対路肩改良爆弾、アメリカ軍の新兵器!

イラク戦争においてアメリカ兵を一番殺しているのはなんといっても路肩改良爆弾(IED)だろう。2003年フセイン政権が崩壊した直後、まだスンニとアルカエダの反乱分子がテロ行為を始める前まではアメリカ兵は交通手段としてハンビー(HUMVEE)と呼ばれる21世紀版ジープに乗っていた。もともと移動用の乗り物で戦闘用ではないので攻撃からは全く無防備だった。この弱点を最大限利用したのが敵の肩撃ちロケット弾(RPG)とIEDだ。
そこでアメリカ軍はバンドエイド型改良を行いハンビーに装甲を加えたがこれはあくまで臨時対策。そこでもっと効果のある対策としてストライカーと呼ばれる装甲車が2003年の終わり頃からじょじょに取り入れられた。これはハンビーよりも大型で戦車の乗組員は完全に囲まれている。ハンビーより重いし頑丈なのでちょっとやそっとのIEDでは吹っ飛ばせないし、RPGも突き抜けない。ストライカーのおかげで米軍兵の犠牲者はかなり減った。
しかし、敵もさるもの、こちらが強くなれば向こうも対抗して別の方法を考えてくる。ストライカーもデザイン的には下からの攻撃には弱い。ハンビーより重いとはいえ、その分爆薬を増やし地面の奥深くに埋めておけばストライカーでもふっとばすことは可能だ。ほぼ無敵と思えたストライカーも2006年の終わりごろからイランから入ってきた爆発成形弾(EFP)などによって致命的な被害を蒙ることが多くなってkた。

陸軍の兵輸送車として一時はより軽く小回りが効くとして歓声を浴びたストライカーも強力な路肩爆弾による一連の致命的な被害から、その弱点が新たに見直されている。

バグダッドの北方にある治安の悪いディヤラ地方にストライカーが出動した二ヶ月前から、ストライカーの損失が確実に増えていると軍当局は語っている。
損失に詳しい兵士の話によるとディヤラにいるひとつの歩兵中隊だけで今月に入って一週間未満で5台のストライカーが失われたという。 兵は情報を公開する資格がないため匿名でインタビューに答えた。ストライカー損失の合計数は非公開である。

明らかに敵はストライカーの弱点を見出しその弱点を多いに利用しているわけだ。ストライカーの真平らな床は下からの強力な爆弾攻撃には対抗の仕様がない。

明らかに敵は装置を隠す技術を向上させたようで、殺された1人の記者と6人の兵士とを殺害したIEDは下水パイプのなかに隠されていたと思われる。殺害機能を高めるため反乱分子は装置をセメントで固め爆発力がタンクのある上向きに行くように仕掛けてあったと捜査に携わった兵士は語った。

すとらいかー擁護者はこれらの攻撃は単に爆弾の致命的な強さを証明するものであり、ストライカーそのものに問題があるのではないと主張する。最近の爆弾はあまりにも強力であるためエイブラハム戦車でも立ち向かえないと言う。

ストライカーだけでなくエイブラハムもブラッドリーも最近は非常に高い率で損失を得ている。これははっきり言って由々しき状況といえる。我々が気がつかなければならないのは、イラク戦争は湾岸戦争とは違うのだということだ。我々はこれまでのように軍隊対軍隊が戦うような戦争をやっているわけではない。真正面から撃ってくる敵の弾をよければ済んでいた時代は終わったのだ。ゲリラに対する軍事作戦が正規軍との戦いとは全く異なるように、闇に潜む敵と対抗する武器もまたそれに適応して変わっていかなければならないのだ。
ストライカーにしろハンビー、エイブラハム、ブラッドリーにしろ、単に現在のEFPが突き抜けられない装甲装備をするだけでは常により強力な破壊力を持つ武器改良を厭わない敵相手に不十分である。
しかし忘れてならないのは、武器改良の点ではこちらの方が敵よりも一枚も二枚も上手(うわて)だということだ。第一ラウンドは取られたかもしれないが、第二ラウンドは見ていろよ、おれっちの番でえ。
アメリカ軍が誇る新兵器 MRAP級装甲車: をごらんあれ! これはthe Mine Resistant Ambush Protected級 と言い、日本語にすると「爾来抵抗待ち伏せ防御」とでもいうのかなあ?いやもっとチャントした日本語訳があるはず。 とにかく海兵隊と陸軍がそれぞれ独自にデザインしたもので、クーガーHシリーズのMRAP型(the Couger H-series of MRAP)とバッファローHシリーズのMPCV型(the Buffalo H-series of Mine Protected Route Clearance (MPCV) vehicles)がある。どちらもフォースプロテクションインク( Force Protection Inc)製造。バッファローの方がクーガーより大型で爆弾を掘り起こす装置がついている。ちなみにバッファローのあだ名はクロー(大爪)。

Couger H-series MRAP    Buffalo H-series MPCV

クーガーHシリーズ:Couger H-series MRAP () とバッファローHシリーズ: Buffalo H-series MPCV ()


画期的な改良デザインは輸送車の底の部分。下からの攻撃に弱かった平らな底をV型にすることで爆発の威力を拡散させるデザインがほどこされている。下記の写真を見ていただくとその意味がお分かりいただけると思う。

MRAP taking blast

IED攻撃を受けるMRAP: 爆弾の威力が車の両側に拡散されている


陸軍と海兵隊は現在クーガーを7,774 台注文しており ロバート・ゲイツ国防長官も大いに期待をかけている。

私の目に留まったのはある新聞の300以上のIED攻撃を受けたMRAPでは海兵隊員が一人も殺されなかったという記事です。.

