滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威 その3

マーク・スタインの悲観的なヨーロッパ論に一週間も付き合っていたらかなり気が滅入ってしまった。200ページもある本のなかでこれだけヨーロッパはイスラムに侵略される直前だ、ヨーロッパは滅びると最後論を振り回しておきながら、ではどうすればいいのかという解決策は最後のたった一章きり。すでに三分の二あたりで読む気はなくしていたのだが、最後まで読まずに感想文を書くのもなんだと思って出動前最後の日曜、お昼からずっとホテルの一室に閉じこもって読書をした。しかしその褒美がこれとはひどいな。
ま、とはいえ外へ出かけたくなるような天気ではない。5月も中旬を過ぎたというのに肌寒くどんよりと曇った空。海辺の町とは往々してこんなものだが、持ってきた水着もまだ着ていない。この肌寒いのにプールで泳いでいる観光客はけっこういるが私はお断りだな。出航前に風邪をひきたくない。なにしろ船はもっと北へ行く。寒流があるからきっとずっと寒いだろう。2月の出張前に母が送ってくれた厚手のセーターとマフラーが役に立つ。
さて、それでは紅茶を入れ直し、気分も取りなおしてシリーズ第三段といこう。
スタインはヨーロッパは近いうちにその自堕落な政策からイスラム社会に乗っ取られ地理的にはヨーロッパとして残ってもヨーロッパの文化は消失してしまうだろうと予言した。その理由として、ヨーロッパの少子化による人口減少、多様文化主義によるヨーロッパ文化の崩壊、世俗主義による自分勝手な日和見主義を上げている。
マーク・スタインの悲観主義は現実的だろうか。本当にヨーロッパ諸国は負け犬のように腹を見せてイスラムに服従するのだろうか?私はそうはおもわない。
イスラム聖戦主義は成功しない
先ずイスラム教はスタインが言うほど強力な勢力ではない。カカシはなにもアメリカ本土を攻撃し3000人の市民を虐殺し、イラクでもアメリカ軍を悩ませているジハーディストの力を過小評価しようというのではない。彼らは危険な敵だ。それは正しく把握する必要がある。敵を見下すのは自殺行為だ。
しかし、イスラムは魅力的な宗教でもなければ建設的な文化でも政治機構でもない。世界ひろしといえどいったいどのイスラム教国家が経済的に成功し高い教養を持った幸せな国民で溢れているというのだ? どのイスラム教国が強力な軍隊を保持して世界のスーパーパワーとして君臨しているというのだ?どこのイスラム教国からノーベル賞を受賞するような科学者や、ビル・ゲーツのような事業家が出ているというのだ?
イスラムはユダヤ・キリスト教に比べれば歴史は浅いかしょうがないのだと言う人もいるだろう。だが、建国してせいぜい100年からのアメリカは19世紀終わりにはすでにかなりの実力国家としてヨーロッパ諸国から無視できない国になっていた。イスラムには1400年という時間があったのに、いまだにほとんどのイスラム諸国が7世紀の生活をしているのは何故だろうか?
その理由は簡単だ。イスラム教は何も生産しない、イスラム教は新しいアイディアを奨励しない、イスラム教は生より死を選ぶからだ。
よくアラブの歴史をよく知らない人たちが、中世のイスラム諸国はヨーロッパよりも異教徒に寛容であり、異教徒を受け入れ優遇していたという。彼らが都合よく無視している点はこうした国々のイスラム教支配者たちは異教徒を下層階級の人間として差別し、その宗教によって位をもうけ、それに見合った税金を払わせていた。イスラム教徒からは税金を取らない主義なので、彼らは異教徒からの税金で国をまかなっていたのである。
異教徒の労働に頼り異教徒の富に寄生する以外に生活の方法を見出だせないのがイスラム原理教なのだ。今でさえ中東に石油が無ければイスラム教諸国など誰からも相手にされないだろうし、テロリストも資金源がなく活発な活動など望めたものではないのだ。もしジハーディストが世界侵略できるような勢力をもったなら、彼らは異教徒に無理やり改宗をせまり、そむけば虐殺するなり追放するなりするだろう。そうやって金をむしりとる相手がなくなったら自分らが持っている僅かながらの富を巡って仲間同士で殺し合いをするのがおちだ。
パレスチナのガザで起きていることを見れば、それがイスラム教支配の縮図だと言うことがわかる。パレスチナ庶民はイスラエルだけが悪の根源だとしてイスラエルを追い出すのに躍起になっていた。ところがいざイスラエルが出て行ったら、インフラは全く機能しなくなった。電力発電も、水道も、下水も、すべてイスラエルによって管理されていたからだ。パレスチナ領内に産業はない。イスラエルまで出稼ぎに行くしか生活の糧がないのに、イスラエルへの自爆テロやロケット弾の打ち込みをやめないからイスラエルからも締め出されてしまう。テロに嫌気の差したイスラエルが防御壁を建てればゲットーと同じだなどと騒ぎ出す。
こんな奴らにヨーロッパを侵略だって、ご冗談を!
だいたい聖戦主義者の唱えるイスラム教のシャリアにしたところで、イスラム教徒ですら両腕を広げて受け入れているわけではない。スタインはロンドンに住むイスラム教徒の多くがシャリアの元に生きたいと答えた世論調査を出しているが、私はこれらのイスラム教徒はシャリアが本当にどんなものかなど理解していないと思う。
今欧州でジハードに勧誘されている若者は、単に自分らが暴れたいという本能をジハードという宗教で正当化しているに過ぎない。人殺しをしようが放火をしようが徒党を組んで女性を強姦しようが、すべてがアッラーの思し召しだとして許されている。彼らは役に立つ愚か者としてジハーディストに利用されているに過ぎないのだ。彼らがそれに自爆テロで吹っ飛ぶ前にそれに気がつけば彼らとてシャリアなど受け入れはしない。
フランスでフェタチーズを肴にボルドーワインを飲みながら、キャバレーで半裸の美女が踊るのを楽しむイスラム教の若者に、「考えても御覧なさい、イスラム教徒が勝てばこれがすべてがなくなるのですよ。チーズとワインの代わりに殻が残ってるざらざらのコーヒーを飲み、半裸女性の変わりに山羊とデートができるようになるのです」と言ってもやる気は出ないはずだ。
もちろんイスラム過激派の脅威は本物だ。イスラム過激派とは断固戦わねばならない。問題はヨーロッパに戦う意志があるのかどうかということだ。スタインは無いと言う。
スタインは間違っている。ヨーロッパはスタインが思うほど軟弱で堕落しきった文化ではない。イスラムの歴史など比べ物にならないほどの虐殺を体験してきたヨーロッパである。イスラム教ごときに戦わずして滅ぼされるようなことはあり得ない。今のヨーロッパの問題はまだヨーロッパ諸国がイスラム教の脅威を正確に理解していないことにある。つまり半分居眠り状態なのだ。
しかしヨーロッパが目覚めかけているという兆しが私には見える。長くなるのでこの続きはまた今度。


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滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威 その2

