アップデート:2015年5月9日現在
最近何故か、小山エミさんの名前で検索して私の過去ログのこの記事にたどり着く人が増えたらしい。実は私のエミちゃんに対する第一印象にはかなり誤りがあるので、この記事だけ読んで、「へ~小山エミってそういう人なのか」と判断するのは彼(彼女?)に対してかなり失礼だと思うので、この記事を読むならこちらの改訂版も読んでいただきたい。それから、私は時々彼女の英語の文章を自分なりに勝手に訳しているが、日本語に相当する言葉がないときは適当な意訳をしている。であるから私の自己流訳をそのままあたかもエミちゃんが書いたかのようにどこかに転載したり自分の本に載せたりしないでほしい。彼女が実際になんと言っているのかは彼女のサイトに行くなりしてご自分で調査していただきたい。プロの作家で私の書いたことをそのまま盗作した人がいるが、作家として怠慢極まりないね。
付けたし:エミちゃんの書いた2001年のトランスフェミニズムマニフェスト(英語)という論文のリンクも張っておく。これを読んでエミちゃんの写真を見たり声を聴いたりすれば、エミちゃんがどういう人なのかという想像はつくのではないかと思う。
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私がここで何度か討論した左翼フェミニストのmacska(小山エミ)という女性は非常に面白い人である。私が彼女のサイトを最初に発見したのは、私がジェンダーフリーという神話というエントリーを書いとき、彼女が私の間違いを指摘したことから始まる。
私の元のエントリーはこうなっていた。

私はジェンダーフリーという言葉を今まであまりきいたことがなかった。アメリカのフェミニズム、つまり女性運動は一般にジェンダー(性別)フェミニズムとクオリティー(質)フェミニズムに分かれるが、ジェンダーフリーというのはその言葉からして性別を完全に無視したものという印象を受ける。

これについての小山エミの批判はこうだった。

アメリカのフェミニズムを「ジェンダーフェミニズム」と「クォリティフェミニズム」に分けるなんて話は聞いたことがない、一体どこから出て来た話なんだろうと言っていたのだけれど、この種の議論を知っている人にとってソースははっきりしている。保守派哲学者クリスティーナ・ホフ・ソマーズが代表作『Who Stole Feminism? How Women Have Betrayed Women』(「デビューボ」でおなじみのエドワーズ博美氏のネタ元)で主張している「ジェンダーフェミニズム」と「エクイティフェミニズム equity feminism」を間違って覚えているだけ。そもそもソマーズの分類自体一般的なものではない(スティーブン・ピンカーが紹介して知られた程度で、一般には使われない)のに、「アメリカでは一般にこうである」とまで言って間違ってるんだから、どーしよーもない。

私はエクイティー(機会均等)をクオリティー(質)と覚えていて、エントリーにもそう書いてしまったので、その間違いを指摘してくれたのは感謝しているのだが、問題はこの概念が一般的に使われないものであるのに、あたかも私がそれが一般的な概念であるかのように書いたと彼女が指摘している点である。この指摘には間違いが二つがある。
間違い1:カカシがジェンダーフェミニズムとエクイティフェミニズムという概念がアメリカでは一般的であると書いたという主張。
先ず、私は『アメリカのフェミニズム、つまり女性運動は一般にジェンダーフェミニズムとエクイティーフェミニズムに分かれる』とは書いたが『アメリカではフェミニズムの概念をジェンダーとエクイティーに分けるが一般的である』とは書いていない。この二つの文章は全く意味が違うのだ。私の日本語は英語を直訳したような文章なので、最初は誤解があったのかもしれないと思ったのだが、度重なる私の説明を小山は単なる言い訳であると言い張って受け入れなかった。

私は単に「フェミニズムという概念は大きく分けてジェンダーとエクイティーの二つの概念に分けることができる」という意味で書いたのです。(エクイティーをクオリティーと書いたことは完全に私の落ち度ですから、それを訂正した時にあなたの誤解についても説明しています。)これはジェンダーをドーナッツとよび、エクイティーをマフィンと呼ぼうといっても同じことです。私の主題は概念なのであって言葉使いではないからです。

これに対する小山の答え。

はい分かっていますよ。そして、それは一般的な解釈ではないのです。ソマーズという学者がこう言っている、と紹介していればOKでしたが、ごく一部の特殊なアジェンダを持った人だけが使っている概念を、一般に通用する概念であるかのように偽装するのはやめましょう。…だからエクイティをクォリティと間違っても別に構わないんですよ。

