シーアとスンニの戦いというとどうもイラクを思い起こさせるが、実はこの争い、起きているのはパレスチナのガザ。まずはAPのニュースより:

ハマス、「選挙前倒し」表明の議長の関連施設を襲撃

2006.12.17, ガザ(AP) パレスチナ自治政府のアッバス議長の護衛隊の訓練施設が17日、イスラム過激派ハマスの数十人の武装集団に襲撃され、入口で警備にあたっていた1人が死亡、3人がけがを負った。
前日の16日には、アッバス議長が、議長と自治評議会の両選挙を前倒しして実施する考えを表明したばかりだった。内閣を握っているハマスは議長に反発し、選挙を拒否する姿勢をみせている。
訓練施設は、ガザの大統領の自宅から約700メートルのところにある。襲撃があった当時、大統領はヨルダン川西岸ラマラにいた。

パレスチナ存続のためには統政権を設立してイスラエルとの平和共存の交渉にいどみたいとしている現実派のファタ派にたいして、イスラエルとは断固戦う派のハマス。ハマスとアッバス議長の所属するファタ派との戦いは今年にはいってずっと続いており、内戦で300人以上の犠牲者がでているそうだ。ここ数日この戦いはとみに激しくなっている。
しかし興味深いのはハマスがその資金援助をイランを中心とした外国から得ているという点である。12月15日付けの毎日新聞によると、、

<パレスチナ首相>現金持込をイスラエルが阻止 (毎日新聞)
 イスラム諸国歴訪後、ガザ地区に戻ろうとしたハマス最高幹部のハニヤ・パレスチナ自治政府首相が14日、ガザ地区南部の検問所で足止めされた。イランなどから支援された現金3500万ドル(約41億円)の持ち込みを阻止しようとイスラエル国防相が指示。同首相は持ち込みを断念して検問所を通過し、ガザ市に戻った。

某掲示板でよく書いておられるイスラエル在住のアドベンさんはこのように書いている。

ハンユニスの衝突では、ファタハ支持者がハマスのことを「シーア、シーア」と叫んで衝突のきっかけになっている。シーアとはもちろんイランのこと。パレスチナのイスラムはほとんどがスンニー派であることから、イランに擦り寄るハマスを「異宗派のシーア派の犬」と罵倒しているのだろう。

パレスチナがイスラエルと仲良くされて困るのはなんといってもシリアとその親分のイラン。だからイスラエルとは死んでも戦い続けるといいきるハマスを支持するのは自然のできごとだろう。これが続けば、パレスチナでの紛争は単なる勢力争いからシーア対スンニの宗派間内戦ということになるのだろうか?
イラクにしてもパレスチナやレバノンの問題にしても裏にいるのはいつもイラン。中東問題はイスラエルにあるという人が多いが、本当の悪玉はイランにあるといえるのではないだろうか?


1 response to シーア対スンニ宗派間紛争! イラクじゃないよ

asean17 years ago

こんにちは、カカシさん
>イラクにしてもパレスチナやレバノンの問題にしても裏にいるのはいつもイラン。中東問題はイスラエルにあるという人が多いが、本当の悪玉はイランにあるといえるのではないだろうか?
イスラエルの存在がどうしてこうも中東地域で問題になるのか?
その問題にイランはどうして加担しようとするのか?・・・実はこの辺りの背景を欧米諸国は理解しようとしないですね。
イスラム教国側のイスラエルに対する理解という部分とイスラム教が抱える現代性の未獲得という部分とが実は大きく関係していることは歪めませんが、
それと同様に欧米(イスラエルも)そうしたイスラム教国側の誤解を解こうという努力がなされていない
(努力しようとしても相手が拒否するってな事情もありますけどね、苦笑)
過日行われたイランでの選挙でもアフマデネジャド派は劣勢を強いられているようですが、
イランの国内問題を解決するには革命(宗教)評議会なんぞの坊主の説教というファンタジーでは何も解決しないことを反映しているのではないでしょうか?
若年層の失業率が数十%になるの”も”イスラエルとそのシオニズムのせいなのかい?っというまぁ、素朴な疑問をコーランは答える事が出来ない。
パレスチナの場合は、ファタハの人間がもう少し大人の対応をすべきなんですが、ハマスにした所で
いわゆるイスラム的ポピュリズムの域から抜け出せない。
大衆が求めるのは”今、現在の(劇的な)改善”であってそれ以上ではないですから指導者層もついついそうした
近代化も含めた現状の劇的な改善を優先させてしまう。
(小金はあっても国家運営に必要な金額では決してない)
一般的なパレスチナ人、レバノンのイスラム教徒、イラクのイスラム教徒、イランの一般的なイスラム教徒・・・
彼らが押しなべて求めているのは何だと思います?
まぁ~、そういうモノを求めている内は実は何も解決しないんですけどね・・・・
(因みに欧州等へ移民したムスリムも同様の考えだと思うんで、権利の主張というモノを誤解してはいるんですけどね・・・)

ReplyEdit

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *