日本右翼の誤った反米意識

私がこのブログをはじめた一番の動機は日本の皆様に真のアメリカを解ってほしいということからだった。本来ならばアメリカを強い味方とすべき日本が誤ったアメリカ観から反米意識を持ってしまうのを見ると非常に悲しい。なんとかより多くの日本人にアメリカは日本の友達であり、決して日本を蔑んだり、押さえつけようとしたり、思うがままに操ろうなどと思っていないのだということを解って頂きたいという思いでいっぱいになる。
特に最近起きているアメリカ下院議会での慰安婦に関する決議案などでも、日本の皆さんによるアメリカ政界への誤解から不必要で有害な反米感情が生まれていることが残念でたまらない。そこでなんとかして私はここで皆様のアメリカへの誤解を解きたいと思う。
先日私がニュースウィーク誌が安倍首相を国粋主義者扱いしているという記事をかいたことがきっかけで、ある右翼ブロガーが書いていたことを例にあげて説明しよう。私は特定のブロガーと言い争いをしたいわけではない。私としては非常に残念なことなのだが、ほかのことでは非常に理屈にかなったことをおっしゃる右翼や保守派の人たちが、こと戦時中の話となると感情論でアメリカバッシングに走る傾向があることを示したいだけである。
まず、下記のような意見は非常に典型的な誤解といえる。

アメリカという国は基本的に左翼国家であり保守派の存立基盤は薄い。歴史も伝統も保守すべきものが無いのだから保守派は無いのだ。あるとすれば宗教的原理主義ぐらいである。だからアメリカは基本的にリベラルでありソ連という共産主義国家の兄弟的存在だ。

まず、アメリカはアメリカ合衆国として独立宣言をしたのは1776年のことであるが、アメリカの歴史自体はその200年前、偶然だが今年はアメリカ初期の入植地のひとつでありジェームスタウン入植からちょうど400年目にあたる。今訪米中のエリザベス女王が先日訪問したばかりである。
400年も前から存在している社会に守るべき伝統も歴史もないなどという言い方はおかしい。しかもアメリカは移民の国である。アメリカ大陸に400年前に突然降って湧いてできたわけではない。最初はイギリスから、その後はフランスやドイツといったヨーロッパからの移民が集まってそれぞれのヨーロッパの歴史や伝統を受け継いできた。バージニアにあるウィリアムスバーグ入植地公園などに行くと、当時の建物がそのまま残っているが明かにイギリスの影響を受けていることがわかるし、東海岸などの古い町にいくと明かにヨーロッパから受け継いだアメリカの伝統を伺うことができる。
そしてここが一番大切なところなのだが、アメリカの移民たちはヨーロッパで起きた宗教弾圧を逃れてきた人々で出来た国なので、祖国のヨーロッパ諸国よりも宗教心の強い人々が多い。特にここ100年近くヨーロッパ諸国が宗教をあまり重視しない世俗主義になっていったのとは反対に、アメリカ人の信心はよりその深さを増していったのである。アメリカの独立精神は開拓者精神とジュデオクリスチャン宗教が基盤になっている。近年のヨーロッパが社会主義的傾向があるのと反対にアメリカが資本主義を守る続けられるのもそうした伝統があるからである。
こう書けば、アメリカが無宗教主義と全体主義をモットーとする共産主義とは全く相容れない考えをもった文化であり、絶対に兄弟関係になどなれないことがすぐにご理解いただけるはずだ。
また、冷戦時代がどういう形で終わったのか思い出していただきたい。冷戦時代のソ連は強力な存在だった。洋の東西を問わず世界中の人々がソ連の存在は永久でありソ連が滅びるなどと考えていた国はひとつもない。そんな中アメリカの保守派大統領のレーガンがただ一人「ソ連は悪の帝国だ」と言い、ソ連は滅ぼさねばならない、自分がそれを実現させると言い切ったのだ。
当時のヨーロッパ諸国やアメリカ国内でのレーガンのこの発言に対する反響はほとんどが嘲笑だった。役者上がりが何を思い上がったことをいっているのだ。ソ連をお前が倒せるわけないだろうが。ばっかじゃなかろか。
しかし現実はレーガンがドイツを東西の二つに分離していたベルリンの壁の前で「ゴルバチョフさん、この壁を崩しなさい!」と言ったあの有名な演説の数年後に、ベルリンの壁は崩壊しソ連が崩れ東ヨーロッパを支配していた共産主義ががたがたと音をたてて崩壊したのである。アメリカは共産主義の兄弟どころか、アメリカこそが共産主義ソ連の宿敵だったのであり、アメリカの保守派大統領レーガンこそがソ連を倒した英雄なのである!
レーガン大統領は多くのリベラルや左翼を保守派に改心させた責任者でもあり、今ネオコンとよばれている思想は、それまでリベラルとして迷っていた心をレーガンによって保守派として目をさまされた人々から受け継がれている。
この間も述べた通り、アメリカのメディアは非常に左よりでありアメリカ社会を代表しない。ましてはブッシュ政権とは敵対関係にあり、アメリカのメディアがアメリカの外交政策を代弁しているなどと考えるのは完全な間違いである。このブロガーもその典型的な間違いをおかしている。

