The English version of this entry can be read at Biglizards.net/blog.
先日から私とミスター苺が経営している英語版のブログ、Biglizards.net/blogにおいて、中共、特にオリンピック関係の話を英語で紹介しているという話はしたが、それに寄せられた親中共へのコメントから、カカシはアメリカの読者は中共の悪行についてかなり無知なのではないかと考えた。そこでオリンピックに備えるという口実でいかに中共が自国のジャーナリストやキリスト教徒や仏教徒やオリンピック関係の予定地に住んでいるという不運な立場に置かれた一般市民を虐待しているかその実態を紹介した。これはその翻訳版である。日本の読者の皆様はすでにご存知のことと思うが、このようなことはほとんどアメリカの主流メディアでは報道されていないので復習のつもりで読んでいただきたい。
**************
私の前回のエントリー「チベット暴動はやらせ、中共によるチベット弾圧の口実か」 に寄せられたコメントを読んで、アメリカの読者の皆さんはここ一ヶ月あまりに起きている中共によるチベットへの弾圧行為をご存じないのではないかと気がついた。いやそれをいうなら、読者諸君は中国共産党政府がこれまで2008年8月のオリンピックに向けて自国の市民に対して、強制立ち退きなどを含めキリスト教徒や仏教徒への迫害など、まるでご存じないのだと思うので、今日はそれについて改めてお話ししたいと思う。
2001年に北京が2008年の夏期オリンピック開催地に選ばれてからというもの、チベット問題が始まる何年も前から、北京オリンピックをボイコットしようという呼びかけは日本の保守派ブログの間ではすでに起きていた。もう読者の皆さんは「国境なき記者団」による下記の「ボイコット、北京」のロゴを何回かご覧になったことと思う。

Olympic handcuffs

ボイコット北京 2008年


国境なき記者団(Reporters Without Borders)とは報道の自由を訴える国際的な組織であり、中国でのオリンピックをボイコットしようと一年以上も前から運動を初めている。
反中共精神は日本の右翼の間では非常に強い。彼らの多くは1930年代の大日本帝国による中国侵略を、中国を古い封建制度から近代化するために救済したのだと信じているくらいだ。無論そのような考えは偏見に満ちた見解かもしれないが、 日本右翼による中国の共産主義が悪であるという考えは完全に正しい。
話を先に進める前に私の履歴について少し述べておこう。私は冷戦時代に日本で生まれ育ち、後にアメリカに帰化した。私は常にソビエト共産主義を心から憎んできたし、そのいとこにあたる中国共産主義も同等に憎んでいる。そして北朝鮮やカンボジアやベトナムのマルクス/毛沢東主義も大嫌いである。
言うまでもないが、私は中国人を嫌っている訳ではない。私には中国人の友達が何人もいるが、彼らほど中国共産党を嫌っている人々もいないだろう。私は毛沢東やその後継者が自国の民やチベット人、モンゴル人などの少数民族に対して行ってきた悪行に心から憤りを感じている。
そこで私は中共がいかにしてオリンピック「準備」のためにひどいことをしているか、ここに提示する。オリンピック準備という口実で彼らがどんなことをしているか読者諸君が少しでも知れば、中共に少しでも言い分があるなどとは考えられなくなるはずだ。

強制立ち退き

中共政府はオリンピック関係の土地にたまたま住んでいるという不運な人々を強制的に立ち退かせている。国営の建設会社は住民に充分な立退料を払わないため、多くの住民が立ち退きを拒否している。 だが拒否するとどうなるか? こうなるのである。

Olympic removal

建築業者に家を破壊されて呆然とする住民


2007年の元記事へのリンクは切れているので、下記は「日本は日本、大陸は大陸」ブログのサイトから引用した。

来年夏の北京五輪に向け、建設ラッシュが続く北京の南部、豊台区のマンション建設現場で、立ち退きに反対する住民の家屋の取り壊しが29日始まり、自宅の屋根の上で抵抗していた住民2人が農薬を飲み、一人が意識不明の重体となった。開発業者は移転を拒む家の周囲を2〜4メートル掘り下げ、 “陸の孤島”として立ち退きを迫っている。10月の中国共産党大会で打ち出された「民生」重視も掛け声倒れのようだ。

