夕べ、共和党と民主党の大統領候補、ジョン・マケインとバラク・オバマの初めての討論会が行われた。マケインは金融安定法案の審議に参加すべくワシントンDCに戻っていたので、ミシシッピ州のオックスフォードで行われた討論会にマケインが出席できるかどうか危ぶまれていたが、法案の審議には時間がかかりそうなので、マケインはそちらを中断して予定通り討論会に参加した。
CNNによると、オバマが勝ったと判断した視聴者が51%で、マケインの38%を大きく上回ったと報道しているが、オバマべったりのCNNの調査ではあまり当てにならない。実際に討論会を観た苺畑夫婦の感想としてはマケインの圧勝だった。ま、一応どういう内容の討論会だったのか、CNNの記事から読んでみると、、

ワシントン(CNN) 米大統領候補の共和党マケイン、民主党オバマ両上院議員による初の公開テレビ討論会が26日夜、米ミシシッピ州オックスフォードのミシシッピ大学で開かれ、米国の緊急課題となっている金融危機対策やイラクなどの外交、安全保障問題で激しい応酬があった。

イラク問題でマケイン氏は、米軍増派が治安改善で一定の成果を挙げたことなどを踏まえ、「オバマ氏は戦術と戦略の違いを理解出来ない」と批判。これに対し、オバマ氏は違いは十分理解していると反論し、イラク軍事作戦の大義となった大量破壊兵器の隠匿に触れ、「貴方は同兵器があるのを知っていると言っていた。間違っていた」と強調した。
オバマ氏は対テロ戦争でアフガニスタンが重要との持論を展開し、イラク政策重視の余り、現在の事態を招いたとし、ブッシュ政権の外交政策を批判し、マケイン氏はブッシュ氏の政策の擁護者だともした。マケイン氏はイラク駐留米軍の撤退問題で、オバマ氏が唱える撤退の期限設定は大きな損害を逆に招くと主張した。
金融危機対策では、は両氏ともに大恐慌以来、最悪、最も深刻な局面との認識で一致。ブッシュ政権が発表した不良資産買い取りでについては大筋で重要性を認めた。
だが、経済政策全体ではオバマ氏が勤労世帯を中心にした減税を重視し、マケイン氏は政府の歳出抑制と削減を強調した。

オバマの討論の仕方は、完全に下準備をして練習に練習を重ねたという演技だった。何を質問されても、オバマの最初の反応は先ずどもる。「え〜それは〜えっと〜」と頭のなかで「この質問は自分が練習したどの質問に一番近いだろうか」とでも考えているようで、思いつくまで時間稼ぎをしているかにみえた。そして適当な答えを思いつくと、あらかじめ用意してあった演説をするという感じで、時々イラクの話をしているはずが国内の健康保険の話に発展するなど、かなり頓珍漢な答えが目立った。
それに引き換えマケインは、議会での審議で忙しかったのか、全くリハーサルをしたようには見えず、突発的な答えが多かった。もっともマケインはぶっつけ本番が得意なので非常に自然だった。
討論会中面白かったのは、オバマが「マケイン議員に同意します」と何度となく繰り返したのに対して、マケインは「オバマ議員は理解できていないが、、」とオバマの未経験と無理解を何度となく指摘したことだ。観ていて生意気でちょっと鈍い生徒が教授に挑戦し、教授が辛抱強く丁寧に説明してあげているかのように思えた。
オバマはマケインがブッシュ政権の延長であること、マケインは年寄り過ぎて変革など無理だということを有権者に印象づけたいようだった。現在の経済危機にしてもイラク問題にしてもブッシュ並びにマケインの政策がもたらした失態であるとオバマは何度も主張した。しかし、マケインが何かとブッシュ大統領とぶつかって来たことは周知の事実であり、「一匹狼」のあだ名がついたのも、マケインが必ずしも典型的な共和党員として振る舞ってこなかったからに他ならない。マケインが大統領候補となる前までは、ブッシュ政権に反抗する共和党員としてメディアはマケインを持ち上げちやほやとはやし立てていた。よってサブプライムローンの件にしろ、イラク戦略に件にしろ、早くからマケインがブッシュ政権に対抗して変革を提案していたことは周知の事実である。それを今になってマケインがブッシュと同じ穴の狢だなどと有権者に印象づけようというのはかなり無理があるだろう。
また面白かったのは、オバマが何か予習して暗記してきた昔の政策について話をはじめると、マケインが「私はその委員会の委員として過去〜年にわたって携わって来たが、、」とか「〜長官とは35年来のつきあいだが、」とか自分の体験から話をもち出して対抗していたことだ。マケインは上院議員になってたった数年で何の実績もないオバマとの違いを強調することを忘れなかった。「私は今更仕事場での訓練をする必要はない」と言ったのも未経験なオバマへの突っ込みである。
例えばアフガニスタンについてだが、オバマはブッシュ政権がイラクに執着するあまりアフガニスタンをないがしろにしてきたことが問題だったと指摘したのに対し、マケインは自分がアフガニスタンを何度も訪問してきたこと、米軍がアフガニスタンにも増派し、イラク戦況を好転させたマケインの作戦が起用されつつあることを指摘。何かとアフガニスタンを引き合いに出すオバマだが、マケインに挑戦されるまでアフガニスタン訪問をしたことがなかったことを暗に示唆した。また、上院議会の外交委員会でヨーロッパ部門の議長という立場にありながら、オバマはアフガニスタンを管轄しているのがヨーロッパのNATO(北アトランティック同盟)であるのに、議長として一度もヨーロッパ委員会の会議に出席していない事実も忘れてはならない。
また、イラク戦争に金を無駄使いして退役軍人の老後の面倒をみていないというオバマの指摘にも、北ベトナムの捕虜となった体験もあり、退役軍人への保証について長年努めてきたマケインは、静かな悲しみと怒りを押さえるように「私は退役軍人の話にはずっと耳を傾けて来た」と語った。マケインの軍隊への愛情は有名で知らない人はいないから、この言葉には重みがある。軍事病院への訪問が選挙運動に使えないからといってドタキャンしたオバマなんぞとは大違いなのである。
またイラン対策についても、ニクソン時代の防衛長官だったヘンリー・キッシンジャーを引き合いにだして、「キッシンジャー元長官も条件抜きの談話を支持している」などと口からでまかせを言ったオバマに対して、マケインは「キッシンジャー元長官とは35年来の付き合いだが、彼がそんなことを言うのを聞いたことが無い。」と返した。実際討論の後、キッシンジャー本人がテレビ局に電話を入れ、自分はそんなことを言ったことはないと抗議したというのだから全くオバマには呆れる。
ではReal Clear Politicsがまとめている各新聞での反響を読んでみよう。
先ずはロサンゼルスタイムスの批評は「接戦」どちらとも言えないというもの。

