけないのです」という言葉だって受け入れられなくなります。
「法律緩めて侵略者まで“移民”ってことにされたら」です。侵略者が移民を名乗れる程に法律を緩めてしまうと、そういうことにもなります。

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