 この日は開発業者が雇った数百人の保安要員らが周囲を立ち入り禁止にし、住民に退去を要求した。しかし、殷永利さん(53)と妻の廬桂敏さん(50)は自宅屋根に上って抵抗。業者側が引きずりおろそうとした時、夫婦は農薬を飲んだ。殷さんは病院に運ばれたが意識不明、芦さんも手当てを受けた。その後、消防車が放水する中、シャベルカーとブルドーザー3台が一気に取り壊した。
 夫婦は30年以上も住み続けており、「政府の開発許可も出ていないマンション建設だ」として立ち退きを拒否してきた。廬さんは病院で「中国共産党に希望を抱いていたが、これほどやられるとは思いもしなかった」と怒りをぶちまけた。

これは決して特別な例ではない。このような強制立ち退きは北京ではここ数年日常茶飯事に行われているのである:

ジニーバに本部を置く国連機関の「居住権と立ち退きセンター」(COHRE) は2005年、中国に対して名誉とはいえない「居住権違反大賞」を授与した。センターのスコット・レキー所長は「北京政府はオリンピック施設を建てるため少なくとも40万人を立ち退かせたことを認めている」と語った….COHERはさらに「800年の歴史を持つJiaodoku 地域は2003年7月に真っ平らにされてしまい、オリンピック関係の建設のため、2000家屋以上が破壊された」と報告している。

上記の夫婦のように切羽詰まった中国の市民たちは中国政府への最後の抗議として自殺に走る例が後を絶たない。

もうひとつ大きく報道された事件に2003年10月1日のものがある。北京在住のYe Guoqiangさんは中国政府によるオリンピック建設のために強制立ち退きをさせられたことに抗議し、Jinshui橋から飛び降り自殺をはかった。 彼は落下から命は取り留めたが、違法抗議活動をしたとして拘束された。Guoqiangさんはひとりではなかったようだ。2003年11月、北京住民1200人以上がインターネットで署名をしGuoqiangさんへの支持を示した。 2003年10月にはほかに7人の抗議者が社会に不穏を起こしたとして起訴され、2004年にはさらに二人が逮捕された。2004年、別の抗議者 Ye Guozhu さんは自分の家と経営していたレストラン二軒を破壊されたことに抗議した罪で拘束され4年の禁固刑を課せられた。天南門では2004年の9月から12月にかけて毎日のように破壊と立ち退きを抗議するデモが行われていた。

反体制者の取り締まり

オリンピックに向けて中共は ジャーナリストへの弾圧を強化した そしてオリンピックで訪れる人々に余計なことを言いそうな職業の人間への弾圧も徹底的に行われた。インターネットの使用者への取り締まりもここ数年いっそう厳しくなった。国際社会からは「オリンピック精神」などかけらもないやり方だとの批判も聞かれる。
オリンピック関係の土地からの強制立ち退きのほかにも、北京の地方政府は町のイメージアップのために再教育強制労働キャンプ送りの対象を拡大し、無許可の広告活動やチラシを配ったり、白タクシー、無許可屋台、乞食物乞いなどの罪も強制労働キャンプ送還への対象に含めることにした。
中共の宗教弾圧は悪名が高いが、ここ数年その弾圧は急激にエスカレートしてきている。2008年2月7日付けクリスチャンポストによれば:

中華援助年間リポートが水曜日に発表した報告によると、中国は2006年に比べ去年キリスト教徒への取り締まりをよりいっそう厳しくし、取り締まりを受けた信者の数は全体的に増加したとある。

2007年における18地区において60件の民家協会への取り締まりが行われ、2006年の46件から増加した。迫害された人数も前の年の665人に比べ788人と増加した。そして逮捕されたり拘束された人の数は650人から693人と6.6パーセントの増加となった。
….
中国政府は民家協会のリーダーたちを対象にするだけでなく、最近は都市で起きているキリスト教活動を阻止することに力をいれている。報告されている60件の迫害事件のうち半分を超す58.3パーセントが都市部で起きている。 迫害された人の数も全体の599人のうち76パーセントが都市部在住だった。
中国政府はキリスト教印刷物も対象にし、キリスト教関係の書物の印刷、運送、販売などに関する7件の事件が報告されている。