ヨーロッパの世俗化、イスラムの過激化
どうして欧州では少子化が進むのか、そのヒントとしてスタインは2002年の世論調査をあげている。2002年、9月11日、あの悲劇の日から一周年の記念日に、あなたは将来について楽観的かというう質問に対して、61%のアメリカ市民が楽観的であると答えた。
それに対して、楽観的な将来を持っていると答えたヨーロッパ人は、カナダで43%、英国42%、フランス29%、ロシア23%、ドイツにおいてはなんとたったの15%。こんなに悲観的に将来を見ているのでは、そんな社会に子供を送り出したくないと考えるのも当たり前というものである。いったいこの悲観主義は何処から来るのであろうか?
その原因はヨーロッパの世俗主義にあるとスタインは言う。欧州の人間はアメリカが信心深いことを洗練されていない田舎者だと馬鹿にする。だが、アメリカ国内でも2000年の選挙でリベラル(青)と保守派(赤)と分かれた州のうち、赤い州の出産率は青い州に比べて圧倒的に多いのである。バイブルベルト(聖書地域)と呼ばれるこれらの地域はなんといっても信心深い人が多く集まっている。
欧州や日本では話題にもならない人工中絶の合法性や、欧州各地ですでに合法となっている同性愛結婚の是非が選挙の度に話題になるのも、こうした宗教心がアメリカの基盤となっているからだ。
この間もアメリカは国が新しいため守るべき伝統がないと言っているある右翼ブロガーの意見を紹介したが現実はその反対だ。古い歴史のあるヨーロッパこそが自らの伝統を捨て去りユダヤ・キリスト教の価値観や信念を見捨ててしまった。ヨーロッパから受け継いだその伝統を頑なに守り通している国を田舎者といって馬鹿にするヨーロッパのざまを見よ!国が古かろうが伝統があろうがそれを守ろうとしないのなら何の意味があるというのだ?
自らの宗教を足蹴にしてきたヨーロッパではイスラム教の信仰の深さやその強さを理解することができない。だからイスラム教の横暴は宗教心そのものに起因するのであり、世俗主義こそがイスラムに対抗できるのだと唱える人々がいる。2006年に十数人のインテリたちによって出版された対イスラムマニフェストの著者には元イスラム教徒で今は世俗主義のAyaan Hirsi Ali, Irsahd Manji, Salman Rushdieといった人たちが名を連ねている。
スタインはこれらの人々の勇気を讃えながらも、彼らは間違っていると断言する。そしてカナダのKathy Shaidleの言葉を借りてこう語る。

「世俗主義そのものが問題のひとつなのだ、解決方法ではない。世俗主義こそがヨーロッパの精神的道徳的真空状態をつくってしまい、そこへイスラム主義が突入してきたのだから。」

ヨーロッパのあちこちで、イスラム教の理不尽な要求にヨーロッパが迎合する度にイスラム教徒はヨーロッパ人の信念の無さをあざ笑っている。ヨーロッパのクリスチャンの価値観が弱いからこそ偉大なるイスラム教の要求に服従するのだと考える。もともとイスラム教徒は異教徒を汚れたもの卑しいものと考える傾向がある。欧州の政府が多様文化主義などという言い訳で彼らに迎合すればするほどイスラム教徒はこの教えを確信するのだ。これではヨーロッパに移住したイスラム教徒がヨーロッパ文化に溶け込もうなどとしないのは当たり前だろう。
Anjem Choudaryという39歳のイギリスイスラム教徒のリーダー格のイマームはイギリスはシャリア法を取り入れるべきだと主張している。BBCのインタビューでそれならすでにシャリア法を取り入れている国へ引っ越してはどうかと聞かれて、彼はこう答えた。

「イギリスがあなた方のものだと誰が決めたのです?…イギリスはアラーのものです。世界中がアラーのものなのです。」「私がジャングルへ行ったなら、私は動物のように生きません。私は崇高なる生き方を広めます。イスラムこそが崇高な生き方なのです。」

欧州人たちがこのようなイスラム教徒の野心を理解できず、イスラム教徒に迎合するのはその場しのぎの対策しか考えていないからだ。スーパーのお菓子の棚の前で「買って買って~!」と駄々をこねる子供に欲しいものをかってやればその場はおとなしくなるかもしれないが、長い目で見て決していい結果を生まない。いずれ子供が要求してくるものはお菓子どころではすまなくなる。
このようにヨーロッパ人が長期的な見方をして国家対策を立てることが出来ないのも、まさに世俗主義が原因なのである。ヨーロッパは自分達の今の生活がよければそれでいいという日和見主義。だから短い労働時間や長い休暇が将来自分らの国を破壊してしまう可能性など無頓着なのだ。今日イスラム教徒に迎合して煩い蠅を追い払ったつもりでも、それが次の世代にどんな悪影響を与えるかなど考えてもいない、、おっと子供がいないんだから関係ないか、、、
トーマス・カイル著のThe Gifts of the Jews(ユダヤの贈り物)という本のなかで、ユダヤ教が始めて過去現在未来は違うという概念を生み出したと書かれていた。それまで人々は世界は今あるままの姿でずっと存在していたのであり、これからもこのまま何の変化もなく永遠に続くのだと考えていた。だが旧約聖書は初めて「歴史」という継続した時間の概念を人々に紹介したのである。将来は今よりもよくなっているという希望を人々に初めて与えたのがユダヤ教だとカイルは言う。
我々の行動は将来の社会に影響を与える。未来は現在とは継続しながら変わって行くという概念があるからこそ我々は未来のために今は我慢して頑張ろうと言う気になれるのだ。将来への希望があるからこそ子供を生む。
また宗教は道徳観と切っても切り離せないものがある。私は昔、もし世の中の人々が警察に捕まることだけを恐れて悪いことをしなかったとしたら、今いる警察官の数ではとても治安を守りきれないと言われたことがる。我々が犯罪を犯さないのはそれが違法だからではなくて、それが道徳的に悪いことだと知っているからだ。それを教えてくれるのは誰なのか?それが神ではないだろうか?
だからヨーロッパで起きているようなイスラム教徒への迎合はアメリカでは起こりにくい。無論ここでも何度も紹介したように、アメリカにも世俗主義や多様文化主義のリベラルが大学などにはうようよいるので、全く無いとは言わない。だが、宗教心の強いアメリカではイスラム教の教えが我々のユダヤ・キリスト教の価値観よりも優れているなどという考えは拒絶される。
宗教こそが宗教の横暴に対抗できるのである。世俗主義に勝ち目はない。


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滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威 その1

