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サダムフセインの死刑判決が出たことはまことに喜ばしい。 しかしだからといって喜んでばかりもいられないのがイラクの難しいところだ。 まだまだ我々の上空には暗雲が立ち込めている。
しかし先ずはいいニュースから。先週、アメリカとイラクの連合軍がバグダッドで数々の手入れを行いサドルの率いるマフディ軍の幹部らを何人も取り押さえた。(Fourth Railより)

土曜日、イラク特別部隊はアメリカアドバイザーに見守れながら、サドル市内においてイランの手先モクタダ・アルサドルとそのマフディ軍のバグダッドアジトに手入れを行った。 この手入れで「殺人誘拐犯グループ」の三人のメンバーが逮捕された。 マフディ軍はイラク軍に小銃やロケット弾で攻撃しながら逃走した。

これはノーリ・マリキ首相が先週の火曜日、一週間にわたる封鎖を解除するよう命令してから、初めての攻撃作戦であった。 同日のサドル市内での作戦では三人のテロリスト容疑者逮捕の成果があった。 封鎖解除の命令はアメリカ軍からは強く反発が出、イラク大統領もこの決断には強く反対していた。 マリキ首相がサドル率いるシーアの死の軍団の武装解除にどれだけ真剣なのかという深い疑問が生まれている。

問題なのはマリキ首相はかなりサドル勢力に政治的に傾いている点だ。彼は前任の首相ほどサドルべったりではないにしろ、なにかとサドルの肩を持ちすぎる。 マリキ首相は最近とみに、アメリカ・イラク連合軍による宗派・部族争い鎮圧の努力を邪魔するようになってきている。
この間の封鎖解除における理不尽な要請がそのいい例である。 以下ニューヨークタイムスの記事より。

マリキ氏のサドル市封鎖解除宣言はアメリカ軍司令官達には当初不意を突かれた形になった。しかし夕方までにはアメリカ軍はバグダッド東部と中央部に一週間ほど設置してあった分離帯の位置を放棄した。これはイラク軍を含めて行われていた行方不明のアメリカ兵捜索の一部として設置されたものだった。 関門は交通を迂回させたため、東部では日常生活や商売の妨げになっていた。
この宣言の言葉使いがあたかもマリキ首相にアメリカ軍に指令を下す権限があるかのような表現であったため、マリキ首相はシーア派の支援者に迎合するため、自分の権限を踏み越えたと見られている。
この撤退は人口密度が高く反米意識も高いサドル市内では歓喜で迎えられた。アメリカ軍は捜索の焦点をここに絞っていた。

マリキ首相の微妙な立場はわからないではない。彼は自分の支援者の前でアメリカ政府に対して強気の姿勢を見せなければならないのだろう。 とにかくアメリカの操り人形だと思われては困るというわけだ。 しかし自分でシーアの民兵を退治できないでアメリカに頼っている以上、大きな口を叩ける立場にはないはずだ。またアメリカ軍もおめおめとマリキのいいなりになどなるべきではない。 マリキが独立国の首相として大きな口を叩くのは独立国の首相らしくきちんと自国の暴走民兵らを取り締まってからにしてもらいたい。
私が思うに、マリキ首相はアメリカ軍の駐留はもうそう永くは無いと考えているのではないだろうか。 いったい氏はどこからそんな考えを持ってきたのだろう? どうも彼はサドルがアメリカ軍が去った後、強力な政治勢力として生き残ると踏んでいるように思える。 だからアメリカ軍が去った後も自分の立場が悪くならないように今のうちからサドルにゴマをすっておこうという魂胆なのではないだろうか。
しかし、これまでにアメリカ軍の強さを過小評価してきた多くの勢力がそうであるように、マリキは間違っている。 明日の選挙でどうなろうとも、アメリカ軍はサドルとその手下のマフディ軍、そしてバーダー旅団を始末せずにイラクを撤退するなどということはあり得ない。 大統領には議会に対抗する非常に多くの権限がある。 ロナルド・レーガン大統領が多数議席を握る民主党議会に真っ向から対決して多々の政策を押し通したように、軍隊の総指揮官であるブッシュ大統領は軍隊を自由に操る権限があるのだ。 特に議会はすでにイラク戦争を承認しているのだから、戦争を続行するのは大統領の一存ということにもならない。
どうしてこう皆アメリカ軍を見損なっているのだろう。 確かにクリントン時代のアメリカ軍は途中で戦争を投げ出すことが多かった。しかしブッシュ大統領の代になってから、そのようなことは起きていない。 ならば前大統領時代の例よりも現大統領の実績からアメリカ軍は判断されるべきではないのだろうか? 
戦闘に次ぐ戦闘でアメリカ軍は圧倒的勝利を収めている。にも拘わらずあまりにも多くに人々が我々の敗北は間違いないと確信しているのは不思議でならない。 もっとも民主党や民主党の応援団と成り下がった主流メディアの話を鵜呑みにすれば、今度の選挙で民主党が上下議院をコントロールするようになった暁にはアメリカ軍は退陣にいそしむと考えるのも無理は無いのかもしれない、メディアは皆口を揃えてそういっているではないか!
アメリカメディアのプロパガンダを完全に信じきってるのが、アルカエダもサドル達だ。 彼らは本気で民主党が勝てば自分達が勝つと信じきっている。そして彼らは愚かにも自分らが人を殺せば殺すほど、恐怖におののいたアメリカ市民は退陣を訴える民主党に投票するようになると信じているのである。
だが、真実はその反対だろう。 アメリカ人は自分らの軍人が殺されたり自国が攻撃されて怯えて逃げる人種ではない。 かえって怒り来るって奮起立つ性分だ。 今アメリカ市民がイラクに関して消極的な姿勢を見せているのは、攻撃を恐れているからではなく、負け犬の連中が声を大にして繰り返す敗北間違いなしのシュプレヒコールを信じてしまっているからだ。 残念ながら、どんな嘘でも大声で何度も繰り返せば、だんだんと人々はそれを信じるようになってしまうのが現実だ。
2009年に新しい大統領になって、イラクで確実に勝利と言われる何かが起きるまでアメリカ市民は自分達の勝利を信じられないのかもしれない。 だがここでちょっと振り返ってそう遠くない過去に我々が成し遂げた輝かしき勝利を思い出していただきたい。以下ビクター・ハンソンのエッセーより。

とうの昔に忘れられてしまったのは三週間で悪徳独裁者を倒した輝かしい戦闘。 またアメリカが、ソビエトがアフガニスタンで負けた後や我々の前任がレバノンやソマリアでしたように戦後の動乱を見放したりせずに、民主主義の理想を貫くために努力していることも高く評価されない。 そして我々はシリアがレバノンから立ち退かざるおえなくなったことや、リビアが大量破壊兵器開発をあきらめたことや、パキスタンがカーン博士を潔くみとめたことや、湾岸の王国でわずかながらも選挙が行われるようになったことにも感謝していない。.

という事実があるにも拘わらず、マリキは自分の政治将来しか考えていない。 いったいなんだってイラクはこんな奴を首相にしたんだ? あ、前任のジャファーリを追い出すためだったっけ。
だがマリキは考え違いをしている。 サドルの命はそうながくない。 我々がイラクを去るまえに誰かがサドルを殺すだろう。そうなる前にマリキもシーア派も誰の側につくのか早く決めといたほうがいい。 そうでないとサドルが地獄へ堕ちるときまだサドルにくっついていれば彼らもサドルと運命を共にすることになるからだ。
ま、それも悪くないけどね。


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