ブリジッド・バルドーと言えば、1950年代のその抜群なスタイルとセックスアピールを生かしてビキニを世界に広め、一世を風靡した女優で、今は動物愛護運動の熱心な活動家としても知られている。その彼女が「イスラム教徒がフランスを破壊しつつある」と批判したことで、先日フランスの法廷において、人種差別と憎しみを誘発した罪で有罪となり、一万五千ユーロの罰金が課せられた。
フランスでは言論の自由は憲法で保証されていない。侮辱罪だの名誉毀損だの、たとえ批判の内容が真実でも被害者が傷ついたと訴えれば平気で裁判になってしまう国だから、マドモアゼル・バルドーが訴えられたのも解るというものだ。(フランス法廷の言論の自由に関する裁判はここでも紹介した通りだ)l
原因となったのは、バルドーさんが2006年の12月に当時国会議員だった現在のサルコージ大統領に向けて出した手紙の中で、イスラム教徒による羊を生け贄にする習慣について、フランスは「この人口によって鼻先で煽動されるのにはいい加減頭にきている。彼らは我々を破壊しようとしている。このような行動を我々に無理強いして我が国を破壊している。」と書いたことだ。
フランスの対人種差別法は、人種や宗教への差別や憎しみを誘発する行為を禁じている。だが、カナダやイギリスの人権擁護法と同じで、フランスの対人種差別法も結局はフランス国民が少数民族や宗教団体に対して、正当な抗議や批判ができないよう言論弾圧の道具と成り果てている。
こういう法律は本来の目的のように少数民族や宗教団体の人権擁護などに使われることは先ずなく、被害妄想が強くやたらに声高で暴力的な少数民族や宗教団体、要するにヨーロッパの場合はイスラム過激派によって、一般人の人権が迫害される方法としてしか使われていない。イスラム過激派ほど多人種や他宗教に不寛容な団体もいないのに、対人種差別法が世界でも一番人種差別をする人種によって悪用されているというのも皮肉なものである。
バルドーさんが、この法律に違反したとして罰せられたのはこれが最初ではない。1997年にもレ・フィガロ新聞に掲載したコメントが原因で罰金を課せられた。またその翌年にもフランスにイスラム教聖廟が増えるなか、フランスの協会は沈黙を余儀なくされていると批判して有罪となった。
それにしても、フランス市民は往年の女優や一部のジャーナリストだけに言論の自由のための戦いを任せておいて恥かしくないのだろうか?


5 responses to 仏法廷:女優ブリジッド・バルドー、イスラム批判で有罪判決

oldman16 years ago

カカシさんにはご賛同いただけないようですが、私はヨーロッパが1千万人ものムスリムを移民として受け入れたことは歴史的な大失敗だったと考えています。
2000年前のユダヤ人の移住が様々な問題を引き起こしたことは誰もが認めることですが、ムスリムはそれ以上に深刻な問題を引き起こすだろうと予想しています。
そして思うことは、日本は決して移民を受け入れてはならない、ヨーロッパの愚行を真似てはならないということです。人口減少による経済の収縮を防ぐために1000万人の移民を受け入れよ、という主張がありますが、断固として反対する考えです。
カカシさんのブログにより、英国やフランスにおける社会秩序やモラルの破壊の実態を知ることができ、感謝しています。
なお念のために申しますと、私は本日のエントリーを「言論の自由のための戦い」というより、「移民とネイティブの戦い」というふうに解釈しています。

ReplyEdit
scarecrowstrawberryfield16 years ago

oldmanさん、
ヨーロッパのでは移民が問題なのではなく、移民の受け入れ方に問題があるのだと思います。
移民を受け入れてもいいですが、一度に大量の外国人を受け入れ体制も出来ていないのに受け入れれば問題がおこるのは当然です。
少しづつ受け入れ、移民には地元の言葉と文化とそして法律を守ってもらえるよう教育体制を整えるべきでしょう。移民の文化に地元が会わせるなど本末転倒です。
ヨーロッパは自国の伝統や文化、宗教といったのものを大事にしてこなかった付けがここに回ってきたのだと思います。
少子化の進む日本でも移民は避けられません。絶対に受け入れないと拒むのではなく、移民に日本文化を破壊されないように、充分な移民対策を立てた上で受け入れるべきでしょう。
私もアメリカに移住した身なので、移民受け入れ絶対反対という姿勢には賛成できません。
カカシ