この先数日間ネットアクセス不能になるため、カナダの政治評論家マーク・スタイン著のアメリカアローンを参考にヨーロッパにおける、少子化問題、イスラム教台頭、そして今後のヨーロッパの宗教と文化が世界に与える影響などについて考えて生きたいと思う。
まず、最初に断っておくが、私は著者のスタインの意見に全面的に賛成しているわけではない。スタインは以前に紹介したロバート・スペンサー氏と同じで非常に悲観的な世界観をもっている。スペンサーのイスラム論にも参考になる部分は多々あったがイスラム教に未来はないというその結論には同意できなかったのように、スタインの警告には耳を傾ける価値は多いにあると思うが、ヨーロッパは決してスタインが言うほど絶望的な状態にはないとカカシは考える。
スタインは地球最後の日を唱える最後論者と自分は違うと主張している。たしかに一昔前までは氷河期が来て人口増加のため資源を使い果たして地球は滅びると言う最後論者が多かったのに、最近は地球温暖化と少子化問題で地球は滅びるという人々にとってかわった。しかしどういうわけか、地球最後の日を唱える人々は地球が冷めようと熱しようと人口が増えようと減ろうとその解決策はいつも同じで、個々の国々が目指す資本主義の産業発展を諦め、世界がひとつに団結して自然を守ろうと主張する。無論そのためには世界政府なる大きな政府に巨大な権限を与え、人々は個々の幸せを犠牲にして世界のために貢献することが要求される。なにしろ悪の根源は文明発展と人類にあるのだから。京都規定などがその典型といえる。
その点政府の権限をなるべく最小限にして資本主義を拡大すべきだと主張するスタインは最後論者としては異質だと言える。だが、その絶望的な世界観はやはり最後論者を思わせる。
単純に人口分布を考える
少子化はヨーロッパだけでなくすべての文明国の間で深刻な問題だ。日本やアメリカも全く他人事ではない。しかしヨーロッパの少子化問題はその膨大な福祉制度を考えると日本のそれよりもずっと深刻である。
ではここで先ず、欧米並びに日本の出生率を見てみよう。社会が人口増加も減少もせずに同じ率を維持していくためには、一夫婦あたり2.1人の子供を生む必要がある。先進国でこの数をぎりぎり満たしているのは僅かにアメリカの2.11人があるだけで、後はニュージーランドとアイルランドの1.9人、アルベニア、1.8人、オーストラリアの1.7人と続く。 しかしカナダになってくると1.5人と極端に減り、ドイツとオーストリアは共に1.3人。ロシアとイタリアは1.2人、スペインが最低でなんと1.1人。 ヨーロッパの平均出生率はなんと1.3人! (出生率が最低だった2005年現在の日本は1.25人だから、かなり低いことがわかる。)
もしこのままの状態が続けば、スペインなど次の世代で人口が半減してしまうことになるのだ。ロシア、イタリアそして日本もほぼ同じような状態にある。
しかし私など都市部に住み毎日渋滞した高速を走って通勤してることもあるし、故郷も東京のベッドタウンといわれる郊外なので、あの満員電車を見ていると人口が減ることがそれほど悪いことには思えない。だが都市部に労働者が集中してしまうということ事態、それだけ地方では産業が成り立たないことを意味する。日本にしろアメリカにしろちょっと地方へ足を運べばその過疎化は明白だ。
では何故人口減少は社会にとってよくないことなのか。自然の世界で考えれば種族の存続こそがその種族の一番大切な目的であり、繁殖率の高い種族こそが成功種族といえるのであり、世代ごとに半減してしまう種族は成功しているとは言いがたい。文明社会は古代大木だのパンダだの珍種の海老などの絶滅を心配している場合ではない。絶滅の一番の危機にあるのは文明人なのだ、とスタインは言う。
少子化が進む欧米をよそ目に健康な出生率を保ちその種族繁栄を充分に謳歌している国々は、無論存在する。それらの国々はどこかと言うと、ナイジャー,7.46人、マリ, 7.42人、ソマリア, 6.76人、アフガニスタン, 6.69人、そしてイエメンの6.58人。これらの国々に共通するものが何か読者諸君にはもうお分かりだろう。その通り、イで始まってスラムで終わる、あの宗教イスラムである!
ここで思い出してもらいたいのがアルベニアの出生率の1.8人。イスラム諸国に比べて比較的低い数値ではあるが、ヨーロッパのなかでは一番高い。その理由はなんだかお分かりになるだろうか?その通り、アルベニアはヨーロッパ唯一のイスラム教が多数を占める国なのである。実際イスラム教移民の多いフランスなどは、イスラム移民の出生率を除けばもっと数値が低くなるという。
単純に出生率だけをみても、欧米諸国はイスラム教諸国に押されていることがわかる。しかもこれらのイスラム教徒らは自分らの祖国だけでなくヨーロッパ全土にどんどん移住しているという事実がある。
これまでヨーロッパでは「ゆりかごから墓場」までと言われた社会福祉を進めてきた。これらの国々ではすべての市民が短い労働時間で長期休暇を取ることができ、医療費も学費も無料及びただ同然。年金は保証されてるし失業保険もばっちり。一見こんなすばらしいシステムはない。だが、「ただほど怖いものはない」と言うように、これらのサービスは決してただではないのだ。誰かが払っているのである。
そしてその誰かとはまさに消え行く若い世代であり、彼らが払う高い税金によってこれらは賄われているのだ。しかし、このシステムの最大の欠点は次の世代の人口が増え続けて行くことを前提としている点だ。前世代の引退者への年金は今世代の労働者の税金が補っているのである。ということは次世代の人口が半減した場合、労働者一人当たりにかかる負担は二倍になってしまうわけだ。こんなことを永久に続けられないことは子供でもわかる。
そこでヨーロッパは第三諸国から大量の安い労働力を輸入して問題を解決しようとした。それが現在ヨーロッパを内側から揺るがす原因となっていることは言うまでもない。たかが数パーセントの少数派イスラム教にこれだけ脅かされているヨーロッパが、出生率の高いイスラム教徒に多数派の座をうばわれたならどういうことになるのか、想像するだけでも恐ろしい。

「我々こそがあなた方を変えるのだ。」ノルウェーのイマーム、ムラー・クレカーは2006年、オスロの新聞Dagbladetに書いた。「ヨーロッパでの発展をみてごらんなさい。そこではイスラム教徒が蚊のように増えています。西洋の女たちは平均1.4人しか生んでいないのに対して、同じ国々に住むイスラムの女達は3.5人も生んでいるのです。」そうして彼は次の言葉で締めくくった。「我々の思想があなた方のものより強力であるということが証明されるでしょう。」

果たしてヨーロッパは外側からも内側からもイスラム教に侵略されてしまうのだろうか? そしてヨーロッパのイスラム化が起きた後の世界はいったいどうなってしまうのだろうか?
次回はヨーロッパの宗教排斥、世俗化がもたらした悲劇について語りたい。


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中国の新幹線部品盗難で散々な目に!

中国では釘で床に打ち付けてないものは何でも盗まれるという話を以前に陳さんのところで読んだことがある。なにしろ公共広場においてある鉢植えだの、ガスだの電線だのが平然と盗まれてしまうという社会だから、考えてみれば下記のような実態も驚くほどのことはないのかもしれない。

2007年5月17日、鉄道高速化計画の目玉として登場した弾丸列車が走行を開始して1か月、定期点検のため河南省鄭州市の鉄道局検査場に戻ってきた。約100人の技術者が車体を検査したところ、無残なほどボロボロにされていることがわかった。

ボロボロになった原因は乗客による備品の持ち去り。被害が最も多かったのは手洗い場のセンサー式蛇口。多数取り外されてなくなっていた。さらに緊急脱出用のハンマー。また密室であるトイレも被害が大きかった。便座の温度調節つまみやペーパーホルダーの軸さえ取りはずされ消え失せている実態には、ただもうむなしさが募るばかりだと技術者たちはこぼす。
鳴り物入りで走り出した夢の高速列車だが、わずか1か月で満身創痍になって戻ってくるとはおそらく想定外だったはずだ。同局は今後、備品持ち去り禁止を表示するのか、乗客の資質向上を待つのか、判断を迫られることだろう。

