先日イラクザモデルでブッシュの新作戦を恐れてバグダッド付近のテロリストが近隣の都市に拡散しはじめているという記事を読んだばかりだったのだが、逃げ腰なのはアルカエダだけではない。シーアの民兵連中もブッシュの新作戦の威力を感じはじめたようである。

バグダッド、イラク (AP) –

シーア民兵軍の二人の司令官は木曜日、マリキ首相はワシントンからの圧力を受け過激派聖職者モクタダ・アルサドルのマフディ軍を保護するのを止めたと語った。民兵戦士らは彼等の本拠地であるサドル市に追いつめられていると語っている。

彼等によると組織は生きるか死ぬかの戦いをしているという。これはフェイントをかわすプロパガンダ作戦の可能性もあるが、民兵たちがどんどんとバランスを失っている証拠が積もっており、組織は戦士たちに市民の間に溶け込むようにと呼びかけている。 また逮捕を避けるために携帯の使用を禁止、戦士たち黒い制服を脱ぎ捨て日中は武器を隠して歩いている。

ついこの間までバグダッドの町中に好き勝手に関門をつくり、黒い制服をきて我が物顔で町を闊歩していたのとは大違いである。シーア派の民兵への攻撃はマリキ首相をはじめ多くの政府官僚の親戚や知り合いというコネでアメリカ軍による自由な攻撃が妨げられてきたからだが、その状況は明らかに変わったのである。
昨日、マリキ首相は400人あまりのシーア派民兵を逮捕したと発表。マフディ軍でも有力なサドルの側近がアメリカ軍の攻撃で二人殺された。マリキ首相はどうやらブッシュ大統領からの強いメッセージをやっと真剣に受け止める覚悟ができたようだ。
ここでも何度か話したように、イラクで必要なのは増兵よりもROE(戦闘規制)の緩和である。現地の兵隊さんたちが口をそろえていうことは、自分達はハンデをしょって戦争をしているということだ。全力投球で戦争して負けるならそれはそれだが、やれるだけのことをさせてもらえずに味方が危険にさらされたり、勝てる戦闘に勝てないほど苛立つことはない。
これはもう2年くらい前になるが、フリーランスの従軍記者、マイケル・ヨンがせっかく米軍が命がけで戦って捕らえたテロリストがたいした取り調べもなく数週間後には釈放され、また同じように米軍に戦いを挑んきて、同じことの繰り返しだと兵士らの不満を報告していた。
そのマイケル・ヨンも今度の新作戦についてラジオのインタビューでかなり楽観的な見解を示したようである。下記はインタビューの紹介文。英語のヒアリングに自信のある方は是非サイトにいって聴いてみることをおすすめする。

この週末、元グリーベレー(陸軍特別部隊)従軍市民ジャーナリスト、そして我々の友達マイケル・ヨンがイラクはモスールからパンディットレビューラジオに参加してくれました。
マイケルはイラクに戻って従軍したこの三週間で見たことについて驚くほどアップビートな観測を示しています。これは去年の春にマイケルが我々に語ってくれたどちらかといえば暗い見解とは非常に異なったものです。マイケルはイラク警備隊の士気と技術の向上をはなしてくれました。彼はイラクで現在勤務している男女の高い士気とすでに帰国して本国で勤務中の兵士らとの大きな違いを述べました。これは驚嘆というよりありません。また彼は「イラク人が十分に活躍していない」という、この戦争における一番面倒で危険な神話ついて分かりやすく説明してくれました。最後にペトラエウス将軍がどのようなひとであるか、そして俗にいう「増兵」計画についても語り合いました。

まだ新作戦の発表があって二週間足らずであり、マリキ首相がどれだけ真剣に民兵を取り締まるつもりかは分からない。だが、今後米軍はマリキ首相やイラク政府の許可なくしてシーア民兵を攻撃することができるので、マリキの責任は一旦逮捕した民兵たちをやたらに釈放しないことにある。
まだアメリカ軍の増兵は始まっていない。だがブッシュの新作戦は幸先のいい出発といえるだろう。


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