ReplyEdit
oldman16 years ago

ご返事ありがとうございます。
>移民には地元の言葉と文化とそして法律を守ってもらえるよう教育体制を整えるべきでしょう。
ムスリムにこれを要求するのはかなり厳しいのではないでしょうか。イスラム教を捨てることが実質的な条件になりますから。
>少子化の進む日本でも移民は避けられません。
これは見解が分かれる部分です。半減してもイギリスやフランス並みの人口ですから、決して少なすぎるわけではありません。むしろ、今が多すぎるように思います。
受け入れ体制について、日本がヨーロッパよりうまくやれるとも思えません。現在すでに在日朝鮮人と日本人の間での感情的対立は相当に深刻なものがあります。中国人と朝鮮人による凶悪犯罪は無視できない状況です。
アメリカでも、黒人奴隷という名の外国人労働者を受け入れた結果、南北戦争が起き、今も人種差別などの後遺症に苦しんでいます。
なんのためにそんな危険を冒すのでしょうか?
労働力は高齢者や女性の活用、生産現場などでの自動機械・ロボットの大量導入、農業の大規模化、などで確保できるでしょう。

ReplyEdit
scarecrowstrawberryfield16 years ago

oldmanさん、
日本から書き込みをしています。
モスレム移民がヨーロッパ諸国の文化に溶け込むためには、なにもイスラム教を捨てる必要はありません。単に移住した国の文化を尊重する寛容性を養えばいいだけだからです。イスラム過激派がそれを邪魔しているので仲間意識の強いイスラム教徒が回りに溶け込めなくなっているのです。
南北戦争の原因は奴隷を受け入れたことではなくて、外国から強制的につれて来た人間を奴隷として扱っても良いのだと考えた当時の人々の道徳観への挑戦です。つまり、奴隷制度というものが道徳的に正しくないと考える北側と奴隷制度は問題がないだけでなく、南部の経済に不可欠な労働力であるとする南側とが壮絶な戦いを繰り広げたわけです。だから移民問題とはちょっと異なります。

中国人と朝鮮人による凶悪犯罪は無視できない状況です。

問題なのはここです。フランスやイギリスではイスラム系外国人労働者による凶悪犯罪が無視できない状況であるにも係わらず、その問題に取り組むどころか、今回のバルドーさんのように問題を指摘した人間を人種差別者だといって責め立て、問題を指摘する人々の言論を弾圧しています。これはカナダでも全く同じことが起きています。
日本が移民を受け入れるときは、外国人にも日本の法律を分け隔てなく適用し、外国人だからと差別もしないが特別扱いもしないという姿勢をとらなければなりません。外国人への批判も人種差別だなんだと批判するのではなく、正確にその内容を把握して対処する必要があります。それをしないで移民を受け入れればヨーロッパやカナダのようなことになってしまうのです。
カカシ

ReplyEdit
oldman16 years ago

せっかく帰国されているのですから、お暇な時間があれば、移民問題について周囲の方々を取材していただき、「米国から見た日本の移民受け入れ政策」についてのお考えをご披露いただければうれしいですね。
なお、次のサイトが参考になるでしょう。
http://jipi.gr.jp/index.html
この研究所の所長、坂中英徳氏は先日サンデープロジェクトに中川秀直議員と共に出演し、1000万人の移民受け入れを提唱しました。
国家を根底から作り替えてしまうこの提言が、国民の声を十分に聞くことなしに、自民党により立法化されようとしています。
「なぜ移民受け入れなのか?」という素朴な疑問に全く答えていないことが最大の問題点ではないかと思います。「人口減少」では答えになりません。あるべき国家像の考察から始めるべきではないでしょうか。
一方で「人権擁護法案」なる法律が検討されています。少数者(同和系、外国人など)の人権擁護が主たる目的のようですが、これが成立すると、まさに「問題を指摘する人々の言論を弾圧」する手段として利用されるだろうと懸念する人がたくさんいます。
日本の行く末が非常に心配です。

ReplyEdit

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *