国連が反イスラエルであることはすでに周知の事実だが、それをあからさまにあらわす出来事が先日国連の人権委員会の会議で起きたのでここで紹介しておこう。
3月23日、ジェニーバで行われた国連の人権委員会において各国の人権団体が国連に世界でおきる人権迫害について色々と意見を述べた際、UNウォッチという市民団体の代表ヒラル・ニューアーは国連の不公平なイスラエル攻撃を批判する演説をした。

議長殿、

60年前ナチスの脅威の後、エレノア・ルーズベルトやレネ・カッシンらと並び立派な人々がここにあつまり、ジェニーバ湖のほとりで人間の尊厳の信念を確認しあいました。彼等は人権委員会を設立したのです。今日我々は問いかけます。「あの崇高な夢はどうなったのだ?」と。
この議会の場でその答えを見ることができます。世界中から集まる拷問や迫害や女性への暴力といった確たる報告に対してこの議会は何を宣言しましたか? 何を決めましたか?
何もありません。反応は全くの沈黙です。反応は無関心です。この反応は犯罪です!
ひとによってはハリー・トルーマンの言葉を借りて無行動で役立たずの委員会というでしょう。

しかしそれは正確ではありません。この委員会は何かをしました。

委員会は条例に次ぐ条例でイスラエルという一つの国だけを責め立てました。委員会の八回による宣言において、今回を入れればさらに三回にわたって、ハマスやヒズボラは罪を免除されました。のこりの世界は何百万何千万という犠牲者が191の国々で無視されているというのにです。
ですから、この委員会は何かをしたことは確かです。そしてこの宣伝を演出した中東の独裁者たちは、人権を守るためパレスチナ人の権利を守ることは良いことだというでしょう。
人種差別者で人殺しで強姦者の国ダルファーの女性たちが、パレスチナ女性を気づかうと言い、チベットの占領者やチェチニアのイスラム虐殺者たちがイスラム教徒を気にかけると言います。
しかし自称人権防衛者の人々は本気でパレスチナ人の人権など気にかけているのでしょうか?
ここ数カ月の出来事を考えてみましょう。130人以上のパレスチナ人がパレスチナ武装勢力によって殺害されました。これは7月と10月に特別委員会が開かれた時に殺された人数の合計の三倍になります。しかしパレスチナ人権擁護のチャンピオンであるアクマネナジャドもアサド・カダフィもジョン・ダガードも無言です。三歳の幼子サラム・バルーシャちゃんが二人の兄と一緒に首相の部下たちによって殺害されたのに、なぜこの委員会は沈黙を守っているのですか?
なぜならイスラエルを責められないからです。なぜなら真実独裁者が管理するこの委員会はパレスチナ人のことも人権のこともなんとも思ってないからです。
彼等はイスラエルの民主主義を悪魔化し、イスラエル政権を不当なものとし、ユダヤ人を生け贄のヤギにしようとしています。彼等は人権とは全く違ったものを求め、人権と言う言葉そのものをわい曲し変質させようとしているのです。
この委員会の創設者たちの夢はどうなったのでしょうか? ひどい嘘と道徳の転覆で悪夢へと変ぼうしたのです。
議長殿、ご清聴ありがとうございました。

委員会のルイ・アルフォンソ・デアルバ議長は腕を組み反っくり返って苦虫をかみつぶした顔で聞いていた。議長は黙って聞いていたかもしれないが、その答えはおよそ外交的といえるようなものではなかった。

この議会において初めて私は演説に感謝することができません。私は今演説をいただきました団体の代表の方にひとこと申し上げたい。国連ウォッチの代表者にもうしあげる。私のいうことをお聞き願うならば、申し訳ないが私はあなたの演説に感謝できる立場ではない。この議会は今後このような演説を認めることはできないと申し上げておく。メンバーについてされた表現や、そして委員会全体についてされた表現は、すべて全く認められない。あなたが引用した人権議会の創設者である人々の思い出にかけても、人権のためにも今後は適切な行動と言葉使いに最小限の心配りをするよう要請する。さもなければあなたが本日ここでしたような同じような演説には記録から取り除かれることになる。

つまり、デアルバ議長はニューアー氏の演説の内容の真偽には一切触れず、ニューアー氏の態度と言葉使いが委員会のメンバーに対して失礼だから、ニューアー氏の意見は記録から抹殺するとまで脅かして息巻いているのである。
しかしニューアー氏の言動がこの場ににつかわしくないほど失礼なものであったのかどうかを知るためには、委員会議長が「発言を感謝します」として受け入れた他の団体代表者たちの発言を聞く必要がある。
UNウォッチは、同日この議会でどのような発言が行われていたか7分強のビデオにしてまとめているので、英語に自信のある方は是非御覧になることをおすすめする。以下は同ビデオをみたニューヨークサン紙の記者による報告だ。

(国連人権委員会のデアルバ議長)はムガベ大統領政権下における人権迫害を批判した代表者の無知加減について語ったズィンバブエ代表の発言に感謝した。議長はまたキューバの共産政権による人権迫害を暴露した人権専門家を侮辱したキューバ代表にも感謝した。パレスチナを常時観察している演説者が「人権迫害の独占をしている」とイスラエルを責め、イスラエルはアメリカやカナダ大使のお気に入りであるだけでなく、国連の人権委員会のルイース・アーボアー委員を名指しで批判したときも、デアルバ議長によって感謝された。ビデオのなかでデアルバ議長はダルファーにおける女性への暴力に関するリポートは「大げさである」と発言したスダーン代表に感謝する姿が見られる。

(このビデオでは)そしてまたナイジェリア代表が「不自然な性行為に対してシャリア法に基づき投石をして罰する行為は不当な殺人と一緒に扱われるべきではない」と主張するのを見ることができる。またイラン代表がホロコースト否定会議を開催したことを弁護するのも御覧あれ。でなければヘズボラテロ組織の弁護も御覧あれ。そして演説者また演説者が次から次へのイスラエルとナチスを同一視しするのをデアルバ議長や議長席に座っている人らによってことごとく感謝されるのを見ることができる。

国連の人権委員会は人権擁護の目的で始まったのかもしれないが、現在の委員会では人権擁護など誰も興味のない単なるイスラエルいじめの委員会となっている。パレスチナ人は単にイスラエルいじめのための道具にされているに過ぎない。国連人権委員会のデアルバ議長は本人も反ユダヤ主義の人種差別者であるに違いない。デアルバ議長はニューアー氏の指摘が真実であることを十分承知しているのだ。だからこそ真実を指摘されて腹をたてているのだ。
だいたいアメリカを人権委員会から追い出し、軍事独裁政権のリビアを委員長国に選んだり、委員会が話題にすることといったらシオニズムは人種差別だなどということばかり。何十万のいうキリスト教黒人がイスラム教政権によって虐殺され百万以上が家を追われたダルフールの悪逆などそっちのけで、イスラエルがパレスチナのテロリストを数十人殺したというと大騒ぎで条例につぐ条例を発令。そんなところでUNウォッチなどが何をいっても聞き入れられないことくらいシオニストのニューアー氏なら最初から百も承知の上だろう。今回の演説は国連人権委員会がどれだけ人種差別者と偽善主義者の集まりであるかを証明した。
もっとも私は最初からそんなことは知っていたが、恥も外聞もなくイスラエルバッシングが平気で出来るこのふてぶてしさには改めてあきれかえった。


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