以前にも韓国で竹島問題を自分のブログで書いていたアメリカ人男性が勤め先の大学から解任されるという事件があったが、今回も韓国で英語教師をしているアメリカ人教師が以前勤めていた学校経営者との金銭トラブルを自分のブログに書いたところ、ネット上での名誉毀損で起訴さえるという事件がおきた。同じく韓国で教師をしている、Scribblings of the Metropoliticianのサイトより。
このアメリカ人男性はゼンキムチ(ZenKimchi)というブログを経営してるひとで、韓国料理に関する本なども出版している大の韓国贔屓。ブログのデザインもかなり立派。こんなに韓国好きの人が韓国で足蹴にされるのは非常に気の毒なのだが、まずは事の起こりから。
ゼンキムチさんは去年の4月、新しい職場が決まったことで今まで勤めていた学校での契約は継続しないと経営者に報告した。しかしこれに怒った経営者はキムチさんを二時間も教室でいじり倒したと言う。そして経営者はキムチさんの新しい勤め先に電話してキムチさんはひどい従業員だ雇うなと嫌がらせをしたそうだ。
アメリカならば、この時点でキムチさんのほうから元雇い主を訴えることができるが、幸いなことに新しい経営者はこの古い経営者の悪評判を聞いて知っていて相手にしなかった。
6月になって契約期間が終わったところで、経営者はキムチさんの退職金も最後の月の給料も支払うのを拒絶した。 しかも前の経営者はキムチさんの新しい経営者に頻繁に嫌がらせの電話をしてきた。キムチさんは遂に労働委員会に訴えた。
この労働委員会というのがどういうものなのか私はよくわからないのだが、経営者と従業員との問題を解決する機関らしい。法廷とはちょっと違うようだ。しかしこの手続きだの公聴会だのはかなり面倒だったようだ。 それでもとにかく8月にはキムチさんの訴えは受け入れられ、元経営者はキムチさんに未払いの退職金と給料を支払うように命令された。
ま、どこの国でもそうだが、民事で勝っても実際に被告が金を払うかどうかは別問題。相手が破産宣告をしてしまったり、雲隠れしたり、のらりくらりと逃げ続ける可能性は大きい。キムチさんの場合もその手を使われ全くお金は戻ってこなかった。
そこでキムチさんはこの苛立たしい体験を他の英語教師の参考にしてもらおうと自分のブログに委員会での手続きやら色々と記載したところ、なんと警察からお呼びがかかったと言う。キムチさんは委員会の手続きで公的に発表された事実以外は掲載しておらず、アメリカの法律では名誉毀損になるような記載は一切していないというが、そこは韓国、「事実は弁護にならない」のだそうだ。
キムチさんは警察の取り締まりでも自分の雇った通訳を使うこと禁じられ、英語の下手な警察官による通訳に甘んじているそうだが、これがどれだけうまく伝わっているのかかなり疑わしいという。お金持ちでないキムチさんは弁護士を雇うことも出来ず外国人に不公平な韓国の法廷ではとても公正な裁判は期待できない。裁判で有罪になれば禁固刑もあり得るという話で彼は友達やブログ仲間を伝って助けを求めている。
これはキムチさんに限らないが、アメリカや日本のように言論の自由のある国に住んでいると、他所の国もそうなのだろうという錯覚に陥る。特に韓国は文明も発達していて見た目は自由に見えるため外国人はつい油断してしまうのだろう。 しかし韓国で英語教師をしている外国人が虐待された話は結構よく耳にする。
この話を紹介しているマイケル・ハートさんのブログに寄せられたコメントのなかでも、雇用主が外国人従業員の給料を踏み倒すということはよくあるらしく、韓国ではあまり権利のない外国人は泣き寝入りせざる終えないケースが多いようだ。
これもどこかのブログで読んだのだが、韓国で英語を教えているイギリス人女性が、教材に使った英語の教科書の地図に「日本海」と書いてあったことから、韓国を馬鹿にしていると地元新聞に書きたてられたことがあったと彼女が書いていた。韓国で日本海をなんと呼ぼうと勝手だが、あの海は国際的に日本海ということになっているのだから当たり前なのに。
キムチさんの話を紹介しているマイケル・ハートさんも自分の教えている学校で生徒の成績を書き換えろと要求されたことがあると書いている。生徒の両親が学校に賄賂を出したらしい。こういうことは韓国の学校では日常茶飯事らしい。
コメントを寄せた弁護士らしい人の話によると、韓国では名誉毀損という口実で言論の自由を弾圧するやり方が横行しているらしい。これは何も外国人にだけに限らないが、外国人の場合は禁固刑ではなく罰金で済むだろうと言う話。しかしかなりの高額なので払えなければ国外追放。二度と戻ってこれない。
ま、私ならそんな扱いをされて、誰がこんな国に戻ってくるか!と言って終わりだが、キムチさんはこれまで韓国の文化を諸外国の人々に解ってもらおうと非常な努力をしてきた人だ。彼のサイトに行ってみればキムチさんがどれだけ韓国文化や人々を愛しているかがわかる。彼は韓国の外務省からは礼状をもらってもいいようなひとなのに、こういう人を敵に回してしまう韓国政府。
その愚かさにため息が出るばかり。


