English version of this post can be found atGood Hunting in Ramadi, Big Lizards.
先週からアメリカ・イラク同盟軍はラマディ付近でスンニテロリストに対して数々の攻撃を仕掛けており、同盟軍側の戦死者をひとりもださずに、何十人というテロリストを退治し同じように大人数のテロリストを捕らえた。Bill RogioのFourth Railの記事をまとめてみると、

カークック:イラク陸軍第1旅団第5師団とアメリカ題73騎兵隊と空挺隊82師団による合同攻撃において、連合軍は50人のテロリストを殺害、20人を逮捕した。さらに40万ラウンドの小銃弾、1万5千発のマシンガン用銃弾を押収。また爆弾製造の材料やプロパガンダ用のパンフレットやアメリカドルの大金も押収。
バグダッド:米・イ連合軍はスンニテロリスト18人を殺害、19人に負傷させた。さらに日曜日には9人のテロリストをさつがい、二人が逮捕された。
ラマディ: バグダッドの外でも一番危険な場所ラマディでは11月13日と14日の連続攻撃により、11人のテロリストが殺された。また土曜日にも連合軍は8人を殺害、二人を取り押さえた。

このようなアメリカ・イラク軍による圧倒的勝利はイラクでの戦闘においてはもう日常茶飯事である。でもカカシさんそれが本当ならどうしてスンニのテロリストたちはいつまでも戦いをあきらめないの、と読者のみなさんは不思議に思われるだろう。
その理由は大きく分けて二つある。
1 アメリカメディアが先頭にたってあともう少しテロリストが踏んばれば、アメリカはあきらめて退散すると報道しまくっていること。
2 イランの飼い犬ならぬ白豚サドルの民兵たちへの真剣な対策がとられていない。シリアやイランからの国境をきちんと守っていないため、シーア派のテロリスト及び武器弾薬が大量に流れ込んできている。彼等がイラクのスンニ派を大量に殺害している以上、スンニ派イラク人がシーアの味方だと解釈しているアメリカ軍に攻撃をしかけてくるのも理解できるというものだ。
私は国境を塞ぐことは可能だと考える。しかしそのためにはこれまでのようなやり方では駄目だ。シリアとイラク、イランとイラクとの国境線は何百キロと広がるわけで、現在いる兵数ではとてもパトロールをすることはできない。となれば偵察機を使った空からのパトロールが必要であり、侵入者は容赦なく空からのミサイル攻撃で殺すというやり方でなければ国境は塞ぐことはできない。つまりRule of Engagement (ROE, 戦闘時の規則)の見直しが必要なのだ。
歴史学者のビクター・デイビス・ハンソン氏はROEさえ改善されれば現在の兵数で十分にイラクを鎮圧することができると語る

ではもっと兵を出動させることや完全撤退やひどいニュース報道への苦情について考えてみよう。しかし現実は攻撃の際の戦略についてもっと余裕のある行動が許されさえすれば、敵意をもったメディアや凝視している敵ですら認めざる終えないような確実な勝利を獲得するに十分な兵士の数がイラクにはととのっているのである。ただこれは本国において最近我々の間でまたぶり返したヒステリー状態から立ち直ることができればの話だが。