「はいはい分かってますよ」と言っておいて、その同じ文節で私が「偽装」しているといいはる。私が偽装したと思っているなら私の言ったことを分かったことにはならないし、分かっているなら「偽装」しているという言い方は彼女のわい曲だということになる。小山の文章は得てしてこのような矛盾に満ちている。
間違い2:ジェンダーフェミニズムとかエクイティーフェミニズムという概念は一般的な解釈ではないという主張。
フェミニズムを勉強している人でクリスティナ・ホフソマーズ博士の名前を知らないひとはないし、彼女の概念について親しみのない人もいない。私が言葉使いを間違えたにも関わらず小山がすぐに私が何の話をしているかわかったことがそのいい証拠である。この概念は女性を女性という集団の一員として扱うか、それとも性差別をせずに個人として扱うかというごく普通の概念であり、一般的でないどころか差別問題を取り扱うときは必ず引きあいに出される概念なのである。現に小山自身が数年前に別のブロガーと議論を交わしたときも、相手のBruckner05さんがこんなことを書いているのである。(括弧内はカカシ)

自由な社会には“機会の平等”(エクイティー)こそふさわしいのに、男女共同参画は“結果の平等”(ジェンダー)を目指す。その実現には上からの強権発動が欠かせないから、これはまぎれもない全体主義だ。「性差より個人差」「性別にとらわれない社会」と言いながら、他方、徹底して「女」にこだわるダブルスタンダード。数値目標によって女性の参画比率を恣意的に引き上げ、DVは事実上、女性のみを保護対象にし、女性限定で起業支援、健康支援をするなど露骨な逆差別。

はっきり言って男女同権について言及するなら機会平等をめざすのか結果平等を目指すのかという概念がごく普通に現れるのだ。この概念を左翼フェミニストが受け入れられないからといって、概念そのものが一般的に認められていないと決めつけるところに小山の左翼フェミニストとしてのごう慢さが現れている。
ところで小山エミのブログエントリーを2〜3読んでいて私が最初に持った印象は次の通りだ。

このブログ経営者のmasckaさんという人は、そのブログの内容を読む限り、オレゴン州のポートランド在住で、女性学(特に性に関する)専門の教授らしい。アメリカ各地の大学で講演などを活発に行っている人のようだ。

しかしアメリカのフェミニストを見慣れているカカシからみるとmasckaさんは典型的なアメリカの左翼系(多分共産主義者)レズビアンフェミニストに見える。いやいや彼女が同性愛者だという言っているのではない。私がこれまでに遭遇したそういう部類の人に似ている、といっているだけだ。

これに対して小山エミはこう反応した。

この人がレズビアンフェミニストを見慣れているとは到底思えないけどなぁ。わたしはフェミニズムの中でも、レズビアンフェミニズムと根本的に対立する立場なんだけど。


 一応念のために言っておくと、レズビアンフェミニズムとはレズビアンたちによるフェミニズム、ではない。レズビアンフェミニズムというのはラディカルフェミニズムの一派で、主に異性愛者の女性たちが、レズビアンという存在を自分たちに都合のいいように勝手に解釈し、植民地化して名乗ったものであり、本当にレズビアンの女性にとってはかなり迷惑な思想なのね。ある著名なレズビアンフェミニストが「わたしにとってレズビアンになることは大変だった、なぜならわたしは男が好きで、男とセックスするのが大好きだったからだ」と言っていたことに典型的。
…業界人でもないカカシさんがそんなにかれらに遭遇しているとは思えないのね。だからカカシさんはレズビアンフェミニズムが何であるかも知らずに、レズビアンフェミニストではない、ただのフェミニズムを主張するレズビアンのことを「レズビアンフェミニスト」と呼んでいるんじゃないかな、と想像する。

「私はレズビアンじゃありません!」といわないところをみるとかなり図星だったらしい。しかしこのまわりくどい文章を分かりやすい日本語に翻訳するためには彼女の個人情報が必要になってくる。下記はこちらのブロガーさんが紹介してくれた小山エミの英語のウェッブサイトからの抜粋だ。

Emi Koyama worked for ISNA from 2001-2002 first as an intern and then as a staff activist. With her experiences at ISNA, Emi went on to found and direct Intersex Initiative, an intersex advocacy and activist group based in Portland, Oregon. She also lectures at college campuses around the country on various topics, including intersex, domestic violence, disability theory, and the sex workers’ movement.

小山エミは2001年から2002年まで最初はインターンとしてISNAに入り、後に活動家のスタッフとなる。ISNAでの体験を生かして、エミはディレクトインターセックスイニシャティブというインターセックスの擁護活動団体をオレゴン州のポートランドを基盤に発足。全国の大学キャンパスを回ってインターセックス、家庭内暴力、障害者説、風俗業者などについて多様な主題でレクチャーを行っている。(カカシ注:インターセックスとは両性体質の人のこと)

Emi Koyama is a multi-issue social justice slut synthesizing feminist, Asian, survivor, dyke, queer, sex worker, intersex, genderqueer, and crip politics, as these factors, while not a complete descriptor of who she is, all impacted her life. Emi is currently the director of Intersex Initiative. Emi lives in Portland, Oregon and is putting the emi back in feminism since 1975.

