アメリカにはキャンペーンファイナンス法という、いわゆる選挙資金の使用法を厳しく取り締まる法律がある。これは不正な政治献金が選挙運動に使われないようにと何年か前に、誰あろう共和党の大統領候補ジョン・マケイン上院議員が、民主党のファインゴールド議員と共同で共和党の反対を押し切って提案して通した法律である。(共和党が反対したのは共和党は法律を厳守するのに対して民主党は無視するに決まっていると踏んだからだが。)
この法律によると、候補者の選挙事務所による公式な広告と、第三者による選挙関係の広告とでは資金の出所も上限にも全く別の規則が適用されることになっている。そのため公式な広告では必ずそれが候補者の選挙事務所によって制作されたものであることを「私は(候補者の名前)です。この広告を許可します」と断りを入れなければならないことになっている。
最近になって、共和党のサラ・ペイリン副大統領候補に関する嘘八百の中傷誹謗攻撃のビデオが次から次へと別名で発表されている。しかしそのビデオの制作水準がかなり高いことから、プロの広告会社がかかわっていると察せられていた。そのことについて独自の調査を行っていた米国の保守派ブロガー、ジャワリポート(Jawa Report)が、広告会社の名前、その責任者、そして彼らとオバマ選挙事務所との密接な関係を突き止めた。
日本でもペイリン女史の一番下の子供は未婚の娘の子供ではないかなどというデマがまことしやかに噂された話は報道されているが、ペイリン女史に関するデマには、女史が合衆国脱退を唱える過激派グループに所属していたことがある反米国的思想の持ち主であるとか、女史の夫が自分の娘と性交渉があるとか、信じられないような中傷がYouTubeで流されている。これらのビデオは素人のオバマ支持者が個別に制作してそれぞれ人気を得てあたかも噂が自然にひろがったかのように見せかけられているが、これらはオバマ選挙事務所と密接な関わりのあるプロの広告会社に所属する同一人物の仕業であるとジャワリポートは報告している。
この他にもジャワリポートは次のことも指摘している。

  • アマチュアビデオということになっているのに、解説者はプロの声優が使われている。
  • この同じ声優は、草の根運動と称して偽の運動、俗にいう「人工芝張り」をしょっちゅうやっているデイビッド・アクセルロッド(David Axelrod)の広告会社が良く使っている声優。
  • デイビッド・アクセルロッドとはオバマの選挙メディア作戦参謀。
  • 同じ声優はオバマの公式選挙広告でも使われている。

ジャワリポートがこのビデオの制作者がイーサン・ウィナー(Ethan Winner)というザ・パブリシス・グループ(the Publicis Groupe)という広告会社の人間で、オバマの選挙運動員デイビッド・アクセルロッドと個人的なつながりがある人物と発表した一時間後、問題のビデオがYouTubeから取り下げられた。そして翌日、イーサン・ウィナーは自分が制作者であることを公式に認めたが、オバマ選挙事務所との関係は否定。またペイリンに関する嘘についても認めていない。下記はウィナーの声明文より抜粋。

「サラ・ペイリン、ハートビートウェイ」を制作しインターネットに掲載したのは私です。

アイデアは私のものです。誰からも報酬をもらっていません。自腹を切ったのは雇ったナレーターに払う費用だけで、それは請求書が来次第払う予定です。ジャワリポートの言及とは違い、ナレーターの声優はオバマ選挙運動で働いたことはありません。 私は声優をタレントエージェンシーから声の質だけをもとに雇用しました。
オバマ選挙事務所もどのような独立した政治団体もこのビデオの制作や掲載に関わっていません。他の何千ものアメリカ市民が現在の大統領選挙に関するビデオをインターネットに掲載したように、私もまたアメリカ憲法が認めている言論の自由を表現するひとつとしてこのビデオを制作したのです。したように、

ウィナーは続けて、アメリカ市民は候補者に関する情報を知る権利があるとかなんとか書いているが、何の根拠もない嘘でまかしの中傷誹謗を掲載したことについては何の説明もしていない。そしてまたビデオを取り下げた理由としては、ジャワリポートに正体を明かされてから家族への脅迫や嫌がらせが相次いだからだと語っている。多少の嫌がらせはあったかもしれないが、脅迫されたというのは左翼連中がよく使ういい訳だからあまり当てにはならない。ちなみにジャワリポートは個人的にウィナーや彼の家族へ連絡しないようにと警告している。
これについてオバマ選挙陣営はこのビデオとの関係を真っ向から否定している。それだけでなく、このビデオがオバマと関係があるというのはマケイン陣営が広めたデマだとさえ語っている。だがジャワリポートはマケイン側にこの調査に協力を求めたが一切断られたと語っている。
もし本当にオバマ陣営が金を出して第三者に広告をつくらせていたのだとしたら、これは刑事犯罪につながる選挙法違反である。もっともアメリカの主流メディアはあからさまにオバマ支持なので、こんな話がニュースで取り上げられることはないかもしれない。いまのところは保守派ブロガーにたよるしかない。


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