だからアメリカのメディアは日本やヨーロッパの保守派に対しては憎悪に近い敵意を抱くのであり、自由主義に対する認識もヨーロッパとアメリカとではかなりずれがある。だからアメリカの新聞各紙は安倍内閣に対して「ナショナリスト・アベ」と書きたてている。

ちょっと分かりにくいことではあるが、アメリカの議会とアメリカの政権は同じではない。日本も三権分立制を取り入れているが、アメリカの場合特に政権と議会との勢力争いはものすごく激しい。大統領と議会が同じ党派である場合ですら勢力争いは避けられない。ましてや今のように議会が大統領と違う野党である場合には議会と政権との意見は180度反対であることも珍しくない。よく諸外国のみなさんはアメリカの民主党と共和党は大差ないというが、その政策や思想には雲泥の差がある。
また民主党はヨーロッパ風の社会主義をモットーとしており、世俗主義で軍隊が大嫌いである。特に愛国心とか言う言葉をみると背筋がぞっとするほどグローバル主義なのだ。(ジョン・レノンのイマジンという曲を思い出してもらえれば、彼等が理想とする社会がどういうものなのかが分かるというものだ。)だから「美しい国」などという安倍首相を「国粋主義者」と批判するわけだ。それが理解できないとこういう誤解が生じる。

大東亜戦争の本質は、日本の伝統的保守主義とアメリカのリベラル主義との思想的な戦いでもあった。その結果、日本の保守主義はアメリカ占領軍により徹底的に弾圧されて、7700冊もの本が発禁処分されて焚書された。だからアメリカは安倍内閣によって日本の保守主義が復活したのではないかと恐れているのだ。

