読者の皆様、二週間のご無沙汰でございます。実は九州は佐世保に出張しており、私のノートパソコンとホテルのネット接続の馬があわず、ネットにはつながるものの日本語での書き込みは不可能な状態でした。その間に大統領選挙のこととかいろいろあって、皆様にもお話したいことが山ほどあるのがたまったままです。週末に向けて時間の許す限りこれまでの経過などお話していきたいと思います。

ひさしぶりに日本で何週間も過ごし、しかも九州という私の実家とはまったくかけは離れた場所での生活は非常に興味深いものだった。

私の泊まったホテルは米軍基地から歩いて10分という繁華街のなか。泊り客の半数近くが米軍関係の民間人技師。国籍はアメリカ人だが、そこはアメリカ。人種はヨーロッパ系だけでなく東南アジア系やアフリカ系もいろいろだ。今回の企画のためにあつまったうちらのチームだけでも20人は楽にいる。年頃も20代後半から40代半ばの野郎どもばかりで、仕事が終われば毎日宴会。このへんはやることといったら飲んで食べるくらいしかないから仕方ないといえば仕方ないのだが、こんなやつらに付き合って二週間すごしたこっちはもうへとへと。

こいつらはこれまでにも何回も佐世保の基地には来たことがある連中で、このへんの飲み屋にはやけに詳しい。日本語などほとんどしゃべれないくせに、なぜか「飲み放題」とか「食べ放題」なんて言葉だけは知ってる。

一緒に食事に出かけて気がついたことは、このへんでは人種差別が横行しているということだ。あからさまに「日本人客のみ」という看板が出ているところもあるが、そうでないところでも差別の仕方はかなり微妙だ。白人の同僚数人と一緒に居酒屋へ行ったときのこと、アメリカ人はカウンターを好むので入り口近くのカウンターに座りたいというと、店員はカウンターは場所がないといった。場所がないもなにもカウンターには誰一人座っていない。空っぽなのである。カウンター近くに個別のテーブルがいくつかあり、そこには日本人客がいたが、真ん中の広々としたカウンターには誰も座っていなかったのだ。

店員は二階なら誰もいないので、かえってわれわれには適しているのではないかと促した。二階へ上がると、大きな畳の個室があてがわれたのだが、誰も座れない。というより私はスカートをはいていたので男たちの前でまさか胡坐もかけない、というのが本当の理由)。結局掘りごたつ風になったテーブルのある個室にかえてもらい、二階で他の客に遠慮せずアメリカ人並みのドンちゃん騒ぎができたので、良かったといえばよかったのだが、どうも変な気持ちがしたものだ。

別の夜にまた二人の白人を含めた5人くらいで旨いと評判のすし屋へ行った。アメリカ人だが東洋人の同僚が一人で行った時はカウンターに座って好きなものを頼んで楽しかったので、今回もみんなでカウンターに座ろうと、アメリカの寿司バーのつもりでカウンターを希望したが、ここも席が空いているのにだめだといわれた。店員は私の目を気にして「5人は並べないので、、」と見え透いた嘘をついた。白人がカウンターに座っていると他の客が居心地が悪いからだと正直にいえばいいじゃないか、とは思ったが、一緒に居た白人女性の同僚が「どうしてカウンターは駄目なの?」と私に聞くので、私は「予約がはいっているらしい」と答えた。こんなところで議論をしても意味はない。

やはり白人の同僚と5人で焼き鳥屋へ行ったときも同じように断られた。そのときはカウンターにすわっていた日本人のサラリーマン二人が気を利かせて、「いいよ、いいよ、俺たちが席変わるから」といって少しずれてくれた。店員は断りきれずに我々をカウンターに座らせてはくれたが、サービスは最低だった。そこまで差別しなきゃならい理由があるのかと私はかなり腹が立った。私が英語で「この娘にはチップはやらないよ」というと、一緒にいた同僚がどっと笑った。日本語がわからなくても同僚たちは空気を察して、「この店には二度と来ない」と口々に言った。

もっとも佐世保は米軍基地でもってるところもあるので、アメリカ人には友好的で居心地のいい場所はいくらでもある。いや、そういう場所のほうが多いといったほうがいいだろう。たいていの人は親切だ。