アーミータイムスによるとイラク多国籍軍の中将(Lt. Gen. Raymond Odierno)は, 二年以内にイラクにあるハンビーをすべて MRAPと切り替えるように 命令したという。

ピート・ゲレン陸軍代理長官は本日陸軍は現在イラクにある17,700台のハンビーを二年以内にMine Resistant Ambush Protected装甲車に切り替えるため、購入の数を大幅に増やす計画を確認した。

海兵隊はすでに100台以上の MRAPイラク現地に備えている。陸軍も現在ある700台に加え、8月の初旬には2500台のMRAPを備える予定であるとゲレン代理長官は語った。
MRAP プログラムは速やかに進んでおり、陸軍と海兵隊による合同購入の努力がされている。

しかしここにひとつ難関がある。これは一般的に考えられる軍隊の変化に対する抵抗であるとか融通が利かないとかいうことではなく、もっと現実的な 製造過程での問題なのだ。このような新兵器を2年以内という時間制限で製造するのに充分な数の製造工場がないのである。

2006年7月現在200台のバッファローとクーガーがイラクとアフガニスタンに起用され、1000以上の地雷やIED攻撃を受けたにも拘わらず、ひとりの戦死者も出していない。しかしアメリカ、イラク、そしてイギリスの顧客からの注文が殺到するなか2004年にたった12人の従業員で始めた製造工場では注文に応じるのは至難の業である。

フォースプロテクションインクは2006年7月に500人目の従業員を雇い、製造率を3倍に増加させると発表した。クーガー製造のため四千百万ドルの資金を得、第二第三の製造ラインが設置された。またバッファーロー製造も二倍になる予定だ。

敵がこちらの弱点をついてくるなら、こちらも相手の攻撃に対抗してさらに武器を改良する。無装備のハンビーが狙われるならストライカーで対抗。ストライカーがIEDに弱いならクーガーやバッファローで対抗である。敵のこちらの攻撃への順応性とこのちらの対抗力のどちらが勝つか、戦争は常に競争だ。しかし武器改良の競争ならアメリカはテロリストたちよりよっぽど資金もあれば技術才能もある。たかがタオル頭のイラン人やマフディの猿どもには負けはしない。
しかしこういっちゃなんだが、技術の発展のためにもやはり戦争というのは時々やらないと駄目だな。


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数が分からないと、、、バラク・オバマの恥かしい失言

カカシが学生時代、物理の問題である小舟に何人の人間が乗れるかというものがあった。私の計算によると答えは500人と出た。ここで500人と解答に書いてしまうのは非常識というものだ。どう考えても小舟に500人も乗れるはずがない。どっかで桁を間違えたに違いないと考えるのが常識ある人間の判断。
ところがこと数字になるとこういう判断が全くできない人が多いのには驚く。先日もあるサイトで北アメリカではコロンブスの大陸発見後150年の間に一億人の先住民が殺されたと平気な顔をして書く人間にお目にかかった。現在のアメリカ合衆国の人口がたかだか三億なのに15世紀に一億人の原住民が住んでいたなんてことはあり得ない。ましてやそんな数の人間が虐殺されたなんてことがあるわけがない。こんなことはちょっと考えればすぐに気が付くはず。
民主党の大統領候補のなかでもひときわ人気のある新人バラク・オバマも数字は苦手な口らしい。パワーラインによるとオバマは先日アメリカの自動車産業が地球温暖化をとめるために努力していないと批判した際に次のようなとんちんかんなことを言ったそうだ。

燃費基準が1ガロンにつき27.5マイルというのがここ20年もかわっていないのに対して、中国でも日本でもこの基準はこえている。特に日本社は1ガロンで平均45マイルも走る。(注:45m.p.g=19km.p.l,1ガロン=3.8リットル、1マイル=1.6km)

恥かしいことにトヨタ自動車によるとどんな自動車メーカーでも45m.p.gで走る車は作ってないという。「我が社のものでもせいぜい30 m.p.gです」とトヨタの代表は言ってる。
もっともこの数字はオバマが突然考え出したものではない。左翼ブログの Media Mattersによるとピュー調査センターによる2004年の地球温暖化リポートにその数が載っているというのである。(the Pew Center on Global Climate Change’s December 2004)私はそれを詳しく読んだわけではないのだが、パワーラインが説明してくれているのでそれを読んでみると、これは現在の数値ではなくて2010年までに達成する予定の数値であり、しかも703-827キロ級の軽自動車に限定されていることがわかる。しかもピュー調査は独自の方程式で元の予定数値に1.3をかけている。
ま、ピュー調査の方程式がどのように導かれたのかはリポートをきちんと読んでいないから私にはよく分からないのだが、それでもこの数値が現在製造されている日本車の平均燃費でないことは確かである。
オバマは自分の政策を裏付ける証拠として都合のいい調査をみつけたのは分かるが、他人の調査を鵜呑みにして中身も理解せずに受け売りで演説してしまうのはどうかと思う。私はこういうことには詳しくないが、それでも1ガロンで45マイルも走る車なんてお目にかかったことがない。ミスター苺の本田アキュラでも高速でせいぜい30マイル。下の道なら22マイル程度だ。これだけ考えても、いくら日本車が性能がいいといっても平均が45マイルなんてのは行き過ぎだとピンとくるのが常識というものだろう。
そういう常識のない人間にアメリカの将来を任せるというのはかなり心配だと思うが、オバマ支持者の諸君はどう考えているのだろうか?