民主党は日本が多少でも軍事強化することをいやがっているが、これは大東亜戦争当時の軍事独裁政権が日本に戻ってくるのを懸念するなどという高レベルのものではない。彼等は軍事を強調するブッシュ政権と軍事的に独立しようとしている日本とが仲良くなるのが気に食わないだけだ。慰安婦問題だの安倍政権の国粋主義だのは単なるジャパンバッシングの道具に過ぎない。彼等はなんとか日本政府とアメリカ政府の間に深い亀裂を生じさせようと必死なのである。
そしてそれにつけ込んでアメリカ議会を利用しているのが中共や親北朝鮮の韓国というわけだ。(在米韓国人の間には北朝鮮の工作員も多く混ざっているだろうことは想像に難くない。)
であるから、民主党の議会や左翼メディアの攻撃に腹をたてて、アメリカ政府から批判を受けたと誤解し、戦争当時のアメリカの所行についてアメリカはこんなこともした、あんなこともした、と蒸し返してお互いの間をきまずくするようなやり方は中共や韓国そして北朝鮮の思う壷である。愚かである。
日本の右翼のみなさんに心から訴えたい! アメリカは左翼主義の国ではない! アメリカは日本の敵ではない!左翼連中の思惑にだまされてアメリカとの友好関係を壊すような行為はぜひとも思いとどまっていただきたい。
ただ、強い日本をめざす人々にとって、次の政権が民主党に渡った場合は問題である。アメリカには右翼も左翼もいるが、この間からの選挙でも分かるようにアメリカは左系の民主党と右系の共和党とでまっぷたつに割れている。もしヒラリー・クリントンやジョン・エドワードが大統領になり、議会も民主党に制覇されたら、その時は私も「アメリカは左翼主義だ」といってアメリカバッシングに加わるかもしれない。(苦笑)
しかし大事なのはそうならないようにすることだ。アメリカの保守派として、日本を祖国に持つものとして、日本とアメリカは常に友好的な関係を保ってほしいと願っている。そのためには次回の選挙で共和党が政権を保ち議会を取り戻す必要がある。であるから日本の皆様にも共和党の全面的勝利を応援していただきたい。


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どっちが恐い? ライス米国務長官と赤いドレスの女

この間、民主党の下院議長のナンシー・ペロシ女史がシリアを訪問した時、イスラム教の男尊女卑のしきたりに迎合して頭にヒジャブを被り素顔でアサド大統領と会談し、その写真が世界中で報道されてアメリカ国民に屈辱的な思いをさせた。
しかしその自虐的な姿とは対照的に、今回エジプトを訪問中のコンデリーザ・ライス国務長官の姿はすばらしい。もともと美人なこともあるが、ライス女史は真っ赤な口紅もさわやかなお化粧ばっちりの顔に黒のパンツスーツ姿でシリアの外相との会談にあたり、その毅然とした姿はアメリカ女性の誇りを代表する。過激派イスラム教がどれだけ女性を馬鹿にしようとアメリカ女性の姿を見よ! 恐れ入ったか!
そのライス長官は金曜日、諸外国の外交官と晩餐会に出席した。そこに出席するはずだったイランのモタキ外相(Manaouchehr Mottaki)は会場である女性を見るなり「彼女の服は露出し過ぎている」と悲鳴をあげて逃げ出したのだそうだ。会場にはライス長官の他に赤いイブニングドレスを着たバイオリニストがいたことから、(下記はAPの記事より。Hat tip ミスター苺

「外相は赤いドレスの女性とアメリカの国務長官のどちらの女性を恐れたのかわかりません。」と国務庁のショーン・マッコーマック報道官は金曜日に語った。
ライス長官とイランのモタキ外相は木曜日昼食を一緒にしたが、議事麗句の挨拶を交わしただけだった。どちらも正式な会談を提案する気配は見せなかった。
「どうして(会談をする)努力をしなかったのか、彼に聞いて下さい。」と金曜日ライス長官は語った。「私は追いかけるタイプじゃありません。」(大爆笑!)

What you see if the first image is broken    The Woman in Red and Secretary Rice

赤いドレスの女とライス長官


ペロシ議長、まだまだ修行が足りないね。
ライス長官とシリアの外相との談話についてはCNNの記事参照:

エジプト・シャルムエルシェイク——イラクの安定化を支援する外相級の国際会議が3日、シャルムエルシェイクで開幕し、出席したライス米国務長官がシリアのムアレム外相と会談した。両国の高官級の接触は2005年1月のアーミテージ国務副長官(当時)のシリア訪問以来、2年ぶり。

