月曜日, ファインダイニング
グレイシャーベイにつくまで、今日は一日海の上。特にやることもないので私は朝早く起きてエアロビのクラスに挑戦。熟年カップルが多い割には朝のエアロビに参加した女性の数は結構いたし、固定自転車やウエイトトレーニングをやってる男性などでジムは満員だった。最近の熟年はみんな若くて元気だなあと感心してしまった。
エアロビの講師はイギリス人のスタイル抜群の若い女性。「運動だけでは体重は減りませんよ!ダイエットもがんばりましょう!」と午後に彼女が教えているダイエット教室の宣伝に余念がない。
エアロビが終わって部屋にもどると、ミスター苺はやっと目をこすりながら、「あさごはんたべた〜?」ともう食べることを考えている。朝食は第9デッキでブフェスタイル(バイキング形式)とはいうものの、カウンターの向こう側に給仕の男性がいてお皿に食品を盛ってくれるし、オムレツも好みのスタイルで焼いてくれる。お盆が満杯になったらウエイターがやってきてさっさとお盆をもって開いてるテーブルに案内してくれる。座るとすぐ飲み物の注文をうけてくれるし、こんなブフェなんてみたことない。訳の分からない食べ物をプラスチックの皿の上にベチャっとのせてくれる海軍の食事を考えると月とすっぽん。ま、比べるほうが悪いけど。
船旅には慣れている私だが、仕事で乗る船では外にでることはほとんどない。地下のコンピュータールームに入り浸って何日も外の空気を吸わない日もあるカカシには、好きな時に外にでてデッキチェアに座っているのは最高な気分だ。気温はそれほど低くはなかったが、それでも野外プールで泳ぐほど暖かいとは言えなかった。風もあるから外で座っている時はみの虫みたいに毛布にくるまっていた。でも近付いてきたパーサーにあったかいアイリッシュコーヒー(ウィスキー入りのコーヒー)を持ってきてもらって満足なカカシ。ああ、このままずっとこうしていたい、、、とついうとうとするカカシ。
「親分、てえへんだ、てえへんだ、」と銭形平次のハチ公みたいにミスター苺が騒ぐ声で目が覚めた。実は今夜は船長さんが挨拶に回るフォーマルディナーがある。この時とばかりにあつらえたばかりの新品の背広と白と赤の派手な革靴まで用意してこのディナーを楽しみにしていたミスター苺なのに、突然大変なことに気が付いたという。「どうしたの?」とおもむろにデッキチェアから体を起こすカカシに「ネクタイ忘れた」というミスター苺。実はミスター苺はスーツはたくさんもっていないがネクタイだけは色々もっており、しかも度派手なものが好きな彼は旅行前もベッドに何本もネクタイを並べて「これにしよ〜かな〜、あれにしよ〜かな〜」と迷いに迷っていたのである。そのネクタイをどうやって忘れてきたというのだろう?
「皺にならないように別にしといてすっかり全部わすれてきちゃった。」んだそうだ。
仕方ないので船のギフトショップにネクタイを買いに行ったら、なぜか高級ネクタイは全くうっておらず一本10ドルという安物ばっかり。なんで豪華客船で売ってるネクタイが安物ばっかりなのかさっぱり分からないのだが、背に腹は代えられない。仕方なく10ドルネクタイを買ったはいいが、せっかくの食事中、ミスター苺は合うひと事に「ネクタイを忘れまして、、いつもはいいのをきてるんですが、、いやお恥かしい、、がはははは」と説明しまくるので、こっちのほうがよっぽど恥かしかった。
フォーマルディナーはかなり格式張ったフランス料理風。我々の目的は何と言っても蟹とサーモン。なにせアラスカといえば蟹とサーモン以外にはないでしょう。そこで我々は前菜に蟹サラダを注文、メインメニューはサーモンが二種類、肉類が二種類とあったので、二人ともそれぞれ別々のサーモン料理を選んだ。
子供の時に両親と一緒にアラスカンクルーズを体験しているミスター苺からは、とにかく船では食べきれないほどたくさん料理が出てくるので、がつがつとすべて食べないようにと何度も注意をうけていた。ところが、出てきた前菜の蟹サラダは直径5センチ、厚さ一センチ程度の平べったいケーキみたいで、器は大きいが中身は小さいというまるで懐石料理風の盛り付け。その後のメインコースも同じように盛り付けは芸術的できれいではあったが、量が極端に少ない。ミスター苺はサーモンをたった三口で食べ終わってしまい、まるで満足してない表情。「足りないならもうひとつ注文すれば?ひとつでもふたつでも値段は一緒なんだし、、」というと「そんな下品な真似ができるか」と立腹顔。船長の乾杯の挨拶もどこへやら、苺夫婦はかなり不満足でレストランを出た。
夕飯の後もミスター苺はおなかがすいたままだった。夜零時近くになって私は私が仕事で乗る船では夜遅く夜勤のひとたちのためにミッドレップと呼ばれる食事が出るよ、という話をしていたらミスター苺が、もしかしてこの船でも夜食がでるかもしれない、第9デッキのブッフェに行ってみようと行ってみると案の定ピザとパスタがあった。しかもパスタはその場で麺をゆでソースをあたためてくれるようになっていた。ミスター苺は大喜びでピザを三切れも食べた後、大盛りミートソースを平らげてしまった。「ああ満足」とおなかをかかえるミスター苺。
どうしてフォーマルディナーの夜がピザとミートソースで幕を降ろすのか、やっぱうちら夫婦は庶人的だ。


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