日本公開は12月1日、(カカシの誕生日!)の007の新作、カジノ・ロワイヤル。 こちらアメリカでは2週間ほど前に公開されたので日本のみなさんに先駆けてみてきました〜! (配役やあらすじはこちら, 写真集はこちら
この新作は見出しにもあるように、ジェームス・ボンドの基本にもどったイアン・フレミングの原作が表現した生の男が赤裸々に描かれている。

CasinoRoyale

男臭さを見せるダニエル・クレイグ


まず、この話はボンドが007という肩書きをもらったところから始まるため、まだボンドは007というスパイとしての実績や経験が足りない。そのため基本的な間違いも起こすし、人を信用しすぎたり、感情に惑わされたりする。また彼が巻き込まれる暴力沙汰もコンピューターグラフィックがあからさまなきれい過ぎ画像ではなく、体と体がぶつかりあう生々しく暴力的な格闘だ。これは「ロシアから愛をこめて」でショーン・コネリー扮するボンドが列車の個室で殺し屋と格闘したシーンを思い出させる。
ここ数年ボンド映画はしょっぱなのスタントがずっと話題になってきていたが、最近はそれが行き過ぎで人間業ではないような不思議なスタントが多すぎた。「ちょっとそれはないだろう」というものが多々あった。 
今回のスタントは考えてみれば非現実であることに変わりはない。ジャッキーチェーンまがいの黒人スタントマンがすいすいと高いクレーンをのぼっていったり、クレーンからクレーンに飛び移ってみたり、確かに普通の人間ができることではない。にもかかわらず、非常に鍛えた人間なら可能かもしれないという幻想をもてるような現実みがあった。映画評論家のおスギさんがいっていたが、高所恐怖症の人にはチョット見られないシーンかもしれない。
主演のダニエル・クレイグは、美形でもなければショーン・コネリーのようなチャームもないが、生の男という感じがひしひし伝わってくる非常に魅力的な男だ。ボンドはロジャー・ムーアやピアス・ブラスノンのようなきれいな男がやってはいけないのだと私はずっと考えていたので、ダニエル・クレイグの起用は大成功だったといえる。
ボンドといえば何と言ってもタキシード姿でカードゲームをやるのが基本。映画のタイトルどおり、カードゲームのシーンがいくつか連続する。ボンド映画はアクション映画であると同時に推理映画でもあるし、精神的な戦いの映画でもある。静かにテーブルを囲んでボンドと悪者がポーカーをするシーンはどんなアクションシーンよりも迫力がある。また、ボンドたちがやってるゲームは最近欧米で大流行の上限なしのテキサスホールダム。ルールを知っている観客もかなりいるだろうから見ていて緊張感たっぷりである。なにしろこのボンド、新米だから必ず勝つとは限らないし、、
映画は何度となくどんでん返しがあり、これでおわりかなあと思うと意外な展開を繰り返す。そのなかにはアメリカ公開ではカットされそうになった残酷なシーンもまざっている。映画が始まる前に注意書きとして「裸のシーン、性的な拷問のシーンがあります」とあったが、13歳以上なら子供でも見られる映画でそんなたいしたシーンはないだろうと鷹をくくっていたらば、かなり衝撃的なシーンだった。(特にに男性には苦しいかも)
これはマッツ・ミケルセン扮する悪者ル・シッフルにとらわれの身となったボンドが座る部分をくり抜かれた椅子に全裸にされてくくりつけられ、縄の先におもりをつけたものを振り回して椅子の下からぶつけられるという拷問をうけるシーンだ。主役のクレイグにインタビューしたオスギさんの話だと、椅子の下にアクリルの板を敷いて実際には当たらないように工夫してあったそうなのだが、ミケルセンがロープについたおもりを強く振り回し過ぎて板が壊れてしまい、おもりがもろに当たってしまったという。クレイグは5分間悶絶して動けなかったとか、俳優さんも大変だな。
そうそう、忘れてはならないのがボンドガール。競演のエヴァ・グリーンは細身できゃしゃだが知的な美人。頭はいいけれど繊細な精神をもっていて勇敢。ポーカーゲームの最中に圧倒される美しさで他のメンバーの気をそらすことになっていたのに、そのあまりの美しさに肝心のボンドが気をとられてしまうというシーンは、ボンドの人間らしさが出ていて良かった。
ところであからさまなCGはないとは書いたが、迫力ある特撮は結構ある。ただどれが特撮かなどと考えずにそのまま楽しめるところがこの映画のいいところ。最後のベニスのシーンは最高。
ボンドファンは必見です!


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