ブッシュ米政権は、シリアをテロ支援国家と断定、外交関係も冷え切っている。しかし、イラク情勢が泥沼化する情勢の中で、米国内には武装勢力にも一定の影響力を持つ隣国シリアとの話し合いが必要との意見が広まっている。
ライス長官によると会談で米側は、シリア国境からイラクへの反米武装勢力や武器流入への懸念を表明し、同国の対策を促した。長官は約30分間続いた会談を「専門的でビジネスライク」と表現した。
一方、シリアの国営シリア・アラブ通信は会談内容について、イラク情勢のほか、中東の和平、安保や安定を目指すため両国関係の発展させる必要性などを協議したとしている。

「イラク情勢が泥沼化」ってイラク戦争が始まった最初の週から言ってるCNNなので、今さらどうってことはないが、国内でシリアと対話をすべきだといっているのは、もちろん前述のペロシ議長を筆頭にする民主党の腰抜け議員たち。保守派の連中はライス長官がシリアの外相と口を聞いたというだけで「裏切り者」「非国民」と批判している。左翼の腰抜けにもあきれるが右翼のヒステリーにも飽きがくるというものだ。
私はライス女史が好きなので、将来は大統領を目指してほしいと思っている。保守派の連中は彼女が国務長官はブッシュ政権の代用者として行動しているのであり、彼女の行動が必ずしも彼女自身の意志によるものではないのだということをもうちょっと理解して欲しいものだ。
クリントン時代のマデリン・オーブライト女史に比べたら、ライス女史は頭もいいしプロの外交官という印象を受ける。関係ないが、彼女コンサートピアニストとしても有名。


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イスラエル、オルメルト政権崩壊寸前!

昨年のガザ侵攻といいレバノン戦争といい、そのやり方のずさんさで任務完了もせずに放り出してきたことの責任を問われ、オルメルト首相の辞任を迫る声が国民や政府の間からも出てきている。

オルメルト首相に辞任要求=リブニ副首相が反旗、政権崩壊の危機-イスラエル

5月3日1時2分配信 時事通信
 【エルサレム2日時事】イスラエルのリブニ筆頭副首相兼外相は2日、オルメルト首相と会談した後、記者会見し、同首相に辞任を求めたことを明らかにした。国民の高い人気を誇る政権ナンバー2が公然と反旗を翻した形で、オルメルト政権は1年前の発足以来最大の危機を迎えた。
 リブニ氏はこの中で、レバノン紛争で傷ついた国民の信頼回復を目指す立場から、自身が職を辞す考えはないことを強調。オルメルト首相辞任後は総選挙を行わず、第1与党カディマが引き続き政権運営に当たるべきだとし、「時期がくれば」カディマ党首の座を狙いたいとの考えを示した。
 一方、4月30日に公表されたレバノン紛争の対応を検討する政府調査委員会の暫定報告で、オルメルト首相と共に「重大な失敗を犯した」と断じられた第2与党労働党の党首、ペレツ副首相兼国防相も辞任表明を検討しているとの情報が流れ始めた。
 リブニ氏は、昨夏のレバノン紛争以降は支持率低迷にあえいでいる同首相とは対照的に、イスラエル国内の世論調査で安定して高い人気を誇っている。「次期首相」の呼び声も高く、台頭を懸念する首相との確執が深まっていた。イスラエルでは「リブニ氏がこれに乗じ、倒閣に乗り出した」との見方が広がっている。 

イヨーニのブログでオルメルトの辞任を求めるデモ行進の写真が載っている。イヨーニの話だと何と集まった群集は20万人!オルメルト首相の支持率はなんと3%! これじゃあ韓国のノムヒョン大統領より低い。「3%じゃ誤差の範囲だからひょっとして支持率0%だったりして」とイヨーニ。
オルメルト政権はイスラエルの歴史始まって以来かなり久しぶりに内閣に誰も高位の軍人あがりがいなかったことが災いし、去年の二つの戦争は散々だった。軍事的には負けたとは言わないが勝ったとは言いがたい結果となった。しかも取られた人質三人は取り戻すことが出来なかったのに途中で退散。応援していたこっちはあきれてしまった。
以前にイヨーニはオルメルトはあと2~3年は頑張るのではないかといっていたが、ここまで人気が落ちてはやってられない。オルメルトは選挙になれば負けることがわかっているので政府を解散するのを避けているが、これ以上持ちこたえるのはムリではないだろうか? イスラエルのためにも早く辞任してもらいたいものだ。


