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帰還したイギリス兵たちのいいわけがましい記者会見が続く中、アメリカの軍人らによる15人の臆病者行為の批判は高まっている。
「抵抗は論外だった」とクリス・エア大尉は語り「抵抗していたなら我々の多くはこうして今日ここに立っていないでしょう。」と続けた。これに対してアメリカのジャック・ジェイコブ大佐(退役)はテレビのインタビューで「イギリス軍の先輩たちが第二次世界大戦でこいつらのような態度をとっていたら、このぼけなすは今日ここに立っていなかっただろう。」というような発言をした。さすがアメリカ軍人、歯に衣を着せない。
しかしカウボーイのアメリカ軍人が批判するのは当たり前だが、イギリス本土では彼等に対する批判は全くないのだろうかと私はちょっと疑問に思っていた。
それでこの元イギリス海軍兵でイラクで拉致された経験もあるトビー・ハーンデン記者のこの記事は興味深い。

私はいま女王陛下の皇立海軍の隊員がマクムド・アハマディネジャドを「サー」と呼び彼と彼の同胞の水兵と海兵隊員は「あなたのお許しに感謝します。」とへつらう映像を観た。
恥かしいかって?当たり前だ。私は1990年代に15人の人質が勤務するHMSコーンウェル艦で勤務していた。だからこの件についてはちょっとは分かるつもりだ。また私はズィンバブエでしばらく拘束されていたこともあるし、イラクの反乱分子から尋問を受けた体験もある。だから自分の意志に反して拘束されるということについてちょっとした内部の知識もあるつもりだ。
この15人はやたらにカメラに映りたがってると感じるのは私だけだろうか?もちろん捕虜は言われた通りのことをするしかない。自分の命が危機にさらされているときは相手の要求をすべて飲むのは良識というものだろう。
だがこの水兵らや海兵隊員らは最初から処刑されたり傷つけられたりすることはないと解っていたはずだ。もし彼等がそれを知らなかったとしたら、シャトアルアラブ水域で勤務する船舶臨検隊員らへのブリーフィングは非常にお粗末なものだったということになる。
ちょっとおびえたふうにモノトーンで話していたフェイ・ターニー水兵(女性)を除き、のこりの水兵や海兵隊員の落ち着いた態度から言ってイラン側から良く扱われていたことを示している。では彼等がイラン水域を「侵犯」していたとそう積極的に認めてイラン側に協力する必要があったのだろうか?
我々はみな人質ビデオをみたことがある。人質には拉致者に迎合せずに振舞うやり方というものがある。湾岸戦争で撃ち落とされた英国竜巻き号のパイロットを覚えているだろうか? また2003年のアパッチ号のパイロットは?
釈放寸前に水兵と海兵隊員が熱心にアハマネディネジャドと握手をしている姿をみて、私はこれらの兵士らがこういう場合にどう振舞うべきなのか全く知らされていなかったのだと確信する。
私は別に大統領の目をつっつくべきだったと言っているのではない。だが自分らに対してひどいことを行った扇動政治家に熱心に対してこれほどまでに明らかさまに心から感謝している姿をみせるのはやり過ぎだ。拘束から解放されるのは常にうれしいことだ。私はズィンバブエでのことをよく覚えている。しかし彼等はテヘランのカメラに向かって手を振ったりニヤニヤ笑たりする必要があったのか?
私のオーストラリア人の同僚が私の事務所の前を通りすぎてくすっと笑って私に聞いた。「英国人が誇る固い上唇はどうなったんだ?」(stiff upper lip, 逆境に負けない強い精神)
もうひとつの疑問は15人が一発も発砲せずに捕われたという事実だ。英国のあの地域での戦闘規制は相手から発砲されない限り撃ってはいけないということになっている。
水兵と海兵隊員はどの時点で抵抗しなければ拘束されると判断したのだろうか?アメリカ兵がこのような状況で拉致されるということは先ず考えられない。無論イラン兵を殺すことは15人の死を招くか、すくなくとも国際紛争に発展しかねないという議論は理解できる。
場合によっては発砲を自制することは重大である。私が英国軍兵としてイラクに居た時、兵士らがその場の状況を正しく判断して懸命にも引き金を引かなかったことがあった。
しかしアメリカ兵が引き金をやたらに引きたがるカウボーイであるのと同時にイギリス兵は反対の問題を抱えているのではないか?2003年の6月に赤帽(英国憲兵)がイラクのMajir-al-Kabirで一発も発砲せず銃を降ろしてから殺された事件があったように。
私の英海軍での経験からいって、私は15人はこのような状況に対応できる十分な訓練や準備を受けていなかったのだと思う。明らかに将来このことは改正されなければならない。しかしここで問われなければならないことは15人のなかにいた2人の将校は適切な指揮をとったのだろうかということだ。
… イギリス兵が今回教訓として学ぶことは今後このような状態の時イギリス兵はどうふるまうべきなのか訓練をし直す必要があるということだ。

残念ながらハーンデン記者の意見は少数派らしい。今日ヒューヒューイットのラジオ番組を聞いていたら、イギリスのアンドリュー・ロバーツという歴史家とのインタビューでイギリス市民でイギリス兵たちがもっと強行な手段をとるべきだったとアンケートに答えたのはほんの30%程度だという話をしていた。

HH:いったいジョン・ブルはどうしちゃったんです?僕が読んだどのイギリスの歴史書でもこんな挑発があればダンスホールで歌がはじまり灯火をもった行進が始まったとあります。

AR: 残念ながら私にもわが国に何が起きたのか解りません。 私にはショックです、そしてこれだけ多くのひとが、、、私たちは首を傾げているんですが、過去の政府ならこんな明らかな暴挙にたいして必ずしたであろう対応をしたいと答えた人がたったの6%なんですから。
HH: その世論調査を信じますか?きちんと質問したんでしょうか?
AR: いえ、していません。さらに24%の人たちが政府はもっと強行な手段を考えるべきだと答えています。ですから強行手段をとるべきだという6%ともう少し強硬な手段をとるべきだと答えた人をあわせればすくなくとも30%になりますが、これは対テロ戦争を支持しているひとたちとほぼ同じ割合の数になります。

本当に偉大なる英国はどうなってしまったのだろうか? チャーチルやサッチャー首相のイギリスはもう戻ってこないのだろうか? 悲しい限りである。
アップデート: このような事件の再発を防ぐためイギリス海軍は船舶臨検方法の見直しを考えているというが、その間船舶臨検は一時中止すると発表した。先日イラクのバスラ地域でイギリス兵4人を殺害したRFPはイランからイラクへ渡った武器だったのだということをイギリスには忘れて欲しくないもんだ。臨検を怠ってもっと多くの武器がイラクへ渡れば15人程度ではイギリスの犠牲はおさまらない可能性を忘れて欲しくない。

ロンドン(CNN)2007.04.06 ペルシャ湾で船舶荷物の検査に当たっていた英水兵、海兵隊員15人がイラン軍に拘束、約2週間ぶりに5日に解放された問題で、英国防省筋は6日、事件の詳しい経緯の調査を開始、同時に同湾での臨検を中断することを決めた、と述べた。

臨検作業は、イラン核問題に絡む国連安保理の制裁決議やイラク政府の要請で実施されていた。
英海軍首脳は、拘束された水兵らの交戦規定への順守や必要とされる装備品の有無、受け取っていた関連情報の真偽などを調べると述べた。事件でイラン側は、拘束水兵の画像を放映、イラン水域侵犯を認めたなどと主張していたが、これらの発言が「強要の圧力」の結果ではなかったのかも調べるとしている。


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