この印刷物に関する事件のなかでアメリカの新聞だけを読んでいては決して知ることの出来ない信じられないようなことが去年起きた。

キリスト教徒のビジネスマンで民家協会のリーダーとしても名の知れたでZhou Hengさんは、2007年8月31日、3トンの聖書を受け取った罪で正式に逮捕された。

Zhouさんは政府登録の本屋を営んでおり、キリスト教関係の書物を合法に中国国内で販売している。Zhouさんはバスの駅へ3トンの聖書を引き取りにいったところで逮捕された。聖書は韓国の協会から地域の信者に無料で配られるために送られてきたものだという。しかし政府は国で定めた協会以外での聖書の印刷や規定された数以上の配給は禁止している。
Zhouさんは牢獄で他の囚人や看守から殴る蹴るの暴行を受けたと言われている。公安公共省(PSB)はいまだに判決も出さないが、Zhouさんを釈放してもいない。

チベット暴動の演出

中国には言論も報道も中央政府が統括している。政治思想もスポーツもどんな仕事にも登録証明が必要で何もかも厳しく取り締まられている。書店までもが登録を必要とされ政府許可のない聖書をうっただけで経営者が逮捕されてしまうという国だ。共産党が市民の宗教をコントロールし、無論ひと家族に何人子供が生めるかまで取り決めしている。中国では令状もないまま逮捕され、無期限に判決もないまま拘束され、殴られ、人々は他にどうしようもない、共産党の意のままなのである。
これでも中国は「独裁政権」ではないというのか?
こうした流れで考えれば、オリンピックによって前代未聞の国際社会からの注目を浴びている中国共産党が、目の上のたんこぶであるチベット人に克つを入れてやろうとしたとしても不思議でもなんでもない。この際だから中国に恥をかかせるチベット人はとことん弾圧してやろうと考えたのも理解できるというものだ。しかし、非暴力が売り物の平和的なチベット僧侶を暴力で弾圧するためには何か口実が必要だ。どうしたものだろうか?
こう考えれば解決策は明白なはずだ。チベットで「暴動」を演出し、それがチベット僧侶の先導によっておきたことにし、一気に軍隊を送り込む。そして外国でもいくつか「チベット人」による聖火をもぎ取ろうとするような暴力的な騒ぎを起こさせることによってチベット人の理不尽を国際社会に訴える。世界のエリートメディアはこぞってこれを報道し、中国の弾圧を正当化してくれるというお膳立てだ。問題なのは侵略者で征服者の中国ではなく、チベット人のほうなのだと。「奴隷の立場に抵抗しているチベット人こそが問題なのであり、チベット人を迫害している中国がわるいのではない!」というわけだ。
これなら1950年代から60年代にかけて人種差別に抗議して抵抗運動を行った黒人に向かって、差別をされている黒人が悪く差別的な法律を通して黒人を弾圧した白人が悪いのではないと言っているのと同じだ。
しかし当ブログに寄せられたいくつかのコメントを読んでいると、中国共産党のプロパガンダはかなり効果が上がっているようだ。
*************
次回はこのエントリーに寄せられたコメントへのミスター苺の反論を掲載する。乞うご期待。


1 response to そこのけそこのこけオリンピックが通る! 中共人権迫害の実態

In the Strawberry Field16 years ago

ミスター苺、親中共コメンターにもの申す!

English version of this entry can be read at Biglizards.net/blog. 下記はカカシの英語版ブログに寄せられた親中共コメンターのコメントへのミスター苺による反論である。 ************** 中共人権迫害の実態の主題は今日起きているレッドチャイナの暴虐について、特に2008年のオリンピック開催地に選ばれてからの中共の反応について述べることにあった。カカシはいくつもの例をあげて中共の悪行を暴露した。それに対してこのコメンターはこう書い…

ReplyEdit

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *