アメリカの大統領予選では、昨日ネバダのコーカスとサウスカロライナの一般予選があった。民主党ではヒラリーが51%の投票数を取得して明かに勝ったのだが、なぜかオバマが勝利宣言をするという不思議な状況が起きた。しかしその話をする前にまずは選挙結果をCNNニュースからそれぞれ見てみよう。
先ずネバダのコーカス

(CNN) 米大統領選の共和・民主両党のネバダ州党員集会が19日行われ、共和党はミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事、民主党はヒラリー・ロダム・クリントン上院議員がそれぞれ勝利した。

共和党は開票率100%で、ロムニー氏が得票率51%で首位に立ち、ワイオミング・ミシガンに続いて3勝目を挙げた。獲得代議員数は18人。2番手はロン・ポール下院議員(14%)、3番手はジョン・マケイン上院議員(13%)。アイオワ州を制したマイク・ハッカビー前アーカンソー州知事と、フレッド・トンプソン元上院議員はともに8%で、4番手に並んだ。
民主党は開票率98%でクリントン氏が得票率51%を記録し、8日のニューハンプシャー州に続く重要州で白星を挙げた。獲得代議員数は12人。勝利を受けてクリントン氏は、ヒスパニック系中心のカジノ従業員らで結成する労働組合に向けて、特別に感謝を表明。労組はバラク・オバマ上院議員を支持していたが、クリントン氏は組合員らに対し、良心に基いて投票するよう呼びかけていた。
2番手は、初戦アイオワ州で勝利し、今回クリントン氏とヒスパニック票を争ったオバマ氏(45%)。ただ、獲得代議員数は13人で(カカシ注:ヒラリーは12人)クリントン氏を上回ったため、オバマ氏は実質的な勝利を主張している。3番手はジョン・エドワーズ元上院議員(4%)。

そして共和党のみのサウスカロライナの結果はというと

(CNN) 米大統領選のサウスカロライナ州共和党予備選は19日投開票され、開票率93%でジョン・マケイン上院議員が33%の得票率を記録し、勝利した。

2位はアイオワ州を制したマイク・ハッカビー前アーカンソー州知事(得票率30%)、3位はフレッド・トンプソン元上院議員(16%)。ワイオミング・ミシガン・ネバダの各州を制したミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は得票率15%で4位だった。

ちょっとここで読者のみなさんにもう一度『獲得代議員数』の意味を説明しておきたい。アメリカの大統領選挙は一見国民による直接投票のように見えるが厳密にいうと実はそうではない。大統領は各州から”delegate”「代議員」と呼ばれる投票者を選び、彼等が9月頃にある党大会であらかじめ決められた候補者に投票するというしくみになっている。
しかし州によってこの代議員数は違うだけでなく、一位になった人が全数取れるところと、一位から三位くらいまでが割合で取れるところとあり、非常に複雑なシステムだ。
かなり大金を継ぎこんでサウスカロライナで選挙運動をしていたロムニーが支持率があがらなかったことから選挙二日前くらいからサウスカロライナを去ってネバダに神経を集中させていたのも、サウスカロライナよりもネバダの方が代議員数が多いからで、サウスカロライナでまけてもネバダで勝てれば実質的にはトップを保つことができる。ロムニーの作戦は一州々地道に代議員数を稼いでいこうというものらしい。
オバマがネバダで取得票では二位なのに実質上は勝者だといっているのも、取得票数ではヒラリーより負けたが代議員数ではクリントンより勝ったという理屈なのだ。どうしてこういうことが起きるのかというと、選挙結果は投票数だけでなく地区ごとの勝ち負けで決まるためヒラリーがある地区では圧倒的に勝っても別の地区ではわずかの差で負けた場合、投票数はヒラリーの勝ちでも地区ごとの勝ち負けは1:1という計算になるからだ。しかもMSNBCのマーク・マレー(Mark Murray)の説明によると、ネバダでは民主党の全国民主党大会で投票する代議員は今回の選挙では選ばれておらず、それが決まるのは4月19日なんだそうだ。ではいったいこの選挙で何が決まったのかというと、地方民主党大会での代議員だという。とはいうものの、4月19日の地方大会で代議員の支持に変化がなければそのまま全国大会の代議員になるわけだから、ま、いってみればオバマは全国大会で自分に投票してくれると口約束をした代議員の数をわずか一人だがヒラリーよりも多く取得したというわけだ。
それではここでトップ候補者の現在までの代議員数の集計をしておこう。下記はリアルクリアポリティクスによる数字。
共和党は、ロムニー59、ハッカビー39、マケイン32。期待のジュリアーニはまだ一人しか獲得できていない。ジュリアーニはフロリダで勝っていっぺんに巻き返したいところだ。
民主党のほうはというと、ヒラリー203、オバマ148、エドワーズ50。後はゼロ。
オバマの支持者は若者が多いが、ヒラリーの支持者は中年組と女性。ヒラリーのほうが組織力があるし、中高年のほうが選挙においてはたよりになるのでヒラリーが今のところ優勢だ。代議員数では負けてもネバダで最高票を取ったことで彼女の人気に拍車がかかったといえる。


1 response to 米大統領選:ヒラリーの勝利にオバマが勝利宣言、混乱するネバダの代議員数

In the Strawberry Field16 years ago

サウスカロライナ予備選バラク・オバマ圧勝! オバマに黒人候補のラベルを貼るクリントンの汚い手口

いえ〜い!!!行け、行け、オバマ!ヒラリーなんかぶっとばせ! なんて別にカカシはオバマのファンではない。これは単に敵の敵は味方というせこい考えである。(笑) サウスカロライナの予備選ではバラク・オバマが55%の票を獲得し28%を穫ったヒラリーを大きく引き離しての圧勝だった。 (CNN) 米大統領選挙の民主党予備選が26日、南部初となるサウスカロライナ州で投開票され、アフリカ系のバラク・オバマ上院議員が圧勝した。出口調査によれば、黒人有権者の約8割がオバマ氏を支持している。 開票率99%の時点で、オバ…

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