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アメリカは敗者を選ばない

どうも最近アメリカの保守派の間では2008年の大統領および上院下院一般選挙において共和党が惨敗するのではないかという悲観的な見方をする人が増えている。
こういっちゃ何なのだが、アメリカの保守派は概して悲観的な人が多い。そんなことを私がいうと、「私は現実的なだけだ」と反論がかえってきそうだが、まだ一年半も先の選挙を今からあきらめていたのでは勝てるものも勝てなくなるではないか?どうしてこうアメリカの右翼はふがいないのだろう。
この間も朝のラジオ番組でゲストが「民主党から大統領が出ることは免れない事実なので、なるべく共和党に害を与えない民主党候補、(例えばヒラリーとか)を応援すべきだ」などと馬鹿げたことを言ってるのを聴いてあきれてしまった。
いったい保守派のこの絶望感はどこからくるのだろう?彼等の悲観主義は本当に現実的なのだろうか?アメリカ市民は共和党の大統領にも議会をも見放してイラク即刻撤退を唱える民主党を選ぶのだろうか?
私の知り合いの旧保守派の男性は、アメリカ市民は彼も含めネオコンを完全に見放していると言い張る。だからネオコンに乗っ取られた共和党が次回の選挙で勝つ可能性は全くないというのである。だが私はそうは思わない。それというのも普通のアメリカ人は新保守派と呼ばれるネオコンとはいったいどういうものなのか全く分かってないからである。実を言うとしょっちゅうお前はネオコンだと左翼からいわれている私ですら、ネオコンとはいったいどういう思想なのか、と問われても具体的に説明することができないくらいだ。もっとも私は自分は旧保守派だと考えているのだが。
ミスター苺曰く。

アメリカ人は勝者を好む。もし一年後にイラク戦争にだいたい勝っているようなら、とりわけメディアによって期待がかなり薄れていることでもあり、共和党はすんなり勝つだろう。

たとえ勝ってるかどうかハッキリしていなかったとしても、明らかに現在よりは良い状態になっていれば、共和党は勝つだろう。なぜなら共和党はずっとこの戦争に勝つ必要があるといい続けてきたからだ。それにひきかえ民主党は2008年の段階で何をいおうと途中でタオルを投げようとしていたことが記録に残っている。そういうことは市民はよく覚えているものだ。
民主党が勝てる唯一の条件は2008年の11月の段階でイラク状況が今よりも悪化している、もしくは悪化したように見えることだけだ。

アメリカ人は負けず嫌いで案外単純な国民だ。細いニュアンスで色々言い訳するような大統領より、「我々は勝てる!」というメッセージをもった大統領を好む。悲観的でアメリカ市民全体を憂鬱な気分にさせたカーターがアメリカ人であることを誇りに思わせてくれたレーガンを選んだのも、税金をあげない公約しながらそれをやぶっていいわけがましかったパパブッシュより新しい計画があると市民に希望を与えたクリントンが勝ったのも、アメリカが負け犬を好まない証拠だ。
2008年の大統領選挙で一番大切なメッセージは「戦争には勝てる、勝たねばならない」という共和党候補に対して民主党の「戦争は負けた。即撤退すべし」の戦いとなる。勝ち負けの選択なら勝つ方を選ぶのがアメリカ人だ。
歴史的に見てアメリカ市民は戦争中に撤退を唱える候補を選んだことがない。これは大統領が民主党であろうと共和党であろうと区別はない。
近年の歴史で戦争中の現職大統領の二期目の選挙が行われたことは二回ある。ベトナム戦争中の1972年にジョージ・マックガバン上院議員は戦争を終わらせるという公約で現職の大統領に挑戦した。また1864年にリンカーン大統領に挑戦したジョージ・マクラレン将軍は本人は戦争を支持しながらも所属党の民主党は明らかに停戦して南部の独立を認めることを押していた。
どちらのケースも反戦主義は市民から完全に拒絶された。マクラレンは55:45で敗北したし、マックガバンの場合はもっとひどい62:38の大敗退だった。どちらの場合も泥沼化する戦争で人気がた落ちになっていた現職大統領に挑戦したのに失敗したのである。
二期続いて任期の終わった大統領が、反対側の党の候補によって交替されるということはよくある。民主党のウッドロー・ウィルソンの二期が共和党のウォレン・G・ハーディングにかわった1920年。ハリー・トルーマン(民)からドワイト・アイゼンハワー(共)になった1952年、そのアイゼンハワーはジョン・F・ケネディ(民)と交代した。また共和党ニクソンとフォードの8年は民主党のカーターと交代。最近ではもちろん民主党のビル・クリントンが共和党のジョージ・W・ブッシュと入れ替わった。
しかしこのうちで戦争中に行われた選挙は1952年の朝鮮戦争の時だけだ。他の選挙はすべて平和時のものである。アイゼンハワーは共産主義撲滅を唱えて出馬した。孤立主義を唱える保守派ライバルをくじいて共和党候補の座を獲得、一般選挙でも鳩派の非常にリベラルな民主党候補をやぶって当選した。
2008年の選挙は1952年の時とは正反対に現職の党が勝利を求め、挑戦する党が勝利なくして撤退を押す反戦派だということだ。
正直いって、2008年を迎える状況はアメリカの歴史上例がない。だからどうなるかはっきりした予測をたてることは難かしい。だが、どの選挙でも共通していることが一つだけある。それはアメリカ市民は戦争中に負けを唱える党を選ばないということだ。
現実的だのなんだのと悲観的になる前に、アメリカの保守派はもっと共和党の候補たちに希望を持ってほしい。メディアは民主党のほうが優秀な候補が多いように報道しているが、私は共和党の方がずっと質の高い候補が多いと思う。
民主党のメッセージはただひとつ。「イラクは負けた。あきらめて即撤退しよう。」それだけだ。敗者を嫌うアメリカ人がそのメッセージを奨励するとは私にはどうしても考えられない。
私は今のアメリカ保守派の態度を見ていると、ヘルムスディープの戦いを前にアラゴルンにこの戦争に勝ち目はない、戦うだけ無駄だと訴えるレゴラスを思い出す。(JRRトールキン著の「指輪物語」を原作にした映画の一シーン)しかし士気を奮い起こしたセオドン王を前に「絶望した私が間違っていた。」とレゴラスが認めたように、私もアメリカ保守派に奮起してもらいたいと切に願う。
保守派諸君!あきらめるな!選挙はまだ一年半も先だ。イラク戦争に新作戦はまだ始まったばかり、勝ち目はいくらでもある。アメリカの将来のために、世界平和のために、悪と戦おう!