エミ・コヤマは自分のことを尻軽女であると書いている。そしてフェミニスト、東洋人、生き残り、レズ坊、おカマ、売春婦、両性体質、ジェンダークィアー(?)そしてクリップポリティクス(?)といった多様の社会問題を取り上げている活動家なんだと説明している。1975年からフェミニスト活動をしているんだそうな。自分が同性愛者でなければ他人のことをダイク(レズの侮蔑的な呼び名)とかクイアー(男性同性愛者の侮蔑的な呼び名)などというはずがない。どういうわけか自分が同性愛者なら同性愛者に対して侮蔑語を使ってもいいという暗黙の了解がアメリカにはあるからだ。しかし私のような保守派がこんなことをいったらいっぺんに「同性愛者恐怖症」のラベルを張られてしまうというダブルスタンダードもある。ま、という背景を念頭にいれると、先の小山エミの反論の意味が次ようのなものであることがわかる。

『私はもともとレズビアンからフェミニストになったレズビアンのフェミニストであって、フェミニストが講じてレズビアンになったレズビアンフェミニストではないのよ。業界人でないカカシさんがレズビアンフェミニストの意味も知らないで知ったようなこといわないでほしいわ。』

先ず、小山エミのいう「レズビアンフェミニスト」とは正確には「ポリティカルレズビアン」(政治上の女性愛者)と呼び、普通のレズビアンとは区別されている。単に「レズビアンフェミニスト」と言った場合にはレズビアンでフェミニストであるというだけの意味でレズビアンが講じてフェミニストになった人とフェミニストが講じてレズビアンになったひととの区別はつかない。私にいわせたらどちらも過激派フェミニストでありたいした差はないと思う。小山エミに関しては彼女が本当にレズビアンだとは知らなかったので、単に典型的な「過激派フェミニスト」という意味でこれまでに出会った過激なレズビアンフェミニストに似ていると思ってそう表現しただけだ。それが本当にレズビアンだと言うのだから笑っちゃう。業界人でもないカカシさんにしてはすごい勘じゃありませんか?(笑)
小山エミは他のブロガーとネット戦争をやるのが好きらしく、最近は空さんとも慰安婦問題で日本やアメリカのフェミニストのダブルスタンダードを指摘されて怒って応戦している。

Feminist Emi Koyama

自称尻軽女、左翼レズビアンフェミニストの小山エミさん


アップデート:(2008年2月25日現在)
先日小山エミは自分は左翼系リベラルのフェミニストだと認めたが、絶対に共産主義者ではないと主張した。それはそれで別にいいのだが、その後に自分はレズビアンではないとも主張している。

わたしはリベラルでありフェミニストであるとは認めているけど、自分は左翼ですと言った覚えはないし(そう見えるかもしれないとは自覚しているけど、「自他ともに」は認めていない)、レズビアンだとも言っていない(このあたりはカカシさんには分かりにくいかもしれないけど、このあたり参考にしてね。カカシ注:レズビアンはダイクとは違うんだそうだ)。わたし自身のセクシュアリティは今の議論に全く関係ないのではないかと思うけれども、その関係のないことを書いたり、「でも絶対マルクス共産主義者ではないと主張する」とわざわざ表記するあたりは、はっきり言って気色悪い。macska というペンネームで書いているのに、わざわざ本名で「エミちゃん」と書くのも嫌な感じだし。

もしカカシさんにわたしに嫌がらせする意図がなく、異なる意見の持ち主にも最低限の礼節を尽くすべきだという考えの持ち主なのであれば、次からこういう表記はやめてもらえないでしょうか。事実と違うことをいろいろ言われても別に痛くも痒くもないんだけど、非常にうざい(そう書けばわたしにダメージを与えられるとほくそ笑む低俗な知性の存在が頭をよぎる)

小山エミは、「自分は〜ではない」とはいうが、「自分は〜です」とは先ず言わない人なので、他から得た情報などを消化して判断するより他にない。小山エミは自分で自分のことを「クィア」といっている。「クィア」というのは普通は男性の同性愛者をさすが、最近は男性だけとは限らず同性愛者という意味で使うこともあるので、女性であるエミちゃんがクィアだと言い張れば、自然にレズビアンだと解釈するのは常識。それが違うというのなら、エミちゃんは女性ではないのか、それとも彼女が専門にしてる女性でも男性でもないインターセックスとかいう部類の人なのか、それとも男性から女性に性転換したけど今でも男性が好きなあの手のひとなのか、、はっきり言って私のような普通の人間にはクィーアーなひとたち(変態変わった人たち)の言葉使いなんて理解できない。要するにこれが彼女/彼/それ/らの人々のいう「ジェンダーフリー」(性別抜き)という意味なのかもしれない。
他人を「嘘つき」呼ばわりする人が最低限の礼儀云々を口にする資格などないというのがカカシの意見だ。


4 responses to 左翼(多分共産主義)レズビアンフェミニスト小山エミの正体

In the Strawberry Field16 years ago

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