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私は先日、今後のイラク戦争、民主党勝利で激化の可能性でも述べたとおり、民主党が議会を制覇したからといってそれが自動的にアメリカ軍イラク撤退につながると考えるのは早計だと考える。 テロリスト諸君には申し訳ないが、いくら民主党といえどアメリカ人だ。アメリカ人はテロリストごときの脅しに怯んで逃げ出すほどやわではない。 むしろ戦争を早期に効果的に勝利に収めるために民主党は一時的にしろ戦況を激化する可能性がある。
テロリストどもも、昨日紹介したイスラム教諸国の政治家も、そして諸外国のメディアも皆誤解しているが、民主党は「イラク即刻撤退」を公約して選挙運動をしたのではない。 無論民主党の極左翼の連中が即刻撤退を約束していたことは確かだが、同じ民主党でも兵を増やすべきと唱える元将軍らもいて、中庸から右よりの候補たちのイラク戦争にかんする意見は決してイラク即刻撤退ではなかったのだ。 民主党候補者がただひとつ全員で意見がまとまっていたのは、ブッシュ大統領のイラク政策「進路を保つ」には絶対に反対だということだけだ。 だから民主党の公約はあいまいな「イラク戦争の進路を変える」というもっと微妙なものになったのである。
民主党候補らが、声を揃えてイラク即撤退を唱えなかったのは、自分らの間でも考えがまとまっていないということもあるが、アメリカ市民が即刻撤退を望んでいるかどうか確信がもてなかったというのもその理由のひとつ。 イラク戦争はすべきではなかったと考え、イラク戦争はうまくいっていないとしているアメリカ人も、始めてしまった以上はきちんと始末して帰って来いと考えている人が多い。 仕事を途中で放りだして負け犬のように退散すべしなどと考えるのは負けず嫌いなアメリカ人には似つかわしくないからである。
選挙運動中は便宜上極左翼のご機嫌取りをしてイラク即刻撤退を唱えていた候補者も、当選した今となっては今後責任ある対策を採らなければ2008年の再選は望めない。 だからハト派のプラットフォームで出馬した議員らが必ずしもイラク即刻撤退政策を打ち出すとは限らない。 
ブッシュ大統領はこの民主党の葛藤を利用すべきである。 ミスター苺は新しい議会が開会する来年の一月に、ブッシュ大統領はテレビネットワークを通じてひとつ大々的な演説をぶちかますべきだという。 下記は物書きであるミスター苺がブッシュ大統領のスピーチライターとして立候補して書いたブッシュ大統領がするべき演説。 (ブッシュさん、読んでね!)