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日米で暗躍する中国人スパイ

数週間前に日本で中国人妻を持つ海上自衛隊の海曹が秘密データを持ち出していた事件が取りざたされた。

海自秘密持ち出し 2曹聴取、妻は中国人

(2007年3月30日掲載)
 海上自衛隊第一護衛隊群(神奈川県横須賀市)の護衛艦「しらね」乗組員の男性二等海曹が、防衛省が秘密に指定している護衛艦のレーダーのデータなどを記録したフロッピーディスク(FD)を自宅に持ち出していたことが29日、分かった。
 二曹の妻は中国人で、神奈川県警が今年1月に入管難民法違反の疑いで妻を逮捕し、二曹の自宅を家宅捜索した際、FDなどを発見、押収したという。
 捜査当局は情報が外部に漏えいした可能性もあるとみて、自衛隊法違反(秘密漏えい)などを視野に入手経路や目的などを慎重に調べている。海自も二曹らから事情を聴いている。二曹は、海自の内部調査に対し、外部への情報提供などは否定しているという。
 関係者によると、二曹はしらねの乗組員で機関を担当。FDに記録されていたのは、護衛艦のレーダーのデータや、通信関係の周波数などで、二曹は職務上接する立場にはないという。

ジャパンタイムスの記事では去年8月にも別の海上自衛隊員が外国の潜水艦に関するデータをコピーして自宅へ持ち帰っていたと報道している。この水兵はカラオケバーで働いていた中国人ホステスにあうため上海にしょっちゅう訪れていたという。どうも日本人は中国版マタハリに狙われているようだ。
日本はアメリカから軍事技術を多く購入しているため、これらの自衛隊員が持ち出した情報は結局はアメリカの軍事技術情報ということになる。いくらアメリカが日本へは旧型のものを売っているとはいえ、最新鋭の武器とそれほど変わりがあるわけではない。中国がその情報を元に新兵器の情報を得ることくらいさほど難かしいことではないはずだ。
しかもアメリカには中国系のエンジニアがわんさかおり、彼等の多くがアメリカの防衛関係の産業につとめている。
つい先日もアメリカはカリフォルニアでそんな中国系アメリカ人がスパイ容疑で有罪になった。いや正確には輸出法に触れるという罪だが、やったことはスパイ行為である。以下CNNの記事より

中国系エンジニアに有罪評決 軍事技術情報を持ち出し

米カリフォルニア州サンタアナ(2007.05.11AP) 勤務先の軍事関連企業から米海軍の潜水艦技術などに関するデータを持ち出し、中国に提供しようとしたとして、当地の連邦地裁に起訴されていた中国系米国人、チー・マック被告(66)に10日、有罪の評決が下された。
マック被告は中国生まれで、米国に帰化している。エンジニアとしてパワーパラゴン社に勤務しながら、数年間にわたって同社の機密書類数千ページのコピーを取り、弟を通して中国当局に流していたとして、スパイ罪などに問われていた。05年、データの入ったCDや書類を持って香港行きの飛行機に乗ろうとした弟らが連邦捜査局(FBI)で逮捕され、被告自身もロサンゼルス市内で逮捕された。
捜査当局によると、マック被告は逮捕直後の取調べに対してスパイであることを認め、中国当局側の窓口となっている人物を明かしたとされるが、同被告は「自白していない」と主張してきた。被告はさらに、「弟に渡したのはすでに国際会議で発表されていた論文。コピーを取ったり国外へ持ち出したりすることが違法だとは思わなかった」と述べた。

どうも家族ぐるみのスパイ行為らしい。弟に続いて兄のマックも裁判にかけられる予定である。兄のマックは1960年代に中国からイギリス圏の香港へ渡り後にアメリカに移住していた潜入スパイだったとアメリカ当局は語っている。
アメリカでは以前にもロスアラモスにある核兵器研究所に勤める中国系エンジニアによる秘密漏えいが問題になったことがある。容疑者のウェン・ホー・リーは秘密情報をよそからアクセスできる秘密指定のないコンピューターにコピーしたことは認めたが、スパイ容疑については否認。捜査の失態で確たる証拠を得ることが出来ずに無罪になっていた。
戦後60年以上もたって平和ぼけした日本では、自衛隊組織そのものの警備への姿勢がいい加減なのかもしれないが、911以後のアメリカでそのようなスパイ行為が簡単にされてしまう言い訳とは何なのだと聞きたい。
問題のひとつにアメリカはオープンソサエティーであるということがある。この間コメンターの方が「アメリカは差別意識の強い国という印象がある」とおっしゃっていたが、現実はその反対。差別をしな過ぎだと私は思う。
実はアメリカの大学で工学などの理数系を専攻する多くが外国生まれの学生であるいう現実がある。これらの学生には留学生も多いが移民も多い。言葉がよく分からない外国人は英語が堪能でなくても取得できる技術部門を専攻することが多いという理由もあるが、こうした学生のなかにはベトナム系、中国系の生徒が圧倒的多数を占める。留学生のなかにかなり多くのアラブ系学生がいることも無視できない。私の大学でも同級生のほとんどが外国生まれでアメリカ生まれのアメリカ市民は人クラス40人中でも一人か二人しかいなかった。
防衛関係の産業につとめる技術者はアメリカ市民でなければならないという法律はあるにはあるが、移民の国アメリカでは外国人が市民権を取ることはよくあることで、特に高度な技術を持ったエンジニアや科学者などは優遇される。国家秘密レベルの情報を扱う人間はシークレットクリアランスといって国防庁による身元調査を受けて認可を得なければならない。だがこの身元調査がどこまでちゃんとされているのか私はかなり疑わしいという気がする。
明らかに、調査対象が共産圏の中国系であるとか北ベトナム系だとかいう理由ではクリアランスを拒絶することはできない。そんなことをしたら人種差別だのなんだのと市民団体がうるさく騒ぐのは目に見えているし、第一それは違法だろう。かといってこれらの人々の母国とのつながりも無視できない。外国生まれの従業員がクリアランスを求める時、いったい国はどういう基準で彼等に認可を与えているのだろうか?
どうもアメリカにしろ日本にしろ警備に対する姿勢が甘すぎる。私は専門家ではないが私のようなものでもこれでいいのかな? と思うことがしばしばある。毎日扱っている情報や製品なのでそれが企業秘密であるとか国家秘密であるという意識が薄れてしまうのは分かるのだが、やはり今の世の中誰が狙っているか分からない以上、警戒に警戒を重ねて欲しいと思う。