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韓国では権利のない外国人教師

以前にも韓国で竹島問題を自分のブログで書いていたアメリカ人男性が勤め先の大学から解任されるという事件があったが、今回も韓国で英語教師をしているアメリカ人教師が以前勤めていた学校経営者との金銭トラブルを自分のブログに書いたところ、ネット上での名誉毀損で起訴さえるという事件がおきた。同じく韓国で教師をしている、Scribblings of the Metropoliticianのサイトより。
このアメリカ人男性はゼンキムチ(ZenKimchi)というブログを経営してるひとで、韓国料理に関する本なども出版している大の韓国贔屓。ブログのデザインもかなり立派。こんなに韓国好きの人が韓国で足蹴にされるのは非常に気の毒なのだが、まずは事の起こりから。
ゼンキムチさんは去年の4月、新しい職場が決まったことで今まで勤めていた学校での契約は継続しないと経営者に報告した。しかしこれに怒った経営者はキムチさんを二時間も教室でいじり倒したと言う。そして経営者はキムチさんの新しい勤め先に電話してキムチさんはひどい従業員だ雇うなと嫌がらせをしたそうだ。
アメリカならば、この時点でキムチさんのほうから元雇い主を訴えることができるが、幸いなことに新しい経営者はこの古い経営者の悪評判を聞いて知っていて相手にしなかった。
6月になって契約期間が終わったところで、経営者はキムチさんの退職金も最後の月の給料も支払うのを拒絶した。 しかも前の経営者はキムチさんの新しい経営者に頻繁に嫌がらせの電話をしてきた。キムチさんは遂に労働委員会に訴えた。
この労働委員会というのがどういうものなのか私はよくわからないのだが、経営者と従業員との問題を解決する機関らしい。法廷とはちょっと違うようだ。しかしこの手続きだの公聴会だのはかなり面倒だったようだ。 それでもとにかく8月にはキムチさんの訴えは受け入れられ、元経営者はキムチさんに未払いの退職金と給料を支払うように命令された。
ま、どこの国でもそうだが、民事で勝っても実際に被告が金を払うかどうかは別問題。相手が破産宣告をしてしまったり、雲隠れしたり、のらりくらりと逃げ続ける可能性は大きい。キムチさんの場合もその手を使われ全くお金は戻ってこなかった。
そこでキムチさんはこの苛立たしい体験を他の英語教師の参考にしてもらおうと自分のブログに委員会での手続きやら色々と記載したところ、なんと警察からお呼びがかかったと言う。キムチさんは委員会の手続きで公的に発表された事実以外は掲載しておらず、アメリカの法律では名誉毀損になるような記載は一切していないというが、そこは韓国、「事実は弁護にならない」のだそうだ。
キムチさんは警察の取り締まりでも自分の雇った通訳を使うこと禁じられ、英語の下手な警察官による通訳に甘んじているそうだが、これがどれだけうまく伝わっているのかかなり疑わしいという。お金持ちでないキムチさんは弁護士を雇うことも出来ず外国人に不公平な韓国の法廷ではとても公正な裁判は期待できない。裁判で有罪になれば禁固刑もあり得るという話で彼は友達やブログ仲間を伝って助けを求めている。
これはキムチさんに限らないが、アメリカや日本のように言論の自由のある国に住んでいると、他所の国もそうなのだろうという錯覚に陥る。特に韓国は文明も発達していて見た目は自由に見えるため外国人はつい油断してしまうのだろう。 しかし韓国で英語教師をしている外国人が虐待された話は結構よく耳にする。
この話を紹介しているマイケル・ハートさんのブログに寄せられたコメントのなかでも、雇用主が外国人従業員の給料を踏み倒すということはよくあるらしく、韓国ではあまり権利のない外国人は泣き寝入りせざる終えないケースが多いようだ。
これもどこかのブログで読んだのだが、韓国で英語を教えているイギリス人女性が、教材に使った英語の教科書の地図に「日本海」と書いてあったことから、韓国を馬鹿にしていると地元新聞に書きたてられたことがあったと彼女が書いていた。韓国で日本海をなんと呼ぼうと勝手だが、あの海は国際的に日本海ということになっているのだから当たり前なのに。
キムチさんの話を紹介しているマイケル・ハートさんも自分の教えている学校で生徒の成績を書き換えろと要求されたことがあると書いている。生徒の両親が学校に賄賂を出したらしい。こういうことは韓国の学校では日常茶飯事らしい。
コメントを寄せた弁護士らしい人の話によると、韓国では名誉毀損という口実で言論の自由を弾圧するやり方が横行しているらしい。これは何も外国人にだけに限らないが、外国人の場合は禁固刑ではなく罰金で済むだろうと言う話。しかしかなりの高額なので払えなければ国外追放。二度と戻ってこれない。
ま、私ならそんな扱いをされて、誰がこんな国に戻ってくるか!と言って終わりだが、キムチさんはこれまで韓国の文化を諸外国の人々に解ってもらおうと非常な努力をしてきた人だ。彼のサイトに行ってみればキムチさんがどれだけ韓国文化や人々を愛しているかがわかる。彼は韓国の外務省からは礼状をもらってもいいようなひとなのに、こういう人を敵に回してしまう韓国政府。
その愚かさにため息が出るばかり。