なぜ中国ではこのような窃盗が日常茶飯事に起きるのだろうか? カカシはこれは共産主義国家においては起こるべくして起こる現象だと考える。共産主義という思想そのものが個々の所有権を拒絶するものだ。共産主義社会ではすべてが国民全体の共有物であり個々は何も所持しないという思想だ。しかも最近の中国では農村や漁村の土地が国が支持する大企業によって個々の市民から強制的に奪い取られている。土地が奪われないまでも工業排水や有毒ガスの排出によって川も湖も魚介類が生息できないほど汚染されてしまっている。
個々が所有物を持つ権利がここまで迫害される世の中で個々の市民が公共施設を尊重しないからといって何の不思議があるだろう?公共物はみんなのもの、だったら私がもらってもいいと破損窃盗がひろまったとしても、これは中国共産主義の実から出たさびと言える。
また共産主義社会は宗教を拒絶する。精神のよりどころのない国民に道徳観念が根付かないのも無理はない。


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イラクブロガー、テロとの戦いは続けなければならない!

ミスター苺紹介イラク・ザ・モデルのこの記事はすばらしい。
ここでも何度か紹介しているが、イラク・ザ・モデルはバグダッド在住のモハメッド、オマー、アリのファディ三兄弟で始めたブログ。途中アリが抜けて今は二人で経営しているが、彼らのエントリーを呼んでいるとその勇気に常に感心させられる。
安全なアメリカで安楽イスに腰掛けながら「イラクは泥沼だ、即撤退だ!」と騒ぎ立てる敗北主義者とは対照的に、暴力の真っ只中にいながら希望を捨てず、イラクの将来のために努力したいと常に未来をみつめるモハメッドとオマーに声援を送りたい。
さて、このエントリーでも「砂の中に頭を埋めないでくれ」とモハメッドは対テロ戦争はあきらめてはいけない、アメリカ軍は撤退してはいけないと、この戦争の大切さを訴えている。モハメッドはイラク国内でもアメリカにもアメリカは負けているというメッセージを送り込むのは間違っていると語る。
ハリー・リードの「アメリカは負けた」宣言に続いて、アルカエダのザワヒリは「我々は勝った」宣言をしているが、実際の戦況をみていると、どちらが勝ったなどといえたような状態ではなく、かえってアルカエダの方が苦戦状態にあるとモハメッドは言う。
イラク戦争はドンパチ戦争であると同時に情報戦争でもあるわけで、アメリカやイラクから間違ったメッセージを送り込むことは、すでに複雑な状況をさらに複雑にし、イランやシリア、サウジアラビアなどに漬け込まれるのが落ちだとモハメッドは言う。

アメリカ軍はイラクに駐留し続けるべきだ。そして必要とあれば状況に応じて援軍を送るべきだ。それだけでなく、中東に脅威を及ぼし、醜い限りの欲望で核兵器を使って世界中を脅迫し、熱狂的な願望と妄想によって世界のみならず自分達をも破壊しようという悪の巣は徹底的に叩く必要があるのだ。 …

我々はこれらの犯罪者や独裁者と戦い続けねければならない。奴らがこの地で自由を愛する人々が一人ではないことを知るまで。自由と威厳に満ちた生活は人類すべての希望だ。それが我々を団結させるのだ。死や自爆ではない。他の国の自由を愛する人々が我々に手を差し伸べる時、アクマネナジャド、ナスララ、アサード、カダフィのようなすべての独裁者と殺人鬼らは我々は彼らの息子らに引き継がれる所有物ではないことを知るだろう。我々は文明に属するのだ。…奴らは我々の威厳を醜い犯罪によって奪い取ることは出来ない、我々を撤退させることもできない。世界は自由の戦士らに出て行けという前に、奴らに出て行けというべきだ。

モハメッドはまた、ヨーロッパを開放するのにどれだけの犠牲を有したか、そしてその後も冷戦中に長年にわたり、アメリカ軍が駐留してヨーロッパの平和を維持してきたことなどをあげ、ヨーロッパを守ることは正しかったのに、何故、人々は世界中の文明社会の平和を脅かすテロリストが巣食うイラクを見捨てろというのかと問いかける。

友よ、私は悪い奴らが呼びかけているように、あなた方に強く呼びかけたい。私は奴らより強いことを見せなければならない。なぜなら奴らは文明の理屈や道理など理解できないからだ。奴らにわかるのは力だけだ。そして力を通じて奴らは国々を支配し国民を人質としているのだ。奴らの功績のすべてが殺人、拷問、弾圧、威嚇によって国民をコントロールすることで得てきたものなのだ。…

どうして勝利のために必要なすべての道具を所持している国が、毎日のように斬首や拷問、法と秩序と価値観をあからさまに犯す敵を前にして戦うことを拒むのか、私には理解できない。
アメリカを攻める人間はいつでも存在する。世界でおきるすべての悪いことがアメリカのせいだという奴はいつでもいる。だからといってアメリカがそんな奴らの言うことを聞く必要はない。アメリカが聴くべきなのはアメリカ精神とその精神が代表するものだ。
収穫は今日ではない。だが我慢強い戦いの後その果実は実るのだ。

モハメッドが疑問に思うとおり、アメリカは1970年代から武力がありながら徹底的な戦いを拒むという姿勢を続けてきた。ベトナム戦争での中途半端な撤退、イランのアメリカ大使館占拠事件での無対応、レバノンからの引き上げ、湾岸戦争でもフセインを殺さず撤退、ソマリア、コーバー塔、コール船、などなどなど、アルカエダや諸外国の悪いものからしてみれば、アメリカには戦う意志がない、アメリカは腰抜けだというイメージが強く焼きついているに違いない。ここでアメリカがイラク勝利をなくして撤退すれば、かれらのアメリカは腰抜けというイメージが完全に確認されることになる。
そうなったなら、アメリカは今以上に危険な状態にさらされうる。いや、アメリカだけではない。イラク戦争で痛い目にあったアメリカが士気を失っているとにらめば、アルカエダの狙いはクエート、サウジ、エジプト、トルコ、レバノン、といった中東はもとより、ヨーロッパ諸国へも広がるだろう。なにせ弱腰のアメリカが邪魔に入る危険はもうないのだから。
モハメッドはイラク及び中東を守るのはアメリカの使命だという。アメリカがイラクから退くと言うことはアメリカが対テロ戦争から退くと言うことだ。テロリストに勝利を与えるということだ。そうなれば、危険に陥るのは中東だけではない。世界中の文明社会が危険にさらされるのだ。
アメリカは絶対に撤退してはならない。自由を愛するイラクの人々と、そして世界の人々と共にアルカエダとその仲間の闇の力と戦おう!
撤退は許されない!