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米ニュージャージー州、イスラム移民6名テロ容疑で逮捕される

アメリカはニュージャージー州でピザレストランや屋根修理などの仕事をしていた違法合法を含むイスラム系移民6人が米軍基地攻撃の陰謀を企んでいたとして昨日逮捕された。(ニューヨークタイムスよりCNNの日本語記事はこちら

容疑者は違法にアメリカに入国したアルベニア系の三人兄弟を含み、家族はニュージャージー州のチェリーヒルに長年在住している。三人はそこで公立学校へ通ったこともあり屋根修理やピザレストランの経営などをしていた。後から加わったのは、米国市民権を持つヨルダン生まれの義理の兄弟と、フィラデルフィア在住のユーゴスラビアとトルコ出身の二人の合法移民である。

ニュージャージーはイタリア系の移民が多く、昔はマフィアなどが活躍した場所でもあるが、最近は韓国系やイスラム系の移民が増えているようだ。私も何回か出張でいったことがあり、チェリーヒルのホテルに何週間も泊まったことがある。日本語にすれば桜ヶ丘という名のとおり春先の桜は見事な場所だ。
そんなところで一見普通に暮らしていたアルベニア人の家族がアメリカ国内でテロをやろうだなどと企んでいたとは恐ろしい。ニュージャージーには軍の基地がいくつかあるが、彼等の当初の標的は空軍基地だったらしい。しかし警備が厳しすぎるという理由で陸軍予備軍の訓練場所となっているフォートブリグ基地に標的を変更したという。
この6人の逮捕は15か月による捜査の結果だというが、そのきっかけというのが非常に興味深い。

当局が最初に男たちに気が付いたのは2006年の一月、ビデオ店の店員が容疑者たちがポコノ山でアサルト銃を撃ちながら聖戦について叫んでいる姿を撮ったビデオをDVDに移してくれるよう頼んだのを当局に通告したのがきっかけだった。

ビデオ店員の機転によって国内テログループの陰謀が暴かれることとなったわけだ。これが911以前のアメリカなら、飛行訓練所の指導員がFBIに通告したのも空しくそれ以上の捜査に結びつかなかったように、きっと指の隙間から流れておしまいになっていたことだろう。しかしありがたいことに911以後のアメリカには怪しげな行動をする人々に警戒の目を向け通告する市民からの情報を生かせる機構が存在する。また、国内イスラム系市民団体の圧力に負けず、その危険性を指摘することを恐れない市民が存在することも頼もしい。
しかし問題なのはアメリカ国内にこのようなテログループが存在しているということだ。捕まった6人のうち2人は合法移民1人はアメリカ市民だ。しかも最初からアメリカでテロをしようという考えでやってきたわけではないらしい。違法移民の3人ですら幼い頃からアメリカの学校に通うなどして普通のアメリカ人として暮らしていた。自分達が経営する商売もしており、決して貧困に困る下層階級に属するような移民ではない。祖国アルベニアやユーゴなどにいたときよりも、よっぽども豊な暮らしをしていたに違いない。
特に頭にくるのは、アメリカはボスニア・コソボ戦争ではイスラム教徒であるアルベニアの味方をしキリスト教のサルビアを敵にまわして戦った。イスラム系の難民も多くアメリカに受け入れてきたのに、恩を仇で返すとはまさにこのこと。
私は当時アメリカがイスラム教のアルベニアの方を持つことに全く納得がいかなかった。別にキリスト教のサルビアを応援すべきだと思ったわけではない。ただサルビアが凶悪でアルベニアを圧倒していたからといってアルベニアが善というわけではないし、この戦争にはアメリカがどちらかの方を持つ理由が全くないと思ったからだ。それに白状すると私にはイスラム教徒への偏見もあった。だから彼等に恩など売っても無駄だというシニカルな気持ちもかなりあった。
しかしここで真剣に考え直さなければならないのは、イラクでテロリストと戦っているとはいえ、アメリカ国内でもまだまだ油断大敵ということである。特に外国から入ってくる敵だけでなく国内で生まれる国産テロリストについてもきちんとした対策をとる必要がある。
このグループはきちんとした組織の一部というわけではなく、自分達でイスラム過激派グループのウェッブサイトなどを読んで過激な思想に感化されたようだ。しかし単なるアルカエダファンというわけではなく、軍事基地を偵察してみたりメンバーのひとりはコソボで狙撃兵だったこともあり、AK-47などの軍事用ライフルを購入しようとしていたというかなり真剣なグループだったようだ。

「今日はなんとか弾(たま)を避けました。」FBIフラデルフィア支部のJ.P.ウェイス特別捜査官は記者会見で語った。「事実このグループが購入しようとしていた武器の種類を考えると非常に多くの銃弾を避け他といえます。」

ウェイス氏はさらに「陸軍の一小隊を攻撃しようなどというグループが構成されていたのです。標的を決め偵察までしていたのです。彼等は地図も持っていました。そして武器購入の段階にまでいっていたのです。幸運なことに我々はそれを阻止しました。」

しかもそのきっかけが一般市民の通報だったということも忘れてはならない。対テロ戦争は軍人やFBIだけに任せておいてはいけない。市民一人一人が常に警戒の目を光らせていることが大切だ。この事件はそのことを象徴する出来事だった。