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ロヤル対サルコージ、フランス大統領候補討論会

本日フランス大統領候補の上位二位になった社会主義のロヤル女史(Ségolène Royal)と保守派のサルコージ氏(Nicolas Sarkozy)との討論会があった。
アメリカの選挙も汚いと思ったが、フランスのそれに比べたらきれいなもんだ。私がよく読んでいるフランスのブログle’Extreme-Centreで紹介しているミッシェル・ガーフィンケル(Michel Gurfinkiel)の記事では、まず二人とも外交よりも国内の問題に焦点を当てたいようだ。二人とも外交面でかなり批判を浴びていとしているが、、

ロヤル女史は外交の経験がないと批判されている。そしてサルコージ氏はハンガリー移民の息子でバルカン人の孫であることから「外国人」と攻撃され、アメリカとイスラエルの工作員だと攻められている。インターネットのあるサイトでは地獄の三角形といってワシントン=テルアビブ=サルコージと称し、サルコージの顔の真ん中にダビデの星を描いている。

アメリカでもブッシュをヒットラーと例える過激派がいるにはいるが、これがフランスでは普通だというのだから驚く。ま、フランスではかなり反ユダヤの人種差別意識が強いので驚くこともないのかもしれないが、それにしてもひどものだ。 
さてそれでは肝心の討論会からいくつか面白いやり取りを抜粋してみよう。International Herald の記事参照。
二時間に渡って行われた討論会ではフランスの国内の問題である、高い失業率、犯罪、若者の希望喪失、健康保険、年金の不足などについて激しい論争が交わされた。なにしろシラクのじいさんが長いこと大統領をやっていたから、今回の討論はなんと12年ぶり。支持率では多少遅れ気味のロヤル女史はこの日曜日の選挙を前に、ここでノックアウトパンチを見せたいところ。
最初の重要な質問は双方の候補がどういうスタイルで大統領の仕事に挑むかというものだったが、討論はすぐにフランスの失業率と犯罪率の高さに関する激しい討論へと進んだ。まずロヤル候補は現在内政省の大臣としてのサルコージ候補の過去5年間に渡る仕事振りについて、内政省は犯罪を減らすことも出来ず、福祉や病院警察に充分に予算をあてがわなかったと批判した。

