イラク、アメリカ兵拉致殺人事件、イランの関係を追う

私は先日イラン工作員がイラク国内で紛争促進の工作を行っているという話をしたばかりだが、この間カルバーラで起きたアメリカ兵拉致殺人事件はイランの特別部隊ウォード(Qod)の関連についていよいよペンタゴンも調査に乗り出したらしい。

イラクの軍施設襲撃事件、米当局がイランの関与を調査

バグダッド(CNNー2007.01.31) イラク中部カルバラで1月20日、米軍とイラク治安部隊の共同施設が武装勢力に襲撃され、米兵5人が死亡した事件で、米国防総省は容疑者がイラン人か、イランで訓練を受けた活動家であるとみて調査を進めている。米当局者が30日、CNNに語った。
犯行グループは米軍風の制服で変装し、米軍で使用されている種類の車に乗り、英語を話すなど、用意周到だった。米軍は当初、死亡した米兵らが武装勢力に抵抗していたと説明していたが、後日犯行グループが検問所を難なく通過したうえ、米兵らを施設から連れ出し殺害したことを認めた。こうした手口は、武装勢力や外国人過激派には見られないという。
イラクでは1月11日、米軍主導のイラク駐留多国籍軍が、北部アービル市内のイラン領事館を強制捜査し、職員を5人を拘束した。米誌タイム電子版が30日伝えたところによると、カルバラの事件はイラン革命防衛隊による報復攻撃との見方がある。
米当局者が1月26日に明らかにしたところによると、ブッシュ米大統領はイラク駐留米軍に、イラク国内のイラン人工作員を殺害あるいは拘束する権限を認めた。また、タイム電子版によると、イラン革命防衛隊は敵に対して容赦ない報復攻撃を実行することで知られる。

アメリカ政府はイランによるシーア殺人軍団及びスンニ反乱軍やイラクのアルカエダへの援助について詳しい説明会を開く予定だったがイランへの気兼ねから遅らせることになったらしい。いまさらイランに気兼ねもないだろうが、裏取り引きがあるのかもしれないので、詳しいことは分からない。この説明会では、イラクで使用されている爆発物や武器にイラン製のラベルがついているとか、シリアル番号まで入っているといった詳細な証拠が提示されることになっている。
ところで、アンサーアルスンナというアルカエダ系スンニ派のテロリストが、イラクではイラン人工作員による暴力行為があちこちで行われているという告発プロパガンダビデオを発表した。

ビデオでは反乱軍がライバルのシーア民兵にイランから密輸入された武器にペルシャ語で「イラン内政省」と書かれたラベルを見せている図がある。

テロリストのプロパガンダビデオだから内容は100%信用できるわけではないが、ペンタゴンからの情報と同じものであるのは興味深い。


View comments (4)

米議会の腰抜け反増派議案

アップデート:訂正のお知らせ。最後をご参照のこと。
民主党と共和党の双方から草案が出ていたイラク増派反対決議案だが、今日になって口調のきつい民主党の案は反故になり、比較的柔らかい口調の共和党の案ひとつに絞ることで議決案が決定した。

ワシントン──共和党のジョン・ワーナー上院議員(バージニア)と民主党のカール・レビン上院議員(ミシガン)は1月31日、新イラク政策に基く米軍増派への超党派反対決議案を提出した。
レビン議員は1月、ワーナー議員の後任として上院軍事委員会議長に就任。両議員は各自の決議案を競い、厳しい表現が少ないワーナー議員案の方が共和党の支持を集めていた。
超党派となった新たな決議案は、増派反対に関するワーナー議員案の表現を尊重したうえで、米軍のイラク駐留費を守る方針を盛り込んだ内容。レビン議員案の「増派は国益に反する」といった表現や、ワーナー議員案で一定規模の増派支持を示唆する部分は削除された。
決議案の一本化で共和・民主両党の支持は一層拡大し、可決の可能性が高まる見通し。リード上院多数党院内総務(民主党)は軍事委員会での審議を経ずに、2月5日から本会議で決議案の討論に入る意向を示した。

ヒューヒューイットのサイトに決議案の全文が載っている。長ったらしくぐたぐた書いてはあるが、どこにも「増派絶対反対」とか新作戦がうまくいかなかったら「即刻撤退すべき」といった文章は出てこない。多少きつい言い方があるとしたら、イラク市民が率先して治安維持と復興に取り組まなければ、アメリカ国民からの支持を失うであろう、といった部分くらいだろうか。
具体的にイラク政府がしなえければならないこととして11の項目が挙げられており、その結果をイラク政府はイラク大使を通じて月毎にアメリカ議会に報告することとある。
はっきり言ってこんな議決通してなんになるのだろうか? 単にブッシュ大統領の新作戦がきちんといくかどうかちゃんと報告して下さいね、イラクさん、いつまでもアメリカに頼ってばかりじゃ駄目よ、程度の内容であり、ブッシュ批判にも増派反対にも全くなっていない。しかも投票阻止にあわないための60票が集まる可能性はほとんどなく、この議決は投票にも持っていかれずに消え去るだろうというのが今の見方。
全く騒いだ割には意味のない腰抜け内容になったようだ。
アップデート:私がウォーナー議員提案としてヒュー・ヒューイットのサイトへのリンクを張った提案は、ウォーナー議員のものではなく、マケイン(共和)・リーバーマン(独立)議員が主催となって提案した議決案でした。訂正します。しかし、ウォーナー氏は自分の提案からは辞退し、新しく提案されたマケイン・リーバーマンのほうに投票するかもしれないという意志を示しはじめている。となるとウォーナー議案が通る可能性はかなり低まった。本文でも説明したようにマケインの発案は単にイラクが復興の経過をアメリカ議会に定期的に報告せよというもので、別にブッシュ新作戦への批判ではないから、この議決案、はっきりいって何の意味もないものになりそうだ。


View comment

サイトダウンのお知らせ

昨晩西海岸時間で午後6時頃から真夜中にかけて、アメリカの多くのホストサーバーが同時に攻撃を受けた模様。うちのブログだけでなく、多々のブログがダウンしていました。
ミスター苺はサイバーテロリストの仕業ではないかといっておりますが、どうでしょう?
おかげで私もひとつもエントリーが書けず閉口しました。あしたは一つ多くエントリーに挑戦しますので、皆様も一回余計にお越し下さい。
カカシ


View comments (4)