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陰陽に揺れるスパイダーマン3

史上最高の売り上げを記録したスパイダーマン3の封切り。オープニングの週末に観にいってきた。前評判どおり非常に面白かった。
これまでのスパイダーマンでもそうだったが、スパイダーマンは彼の超能力による悪者退治も去ることながら、ピーター/スパイダーマン(Tobey Maguire)と恋人のマリージェイン(Kirsten Dunst)、そして親友のハリー/二代目ゴブリン(James Franco)との関係が主軸となっている。
私が特に気に入ったのはキャラクターの明暗を見せるトビー・マグワイアーとジェームス・フランコの演技だ。
映画はピーターがブロードウェイミュージカルに出演しているマリージェインの舞台を見にいくところからはじまるが、マグワイヤーの演技はまるでキートンの結婚狂であこがれの舞台女優を最前列で観ているバスター・キートンが演じた純粋で無垢な若者を思い起こさせる。しかしスパイダーマンとしての人気で図に乗ったピーターは、キャリアの伸び悩みに落ち込んでいるマリージェインの気持ちを酌むことができない。そんななかピーターは隕石にくっついて地球にやってきた異様な生物に取り憑かれる。

spiderman3

陰陽に揺れるスパイダーマン


予告編でスパイダーマンの赤い衣装がグレーのパワースーツにかわっていく映像をみなさんも御覧になったと思うが、この生物はホストの体に住み着いてホストの運動神経を増強させ、ホストにすばらしく力強い快感を与えるが、それと同時にホストの心の奥深いところに眠っている暗い本能も増強する力がある。
普段は大人しいが優しいピーターも、自分勝手な行動でぎくしゃくし出したマリージェインへの反感が異性物によって増幅され、同情心や思いやりの全くない不良っぽい女たらしへと変身する。ピーターが髪形から服装にいたるまで極端に変わっていく過程を監督のサム・レミーはミュージックビデオ風にコミカルに描いているが、ピーターの一番の変化は外面ではなく内面だ。大人しいが明るく好感の持てる若者が、やたら自信満々でごう慢なちんぴらへと変わっていくのをマグワイヤーは非常にうまくあらわしている。
ピーターの親友ハリーも同じように陰陽の葛藤に悩まされる。一方でハリーは初代ゴブリンだった父を殺したスパイダーマンを父の仇と復習に燃える暗い面を持ちながら、もう片方でピーターの親友としての友情も持っている。ハリーが親友とての友情を垣間見せる時のフランコの笑顔は非常に魅力的だ。これが復讐に燃えたゴブリンへと一瞬にして変貌するのが信じられない。しかもその変化が眉毛の釣り上げ方ひとつで起きてしまうのだからすごい。
この三人のなかで一貫してかわらないのがメリージェイン。彼女のピーターへの愛とハリーへの友情は二人の男たちには大切な希望となる。二人を暗い世界から救えるのはマリージェインのしっかりした存在だ。私は未だにダンストがインタビューウィズバンパイヤで少女吸血鬼を演じたあの子役と同一人物だとは信じがたいのだが、当たり前のことながらうまい役者は見る度に違うものだ。
さて、正義の味方には無論悪役が必要。今回の悪者はサンドマン(Thomas Haden Church)とベニム(Topher Grace)という強力な二人。サンドマンは病気の娘の手術費を稼ぐために強盗を働いた凶悪犯罪者。刑務所から脱走し逃亡の途中で、とあることから体が砂と化す怪物に変身。なぜか新しく手に入れた力を利用して堅気の商売をやろうなんて気にはならずに性懲りもなく現金輸送者を襲ったりしてる。ピーターの叔父を殺害した強盗と関係もありそうな因縁のある男である。
もうひとりの悪者ベニム登場のいきさつを語るのは控えておこう。ベニムの正体とピーターの明暗との葛藤とは密接な関わりがあるからだ。ベニムを演じるグレースはどっかで見たことある俳優だなと思っていたら、人気テレビコメディのThat 70s showでずっこけ主役を演じて一躍人気を得た俳優だった。これまでに出演した映画などから喜劇役者という印象が強かったので悪役をやるなど意外だが、これが非常な適役なのには驚いた。
スーパーヒーローものは何かとアクションに重点が行き主人公の人格形成や人間関係が希薄になることが多いが、この映画は強いストーリーラインがあるのが魅力だろう。しかしこのようなことを書くと人間関係ばかりで肝心のアクションがないかのように誤解されてもいけないので、ここで一言書いておこう。CGを存分に駆使した手に汗握るアクションシーンは盛りだくさん!ロマンスのかけらもない彼氏と恋愛映画専門の彼女が一緒に楽しめる映画である。またヒーローのかっこいい姿がみたいだけの少年少女にもサービス精神たっぷりの映画でもある。
スパイダーマン3は史上最高の封切りを記録しただけのことはある価値ある映画としてお勧め!


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サルコージ新仏大統領の親米演説に沸くフランス観衆

読者の皆さん昨日はニュースの添付だけで失礼しました。実は長期出張先から一時的な移動があってごたごたしてブログエントリーをしている余裕がなかったのです。
さて、カカシが社会主義のロワイヤル女史ではなく保守派のサルコージ氏を応援していた理由は三つある。ひとつは彼のフランス経済立て直しの政策がフランスの政治家としては資本的だからだ。二つ目はシラク大統領のように悪化する治安を無視するのではなく、法と秩序を取り戻すために厳しく取り締まると公約していることだ。そして一番大切な理由は氏がフランスの政治家としては類稀なる親米だということだ。
昨日行われたサルコージ氏の勝利宣言でも氏は我々の期待を裏切らないすばらしい演説をしてくれたようだ。

私はアメリカの友人らに訴えたい、彼らは私たちの友情を頼りにできると。この友情は過去の歴史的悲劇を共に対面したことでより強められました。 私は彼らにいいたい、フランスはあなた方が助けの要るときには常にそばにいますと。

氏のスピーチもさることながら、観衆の反応にはもっと意義がある。それというのも氏が「私たちの友情を頼りにしてください。」と言ったとたんに観衆は歓声をあげたというのである。私はフランス人は往々にしてアメリカ嫌いだと思っていたので、この話をきいて非常に感激してしまった。(ビデオはこちら


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フランス大統領選挙: サルコージ勝利!