「あなたは5年間何をやってたんですか? この5年間すべての力を所持していたのですよ。これは信頼度の問題です。」とロヤルはサルコージが今後の組織と経済の改革について概要を述べた後突っ込んだ。

「信頼度とおっしゃいますか?ロヤル夫人。」とサルコージは問い返した。
司会者がペリーでかわすなか二人のボレーに閃光が走った。討論の途中で障害者の教育についてロヤルはサルコージを冷血漢扱いした。サルコージはロヤルに落ち着くように言うと、「私は落ち着きません!、落ち着きません!」とロヤルは三回繰り返して怒鳴った。サルコージはすかさず「共和国の大統領となるには落ち着かなければなりません。」と答えた。(Touche!)

大統領候補がヒステリーを起こした伯母さんのように写ってはよくないだろう。ここはロヤル、一本取られたな。

…大統領とは「常に約束を守り、特定の問題について本当に取り組む人を言います。…私はフランスに頻繁に話かけるつもりです。」これは明らかに現大統領シラク氏へのジャブである。シラク大統領は12年間にわたり、危機の際に沈黙を守ることが多かった。「私はタブーの背後に隠れるようなことはしません。」とサルコージ。

さて、現役の内政省大臣としてサルコージは失業率や犯罪率について何もしてこなかったというロヤルの批判に対して、ロヤルの所属する社会党が政府を握っていたときはもっとひどかった、自分らの代になってかなり改善されたとサルコージは反撃。
サルコージの言うとおりフランスの経済困窮は何も5年前に始まったわけではない。長年にわたる社会主義のせいで失業保険だの、生活保護だの、高い年金だのでたまった借金が返せない状態になっている。いくら税金を上げてみても少子化の進むフランスでは産業率も低い。税金が高くなりすぎて若い労働者は外国へ移住してしまうし、失業手当が高いから若者の就業意欲も落ちる。フランスは基礎からのやり直しが必要なのだ。にも拘わらずロヤルは福祉を減らす気はないと断言している。

「私は週35時間の就業を好みます。」とサルコージは主張。しかし、それ以上働きたいひとは働く自由があるべきだとする。特に低所得の人々は。「お金がないのに休む時間が余計にあるからってなんになるでしょう?…もっと働きたいと言う人たちに稼がせてあげるべきです。」

今夜激しく交わされた論議のひとつで、サルコージはロヤルは信頼できる経済計画がまったくないと攻めた。
「借金についてですが」氏はいった。「どうやって減らすのかという話をまったくしていません。それはあなたの権利ですが、経済成長というからにはそれなりに成長を吹き返す必要があります。おっしゃるとおり経済成長は必要です。フランスの問題は経済成長率が他の民主主義国家よりも1%低いことです。なぜでしょうか?その理由は単純です。ロヤル夫人。我々は他の国の人々ほど働いてないからです。」
「驚かれるかもしれませんが」氏は、ヨーロッパの10カ国のうち週35時間の就業時間をフルタイムとしている国はないと語った。「公務員を増やしたいですか?」氏は付け加えた。「それはいいですね。でもどうやって払うんですか?」ロヤルはつき返した。「私の言葉を歪曲しないでください。私は公務員の数を保持するといったのです。増やすとは言ってません。私はもっと能率的な人事異動をするつもりです。」

インターナショナルヘラルドの書き方から言ってかなりロヤル候補を押しているように読めるので、そのヘラルドがここまで書くとなると、この討論会はどうやらサルコージに軍配が上がったようである。それにしても福祉を減らすという話が出るたびに労働組合がストを起こして町中が麻痺してしまったような国で、サルコージのようにあからさまに福祉を減らすと言っている候補者が人気を得ているということは、フランス人もやっと自分達の非現実的な社会主義の限界に気がつき始めたのだろうか?
今フランスでは一人の引退者を二人以下の就業者が背負っている状態だと言う。 このままいけば一人当たり一人が背負う日も近い。そんな社会には生きられないとフランスは目をさましつつあるのかもしれない。