我が同胞アメリカ市民の皆さん今晩は。 去る11月の選挙は多くの論争問題によって決められました。腐敗やスキャンダルの排斥といった誰でも同意できるものから、ほかはもっと複雑なものもあります。
イラク戦争問題がその複雑な問題のひとつです。 アメリカ人のなかには、善良なアメリカ人でこの国を愛しながらも、この戦争は勝てないと考える人がいます。 彼らは我々にできる唯一の方法は敗北してイラクを去ることであると信じています。なにしろ勝利を持って去ることは不可能なのだからと。 私はそうはおもいません。 ほとんどのアメリカ人がそうは考えていません。
そのほかに、アメリカ軍はイラク内部にある基地に退き、我々が援助して築いた新しいイラク軍に残りの戦いを任せるべきだという人もいます。彼らはこのままアメリカ兵がパトロールを続ければ、もっと多くのアメリカ兵が殺される、これ以上の犠牲はアメリカは我慢できないと心配します。 この意見にも私は同意できません。 我々はパトロールを続行しイラクの人々と近い接触を保たなければなりません。 なぜならそれがイラク市民からテロリストに関する諜報を集める手段だからです。 イラクの人々と日々の接触がなければ、イラクで悪行を犯す悪者をみつけることはできません。
しかし時には政権の内外に存在する先鋭な見解を持つ多くのアメリカ人が、イラクで、治安を安定させ、テロリストやジハーディストから勝利を勝ち取り、我々の考える形と違うとはいえ、中東の真ん中に民主主義を繁栄させるという仕事を完遂させるには、アメリカ兵の数が多すぎるのではなく、少な過ぎるのだと論じてきました。
私はアメリカ兵の大幅な増加には抵抗してきました。 なぜなら私はアメリカ兵の足跡が多くなればなるほどイラク人が自らの手で責任を負うことが難しくなると考えたからです。しかし兵力増加の訴えは良識となり、いまや戦地の将軍達のほとんどが同意しています。
私はこの戦争を始めた時から、先ず勝利を勝ち取る責任のあるプロの意見を聞くと繰り返してきました。 現場の指揮官から広範囲にわたる議論を聞き、また議会の新しいリーダーたち及び与党の議員とも相談した結果、私は間違っていたと気がつきました、そして私の批判者は正しかったと判断しました。 我々はサダム・フセインを倒すのに充分な軍隊を送ってその戦争には勝ちました。 しかし主な戦闘が終わった後、私は平和を保つのに必要な充分な軍隊を残しませんでした。
今夜、この場において私はさらに75000兵をイラクに出動させることを発表いたします。 司令担当者たちは早急に詳細にわたって何人の兵士が何処に必要であるか調査書を提出します。 しかしこの戦争に勝つためには次の三つの目的をはたさねばなりません。
イラクのイランとシリアとの国境を守ること。 この二つの国々は双方ともイラクに武器弾薬及びテロリストを潜入させています。 この穴を埋められない限り、ジハーディストに勝つことは出来ません。 なぜならイランとその手先のシリアがその穴からどんどん代わりを送ってくるからです。
我々はイラクの最前線を守らねばなりません。特にアンバー地区ですが、ここに多くのスンニテロリストのアジトがあるのです。
そして最後に、イラク人口の20%以上が住んでいるイラクの首都、バグダッドを平穏化せねばなりません。 これはイランが支配しているモクタダ・アル・サドルの民兵とバーダー旅団といったこちらもイランのムラーたちと親密な関係にあるシーア民兵軍を崩壊させることを意味します。 新しく出動する我が軍のほとんどがバグダッドに配置されます。
新しい部隊は少なくとも一年はイラクに駐留します。そして任務が完遂するまでは撤退しません。 彼らはそのためにこの危険な職務に立候補したのです、任務を遂行させ戦争に勝つために。
我々はイラクのノーリ・アル・マリキ首相と相談し、出来る限りの範囲でイラク政府の祝福を得ながらイラク軍と一緒に行動します。 しかし我々はイラクにある目的を持って侵攻しました。 それはイラク人を解放するというだけでなく、合衆国を守るという目的のためです。アルカエダや他のジハーディストテロ軍団がイラクを温床として、大量破壊兵器を開発し、イラクを拠点に世界中にいるアメリカ人やアメリカ国内へ戦いを挑むことが出来ないようにするためです。
アメリカ合衆国はこの目的を達成するまではイラクから退きません。我々は苦境に不動に立ち向かいます。我々は勇ましく戦います。 アメリカはイラクが今後二度と過激派やテロリストの味方とならず、アメリカ関係及びアメリカ本土そのものを含み他の諸国に対してあからさまな攻撃をしかけないと確信するまでは、は怯みません、負けません。我々は我々を守るためにせねばならぬことを成し遂げるのです、今もそして将来も。
私は議会において両党協力してこの一時的な兵力増加法案を通してくれることを呼びかけます。 上院多数派リーダーのハリー・リード議員、ならびに下院ペロシ議長、そして共和党上院少数派リーダー、ミッチ・ミッコネル議員そして下院少数派リーダーマイク・ペンス議員、らはすでに各党の議員たちと相談をしています。そして我々は全員この戦争に勝つためには一致団結して同じ方角にすすむ意外にはないと同意しました。
両党の多くの議員の方々からすばらしい貢献をうけ、ご支援をいただいたことを感謝します。 神の祝福を受けながら、アメリカ軍の陸軍兵、水兵、空軍兵、そして海兵隊の勇気と根性をもってすれば、我々はかならずや世界中にひろまるジハード戦争に勝つことができるでしょう。 そしてその一番重要な戦場イラクで勝つのです。
今アメリカ人の一人一人が、戦地で敵の弾や爆弾やロケット弾に面している兵士らと同じ勇気をもちさえすればいいのです。 イラクの爆破魔や首切り屋にアメリカ合衆国に面と向かうということがどういうことか教えてやろうではありませんか。 奴らは戦争を欲したのです。奴らは戦争を得ました。 奴らに合衆国アメリカに喧嘩を売った日を生涯悔やませてやりましょう。
ご清聴ありがとうございました。 我々すべてに神のお恵みあれ。