アップデートあり、後部参照のこと

<仏大統領選>サルコジ氏の当選確実 ロワイヤル氏破り

5月7日2時42分配信 毎日新聞
 【パリ福井聡】フランスのシラク大統領(74)の任期満了に伴う大統領選挙の決選投票が6日実施され、即日開票の結果、仏国営テレビ・フランス2によると、右派与党・国民運動連合のサルコジ前内相(52)が左派野党・社会党のロワイヤル元家庭担当相(53)を破って当選を確実にした。
 仏国営テレビ・フランス2が6日午後8時(日本時間7日午前3時)の投票終了直後に報じた開票推計によると、サルコジ氏は得票率53%でロワイヤル氏の47%を上回った。また仏調査機関CSAによると国民の関心の高さを反映して投票率は85.5%に達した。
 経済を中心にグローバル化が進む中、フランスの雇用・国際競争力・アイデンティティーをどう確保するかが選挙戦の争点だった。市場・競争原理に基づく英米型の自由主義経済を志向するサルコジ氏は公務員削減などによる「小さな政府」の実現を呼びかけ、フランス初の女性大統領を目指したロワイヤル氏は「母親」イメージを前面に打ち出し、社会・福祉政策の充実による「弱者への思いやり」を訴えた。
 両氏とも決選投票に向け、第1回投票(4月22日)で3位となり姿を消した中道・フランス民主連合のバイル議長(55)の支持層である中道票の取り込みを図った。サルコジ氏が支持率調査で優位を保つ中、ロワイヤル氏は最終盤、テレビ討論でサルコジ氏を打ち負かしての「逆転勝利」を狙ったが、果たせなかった。
 サルコジ氏は55年1月28日パリ生まれのハンガリー系移民2世。76年、シラク大統領が旗揚げした右派政党「共和国連合」に入党。88年に国民議会(下院)議員に初当選し、93年に38歳の若さで予算相として初入閣した。
 95年の大統領選ではシラク氏の政敵バラデュール元首相を支持。02年以降、内相、財務相を歴任し、04年11月、国民運動連合党首に選出。05年6月〜07年3月に内相。治安優先姿勢で知られ、05年秋の暴動では移民系若者を「ごろつき」呼ばわりした。
 欧州政治家きっての親日家で大相撲ファンのシラク氏へのライバル意識から、サルコジ氏は04年初めの中国訪問の際、「相撲は知的スポーツではない」と語り、物議を醸したことがある。

まずはご報告まで。感想は後で書きます。
アップデート: ごめんなさい、まだ感想書く余裕ありません。しかしフランスではすでに暴動の兆し。

<仏大統領選>サルコジ氏当選…左派の一部が警官隊と衝突

5月7日11時20分配信 毎日新聞
 【パリ海保真人】フランスの新大統領に右派サルコジ氏が選ばれた6日夜、パリの街では支持者が全身で喜びを表し、勝利を祝った。一方、敗れた左派ロワイヤル氏の支持者の一部は「反サルコジ」を叫び、警官隊と衝突し、右派と左派の対立・亀裂の修復に禍根を残した。
 シャンゼリゼ通りに近いサルコジ氏の選対本部前には数千人の支持者が詰めかけ、午後8時、大型スクリーンで「勝利」が報じられると会場は熱狂の渦に包まれた。フランス国旗を掲げた学生の運動員のコトブさん(21)は「新しい時代の始まりだ」と絶叫した。支持者はシャンパンを開け、国歌を歌い、噴水に飛び込み、車はクラクションを鳴らして勝利に酔った。
 支持者の多くはサルコジ氏の厳しい移民・治安対策、経済活性化策に共鳴したと語る。会社幹部のビオルグンデールさん(43)は「フランスはこれ以上の外国人移民を受け入れられない。まずは職に困るフランス国民を助けなければならない」と話した。支持者からは、サルコジ氏の掲げる減税や週35時間労働制の撤廃に賛同する声が多く聞かれ、「現実的でないロワイヤル氏が大嫌い。だからサルコジ氏に入れたの」と話す女子大生も。
 一方、左派支持者が集まったバスティーユ広場では敗北に怒った若者が警官隊と衝突。一部が石畳の石をはがして警官に投げつけ、警官側は群衆に催涙弾を発射し放水、騒然となった。学生のデュッフさん(22)は「(警官隊の)この横暴はサルコジが指揮したに違いない。彼は移民をはじめ貧しい者をいじめ、金持ちだけを助ける」と語った。「サルコジはファシストだ」との叫び声も響いた。


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フランス、サルコージが勝ったら暴動が起きるとロワヤル候補が警告!

本日フランスでは大統領選挙が行われているが、今日の選挙を前にして押され気味のロヤル候補がサルコージが勝ったらフランスでは暴動が起きるだろうと脅迫まがいの発言をした。もちろん彼女自身が暴動を先導するといってるわけではないが、それでなくても暴動好きのイスラム教ギャングたちに暴動をおこせと煽っていることは確かである。

金曜日、右翼のニコラス・サルコージが日曜日の大統領選挙に勝ったらフランスは暴力と残虐の憂き目に会うだろう社会主義の競争相手であるセゴリーヌ・ロヤルは語った。

公式選挙運動最後の日の世論調査ではサルコージがロヤルよりも確実なリードを見せており、ロワヤルは元内政省大臣は嘘をついてフランスを分裂させていると責めた。
「ニコラス・サルコージを選ぶことは危険な選択です。」ロワイヤルはRTLラジオで語った。
「私には彼の立候補によってフランス国に放たれる暴力と残虐性について警告する責任があります。」と彼女語った。
本当に暴動がおこるのかと問いただされるとロワヤルは2005年にフランス郊外にひろまった暴動をさして「そう思います」と答えた。