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イラクに夢中で公約そっちのけの米民主党議会

イラク戦争に大反対している左翼の知り合いが、民主党が多数議席を握る米上院議院でイラク戦費差し止め議決が否決されたことを嘆いていた。「民主党の腰抜け! 口ばっかりでイラク撤退もできねえじゃねえか」とかなりの剣幕である。確かに民主党ときたらすでに議会の主権を握ってから六ヶ月近くたつというのに、次から次へと拘束力もないイラク反対決議案を通すのに夢中。しかも全力投球しているはずの肝心のイラク撤退すらこの有様

【ワシントン16日時事】

米上院は16日の本会議で、ブッシュ大統領による拒否権行使で承認が遅れている今年度のイラクなどでの戦費約1000億ドル(約12兆円)を月内に一括承認する方針を87対9の賛成多数で決めた。下院は先に、7月までの支出分に限った暫定戦費法案を可決したが、上院側はこれに同調しなかった。

 上下両院は4月、イラク駐留米軍の撤退期限を来年3月末に定めた戦費法案を可決したが、大統領が拒否権を行使。上院民主党の大多数は、現場の部隊に悪影響が及ばないよう戦費の一括承認に応じることにしたが、早期撤退を促すため何らかの条件を盛り込みたい意向だ。
 この日の本会議では、民主党反戦リベラル派のファインゴールド議員が提出した来年4月以降の戦費支出打ち切りを求める法案が審議された。次期大統領選への出馬を表明しているヒラリー・クリントン、オバマ両議員らは賛同したが、現実的対応を主張するレビン軍事委員長らが反対して採決を行うための動議が否決され、事実上却下された。 

時事通信では書かれていないが、29対67で賛成派は惨敗だった。反対票の19人は民主党員だから、これは民主党の惨敗と言える。
だいたい民主党はこの六ヶ月近く何をやってきたのだ、と私が民主党支持者ならかなり腹をたてるだろうな。イラク戦争に反対反対といいながら、イラク戦争の時間制限も直接撤退に結びつく戦費差し止めの議決案も通せない。それどころか関係もないのに日本の慰安婦問題など意味のない決議案などを審議して国民の血税と時間の無駄使い。
選挙に勝ったら実現させると約束していた医療問題はどうなったのだ?最低賃金引き上げは?胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究への政府資金供与はどうした?奨学金融資の利子引き下げはどうなったのだ!イラクイラクでしょうもない拘束力もない議決案ばっかに夢中になって税金無駄使いして、選挙当時の肝心の公約はどうなったんだよ、国内問題はどうなったんだよ! 
と思っていたら、産経新聞の古森義久さんによるとこの何もしない民主党議会の支持率は大幅に落ちているという。

16日に公表されたギャロップ社の全米世論調査の結果によると、議会民主党の活動に対する支持率は29%で、前月の33%から4ポイントの下落となった。2月ごろには37%だったという。民主党員の間でも民主党議員の活動への支持は37%と判明した。同調査では全体の64%が「民主党議員が国政に対処している方法は不支持」という数字も出た。
 南部に拠点をおく世論調査会社「ストラテジック・ビジョン」がフロリダ州有権者を対象にした同時期の世論調査でも、議会民主党に対しては支持27%、不支持61%という結果が出た。AP通信が11日に発表した調査結果では、議会全体への支持は35%で、前月より5ポイントの低下が示された。
 これらの結果について世論調査の専門家ジョン・ザグビー氏は「議会で民主党がほぼすべての力をイラク政策への反対表明に注ぎ、他の主要国内政策を軽視しているという印象をあたえたことが大きな原因だといえる」と分析した。 …
(公約していた)6件のうちいくつかは下院で可決されたが、上院との調整でつまずいたり、いくつかは共和党の反対で遅れ、結局、なにひとつ法律とはなっていない。民主党内では、自党側にも戦略の失態があったとして反省する声も出ている。

国民が民主党を支持したのは、イラク戦争への不満ということも確かにあっただろう。だが多くの民主党支持者は民主党の公約にも多いに期待していたはず。イラク反対で多数議席を取ったとのだからと勘違いしてイラク問題ばかりに取り組み国内政策をおざなりにして、イラク撤退も実現できないとなれば、次の選挙で国民は民主党への失望感を票であらわすかもしれない。


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米大統領選挙民主共和各党でテレビ討論会、民主党の巻

2008年の大統領選挙までまだ一年半もあるというのに、すでに民主党と共和党はそれぞれ何度かテレビ討論会を行っている。今はまだ各党の予選も始まっていないしすべての候補者が立候補しているというわけでもないので、まだこの先どうなるのかまだまだなんともいえない状態だ。
さて、ちょっと前に行われた民主党の討論会の模様は暗いニュースが特集しているので、こちらをちょっと拝見しよう。私はこういうふうに複数の候補者がそれぞれの質問に数分の時間制限で答える形の討論会は好まない。それで自分ではテレビ放映も全くみていない。よって下記はすべて他人の受け売りなのであしからず。

司会者:
「クリントン議員、民主党上院院内総務ハリー・リード氏の最近の発言によれば、イラク戦争は敗北したとのことでした。本日のUSAトゥデイ紙に掲載された投書には、リード氏の発言が“背信行為”であり、もしもパットン将軍が生きていたなら、リード氏を使ってブーツを拭うだろうと書かれています。あなたは上院院内総務の主張に賛成しますか?」

ヒラリー・クリントン:
「ブライアン、まず最初に、アメリカ国民の主張について言わせてください。議会はすでに戦争終結に向けて表決しています。今はただ大統領が耳を貸すことを望むだけです。・・・(中略)・・・これはアメリカが勝ったり負けたりという戦争ではないのです。我が国はイラク国民に自由と統治の機会を与えました。その機会を活用するかどうか決定するのはイラク国民次第なのです。」

暗いニュースはリベラルなブログなので、ヒラリーが当初はイラク戦争に賛成したという事実も許せないだろうし、今になっても「イラク国民に自由と統治の機会を与え」たという言い方はブッシュ政権の報道官さながらだと批判している。私に言わせればヒラリーは単なる日和見主義。戦争の前は国民の戦争支持も高かったのでそれに賛成しただけの話。不人気になったイラク戦争をいつまでも支持していると左翼過激派のムーブオンらに突き上げられるのでどうやってイラク撤退を正当化するかで悩んでいるというのが事実。それにあんまり過激派左翼のいいなりになると一般選挙で無所属の票を取りそこなう。左翼に迎合して民主党候補になっても、過激派左翼と思われたら一般選挙で勝てない。これが民主党候補のジレンマだ。

司会者:
「オバマ議員、あなたはこのイラク戦争を評して、“愚か”と発言しています。その姿勢で、この戦争に身を捧げた人々に対してどのように向き合いますか?そもそもなぜあなたは過去において戦争予算に賛成してきたのですか?