今こそシーア派民兵を崩壊させる時である。サドルをいかしておいて将来のイラクに平和はない。
しかし「言うは安し行うは難し」である。シーア民兵との戦いにおいてアメリカ軍は2004年にファルージャはじめイラク各地で直面した難かしい問題と同じ問題に再び直面している。アメリカ軍は敵よりも圧倒的に優勢な戦力を有し領地を獲得することはできるが、その後の制覇ができない。それでアメリカ軍が去った後テロリストたちは再び舞い戻ってきてもとの木阿弥である。これはサダムフセインがアメリカとの戦いを前にしてあらかじめ考えていた作戦なのだが、アメリカ軍がこれに気が付くまでに2年という長い年月がかかってしまった。このモグラ叩きの状況を乗り越えるのはかなり難かしい。 それでもこの難関をアメリカ軍が切り抜けることができたのはイラク軍の起用である。 アメリカ軍が訓練をしたイラク軍がアメリカの勝ち取った領地を占領軍として守備にあたる。おかげでアメリカ軍は守りを心配することなく次の攻撃に神経を集中させることができたのである。
だがシーア民兵に対してイラク軍を守備にまわすには、まだ我々はイラク軍を完全に信頼できる状況にない。多くのシーア派を含むイラク軍には民兵のメンバーそのものや民兵のシンパがまだぞろぞろいる。これらの人員を排除できなければシーア派民兵撲滅は望めない。
ここで私はシーア派との戦いにおいて守備に回る占領軍としてアメリカ兵の増強が必要だと考える。いずれイラクの守備はイラク軍に任せなければならないが、イラク軍内部の清掃にはまだまだ時間がかかる。その間やはり守りはアメリカ軍が請け負うしかないだろう。
私はアメリカ市民の間にイラクの勝利を勝ち取ろうという強い意志があることを望む。キッシンジャー元国務大臣はアメリカ市民にこの意志はないという。アメリカ市民にはそこまで我慢できる粘り強さがないと悲観的だ。だがアメリカは南北戦争で何百万という犠牲を双方で出しながら双方とも圧倒的な勝敗が決まるまであきらめなかった歴史をもっている国民だ。私は今のアメリカ人にもその粘り強さがあると信じたい。
イラクにおいて軍事的勝利を勝ち取ることは可能だ。だがそのためにはここで新たにアメリカ市民の一人一人がイラク安定の大切さへの意志を新たにし勝利への道を望まなければならない。


2 responses to アメリカがイラクで勝つ方法

asean17 years ago

おはようございます、カカシさん
う~~ん、アメリカ軍がイラクで勝利する方法・・ですかぁ。。。
その前に、国際社会(主に米英:軍:)がフセイン政権を崩壊させる直前のイラクの状況を再認識する必要がありますね。
当時はバース党による世俗政治を採用してはいましたが、他の湾岸諸国と同様にスンニ派がシーア派を”統治していた”
・・つまり、米軍が攻撃して崩壊させたのはスンニ派だった、ということは抑圧されていたはずのシーア派を開放した訳です。(クルド人の問題もありましたけどね、
現在のイラク政権の閣僚配分等に苦労の後が見て取れますね)
サドルの阿呆が暫定政権からスピンアウトして反米勢力に転身したのも(以前MSN BBSではその話題が出ていた訳ですが)
開放されて権力を手中に出来るはずのシーア派の中で彼と彼の一派が外されてしまった意趣返しが原因になっていた。
つまり、スンニ派が旧フセイン政権下での「Bad-Guys」で、バース党の残党やら官僚等の保身も含めて武装抵抗勢力になっていた。
そうした連中を掃討し続けることは他のイラク人達に(特にシーア派)スンニ派の人達をこれ迄の恨みを晴らすことを是認する風潮さえも起こしてしまった。
(そうした不調にサドル陣営は乗っかった格好になった)
勢い、シーア派のそうしたスンニ派への暴力は拡大することになりますから、米英軍はシーア派のそうした武装組織に対しても取締りを強化せざる得なくなる。
(英軍が駐留するバスラがその典型ですね、はい)
治安警察や国防軍等の各派の割合なんてことも問題になってしまうのは、以上のように米英軍は”どちらへも肩入れ出来ない”ことが問題な訳です。
ですんで、現状では「米軍の”軍事的勝利”」というのは実は望むことが出来ない状況なんだ、と思いますね。
すなわち、米軍の軍事的勝利に力点を置くことはシーア派を勝者とするのか?それともスンニ派を勝利者とするのか?という選択をすることなんですよ。
(今更ですが、米軍”だけ”の軍事的勝利を望むのであれば、イラクに戦略核を使用して地図上から消去するしか方法がない、っというのが現実なんです)
引用されているROEの緩和は決して行うべきではありません、なぜなら、交戦規則を緩和することは最終的に核兵器の使用已む無しへと発展するからです。
更に国境警備の問題を挙げていらっしゃいますが、イラン・イラク国境は約1,200kmあり、先進国と違いその大部分は
無人地帯であることから、例え米軍を50万人に増強したとしても物理的に仰る国境警備は(例え航空機を使用したとしても)
物理的に実現不可能なのです。
結果、イラク国内の安定を政治的にも社会的にも回復させることで、外部からの不安要因が流入しない又は流入しても
不安定化しない状況を作り上げるしか方法がない訳です。
再度、申し上げますが「軍事的勝利」というのならばそれはフセイン政権が崩壊した時点で達成されていたのです。
(ブッシュ大統領が早々と勝利宣言していますよね)
その後の地上軍の行動は軍事的勝利の為ではなく、新生イラクの自立を補助する(治安維持機能が崩壊しましたから)ことが目的だったはずなのです(今も変わってはいないでしょ)。
故に積極的に戦闘に加わるべきではないので交戦規則を緩和する等とんでもない話で主客転倒しているのです。
更に、地上軍はその軍事力でイラク国内を平定する(簡単に言うと、軍事力による国家の平定とは
占領する、ということです)ことも目的ではなかったはずです。
(元々、一国を占領出来るだけの兵力を持っていませんしね)
冷静に考えると、端から占領する気がないのですから、軍事部門の役割は既に終了している(フセインを逮捕した時点で)、
っとしても実は過言ではありません。
・・・っということでしょうか。