ロワイヤルの呼びかけに応えるようにフランスの多種の若者たちがサルコージ勝利の際は暴れてやると宣言している。
しかし私が思うにこういう脅しはかえって逆効果だろう。サルコージはフランスの政治家として初めてイスラム教暴徒を「クズ」とか「ちんぴら」と評して辞さなかった人物だ。彼の公約はフランスの法と秩序を守るというものであり、サルコージが勝ったら暴れてやると「クズ」や「ちんぴら」連中が騒いだら、それこそフランス国民に今こそフランスにはサルコージが必要だと再認識させるようなものだ。
実は先のメキシコの大統領選挙でも全く同じことがおきた。保守派の候補フェリペ・カルデローンが勝ったらメキシコで暴動が起きるとおどした社会主義の候補アンドレ・マニュエル・オブラドアは大敗してしまった。その後も選挙は違法だと言い張ってデモ行進を国民に呼びかけたが効果なく尻つぼみした。
フランスでも同じような結果がおきるかもしれない。そしてもしフランスの「若者たち」が抗議の暴動を起こしたら、大統領としてサルコージは断固たる取り締まりをするだろう。2005年のシラク大統領のようなぶざまな真似の二の舞いはすまい。なにしろ法と秩序が売り物のサルコージ、暴動くらい鎮圧できなければ意味がない。
なんにしても2〜3日中にはその結果がでる。


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大高未貴さんイスラエルを語る

日本のメディアもブログもことイスラエル・パレスチナ問題になるとパレスチナ寄りの報道が多い中、イスラエル側の立場を理解している女性ジャーナリストのインタビューを見るのは非常に新鮮である。
ぼやきくっくりさんが紹介してくださっているこのインタビューは一読の価値あり。下記はくっくりさんの感想。

日本ではどちらかと言えば、「パレスチナ=善、イスラエル=悪」という図式で報道されることが多いような気がしますが、これはやはりイスラエルの後ろにアメリカがついてるからでしょうか?ほら、日本のマスコミってたいがい反米ですから。

私は日本のマスコミは反米だからというより、諸外国(特にヨーロッパは)反イスラエルなのでそこに同調しているだけなのではないかと思う。またアメリカも国自体はイスラエルと同盟国であり政府は親イスラエルだが、アメリカのメディアは決し親イスラエルとはいえない。日本のメディアはアメリカメディアの報道を独自の取材もせずに邦訳しただけの焼き直し報道をやっているので、アメリカメディアの反イスラエル偏向がそのまま報道に反映するのではないかと思う。
そんななかで、自分から中東へ足を運び実際にアラファト議長と対談をするなどして独自の取材をした大高未貴さんの語るイスラエルには意義がある。

大高 イスラエルの人々は、徹底した個人主義ですが、同胞が殺されたときには一致団結し徹底抗戦する。…1972年のミュンヘン五輪で、イスラエル選手団11人がテロで死んだ事件では数年かけて首謀者ら関係者20人以上を報復暗殺しました。自国民が理不尽な厄災に見舞われたら徹底的にやり返す。それが暗黙の“国是”になっています。

野口 一方で、自国将兵の命を守るためには、大胆な譲歩もする。
大高 1985年5月、レバノンでPFLP(パレスチナ解放人民戦線)に拉致された軍人3人の奪還では、イスラエル刑務所にいたパレスチナ人の政治犯や殺人犯ら1150人を解放した。この中には、日本赤軍の岡本公三容疑者もいました。4人がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ(神の党)に拉致された事件では、パレスチナ人ら443人の政治犯を釈放した。背景には、「1人の兵でも救出しなければならない」という思想があります。
野口 ところが、テロリストへの大幅譲歩は、テロリストに将兵拉致の戦術的有効性を認識させてしまった。IDFは教訓にしましたね。
大高 2000年10月、ヨルダン川西岸パレスチナ自治区ラマラで凄惨(せいさん)な事件が発生。パレスチナ警察署内にいたIDF軍人2人が、乱入してきたパレスチナ人暴徒に惨殺され、群衆に四肢をバラバラにされた。IDFは「事件を放置したら将兵の士気を著しく下げる」と、猛烈な報復攻撃を敢行しました。
野口 2002年4月、ヨルダン川西岸ジェニンで、IDFが500人を虐殺したとパレスチナ側が発表し、イスラエルへの非難が高まりました。このとき、エルサレムでIDFの軍医にインタビューしたのですが、パレスチナ側の発表と食い違っていた。軍医は「パレスチナ住民への誤射」を認めた上で、「パレスチナ過激派の戦闘方法は想像を絶した。6歳の子供が近づいて来たので、兵士が声をかけると、その子はパイプ爆弾入りのカバンをほうり投げて逃げた。老人や女性が手をあげて近づいてきたと思ったら、隠れていた過激派の銃が火を噴いた」と話していました。
大高 パレスチナの一般人には同情しますが、西側メディアは、パレスチナのプロパガンダに乗せられやすい。イスラエル政府高官が「ユダヤ人にはアラブ民族以外にも敵がいる。センセーショナリズムに流され、視覚効果ばかり狙う米系メディアだ」と話していたのが印象的でした。(強調はカカシ)

イスラエルは同胞を取り戻すために過剰反応を起こして反撃するかと思えば、信じられない妥協をしたりする不思議な国だが、大高さんの説明で多少その謎が解けるように思う。日本のジャーナリストで「西側メディアは、パレスチナのプロパガンダにのせられやすい」などという人は初めて聞いた。やはり取材は他人の受け売りでは駄目だという証拠だろう。
大高さんはアラファト議長と二度対談しているが、一度目の時はカリスマのあるパレスチナに希望を与える英雄だという印象をもったのにたいして、オスロ合意で世界中から支援金が送られてくるとパレスチナのインフラには全く還元せず、自分の私腹を肥やし、一般市民がイスラエルへの関門を通るのに何時間も待たされるような状況については完全無視していたアラファト議長。二度目の対談でそれに関する質問には答えず子供たちと一緒にニコニコ顔の写真ばっかり撮らせたアラファトは「この手のパフォーマンスはどこかの国の首領様とそっくり」だったとか。
その他にも色々面白い内容なのでみなさんも是非全文をお読みくだされ。


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