5 responses to 韓国では権利のない外国人教師

goda17 years ago

カカシさん始めまして。
1ヶ月ほど前たまたまこちらを知り拝見させて戴いております。
イスラム問題やアメリカの国内政局など、私達、平均的な日本人では皮膚感を持って知り得ないことを明快に気持ちよく語られ、大変、勉強になります。
私事ですが英語の勉強を始め、そのついでに海外記事を紹介するブログを作っておりまして、宜しければ此方を紹介させて戴きたいと思いますが如何でしょうか。
とは言っても、未だブログの使い方やマナーが良く判らないので、ご許可戴いても、落ち着いた頃に成るかとお思いますが。
始めて一ヶ月、翻訳は酷いものですが、2年続けば何とか成るかなと期待しています。
Zenkichi氏の件は私もブログ(Metropolitician)を拝見させて戴きました。私の酷い英語力でもかなり厳しい状況に立たされて居られる事は良く判りました。韓国社会の閉鎖性はちょっとやそっとでは改善を期待できぬ事を実感させられています。
何故、自分が見えぬのか、本当に溜息をつくしか無いですね。
と言いながら、実はOccidentalism.comさんで出鱈目な英語で迷惑をかけている私なのです。多分、マナー違反も犯して居るかと? 日本人の恥です。はい(笑)。ちょっと試しては見たのですが、対話を成立させられるレベルでは無かったので、暫くポスティングから撤退する予定です。
私事ばかりで失礼致しました。
切れ味のある語り口を楽しみにさせて戴いております。
では。

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lena1317 years ago

カカシさん、今晩は。
韓国は最近では親日派子孫の財産没収など、すごいことやってますね。私自身は特に嫌韓ではなく、むしろ諦韓、達韓、超越韓、etc.ですが、もうその辺でいい加減にしとけや、と思うことはよくあります。基本的に外国人への差別は酷いみたいですね。
この件とはそれほど関係ありませんが、私が結構好きな、イ・ユジンさんという韓国の女優さんがいますが、先日たまたまネットで彼女に関する記事を見つけました。2004年のものでしたが、やっと自分がアメリカ人の父と韓国人の母との間に生まれたハーフであるとカミングアウトしたという内容でした。私に言わせれば、言わなくても一目見ればわかりそうなものなのに。おそらく皆わかってたんだろうと思いますが、そこまで隠さなければならなかった(差別、苛められるなどの理由で)事自体が悲惨です。いったい今はいつの時代だよと思いました。
日本も戦後しばらくはそうだったのかもしれませんが。
あ、Occidentalismは私も時々ロムってますが、あそこのブログはトピックもさることながら、バトルの模様が非常に面白いですね。godaさんはコメントされているとか、果敢ですね。
失礼いたしました。またおじゃまします。

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scarecrowstrawberryfield17 years ago

godaさん、
ようこそ! こちらの宣伝になりますからいくらでもご紹介ください。ありがとうございます。でも引用するときは一部引用で全文転載はご勘弁のほどを。(ちょっとみせてこちらに誘導したい下心からです。笑)
マットさんとこでは、結構日本人の読者が多いみたいで、コメントも日本語訛りのものが多いですよ。遠慮しないでどんどん書き込んだらいいと思います。
翻訳というのは二ヶ国語できるからできるというものではないですね。私などしょっちゅう間違えて読者の方々にご注意を受けています。おかげで非常に勉強になります。
カカシ

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scarecrowstrawberryfield17 years ago

lenaさん、
韓国はアメリカとは同盟関係にあり、アメリカには軍事的にも経済的にかなりお世話になってる国なのに、アメリカ人に対する偏見や差別がひどいですね。
それをいうなら、日本だって韓国にはずいぶん経済援助をしてきましたが、感謝されるどころか最近の反日ぶりは目に余ります。
国粋主義もここまでくると単なる排他主義。
これもノムヒョンのアホがいつまでも大統領をやってるからでしょう。あの人は頭いかれてますよ。まったく。
日本ではハーフは美人なので人気あるのに、韓国って変ですね。
韓国の人たち自身は悪い人たちではないんですが、腐敗した政府がいけないんだと思います。
カカシ

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goda17 years ago

早速のご許可有難う御座います。
了解いたしました。
昨年に政治にカムバックしたばかりでまだまだ情報不足なので、当面は論じるのは控えてひたすら英語で論戦できる日を夢見ております。
せめて半分くらいでも英語で思考できる様に成れば論戦可能ですが、それには何年掛かる事やら・・・。
英語もさることながら、翻訳してみて、日本語能力の無さを痛感させられています(苦笑)
Occidentalism.comさんには驚くような博識の方が居られますし、その道のプロと思える方々が数多で、素人には割り込みにくいですね。ただ、スレッドを選べばお相手してくれる方も居られます。英語が使える方は挑戦して見ては如何でしょうか。
「発言せぬ者は存在しないのと同じ」
と言うのが海外の原則。日本人の英語でのアピアランスはまだまだ低いようですからね。
そうそう、テーマを忘れてはいけませんでした。
昨年の北朝鮮のミサイル問題で政治に引き戻されてしまい、韓国観察を続けておりました。主要な視点は戦略と精神文化です。引越し願えない隣国なのですから何とか成長して欲しいのですが、これが逆に向かいつつ有ります。米韓FTAという韓国に取り又とない機会を得てその略的思考が激変でもしない限り、望みは非常に薄いものが有ります。しかしながら米韓FTAもまた克日の手段としてしか捉えられては居ないように思えるのです。
確か次の大統領候補は親米反日―ここの所韓国政局は注視しては居ませんが―、親米ですからますます日本への圧力は高まるでしょう。
ただ、国内の知識層には民族全体主義に自閉した状況に抵抗する動きも散発的には見かけられます。彼等の学者としての真実・真理を愛する正義感に微かな望みをかけてはおりますが、彼等の視野狭窄な儒教的世界観がせめて日本並みに拡がる頃には、私はとっくに墓の下でしょう(笑)
放言失礼致しました。

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