来年オバマ次期政権と民主党が多数議席を持つ議会が始まる時、我々自由市場主義者が一番恐れるのが、民主党による健康保険や年金制度の完全国営化にある。
日本ではすでに国民保険や厚生年金が長年施行されているため、こうした制度に関して日本の読者の皆さんには違和感はないかもしれない。確かにフリーターなどで社会保険に入れず、高額の民間保険にも入れないような市民にとっては誰でも入れる国民保険は便利といえば便利だ。また、国が年金の管理をしてくれていれば自分でこつこつ貯金をしていなくても引退後の生活が保証されると思えば、こんなありがたいシステムはないと思われるかもしれない。だが、すでに多くの日本市民が実感しているように、こうしたシステムには大きな落とし穴がある。
国の経済が潤っている間はいいが、いったん経済が低迷すると先ず第一に削られるのが国民へのサービスである。国民がせっせと保険や年金のために税金を払っていても、政治家の失敗政策や横領やずさんな管理などが原因で保険や年金の予算が底をついたとき、ツケを払わされるのは必ず納税者のほうだ。老齢者の医療費は無料だったのが、今後何割かは負担しなければならないとか、年金の支払額が削減されるとか、どんどんサービスが低下するにもかかわらず、税金は減るどころか増える一方というのがすでに日本の現実だ。
また、治療方法や医者や病院の選択なども国民保険の場合にはかなり厳しい制限がある。すぐ隣に良い病院があっても、保険が効かないので遠くのヤブ医者ばかりの病院へ通院せざるおえないお年寄りも多くいる。難病でいますぐ最新技術を要する手術が必要な患者も、国民保険ではなかなか許可が降りずに病状が悪化するなどといった自体も発生する。
アメリカでは日本やお隣のカナダやイギリスといった国民保険の発達した国々から多くの難病患者が最新の手術を受けにくる人が後を絶たない。ミスター苺のイギリス人の友人は、国民保険から治療の許可を待っている間に奥さんを血友病で失くしてしまった。
日本では経済に余裕のある市民は国民保険の他にも民間の保険に入ることができる。とはいうものの、自分には民間の保険があるから国民保険への加入を拒否するという自由は二本国民にない。社会保険を持っている会社員には実感が湧かないかもしれないが、国民が負担する社会保険や個人経営者が負担する国民保険は半端な額ではないのである。
それでもまだ日本の場合、民間保険に加入することは違法ではないので、お金に余裕さえあれば、好みの医療を受けることが出来るが、以前にヒラリー・クリントンが提案した国民保険では、国民保険以外の保険に加入することは違法であるという完全な社会主義政策が組み込まれていた。幸いなことに大手ではなく中小の保険会社が集まってヒラリーケア提案の悪法をテレビコマーシャルなどで暴いたため、国民はすんでのところでこの悪法から免れたが、オバマが大統領になったらどうなるか、かなり恐ろしい。
国民保険や国民年金が社会主義的だということを国民に理解してほしくない人間は多くいる。例の左翼変態フェミニストの小山エミなどがその典型だ。彼女などは健康保険や年金は国が保証すべきだという、いわゆるルーズベルト大統領のニューディールを提唱している。小山はこんなバリバリ社会主義政策を提唱しておいて、「私は社会主義者ではなくて自由市場が好きです、と何度も書いてるんだけど、どうして無視するの?」なんて白々しく聞いてくるんだから笑っちゃう。
ところでここでアメリカの歴史をよくご存じない皆様に説明しておく必要があるのだが、アメリカでは左翼やリベラルの間で、いや保守派の間ですらも、1929年の10月から30年代を襲った世界恐慌はフーバー大統領のレゼーフェア(国が関知しない、放ったらかしといった意味)自由市場が原因であり、それを後任のルーズベルト大統領がニューディール政策によって解決し、アメリカの経済恐慌から国を救ったという神話が一般常識として今でも信じられている。だが真実は、フーバー大統領のはレゼーフェアどころか、株急暴落にうろたえたフーバー政権のフェデラルリザーブ銀行のパニック的な市場介入政策が株式市場の健康な回復を妨げ、市場をさらに悪化させたのだ。ルーズベルトのニューディールはフーバー大統領政策を焼き直したもので、新しくも何ともないアイデアだった。
ルーズベルトは緊急事態を言い訳にアメリカに社会主義的なおおきな政府を実現させた。アメリカの国民年金であるソーシャルセキュリティーもこの時に作られたのである。だが、ルーズベルトの政策はアメリカを経済大恐慌から救うことに全く何の役にも断たなかった。大恐慌が始まった当初から第二次世界大戦が始まる年まで、アメリカの失業率はほぼ25%と変化なかったのである。皮肉なことにアメリカを経済大恐慌から救ったのは第二次世界大戦だったのだ。
ともかく、自分の健康管理や老後を腐敗したお役人に任せることの恐ろしさは、日本国民が一番良く身にしみて知っているのではないだろうか?
アメリカ人はまだその事実を充分に理解していない。どうか体験のある日本の皆様からアメリカの人々にこの社会主義的悪政策の実態をご説明していただきたいものだ。


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