「マケインは決意が固くタフであることを披露したのに対して、オバマは賢く磨きがかかったイメージを与えた。」

ウォールストリートジャーナルはマケインに軍配。どちらも自分の殻を破るような発言もなければ取り立てた失言もなかったとし、ジョン・マケインは外交、バラク・オバマは内政と、どちらも得意な分野で得点を稼いだ。しかし討論は形式上外交問題に重点が置かれたため、マケインの方に有利だったとしている。
ボストングローブは反対にオバマが優勢だったとしている。得に広い目で観たアメリカ観をうちだし、世界に尊敬されるような国にするという意思をあきらかにしたオバマを高く評価した。
オバマの応援同人誌のニューヨークタイムスはもちろんマケインがよくやったなんて言うはずはない。
「しかしマケイン氏の経験に関する話は20世紀の小さなこだまのように聞こえた。一時マケイン氏はいかにロナルド・レーガンの『SDI』が冷戦の集結に役立ったかを語った。50歳以下のほとんどの人がこの意味を理解できなかったと思われる。」
またレーガンの明るい聡明なスタイルに比べてマケインは歯をがたつかせた老人のようだなどとひどいことを書いて、いかにマケインが時代遅れの年寄りかを強調している。
保守派新聞のピッツバーグトリビューンレビューはオバマの完敗と発表。オバマはしどろもどろで外交政策については無知でナイーブ。経験不足がもろに出ていたと、まあかなり手厳しい。
シカゴサンタイムスはどちらが勝ったとは書いてないが、討論によってどちらも良い面が出たと評価。こういう良い候補者が双方の党から出ているということはアメリカにとって良いことだと書いている。
他にも色々あるが長くなるのでこの辺にしておこう。この討論の結果、有権者が二人をどう評価したか、それはまだちょっとしないとはっきりしたことは解らないだろう。


1 response to マケイン対オバマ、初の討論会はマケインに軍配上がる、、べき

vbNullString11 years ago

なんですか、その「べき」って。全く客観的な立場にたってない見方ですよね。
> この討論の結果、有権者が二人をどう評価したか、それはまだちょっとしないとはっきりしたことは解らないだろう。
それに始めの討論はオバマ氏の勝利でしたよね。どこのニュースメディアでもオバマ氏の勝利だと報道されていました。あのFox Newsでさえもね。

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