バラク・オバマ:
「ブライアン、私は開戦時からこの戦争に反対してきた自分を誇りに思っていますよ。イラクの地で現在見られるような惨憺たる状況になると思ってましたからね。それに、戦地にこの国の若者を数十万人も派遣するのなら、彼らの安全のために暗視スコープや補強済みハンビーや他の装備が必要になることも私はずっと主張してきました。しかしアメリカ国民が主張しているのは、共和党であれ民主党であれ、もう戦争を終わらせる時期だということなのです。・・・(以下略)」
司会者:
「エドワーズ議員、あなたはイラク戦争開戦決議に賛成した件を謝罪したことで注目を集めました。あなたは、“我が国にはオープンで正直な指導者が必要だ。過ちがあれば真実を告げることができる人物だ”と言ってます。これはあなたの競争相手であるクリントン議員への直接攻撃ですか?」
ジョン・エドワーズ:
「いいえ、そうではなくて、それはこの戦争に賛成した者の良心の問題なのです。クリントン議員や他の戦争賛成者は自省して正しい判断だったのかどうか考えてみる必要があるのです。正しいと信じるなら、そうすれば良いのです。正しくないと思うなら、率直且つ正直に振舞うのが大事です。なぜなら私は、次の大統領は、国民と合衆国大統領府の信頼関係を取り戻せるような人物であることを国民が切望していると思うからです。(以下略)」
司会者:
「クシニッチ議員、イラク戦争に反対しながらそれに資金を提供することができるでしょうか?」
クシニッチ:
「できません。国民に対して、戦争には反対だが引き続き資金提供に賛成してくれというのは矛盾しています。戦争への資金提供に賛成するたびに、戦争を再度支持することになるのです。実際のところ、この場に居る同僚議員達はワシントンDCで戦争への資金提供に賛成してきたばかりです。民主党はこの戦争を終わらせる力があるのだから、終わらせるべきです。(以下略)」

エドワードは最初から戦争には反対で、左翼過激派からは人気があるが、あまり過激にならないように暗いニュースいわく「優等生的発言」で抑えている。クシニッチは候補になる可能性ゼロなので本音が言えるといったところだろうか。
さて暗いニュースはハイライトとしてオバマとクシニッチのやり取りを次のように取り上げている。

オバマ:

「このテロリズムという問題にもういちど立ち返ってみましょう。打ち倒すべき正真正銘の敵、解体すべきネットワークが存在することは確かです。理知的に我が国の軍事力を行使するにあたっては我々の誰も対立しませんし、あるいはテロリストを排除する際に致命的な武力を行使する場合もありますが、同時に、同盟を組織し世界中に信頼を拡大する努力がこの6年間非常に欠けていました。思うに、次期大統領にとって最重要課題となるのは、我が国の直面するそうした困難への取り組みでしょう。」
クシニッチ:
「オバマ議員、今の発言は非常に挑発的ですね。以前からあなたは、イランに関してあらゆる選択肢を考慮すると言ってますね。国民にとってその本当の意味を思案することは非常に大切だと思うのですが、あなたは別の戦争に向けて準備を整えつつあるようです。私が思うに、地球温暖化と地球戦争化は避けることが重要です。全ての中心は石油です。我々は石油のためにイラクに侵攻しました。今、我が国は石油のためにイラン攻撃を目論んでいます。外交政策を変えない限り、つまり戦争を政策手段としている限りは・・・」
(中略)
オバマ:
「もう少し時間をもらって反論します。イランと戦争を始めるのは深刻な過ちになると思いますよ。しかし、イランが核兵器を保有し、合衆国と周辺国にとって脅威であることは疑いようのない事実で・・・
「核兵器開発途上にあるのは明らかでしょう。専門家も否定しませんよ。イランはテロの最大支援国であり・・・」
クシニッチ:
「それはまだ論争中で・・・」
オバマ:
「ヒズボラやハマスも支援を受けてます。」
クシニッチ:
「それはまだ論争中です。」
オバマ:
「デニス、(党内に)反論はないはずだ・・・」
クシニッチ:
「まだ論争中ですよ。」
オバマ:
「終わりまで聞いてくれ。世界各国に同盟を拡大することについては我々に対立はないはずだ。だが、核拡散国家が存在すればテロリストの手に核兵器が渡ることになり、アメリカにとって深刻な脅威になるのだから、この問題を真剣に受け止めるべきだ。」
司会者:
「時間オーバーです。グラベル議員、30秒でどうぞ。」
グラベル:
「とんでもない。イランなら、我が国はもう26年間も経済制裁してるじゃないか。合衆国大統領は彼らを“悪魔”と呼んで、連中をひどく脅してるんだ。それでどうなる?そんなことに効果などない。意味ないんだよ。彼らを認めるべきだ。わかるか?核不拡散条約の最大の違反国は誰だ?アメリカ合衆国だよ!我が国は軍備縮小を始めると約束しておいて、何にもやっちゃいないんだ。我が国は核兵器をさらに増やしているじゃないか。あんたら、どこを核攻撃するつもりだ?教えてくれ、バラク!バラク!あんたはどこを核攻撃したいんだね?」
オバマ:
「(苦笑して)どこも核攻撃する計画はないよ、今のところはね。マイク。約束しよう。」
(会場、笑い)
グラベル:
「そうか、良かった。それじゃもうしばらくは安全だな。」

これに対する暗いニュースの反応はというと、、、

バラク・オバマはリーダーシップを示したつもりかもしれないが、醜態をさらしたのは彼だ。クシニッチの指摘は見事だった。グラベルの突っ込みはジョン・スチュアートを超えそうなほど過激だ。

オバマには外交能力があるとは思えないが、少なくともイランの脅威に気がついているという点ではくしニッチやグラベルのアホどもよりはましである。イラク国内でイランからの援助がアメリカ兵らの死傷に直接関わっているという事実は動かしようがない。それをあたかも陰謀説ででもあるかのように唱えるクシニッチは現実感覚ゼロだ。グラベルにおいては笑いものになっただけ、ああ恥かしい。
本命以外の複数を含む討論会はこういうアホな連中が出てきて笑点のような面白さはあるかもしれないが、候補者の本音を聞くとか政策を知るつもりならほとんど意味のない時間つぶしである。ま、テレビ写りがどれだけいいかということを試す分には多少の意味はあるかもしれないが。
次回は共和党討論会の模様をお届けする。


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拳銃犯罪に対応できない日本の警察

きょうの浜村純さんのラジオ放送で、愛知県で9ミリのリボルバーを振り回して警察官や家族など4人に死傷を追わせ前妻を人質にしてたてこもった暴力団員の話を聞いて日本の警察の不能さにあきれてしまった。以下19日つけの毎日新聞より

愛知県長久手町の元暴力団組員、大林久人容疑者(50)が人質を取って自宅に立てこもり、拳銃を発砲して県警機動隊特殊急襲部隊(SAT)隊員の林一歩(かずほ)警部(23)=18日付で2階級特進=ら4人を死傷させた事件で、県警は18日午後8時48分、自宅から出てきた大林容疑者の身柄を確保、殺人未遂容疑で緊急逮捕した。事件は発生から約29時間ぶりに解決した。人質とされていた大林容疑者の元妻、森三智子さん(50)はこれより前の同2時51分、自力で脱出、保護された。

 調べでは、大林容疑者は17日午後4時前、自宅で、木本明史巡査部長(54)、長男の健人さん(25)、次女の里紗さん(21)に発砲して腹部などを負傷させ、殺害しようとした疑い。このほか、同9時25分ごろ、林警部を撃って大動脈損傷による出血性ショックなどで死亡させたとして、殺人容疑でも立件する方針。
 大林容疑者は18日午後8時半過ぎ、捜査員の説得に応じ、自宅から外に出た。液体の入ったペットボトルと荷物の入ったポリ袋を手にしばらく、捜査員と話し合っていたが、同8時48分、駆け付けた捜査員に身柄を確保された。目立った抵抗はなかった。身柄を県警愛知署に移し、事情を聴いている。
 一方、森さんは午後2時50分ごろ、大林容疑者の電話中に「便所に行きたい」と言い、大林容疑者が事務室として使っている自宅東側の建物の北西角のトイレの高窓から脱出、包囲していた捜査員に保護された。
 調べや愛知県によると、森さんは05年11月、県警愛知署に大林容疑者の家庭内暴力などについて相談に訪れ、県女性相談センター(名古屋市)に保護された。05年12月半ばからは県内の別のシェルター(避難所)に移り、06年6月に離婚した。しかし、17日に家族全員で復縁などについて話し合い、その最中に大林容疑者が激高、拳銃を持ち出して暴れたため、家族が110番したらしい。同署はこうした問題が動機につながった可能性があるとみて調べている。