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イラン服装警察が次々と女性を拘束

今イランでは春の服装規制取り締まりが行われており、この厳しい規則に従わない女性たちが次々と道端で警察官に呼び止められ罰金を課されたりひどいときは何時間も拘束されるなどのひどい目にあっている。イラン当局の発表ではすでに15万人の女性が拘束されたという。
Gateway Punditで「派手な服装をしている」という理由で警察に呼び止められている女性たちの写真が何枚か掲載されているので参照のこと。女性たちは皆、黒っぽい長いコートを着て顔を出しているだけなのだが、それでも警察官は肌を見せすぎ、体の線が出すぎ、という理由で注意している。
イランはムラーと呼ばれる宗教家が支配している国であるにも拘わらず、国民そのものはそれほど宗教心は濃くなく、結構世俗的である。ネットで知り合いになったあるひとはよくイランで仕事をしていたが、シーア派特有の民族衣装で歩いているひとはほとんどおらず、女性も色のついたスカーフくらいはかぶっているが黒いバーカを来て歩いているひとには行き当たったことがないと話していた。
しかし最近イラン政府は自分達の国民への支配力が劣ってきていることを懸念してか政治的に国民への弾圧を激化させている。イランブロガーたちの話では、人気ブログはアクセス不能になったりブロガー自体が拘束されたりすることがたえない。また市民が外国からのニュースを取り入れられないようにとサテライトディッシュを禁止し、屋根に備えてあるディッシュを次々に破壊したりしていった写真もみたことがある。また政府に批判的な歌を歌ったとして人気ラップ歌手が逮捕されるなどという事件も起きている。
このような状況でも女性服装取締りはかえって国民の反感を買うと批判的な政治家もいないわけではない。

実力ある政治家のなかには政府と警備隊の取り締まり方批判的なひとたちもいる。
「ある種のやり方は好ましくない結果を生みます。」アヤトラ・セイード・モハメッド(Ayatollah Seyyed Mahmoud Hashemi Shahroudi)氏。「女性や女児を髪型がおかしいと言って警察に引きずりこんでも社会の道徳観を高めることにはなりません。かえって悪影響をおこすでしょう。」ADN Kronos

以前にオーストラリアのイマームがベールをしていない女は布巾をかぶせていない肉と同じだ、猫に食べられてもしょうがないと言って顰蹙を買ったが、イランのムラーたちも負けていはいない。

世の中には三種類の女がいる。

ひとつは、ベールをちゃんとかぶってない女たちだ。この女たちはバスのように誰でも乗られる。
ふたつめはのスカーフを着てるがイスラムのオーバーコートを着ていない女達だ。このものたちはタクシーのようにある種の乗客だけを乗せる。
最後に私の妻のような女達。この女達はロバのように一人しか乗せない。

自分の妻をロバとはなんだ、全く! それにしてもイスラムの男達はそんな自制心が働かず、体や顔を隠していない女をみると誰でも襲いたくなると言うのか?イスラム教ってのはそんなにしつけのなってない宗教なのか?
私は前述の政治家と同じ意見だ。こういうどうでもいいことを厳しく取り締まり始めると国民の政治への関心はかえって高まってしまう。政府が国民の生活の一部始終をコントロールしようとする意図は理解できるが、イランはアフガニスタンのような原始的な国ではない。国民の教育も民度も高い。あまりにも国民を弾圧しすぎると学生らを中心に革命がおきる可能性が高い。
もっとも我々にしてみれば、イランが内部から崩れてくれることは好ましいので、この状況は長い目でみたらよい方向へ進む可能性もある。だが、それはイラン市民がいったいどれだけこのような横暴に耐えることができるかにかかってくるだろう。


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