もう先月のことになるが、チリのチャイテンで一万年も休火山だった火山が爆発したという記事を読んで、9年前に苺畑夫婦が新婚旅行の際ハワイのビッグアイランド(ハワイ島)へ溶岩を見に行った時の話を思い出した。それで本日は苺畑夫婦の溶岩訪問の思い出話をしたいと思う。
ミスター苺は火山活動に関する小説を書きたいと考えていたので、苺畑夫婦はハワイ島にある国立火山研究所を訪れた。所長さんの名前は忘れてしまったが、日系人の気さくな人で、空手キッドのパット森田そっくりだった。
研究所の中を色々見学させてもらい、研究生対象の授業まで受けさせてもらった後、我々夫婦はキラウエア火山国立公園で溶岩の上をあるくハイキングに挑戦した。こちらの観光サイトによると、

ハワイ火山国立公園内には、「キラウエア・カルデラ」と「キラウエア・イキ火口」を取り巻くようにクレーター・リム・ロードがぐるりと1周しています。個人差はありますが、ざっと見て回って 1時間から3時間かかります。

そのクレーター・リム・ロードから海に向かって片道32キロのチェーン・オブ・クレーターズ・ロードが走っています。展望台もある景色のいい道です。この道は流れ込んだ溶岩によって行き止まりとなります。
行き止まりとなったところからは、真っ黒でゴツゴツした溶岩が広がる大地の上を歩くハイキングができます。溶岩大地のハイキングは、運動がしやすく履き慣れた靴(できれば紐のついた靴)と長ズボン、そして忘れずにお水を持参しましょう。
また、 雨が降ると溶岩の上はとても滑りやすくなるので十分注意してください。
万一、夕方にかかり暗くなることが予想される場合には、必ず “1人 1本”の懐中電灯を持参してください。

ここで書かれていないことに、溶岩が流れているところまで歩いていくには一時間以上のかなりキツいハイクが必要だということがある。しかも溶岩はすでに固まって冷たくなっているものも、まだ熱くドロドロしているものも、どちらも銀色に光っており全く区別が付かないということである。
ガイドなしでむやみやたらに歩いていると、固いと思って踏みつけた地盤が崩れて、下は灼熱の溶岩だったなんてことになりかねない。それに日が暮れたら周りはどこもかしこも同じ様な景色なので懐中電灯など持っていてもほとんど役にたたない。どんどん帰り道から遠ざかってしまう可能性がある。
上記のサイトでもあるように我々はチェーン・オブ・クレーターズ・ロードが溶岩で塞がっているところから歩き始めた。一応お水はたくさん持って行ったのだが、溶岩の上を歩くというのは思ったよりも大変だった。
岩がごつごつしているというが、そんな生易しいものではない。まるでガラスの破片の上を歩いているような感覚で、しっかりしていると思った足場がガシャッと崩れて、その度にバランスを失う。
我々はだいたいこっちの方角だろうと一時間ぐらい当てずっぽうに歩いていたら、周り中同じような銀色の地肌が続くため、何がなんだかわからなくなってしまった。
これではいつまでさまよっていても赤く流れる溶岩など見られないだろう、いやそれだけではなく、どうやって帰ればいいのかさえ怪しくなってきた。
そこへ背の高い金髪の若者につれられたやはり背の高い数人の若い男女が通りかかった。先頭を歩いていた青年は地元のガイドで、シャツを脱いで腰にまいてる青年の裸の肌は赤ちゃっぽく日に焼けていた。後ろの男女はドイツ人の観光客だった。そこでミスター苺はガイドのおにいちゃんに「お金を払うから一緒に連れて行ってほしい。」と頼むと、「お金は要らない。付いてきたければ付いてきてもいいが、日暮れが近いので急ぐからそのつもりで」と言われた。
ガイドの青年も観光客の若者たちも皆背が高く年齢も我々より10歳は若い。中年で背も低く小太りの我々に比べたら人種どころか種別が違うのではないかと思われるような体系だ。彼らがエルフなら我々夫婦はさしずめホビットである。
我々のこんな短い脚ではどうせ付いて来れないだろうとガイドは踏んでお金を断ったのだろう。
しかしここで置いて行かれたら、溶岩が見られないどころの騒ぎではなく帰れないかもしれないと思った我々は彼らの長い脚についていくべく必死に歩いた、、、というより彼らにとっては早歩きでも、我々ホビット夫婦にとってはほとんどジョギング状態で一時間以上走るはめになったのだ。
突然ガイドが立ち止まり、指を指した方向をみると、銀色の地肌の下を赤く流れる溶岩が見えた。溶岩が目の前にあるのにほとんど熱さを感じないと思っていたら、突然風向きが変わり、まるでオーブンを開けたようなむっとする熱風が我々を襲った。

KilaueaVolcano

キラウエアの溶岩


我々の立っているところからちょっと離れたところに、銀色の宇宙服のような耐熱防着を着た人数人が火山の中を見下ろすように立っているのが見えた。多分研究所の科学者たちだろう。
10分くらいそうやって流れる溶岩に見入っていたが、ガイドが「日が暮れる」とかなり焦り始めた。慣れているガイドでも日暮れの溶岩は怖いらしい。ガイドは再び早歩きを始めたが、今度は彼自身も小走りで、行きはふざけながら歩いていた観光客らも帰りは沈黙してまじめに走っていた。そのう後ろを走ってくっついていくホビット夫婦はもう必死である。
日がほとんど西の空に隠れる頃、我々はようやく元の駐車場近くまで戻ってきた。不思議なことに我々夫婦は確かに疲れてはいたが、息がつけないほど荒れていたわけでもなく、看板あたりに集まっていたほかの観光客とだべったりする余裕があったが、あれだけ元気だったガイドやドイツ人観光客は皆座り込んで靴を脱いでいた。特にガイドのお兄ちゃんの足は水ぶくれが出来ていてかなり痛々しかった。
さっすが苺畑夫婦はホビットだけあって足に毛が生えてるのかな?


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