アメリカでは家族同士の争いで銃を振り回した人間が家族を人質にして自宅に立て篭もるという事件はしょっちゅう起きる。しかしそういう事件で死亡者が出るとしたらそれはピストルを振り回してる犯人のほうであって、警察官が殺されるということはめったにない。しかもピストル一丁を持った犯人が怖くて撃たれた警察官を5時間も救助できないなど言語道断だ。
事件における愛知県警の対応は最初から最後まで信じられないほどずさんだ。先ず、最初にピストルを振り回している男がいるという通報を受けた木本明史巡査部長が援護も呼ばずに丸腰で一人で出かけていったというところからして信じられない。よっぱらいのチンピラが出刃包丁を振り回しているのとは訳が違うのであり、相手はピストルを持っているのだ、どうして援護を呼ばない? どうして銃で武装しない? 何故防弾チョッキを着ていかない?
そして家族二人と大本巡査が撃たれた後になって駆けつけた機動隊が5時間も撃たれて倒れている警察官の救助に当たれないとはどういうことだ。機動隊に狙撃隊員はいないのか? 催涙ガスはもってないのか?
しかも一旦攻撃を仕掛けておきながら一人撃たれたらそのまま退却。人質が自力で脱出してから犯人が自から出てくるのを逮捕とは、なぜ人質が保護された時点で突入しないのだ? 愛知県警の機動隊はいったいどういう訓練を受けているのだ?
正直言って日本の警察は拳銃を持った犯罪者への対応策を全く持っていないのではないだろうか。日本は銃文化ではないため、一方では一般人が銃に不自然な恐怖感を持っているのに対し、もう一方では警察官が銃を持った犯人の危険度を正確に把握できていないという矛盾がある。銃砲取締りをどれだけ厳しくしようと、法律などハナから屁ともおもっちゃいない犯罪者には何の効果もない。そういう相手を取り締まる際にはこれまでのような柔なやり方ではとても歯が立たない。
日本国内にはロシア製や中国製の拳銃が結構闇で出回っていると聞く。とすれば今後もこのような事件はもっと起きるだろう。そういう場合に警察がどのように対応するのか、早急に訓練の見直しをする必要がある。そうでないと、完全に武力の勝る犯罪者に立ち向かわされる警察官が気の毒である。


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ネットに精通した米共和党大統領候補? フレッド・トンプソン元上院議員

多分、日本の皆さんはフレッド・トンプソンなる人物をご存じないだろう。実を言うと私もついこの間までトンプソン氏がアメリカの人気テレビ番組Law and Order (法と秩序)で検事を演じている俳優だということ以外はほとんど何も知らないでいた。何故かこの人物、正式に大統領に立候補していないのに2008年の共和党大統領有力候補として話題を呼んでいる。 (RCPの人気投票ではジュリアーニとマケインに次いで三位。正式に立候補しているミット・ラムニーより人気がある。)
トンプソン氏は1942年8月生まれの64歳。人気テレビ番組のレギュラーなのに若い頃から俳優だったわけではなく、1980年代に俳優になるまでは現役の弁護士並びにロビーイストだった。それが1983年に現実の事件を映画化したマリーに本人として登場したのがきっかけで、以来検事だの弁護士だのといった役柄のキャラクターアクターとして人気を呼んでいる。
その彼が政治家になったのは民主党の大統領候補になったアル・ゴアが辞職したテネシー州の上院議員の残りの任期を請け負った1994年からのことで、1996年の選挙では見事再選。2003年まで任期を勤めた。現役の上院議員でありながら、2002年の議会が休みの間になんと人気刑事ドラマのレギュラーとなり、任期の終わった2003年以後ずっとその番組に出演している。
トンプソン氏はまだ正式に共和党の大統領候補として出馬するという表明はしていない。だが昨日、2002年からずっとレギュラーで出ていた上記のテレビ番組を降りることになったと発表したことから、立候補間違いなしという噂で持ちきりである。
共和党にはマケイン上院議員やジュリアーニ元ニューヨーク市長といった人気者が結構いるにも拘わらず、何故かトンプソン氏の立候補を待ち望む人たちが多い。 ミスター苺などはトンプソンが大統領、ミット・ラムニーが副大統領として共和党候補となるのが理想だなどと前々から言っていた。いったいフレッド・トンプソンの人気の元は何なのだろう?
64歳という年の割りにはインターネットに精通しているトンプソン氏はネットの大切さをよく理解している。トンプソン氏は保守派ネットブログ、パジャマスメディアでこんなことも書いている。

インターネットが特定の候補者を選べるかどうかは別として、あなたやブログ界に広がる我々の仲間たちやウェッブは真実情報革命の一部であることは明白です。それゆえ私はアメリカ市民に話かけるとき、この伝達手段をつかうことに努力を注いでいるのです。 (中略)

私はこの直接的な伝達と話試合は政治過程に多大なる影響を与えると信じます。

この間も偽ドキュメンタリー監督のマイケル・ムーアがアメリカの健康保険制度をおちょくった映画を作った際、国民保険のあるキューバに911事件の後遺症で病気になった数人を連れて行ったことをトンプソンが批判したのがきっかけで、ムーア監督がトンプソンはキューバ製の葉巻を吸ってるくせに偽善者だ、文句があるならテレビ討論をやろうじゃないかと挑戦状をつきつけた。それを受けてトンプソンはなんとこの挑戦の数時間後にはYouTubeでムーア監督に反撃。大きな葉巻を吸いながら、「スケジュールをみてみたんだが、どうも討論は出来そうも無いよ。…しかしキューバではカストロが気に入らないことを描いたドキュメンタリー映画の監督が精神病院に入れられたって話だ、精神病院だよ、君も考えてみたまえ。」てな感じでカメラに話かけるトンプソン。なにせ現役俳優だからこの台詞回しのうまいこと!ネット時代を充分に理解しての作戦といえる。
トンプソンはテレビのインタビュー番組などにもいくつか出演しており、大統領候補としてはおざなりなことしか言ってないが、それでも大統領らしく見れる人であることは確かだ。そろそろ本気で立候補し、選挙演説などをやってもらいたい、と保守派のファンたちは期待している。