アメリカ人はイラク戦争においていくつかの求めていることがある。

  • 何か目に見えた状況改善の道を選ぶこと。
  • 共和民主が協力して行動すること。
  • そもそもどうしてこの戦争を始めたのかという明確な目的を提示すること。フセインを倒したのはいいが、それがアメリカにどういう関係があるのかが明らかではない。

アメリカ人がナンシー・ペロシ女史とはちがって、イラクで勝つことのほうがイラク撤退よりアメリカのためになると悟って、敗北よりも勝利を選んでくれるといいのだが。
(ところで75000という数はミスター苺が適当にだした数字であって、無論これは現場の将軍たちが決めることだ。)
もし民主党がこの考えに賛成すれば、新しい防衛長官ロバート・ゲイツ氏の任命承認もスムーズにいくだろう。


1 response to 民主党勝利=イラク撤退ではない!

asean17 years ago

こんにちは、カカシさん
う~~ん、相変わらず、唸らせますねぇ・・・・
まぁ~、民主党の方が共和党程辛抱強くないでしょうから、途中で切れて再度イラクやらイランにトマホークを
山程打ち込むかも知れないですねぇ~(ははは)
しかし、アメリカ国民は意地が悪いっすね・・・
あれだけの勝利を民主党に与えるとということは、何せ議会ですから、その責任は大統領以上に重くなる。
ペロシなんかは本心を言えば下院議長なんかにはなりたくなかったんじゃないですか?
イラクの状況にどう決着を付けるのか?その最も重く具体的な責任が民主党に移ってしまったんだから・・・
それに多数を占めたからといって、弾劾なんかを悠長にやってしまったら、機能不全に陥るのは間違いがない。
その責任も民主党は問われることになる。
民主党多数の議会がブッシュ大統領に代わる中東問題に具体的な進展を示せなかったとしたら
次の大統領選挙でヒラリーなんかに勝ち目は無い。
残り2年で民主党があの地域に決定的な打開策を示せるとは到底思えない。
今回の選挙結果で一番頭を抱えているのは責任のお鉢が回ってきてしまった民主党ですよ。
因みに、蛇足だけどMr.苺に言ってあげて、お願いっ!(はは)
現在、イラクには約15万人の米軍が展開中ですが・・・地上部隊の増強で治安を確保しようとするなら
少なくとも湾岸戦争当時、パウエルさんなんかが考えた約50万の地上兵力がないと無理だって。
つまり、後35万の増員がないと拠点確保さえも実は非常に難しい。
ブッシュ大統領はこれからは議会との協調を訴えて、出来るだけ大統領への損害を押させて
議会の責任にどんどん摩り替える!これが最も得策でしょうね。
ラムズフェルドはまぁ~更迭されても仕方がなかったでしょうね。
核兵器の使用も躊躇しない!それが本当にアメリカを怒らせるとどうなるかの証拠でもある・・・
っというレベルに持っていくには後数年(最低でも5年)は掛かる。
(トランスフォーメーションの基本コンセプトがちょっと複雑過ぎたってのもあるけどね)
彼らに後悔させるには・・・被害が局所的なモノでは駄目だ、ということはアフガンが証明していますよ。

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