面白いと思ったのは、表通りにある飲み屋などは、ほとんどの経営が日本人によるもので、ママさんやホステスの英語はまあまあだが、品はいい。このへんに来る客はアメリカ人でも水兵ではなく金ぶりのいい民間人が多い。ところがひとつ裏にまわった「セイラータウン」と呼ばれる路地に固まってある飲み屋は見かけもみすぼらしいが、中に働く女たちのほとんどはフィリピン人。フィリピン人は英語が話せるのでアメリカ兵らに人気がある。このあたりは私のような人間が行くような場所ではないが、知り合いにフィリピンバーが好きな男がいたので、一度だけ行ってみた。身体にぴったりした胸や足を出しすぎのけばけばしい格好の女たちが、あきらかに水兵とわかるアメリカ兵の太い腕にへばりついていた。まるで安い映画の一こまのよう。時代や場所が変わっても繰り広げられる画像に変わりはない。
日本人バーの経営者らとフィリピンバーのオーナーたちは仲が悪い。ま、商売仇だからしょうがないのかもしれない。

実家に戻ってきて両親に撮った写真をみせていたら、宴会の写真ばかり。「あんた佐世保でなにやってたの?」と母にきかれてしまった。まったく仕事はどうなったのよカカシさん?

私も船にのってアメリカへ帰ればよかったかな?


4 responses to ネット復帰、佐世保感想記

dust_speculator16 years ago

佐世保ですか。懐かしいです。
ニミッツパークでソフトボールをして、アメリカ式のBBQを満喫した若かりし頃を思い出します。そう言えば、佐世保くんちで、米軍の基地の司令官が参加して、町と海軍基地が共存していました。
また、基地内で働く日本人の雇用もあって、SSKと自衛隊意外にさしたる産業がない地域では、それが実体だったりします。日本のメディアも、単純な米軍不要論は現実的ではないですね。

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pumpkin116 years ago

久々にコメントします。
実際の店員の気持ちは分かりませんが、単純に人数が多かったからということではありませんか?
よほど流行ってない店でもないかぎり座席の少ない店では、現在空きがあったとしても大勢でカウンターに並ばれるのは嫌でしょうし、逆に一人で4人席に座られるのも嫌がられるでしょう。
まあそれをあからさまに態度に出すのはサービス業としてどうかとは思いますが。。

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Sachi16 years ago

pumpkin1さん、
いちど12人という大人数で予約もなく押しかけた店では、人数が多すぎると断られたことがあります。これは私も行く前から多すぎると思っていたので納得がいきました。しかし、4~5人で断られると、ちょっと納得がいきません。
それに差別をされる側にたつと、結構自分が差別をされているということがわかります。
アメリカでも一度両親と従兄弟をつれて四人でレストランに行ったときに、テーブルはいくらも空いている見晴らしのいいおしゃれなダイニングルームを通り越して、裏の部屋に通されたことがあります。そこでは中国人風の家族が宴会をやっており、私たちのテーブルはそのすぐ後ろでうるさいったらなかった。
他にいくらもテーブルが空いているのに、どうしてこんな裏部屋へ押し込むのだ、と文句をいったら、表の部屋へうつしてくれました。この店では他の日本人からも予約をしていったのに二時間も待たされたときいたことがあります。ま、待ってるほうも待ってるほうだけどね。(笑)
カリフォルニアの中国人経営の店では、中国人以外の人間は番号札を取って列にならんで待っていなければならないのに、中国人の客は受付でなにか中国語でいうとすぐに席につける、なんてところはざらです。あまりにもこれがあからさまなので、中国人以外は座らせないのか、人種差別だ、と大声で文句をいうとしぶしぶ座らせてくれる、なんてことが2~3回ありました。
差別ってのは誰からされても嫌なもんです。
カカシ

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Sachi16 years ago

dust_speculatorさん、
ミニッツパークでバーベキューやりましたよ!同僚と彼の行きつけのバーのママさんと女の子たちが主催で、私ら外人チームのためにやってくれたんです。あそこはいいですね。
カカシ

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