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Sachi17 years ago

アセアンさん、
お忘れのようなんですが、アメリカがイラクを侵略したのはフセインを倒すことだけが目的じゃありません。イラクがテロリストの温床をなるのを防ぐためです。その一番の障害がフセインだったから先ずはフセインを倒すということが大切でした。
しかしフセイン政権を倒した後でもブッシュ大統領は「勝利宣言」などしていません。私は当時ブッシュ大統領が「勝利宣言」をあえてしていないことに不満をもっていたほどで、彼の「主な戦闘は終わった」というきわめて微妙なそして非常に注意深い言葉の選択を覚えています。これは決して間違った表現ではなく、ブッシュ政権があえて、これが終わりではない、これで勝利なのではないと強調するために気をつけて選んだ言葉なのです。
サドルがシーア派の勢力のひとつとして選ばれなかったから、彼がスピンアウトしたというのも私は違うと思います。彼は最初から反米であり、最初からスンニ勢力崩壊の機を利用して自分が第2のフセインになるチャンスを伺っていたのです。すでに彼はシーア派の実力聖職者を2003年の段階で暗殺してますからね。
彼はもともとイランの犬ですが、自分ではそうだという自覚はない。サドルにとって大事なのはシーアが勢力を握るということではなく、サドルが勢力を握ることなのです。だから民主主義なんて彼には興味ないし、イラクの独立なんてどうでもいいのです。
ROEの緩和は絶対に必要です。これはアセアンさんのお言葉ですが全く同意できません。これまでの英米軍は手かせ足かせで戦争をしているようなもので馬鹿げています。サドルがナジャフで立てこもった時に、アメリカ軍が聖廟を襲撃すべきではないなんていう遠慮をしたことが後々の仇になったわけですからね。
また国境ぞいの警備も私は陸軍の歩兵隊でやれといってるのではありません。空軍による空からの偵察およびミサイル攻撃を使えと言ってるのです。そうすれば何万という警備隊は必要ではありません。しかしそのためには現在のROEでは不可能です。
私のいう軍事的な勝利とはブッシュ大統領が当初からいっているように、イラク軍がイラクの手でイラクの治安をまもり、イラク政府がイラク国家を統治する状態のことをいっているのです。
カカシ

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