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21世紀の共産主義、多様文化主義は自由社会を滅ぼす

カカシの苺畑よりをご愛読いただいている読者の皆様はもういつものことなので慣れていらっしゃると思うが、カカシはまたまた来週からネットアクセス不能の状態となる。リアルタイムでのエントリー更新は不可能な時はテーマを決めての特集をしているが、今回は今読んでいるマーク・スタイン著のアメリカアローン(アメリカ一人で)について特集するつもりだ。スタインの主題は欧州の少子化がイスラム文化侵略を許容しているといものだ。
しかしそれに先駆けて、同じテーマの記事を見つけたので今日はそれを紹介しておきたいと思う。ここでは少子化ではなく、多様文化主義がヨーロッパへのイスラム教侵略を許しているというもの。
私は長いことマルチカルチャーリズム(Multiculturalism)、いわゆる多様文化主義には疑いの目を向けてきた。多様文化主義とは何かといえば、どのような文化も均等に価値のあるものであり、どれが善くてどれが悪いということはない、それぞれの違いを認めた上でお互いに尊重し合おうというものだ。
一方でお互いの違いを尊重しあおうと言いながら、その違いを指摘すれば人種差別者とレッテルを貼られるのも多様文化主義の矛盾である。この矛盾を乗り越えて多様文化主義を完全に取り入れることができるのは全体主義でしかあり得ないと語るのがブルッセルジャーナル(Brussel Journal)のFjordman である。
多様文化主義では文化が非常に軽視されている。文化などファッションのようなもの。ただのアクセサリー。時々変えてみるのも悪くない。しかし、この文化への軽視こそが共産主義の本質であったことを忘れるべきではないとFjordmanは警告する。

文化が一般に重要ではないという考えはまさにマルクス的見解の世界であることを忘れてはならない。この、人は経済において一様であり、労働者と消費者の合わさった存在以上の何者でもないという考えは左翼だけでなく、政治的な右翼の間ですら受け入れられている。マルクス主義者は文化的考えが全く意味がないとは言っていないが、政治機構や経済についで比較的重要性の低いものと考えている。

多様文化主義者たちは宗教の価値を大幅に過小評価しているため、たとえイスラム教が世界を制覇するようになったとしても、キリスト教と名前が変わり協会の代わりに聖廟へいくだけのことでたいした差はないと考えている。これこそマルクス主義の物欲主義だとFjordmanは言う。

暗黙の了解となっている前提は独特の文化の時代は終わったということだ。それは世界中の人々がじょじょにお互いと混ざり合い、民族や宗教、人種間の緊張も消えてなくなる。なぜなら人類はひとつであり平等だからだ。これこそ共産主義の遺伝と文化である。個々の国の憲法や国境を守ることは「差別」であり、新しい理想郷の障害物となるだけだ。そしてこの妨害は無論西側諸侯を筆頭に自然と破壊される。そしてそれに成り代わり国際法や人権条例といった、良心的とされるエリートが取り決めした、彼らが我々の生活を統括する世界へと移り変わる、という思想だ。

まるでジョン・レノンのイマジンそのものの世界だなあ。

イマジン

想像してごらん 天国なんてないんだと・・・
その気になれば簡単なことさ
僕らの足下に地獄はなく
頭上にはただ空があるだけ
想像してごらん すべての人々が
今日のために生きていると・・・
想像してごらん 国境なんてないんだと・・・
そんなに難しいことじゃない
殺したり死んだりする理由もなく
宗教さえもない
想像してごらん すべての人々が
平和な暮らしを送っていると・・・
想像してごらん 所有するものなんか何もないと・・・
果たしてきみにできるかな
欲張りや飢えの必要もなく
人は皆兄弟なのさ
想像してごらん すべての人々が
世界を分かち合っていると・・・
僕を空想家だと思うかも知れない
だけど 僕ひとりじゃないはずさ
いつの日か きみも僕らに加われば
この世界はひとつに結ばれるんだ

おっとろし~!1960年代のカウンターカルチャー(反文化)といわれたリベラルの動きの真っ只中にいたジョン・レノンがこういう歌を書いたのは当たり前と言えば当たり前だ。小野ヨー子の影響もあるしね。ま、そういう時代だったのだ。しかしこの反文化的思想が今日の社会に与えた悪影響は計り知れない。たった一世代がこれだけ欧米社会を変えてしまうと誰が予想したであろうか?
しかし多様文化主義者がどれだけすべての文化が同じだと唱えようとも、個々の文化には大きな差があることは事実であり、人々の好き嫌いまで多様文化主義の理想ではコントロールできない。にもかかわらず多様文化主義者達は異質文化を受け入れられない個人を処罰してまでこの思想を強制的に受け入れさせようとしている。
Fjordmanは多様文化主義が個人の自由意志を迫害する全体主義であることの証明として、イギリスの少女コーディ・スコットちゃんが英語の話せない東南アジアの学生と同席することを拒んだため、公共人種差別禁止法第5条に触れるとして逮捕された例や、ブライアン・コークさんという49歳のイギリス人男性が「イギリス人であることを誇りに思う」などとイスラム教徒に対して「故郷(くに)へ帰れ」と聖廟の前で怒鳴ったことから、人種差別的発言をしたとして6ヶ月の禁固刑となった例をあげている。しかもその一方でイギリス内のある地方都市ではイスラム法を主張するイスラム男性が数人の妻を娶る権利を与えられたというのだから驚く。
欧米の左翼思想はソ連や東圏の共産主義の崩壊と共に滅びなかった。欧米の左翼達は共産主義が実現できなかった全体主義を今度は多様文化主義という名のもとでイスラム系移民を使って実現させようというのである。共産革命は充分に暴力を駆使することが出来ず失敗したので、今度は暴力の有り余るイスラム教移民のジハードを利用して自由社会の崩壊を企んでいるのだ。
そしてまた、もともと暴力的な性質のイスラム過激派は欧米諸国左翼をさげすみながらもその多様文化主義を多いに利用して欧米社会を乗っ取ろうとしている。残念なことに両者の思惑は今のところ非常な成果を挙げていると認めざる終えない。
欧米諸国は自らの少子化による労働者不足を第三世界からの移民で補おうとした。しかも宗教も文化も極端に違うこれらの移民を多様文化主義の名の下に寛容に受け入れ、その違いを指摘する人々を「人種差別者」「排他主義者」と罵倒して無視してきた。左翼連中は多様文化主義を隠れ蓑として言論の自由、宗教の自由、そして交友の自由まで奪うことに成功しつつあるのだ。多様文化主義の国境のないヨーロッパ連盟とはまさに第二のソビエト連邦への第一歩といえる。

思想は重要だ。個性は重要だ。文化は重要だ。真実は重要であり真実は存在する。我々はかつてそのことを知っていた。我々が再びその事実を知るべき時がきたのだ。文化が無意味だという間違った考えは拒絶すべきだ。我々の伝統を未来の世代に伝えたいと思うことは人種差別ではない。また社会実験のモルモットのように扱われることに抵抗することは悪ではない。我々は国境を越えた多様文化主義そして採取的な大量移民の悪の芽を21世紀の共産主義として暴露し摘み取るべきである。

私は多様文化主義が共産主義かどうかという議論にはあまり興味がない。だが、多様文化主義の「寛容」という言葉は実は不寛容の裏返しである。異文化を寛容に受け入れなければならないという主張が異文化の悪い面を指摘する自由を奪っている。異文化を持つ人々を受け入れなければならないという主張が自由社会では基本となる交友の自由を迫害している。これらの問題は共産主義と呼ぼうと多様文化主義と呼ぼうと同じことだ。我々の自由はどのような名目の上にも奪われてはならないのである。


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